2009 年 11 月 のアーカイブ

子どもの人間力を育む学習指導とは!?  ~弊社の催しにて~

2009 年 11 月 30 日 月曜日

091130ibent 今日は先日行いましたイベントのレポートについて書かせていただきます。

 例年弊社では、冬期講座と次年度前期講座の募集が始まる11月に、広島、呉、東広島の三カ所でイベントを開催しています。今年は、「子どもの人間力を育む中学受験とは!?」というテーマを掲げ、中学受験に対する弊社の考えをお伝えしました。

 新型インフルエンザの影響で学級閉鎖や学校閉鎖が相次いでおり、「おかあさんがたが来てくださるだろうか」と心配しましたが、多数の方々がご来場くださり、熱心に耳を傾けてくださいました。

 この催しは三部構成で、第一部と第三部を筆者が担当し、第二部は弊社の教材開発課スタッフと、校舎の責任者とが担当しました。

 内容について簡単にご報告しておきましょう。第一部は、「小学生の受験で大切にしたいこと」と題し、弊社の基本理念をお話しさせていただきました。

 学童期は、人間一人ひとりの人生における原風景を形成していく段階だと言われます。大人になって、人生の岐路に直面したとき、どういう判断を下し、どういう手法で局面を打開するかにあたっては、小学生の頃に繰り返された体験が色濃く反映されると言われます。中学受験の準備学習は、かなり長い期間に及びますし、投入されるエネルギーも相当なものです。それが子どもの人間形成に少なからぬ影響を及ぼすであろうことを踏まえ、「どんな受験勉強・受験生活が望ましいか」を一緒に考えていただきました。

 これに関して、私たちがご提案したいことは、「子どもの人間力の育成につながる受験勉強・受験生活を実現しましょう」ということです。
 今日の社会では、学歴があっても、他者とのコミュニケーション能力、責任を負える力、精神的負荷に耐える力、やると決めたことを実行に移す力など、人間として要請される様々な能力がバランスよく身についていないと自分を通用させることはできません。こうした諸能力を、“人間力”などと呼びますが、耳にされた方も多いのではないでしょうか。

 当日は、中学受験をめざした学習生活が、子どもの人間力の基礎を育む上で格好の場になるのだということをいくつかの例を挙げてご説明しました。受験合格をめざした勉強は、人間力の育成どころか、人間力をスポイルするものとみなされがちですが、決してそのようなことはありません。それについての根拠は、第二部へバトンタッチし、指導システムに関わる者と、指導現場を預かる者とで、できるだけ具体的に説明する形をとりました。

 第二部の前半は、弊社の教材開発課のベテラン社員が、子どもの人間力育成の核となる“自学自習”の必要性についてお話しし、さらにそれをどうやって学習指導に反映させているかをご説明しました。小学生が自分で勉強を取り仕切り、自律的に学んでいけるようになるには、いくつかのハードルがあります。たとえば、学習課題のレベルに細心の配慮を払うこと、テキストの構成を小学生向きにすること、家庭勉強を指導システムに組み入れることなどです。これらについて、直接担当者がお話しする機会は滅多にありませんので、興味深くお聞きいただいたのではないかと思います。

 第二部の後半は、校舎の指導責任者が現場でどういう学習指導を行っているかについてお話ししました。子どもたちが自分で学習を取り仕切り、自学自習の姿勢を築いていくうえで、授業はどういう役割を果たすべきでしょうか。私たちは、自分で考え、自分で問題を解決し、納得していきながら先へと進んでいくような取り組みを引き出す授業の実践を心がけています。

 話の途中で、4年部の算数、5年部の理科、6年部の算数の授業風景を映像で御覧いただきました。子どもたちが指導担当者の問いかけや発問に積極的に反応している様子を見て、弊社のめざす授業成果がどのようなものかをご理解いただいたのではないかと思います。

 第三部は、子どもの人間力を育む受験生活の実現にあたり、影の主役たるおかあさんをクローズアップし、「“子育て名人”が子どもの伸ばす!」というタイトルに基づいてお話ししました。

 中学受験は、子育ての最中にある小学生の子どもの受験です。親の配慮やバックアップは欠かせないのですが、ともすればそれが過保護や過干渉につながり、その結果子どもの人間力育成を妨げるという生憎(あいにく)な結果を引き起こしがちです。

