2009 年 8 月 10 日 のアーカイブ

注意の言葉を子どもにどう伝えるか

2009 年 8 月 10 日 月曜日

 幼児や小学校低~中学年の子どもは、まだ規範意識も十分には育っておらず、自己中心的な行動をとるのが普通です。そのため、親の期待とは裏腹な行動に及びがちで、そのたびに親は対応を迫られることになります。
「うるさい!  静かにしなさい!」
「こら!そんなことをしちゃダメでしょ!」
「いいかげんにしなさい!」
――こんなふうに、声を荒げたくなることも少なくありません。

 しかしながら、子どもがいけないことをするたびに叱ったりくどくど注意したりしていると、やがてそれも効果を失ってしまいます。どうしたらよいのでしょうか。

 これについてヒントになる事例をご紹介しましょう。バスのなかで、子どもがあちこち動き回ったときの親の対応について、長年学校の教育現場に立っておられた先生の著書に、子どもに対する注意のしかたの事例が紹介されていました。

子どもへの注意のしかた A
親 「しっかり棒につかまっているんだよ」
子 「どうして?」
親 「つかまっていないと、ひっくり返っちゃうかもしれないよ」
子 「どうして?」
親 「もし、バスが急に止まったりすると、前に放り出されてしまうからね」

子どもへの注意のしかた B
親 「しっかりとつかまっていなさい」
子 「どうして?」
親 「しっかりとつかまっていなさいって!」
子 「どうして?」
親 「もう大きいんでしょ!」
子 「どうして?」
親 「私の言うことが聞けないの!?」

 両者の違いについて考えてみましょう。Aでは、子どもに対して「自分の行動のどこがいけないのか、言われたとおりにしないとどうなるのかを、子どもに筋道立てて考えさせる」よう親が導いています。親がこういう対応を一貫して継続すれば、やがて子どもは思慮深く考え、望ましい行動を自分で選択していける人間に成長することができるでしょう。

 一方、Bのような親の対応は、ただ命令への服従を強要し、従わなければ厳しく叱られるということを子どもに教えるだけです。これでは子どもは親の言うことを受け入れようとは思いません。その結果、子どもにしっかりとした行動規範・価値観がなかなか根づきませんし、親に対して歪んだ反発心をもった人間になるおそれも生じます。

 あなたはAとBのうち、どちらに近いでしょうか。おそらくは、どなたも理屈ではAの方が望ましいと思っておられます。また、Aのようにふるまおうとしておられます。しかし、思い通りに行動しないわが子を目の当たりにしたとき、多くの親は専制的にふるまっている自分に気づきます。そして、そんな自分に対して苛立ったり、落ち込んだりしておられるのではないでしょうか。

 実際、筆者が街やデパート、交通機関内等で見かけるおかあさんの対応に、Bのタイプがなんと多いことか。いつだったか、「あれ買って」とせがんで座り込むわが子を、大声で叱りとばすおかあさんを見たことがあります。人の目にさらされ、恥ずかしい思いをしておられるおかあさんのお気持ちは理解できますが、「あのような対応では、いつまで経っても子どもが分別をわきまえて行動できるようになはならいだろう」と思い、気分が塞いだものでした。

 子育ては、毎日の積み重ねです。そのプロセスで数限りない親子の会話が交わされることでしょう。子どもは親とのやりとり・会話を通じてたくさんのことを学んでいきます。親は自分の感情をコントロールし、子どもの分別を引き出すような接し方を心掛けたいものですね。


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