得点力育成の前にやっておくべきこと

2009 年 12 月 14 日

 中学入試というと、とかく入試での合格を巡る競争の厳しさが話題にされがちです。その結果、「難しい問題を、たくさんやり込まなければならない」「得点力を上げるために、猛特訓をしなければならない」というふうに思い込む人もいるようです。

 しかしながら小学生の場合、たとえ難関とされる中学校への進学をめざすにあたっても、土台となる基礎学力を疎かにしてはいけないし、子どもの自発的な学習姿勢のもとで合格をめざすような受験対策をすべきだと私たちは考えています。

 なぜなら、当面の入試突破が究極の目的ではなく、その後には長い学びの人生が待っているからです。この学びの人生を充実させられるかどうかは、小学生時代までにしっかりとした基礎学力を身につけ、さらには勉強に対する能動的な姿勢を培っているかどうかで決まってきます。たとえ当面の中学入試を乗り切ることができても、その段階で燃え尽き症候群に陥ってしまったのでは、もはやその先は期待できません。ですから、中学入試においては、将来の“伸びしろ”を育てることを大前提におき、そのうえで合格に到達できるような受験対策を施していくべきなのです。

 では、将来の“伸びしろ”を育てるための指導として、私たちがどのようなことをしているのかについて、簡単にご説明しましょう。

1.「学習習慣」のしっかりとした子どもにする。

  私たちの学習指導は、「計画的に沿って学ぶ習慣」をつけることから始めます。初めは「決めたことだから仕方なくやる」といった様子の子どもも、だんだんと「やるのが当たり前」のようになっていきます。やっているうちに勉強の面白さに気づくし、継続することの価値にも気づくのでしょう。このようにして、「受動的計画」は、「能動的計画」へと変化していきます。これが学力形成を軌道に乗せるための重要な前提となります。

2.子どもの思考を促し、自分で課題を解決するような授業を実践する。

  私たちは、演習や解法伝授のための説明に終始する授業を好みません。それよりも、子どもが自分で考えて問題解決をはかっていく姿勢が育つような授業を心掛けています。たとえば、課題について望ましい方向へと子どもの思考を導きながらも、いちばん大切なところは子ども自身が気づくよう導きます。これなら、身につけた考え方や知識は後々まで活かされるのではないでしょうか。

3.授業に耳を傾け、「授業を活かす姿勢」をもった子どもにする。

  日本の学校教育は、全て一斉集団指導で行われます。このような教育環境の下で学力をつけるには、授業を聴き、授業を活かしながら学ぶ姿勢を備えることが必要です。そこで私たちは、演習形式の授業ではなく、講義形式の授業を行い、自分の知りたいことを、授業を通じて獲得していく姿勢を備えた子どもの育成にあたっています。

4.知ることを志向し、学習に積極的に取り組む姿勢を育てる。

  弊社の教室で学び、優秀な成績をあげている子どもを見ていると、取り組みが洗練されているのもさることながら、学ぶこと自体を楽しむかのような積極的な姿勢を備えていることに感心させられます。“子どもの勉強は、斯くあるべし”です。こんな学習を一人でも多くの子どもが具現できるよう、私たちは思考のプロセスを楽しみながら学べる課題の提供に努めています。小学生の受験勉強は、「楽しみながら」でいいのではないでしょうか。長い学びの人生を乗り切るエネルギーは、こうした経験によって育まれるに相違ありません。

 合格最優先の指導を期待する親御さんもおられるかも知れません。しかし、こうした発想での受験対策は、ともすれば子どもの現実とかけ離れたものになりがちです。中学受験は、合格を得たかどうかで成否が決定するわけではありません。合格したって、ダメなものはダメなのです。受験の結果に関わらず子どもを成長させる受験。それがいいのではないですか?子どもたちが、将来ほんとうの一流の人間になるためにも、目先に走ったやり方だけは慎むべきだと思います。

 私たちは、そのために何が必要かを考えて指導にあたっています。何よりも大切なのは、子どもが主役で、子どもが主体的に学ぶ受験生活にすることです。それが実現したなら、合格の方が引き寄せられてくる(受験が近づくと、一気に伸びる)のだというのが、数多くの子どもの指導にあたってきた私たちの実感です。

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カテゴリー: 中学受験, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

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