 そこでご来場いただいたおかあさんがたに、四つのご提案をさせていただきました。その四つとは、「子どもに決めさせる」「子どもを信頼する」「忍耐と辛抱で子どもを見守る」「“結果”ではなく“努力”をほめる」です。子どもが自立し、人間として成長を遂げながら学力を伸ばしていくために必須の条件とは何かを考え、四つに絞ってお話しさせていただきました。

 親にとって、わが子ほど大切な存在はありません。しかし、大切であるがゆえに子どもの自立や成長に反する接し方に陥ることがあります。そこで、おしまいに「子育てとは何か」について専門家の著述をご紹介し、受験生活が子どもの人間力を育む場となるには、親としてどういう姿勢で望むことが大切かについて、ともに考えながら終了とさせていただきました。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の理念, 行事レポート

子どもを読書好きにするための親の役割は?  ~その1~

2009 年 11 月 27 日 金曜日

 小学生までの子どもが本を好きになるかどうかは、親の関わりが随分影響してきます。そのことについては、みなさんよくご存知だと思います。しかしながら、親がどのように関わるべきかについては、よくわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「読書と子どもの発達」をテーマに研究されている、東京大学大学院教授の秋田喜代美氏の文献をもとに、親のどのような関わりが子どもの読書を活性化するのかについて、ともに考えてみたいと思います。

 秋田先生は、子どもの読書を活性化するための親の働きかけが、子どもの行動にどのような影響をもつのか、またこのような影響は、子どもの年齢によってどのように変わるのかについて研究されています。この研究にあたり、秋田先生は子どもの読書を活性化するにあたって親の果たし得る具体的な役割を五つに絞り、それをもとに調査を実施されました。以下は、その五つの役割を示したものです。

子どもにとっての読書環境の一つである親が果たし得る役割

1) 物理的環境の設定・準備者としての役割
家に本がなければ子どもは本を読めません。そこで、子どもが本文化に接触することを可能にする環境を設定してやります。

2) 読書熟達者としてのモデル的役割
親自身がよく読書を行い、読書の初心者である子どもに読書のしかたの手本を見せれば、子どもは自然と読書のしかたを理解していきます。

3) 子どもの読書参加への直接的動機づけを行う役割
子どもに本を読むことを勧めたり、本を買い与えたり、本屋や図書館へ連れて行くなどの働きかけによって、子どもに読書をするよう促します。

4) 子どもに本の読み方を教授する役割
親が子どもに本を読んでやることにより、本の読み方を教えたり、子どもが本を理解できるよう読書の熟達化を援助したりします。

5) 読書の評価者の役割
子どもの読書をほめたり、よりよい読み方の助言を行ったりすることで、子どもの読書意欲を活性化していきます。

 以上の五つの役割行動が、どの年齢の子どもに有効であるかを調べるため、小三の児童146名(男80、女66)、小五の児童164名(男72、女92)、中二の生徒196名(男102、女94)、計506名の協力を得て調査をされたそうです。

 子どもたちに尋ねた内容は、自分のおとうさんやおかあさんの読書に関連する行動と自分の読書行動について考えてもらう形式がとられました。
 次回は、その調査の結果を紹介し、親のどのような働きかけが子どもの読書を活性化するのかについて考察してみたいと思います。

※ 1)~5)は、秋田先生が著作に書かれた内容を若干調整させていただいています。 

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育

入会にあたって実施する試験について ~その2~

2009 年 11 月 24 日 火曜日

 前回は、クラス編成についてお伝えして終わりました。今回は、この学力到達度によるクラス編成による学習指導を行う理由をまずはお伝えしましょう。

 学力到達度によるクラス編成は、お子さん方の学力の現状を踏まえ、無理なく進歩できるような指導を実践するために実施しています。基礎をまだまだこなさなければならない段階のお子さんが、到達度の高いクラス授業を受けても、現在の学力状況とフィットせず、学習が空回りする恐れが高いと言えます。一方、理に叶った学習を半年、1年と継続していけば、お子さんの学力は着実に高まります。保護者の方々には、弊社のこのような方針をご理解いただきますようお願いいたします。

 なお、会員選抜試験の内容面についてですが、学校での履修範囲から出題しています。(ただし、6年生の一定時期以降は、学校の履修範囲外からも一部出題します)「学校での既習内容を完璧に理解し、ものにしているかどうか」を試しています。

 出題の内訳も少しお伝えしておきましょう。算数の場合、計算問題は数問程度です。あとは、2~3行程度の文章題、図形の問題などが中心となりますが、学校のテストと比較すると、かなり難しいかもしれません。「学校での学習を完璧に理解しているかどうかを試す」というのは、そういった意味合いで述べたものです。

