暗記型の勉強はなぜいけないの? ~その1~

2009 年 1 月 7 日

 子どもの暗記力には、本当に驚かされます。ある子どもは、歴史上のできごとを例示すると、たちどころにそれが起こった年号を言い当てます。しかも、苦労して覚えたのではありません。年号をまるで写真にでも撮ったかのように、脳に刷り込んだかのように記憶しているのです。

 みなさんもご経験ありませんか? わが子が発揮した暗記力に驚き、「ひょっとして、天才ではないか?」と思ったことは。恥ずかしい話ですが、筆者にもありました。愚息が幼稚園児だったころ、「来年の○月○日は何曜日?」と質問をしたら、必ず正解を言い当てるので驚いたことがあります。かつて親を有頂天にさせてくれたわが子は、今やその面影もなくただの人に成り下がっています。真相は、どうやらカレンダーを頭の中に写し取っており、それをもとに単純な計算をしていたようです。どうしてできたのか、もはや本人にも説明不能な「謎」だそうですから情けない話です。

 実は幼稚園から小学生にかけては、年号知識に代表されるような“意味記憶”に最も強い年齢期だと言われています。自分が見て聞いて得た知識を、いくらでも記憶できるのです。実際、この圧倒的な暗記力を駆使すれば、難関中学の入試突破も不可能ではないほどです。

 しかし、そこに落とし穴があります。子どもが中学生になると、さしもの勢いを誇った暗記力も一段落し、記憶の主役は“エピソード記憶”に替わってきます。エピソード記憶というのは、因果関係をもとに「なぜそうなったのか」を結論づけて頭に入れるような記憶です。こうした記憶は、論理的思考が要求される中学・高校生になるにつれて重要性を帯びてきます。ところが、暗記で点を稼ぐくせのついた子どもは、急にはやり方を変えられません。

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育

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