睡眠時間と成績には、相関関係はあるの?

2010 年 1 月 22 日

 最近の子どもは、睡眠時間が昔の子どもと比べて少ないと言います。いつだったか、5年生の子どもに、「毎日大体何時頃寝ているの?」と尋ねたところ、ほとんどの子どもが「11時よりも遅い時間に就寝している」と答えたので驚いたことがあります。

「子どもの就寝時間が遅くなっているのはなぜか」というと、多くの人が塾通いの増加、テレビやゲームなどが原因としてあげることでしょう。しかしながら、実際には少し違っているようです。ある調査によると、「何となく」「家族が遅いから」が理由として最も多かったそうです。子どもが個室をもっていること、親が「早く寝なさい」というような躾をしなくなっていることなどが原因で、「何となく夜遅くまで起きている」という状態の子どもが増えているというのです。

 睡眠時間が少ないことが、子どもの健康や勉強に問題を起こさないのなら、何ら問題はありません。しかしながら、睡眠不足は子どもの健康にとって望ましくないことは各方面から指摘されていることです。では、学業成績に与える影響はどうなのでしょうか。

 脳科学を専門にしておられる大学の先生の本に、興味深い調査の結果が紹介されていました。2003年に、広島県教育委員会が「子どもの睡眠時間と学力テスト」の関係について、小学5年生を対象に調査を行ったのだそうです。

 それによると、睡眠時間が5時間未満の子どもは、国語が平均52点、算数が54点だったそうです。それに対して、睡眠時間が6時間の子どもは、国語が66点、算数が70点でした。さらに睡眠時間が8時間の子どもは、国語が71点、算数が74点でした。

 これを見ると、睡眠時間が少ないほど成績は低く、逆に睡眠時間が多いほど成績はよいということがわかります。ただし、睡眠時間は多ければ多いほどよいということではないようで、10時間以上寝ている子どもの場合、国語が平均65点、算数が68点だったそうです。

 睡眠は、学習したことの記憶と深く関わっていると言われます。レム睡眠、ノンレム睡眠という言葉をご存知でしょうか。レム睡眠は、比較的浅い眠りの状態を言い、寝ている最中にしきりに眼球が動いているそうです(レム睡眠という呼称は、Rapid Eye Movementsの頭の文字に由来します)。

 レム睡眠をしているとき、人間の体は休んでいますが、脳は覚醒している状態に近いそうで、このとき起きている時間中に学習したことや体験したことを記憶として定着させているのだということが言われています。人間が夢を見るのも、このレム睡眠をしているときです。

 一方、ノンレム睡眠は体も脳も休んでいる状態の睡眠のことです。睡眠時間の約8割はこのノンレム睡眠が占めており、約90分ノンレム睡眠の状態が続いた後、10分ほどレム睡眠の状態になります。人間は、眠っているときにこれを何度か繰り返しますが、レム睡眠の時間は少しずつ長くなり、最大20分ぐらい続くそうです。

 以上から、子どもが学習したことを効率よく記憶として定着させるには、7~8時間程度の睡眠が必要で、睡眠時間は多すぎてもよくないということがわかりました。

 また、子どもが夜更かしをすると、どうしても朝寝坊になりがちです。さらには、慢性的睡眠不足の状態が続きます。その結果、生活が不規則になって健康面にも悪影響を及ぼしますし、学校の授業時間中に脳が正常な覚醒状態にないために、授業の成果があがりません。夜遅くまで勉強しても、レム睡眠が不十分で記憶の効率がよくないといった具合に、悪循環に陥る可能性が高いといえるでしょう。

 おたくではどうでしょうか。お子さんは、規則正しい生活を送り、適切な睡眠時間を確保しておられるでしょうか。しっかりとした生活習慣は、子どもの健康維持は言うまでもなく、能力形成面においても重要な働きをしています。言わば、子どもの能力開発のインフラ整備にもあたるわけですから、「何をどう学ぶか」ということと同等に大切にすべきことなんですね。
 


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