 国語は、新4年生(現3年生)は文章題一つ、新5・6年生(現4・5年生)は二つ程度出します。この場合、物語文と説明文の組み合わせが基本となります。いずれの学年も物語文では、場面ごとに段落分けができるかどうか、人物の心情を理解できているかどうか、主題を把握できているかどうか、できごとの原因は何かを掌握できているかどうかなど、内容把握が出題の中心です。説明文では、文章構成はどうなっているか、テーマは何か、テーマに沿った事例をいくつ挙げているかなどを試すなど、素材文の特性に応じた出題をしています。漢字の出題は、新4年生(現3年生)は10~12問、新5・6年生は数問程度です。新4年生の場合、より基礎的な内容の定着度を試す傾向が強いと言えるでしょう。

 なお、「何度受けても受からない」とおっしゃるご家庭の勉強法をお聞きすると、計算問題や漢字の書き取りに片寄った勉強をされているケースがあります。年齢に応じた、算数と国語の総合的学力を身につけられるような勉強をお願いいたします。また、そうでないと、仮に入会されたとしてもあとで行き詰まってしまうおそれがあります。

 会員選抜試験の受験にあたっては、以上のことを踏まえ、算数については教科書の練習問題などをていねいかつ確実に解けるよう努力してください。国語については、教科書にでてくる漢字や基礎的な言葉の知識をしっかり身につけるとともに、読書生活、言葉の生活(家庭での会話)の充実に努めていただきたいと存じます。

 会員選抜試験への備えとして、どうしても何かをしておきたいという方には、市販の学年に応じた内容でまとめられている問題集にあたっておくことをお勧めします。受験専用の難しい問題集は必要ありません。あくまでも受験対策の出発点に立っていただくための勉強です。受験指導は入会されてから始めますので、その先取りまでする必要は全くありません。

 会員選抜試験は、弊社の受験指導を受けて成果があがると見込めるお子さんをお預かりするためのものです。得点が足りないお子さんを無理にお入れすると、却ってお子さんのためによくないことも多々あります。ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 入会をご検討いただいているご家庭と、新たなご縁ができますことを心より念じております。

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カテゴリー: 中学受験, 入塾について, 家庭学習研究社の特徴, 行事のお知らせ

入会にあたって実施する試験について ~その1~

2009 年 11 月 19 日 木曜日

 すでにご案内しておりますように、弊社の各校舎に通学していただくには、「会員選抜試験」(入会試験)を受けていただく必要があります。

 会員選抜試験は、算数と国語の2教科実施し、どちらも制限時間30分、100点満点で200点満点の総合点で合否を決定しています。教科ごとの足切り点は設けておりません。たとえば、算数95点、国語50点でも、総合点が基準に達していたなら合格となります。合否の通知は、試験日の2~3日後にご家庭に送付します。合格された場合、入会に必要な書類一式も同封します。なお、問題用紙は試験終了後に回収いたしますので、お持ち帰りできません。

 合格の基準点は、その回の問題の難易度および各学年の全参加者の平均点を参考に決定します。したがって、合格基準点はそのつど若干変わります。また、学年が上がるにつれて、入試までの指導期間が短くなりますので、上の学年ほど合格基準点は高めになります。

 たとえば、新4年生(現3年生)ですと算・国の合計点が120~130点、新5年生(現4年生)は130~140点、新6年生(現5年生)は140点~150点がおおよその合格の基準となっています。なお、問題のレベルを完全に均一にすることは不可能ですので、すべてがこの得点範囲で決まるとは限りません。あくまでおおよその目安だとお考えください。なお、合格が得られなかったご家庭には、何度チャレンジしていただいても構いません。過去にも、2度目、3度目の挑戦で入会したお子さんが、難関校に合格したケースが少なからずあります。

 会員選抜試験は、冬期講座、前期講座、夏期講座の各募集期間中、毎週土曜日に実施しています。現在、2009年度冬期講座と来年2月に開講する2010年度前期講座の会員募集を行っています。冬期講座からの入会を希望される方のための会員選抜試験は、このあと11月28日(土)、12月6日(土)、13日(土)に実施します。次年度前期講座入会のための会員選抜試験は、冬期講座の入会試験と同じ日程で同じ時間に実施します。また、年が明けてからは、1月9日(土)を皮切りに、開講まで毎週土曜日に実施します。

 このように、次年度の講座への入会のための試験は11月から次の年の2月まで長い期間にわたって行います。まだ受験について決定に至らないご家庭も、無理をされる必要はありません。開講(5・6年部は2月13日、4年部は2月27日)までに実施される、いずれかの試験を受けて合格されれば開講時から通学していただくことができます。

 毎年、クラス分けについてのご質問を受けますので、そのことについても簡単にご説明しておきましょう。広島市内の校舎の5・6年部は、学力到達度でお子さんの所属クラスを振り分けます(3~5クラスありますが、学力的に何番目のクラスかは公表しません)。新規に入会されるお子さんの場合、最初の所属クラスは会員選抜試験での成績で決定します。

 なかには、「成績で何番目のクラスか」を気にされる方もありますが、クラス替えは定期的に年間数回行っており、成績状況でクラスは頻繁に変わります。夏休みの講座や冬休みの講座においても、それまでの成績を参考に新たにクラスを編成します。ですから、「勉強をしっかりとがんばっていけば、学力の現状に見合った適正なクラスに配属されるのだ」とご理解いただき、あまりご心配なさらないようお願いいたします。

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カテゴリー: 中学受験, 入塾について, 家庭学習研究社の特徴, 行事のお知らせ

「黙読」ができるようになってからも「音読」を大切に!

2009 年 11 月 16 日 月曜日

 今回は、音読について書いてみます。すでにお伝えしたことがあるかもしれませんが、黙読ができるようになってからも、音読をを是非継続していただきたいと思います。6年生になると受験勉強も大変になり、音読どころではなくなるかもしれません。しかし、できるなら5年生頃までは親の働きかけで意図的に音読を励行していくことをお勧めします。

 なぜかというと、音読スキルの継続によって、絶えず黙読の精度が磨かれていくからです。黙読が可能になると、声を出さねばならない音読は面倒で敬遠されがちですが、音読がうまくならない限り黙読の精度は上がりません。音読は子ども自身で「うまく読めているかどうか」を自覚できるし、親もそばで聞いてチェックできますから、ほめたり励ましたりと、わが子の読みの態勢づくりを応援することができます。

 音読を十分に経験するとともに、それを楽しんだ子どもは、物語などの作品を読むときにも、細部までしっかりと読み味わい、作品への理解も深いところまで到達することができます。しかしながら、十分な音読経験をすることなく黙読に移行すると、作品の本当の面白さを理解できないし、読書自体が面倒くさいものになりがちです。その結果、生涯で一番たくさんの言葉を獲得する大切な時期(小学4年~6年生)を十分に活かすことができなくなってしまいます。

 また、読んだ内容の記憶度において、音読は黙読よりもはるかに優れています。だいぶ前に読んだ書物に書かれていたことですが、アメリカの大学での調査・実験によると、音読した方が黙読した場合よりも読んだ内容を30数%多く覚えているそうです。

 中学受験をめざした勉強をするにあたって、子どもは国語だけでなく算数や理科・社会科などいくつもの教科の勉強をしなければなりません。これらの勉強の際、覚えておく必要のある事柄も数多くあります。そのための勉強においては、音読した方が効率的に学んだ内容を記憶することができるでしょう。そのことを大いに活用すべきではないでしょうか。

 子どもが読書を真に楽しめる人間になるためにも、しっかりとした読みの力を身につけるためにも、学んだことを少しでも多く記憶しておくためにも、音読は大変重要な学習方法です。おかあさん方には、小学生時代の「読み」の態勢づくりに関心を寄せていただき、大いにお子さんに音読を勧めていただきたいと思います。

 ただし、無理にやらせる方法ではマイナス効果に陥るおそれもあります。読むことに拒否反応をもたせたのでは意味がありません。親が押しつけて「音読訓練」をするといったやり方でなく、親子で音読を楽しむつもりでやっていただけたらと思います。音読が、親子のコミュニケーションの時間となり、読書の楽しさを分かち合う場となったなら、お子さんは間違いなく読書を生涯の友とする人間へと成長されることでしょう。

 本を読むことは、理屈抜きに楽しいものです。今のうちに、この楽しい読書の世界へわが子を導き入れてやりましょう。子どもの読書に関われる期間は、あと何年もありません。今こそ、おかあさんの出番ではないでしょうか?

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カテゴリー: アドバイス, 子育てについて, 家庭での教育