2010 年 7 月 15 日 のアーカイブ

夏休みこそ子どもに自然体験を!

2010 年 7 月 15 日 木曜日

 子ども時代にぜひともたっぷりと体験しておきたいこと。その一つが自然体験です。しかしながら、近年は街で暮らしているか、田舎で暮らしているかに関わらず、子どもの自然体験の時間が減っているそうです。

 天の川と虫と子どもたち「自然に囲まれた場所で暮らす子どもなら、毎日自然と接触しているはずではないか」と思われるでしょうか。それが、そうでもないのです。先日ブログに書いた記事ではありませんが、田舎で暮らす子どもにもコンピュータゲームは浸透し、遊びの内容は街で暮らす子どもとさほど違いはありません。山奥で生活する少年たちだって、自然と接する遊びよりも、コンピュータゲームを好む傾向があります。

 さて、もうすぐ夏休みですね。このブログをお読みいただいているご家庭のおとうさんおかあさんは、おそらくこの何年かうちにお子さんの中学受験を迎えることになります。しかし、たとえ中学受験をするお子さんであっても、小学生時代に自然とふれあう体験をしておくことの重要性は何ら変わりません。次にご紹介する文章は、ある教育学者の書かれたものですが、自然体験の重要性を教えられる話ですのでご紹介してみましょう(一部改変)。

 人格が発達するということ、あるいは自我が発達するということは、自分という人間を見るもう一人の人間、あるいは自分という人間と対話するもう一人の自分を、心のなかに豊かに発達させていくことと重なります。

 けれども、その自分を見る別の自分は突然わいてくるわけではありません。たとえば、星空を見上げながら、宇宙のなかの自分の星、その星の上の自分、それはこんなにちっぽけなんだと見るような体験を重ねることで、あるいは教科の勉強を通じて、今、ここを超えてものを見る確かな視点を手に入れることで獲得されるのです。

 小学生時代にそういう体験をたくさんすれば、自分をとらえるもう一つの眼差しを育てるチャンスはふえます。それを獲得していないと、思春期になっていろいろな問題にぶちあたり、混乱したときに、自分を突き放して見ることがなかなかできない、ということになる可能性があるわけです。よって、いろいろな問題に飲み込まれて、翻弄され、思春期の問題をこえにくくなります。

 ですから、小学生時代に自然の不思議を体験したり、自然を感じる体験をいっぱいするということのなかには、ものすごく大きな意味があるのです。自然とふれあうとよいということの意味のなかには、自分以外の大きなものを感じることで、自分を見るもう一人の自分の目を育てていくということがあるのです。

 お子さんの現在を振り返ってみてください。こうした不思議がる気持ちに満ちた子どもに育っているでしょうか。そういう体験を繰り返すことが、自分を中心とした世界しか見えない幼児的なものの見方から、自分を取り巻く様々な事象と自分とを客観視する大人的なものの見方へと子どもを成長させるのでしょう。先ほどの学者は、そのことを「自我が発達する」というような言い方で説明しています。自分という人間を見るもう一つの自分、あるいは自分という人間と対話するもう一人の自分を、心のなかに豊かに発達させていくことに重なるのだそうです。

 別の学者によると、思春期に問題行動を起こした子どものうち、かなりの割合の子どもは、小学生のころに空の星を見て「不思議だなあ」とか、「どうしてこんなにいっぱいあるのだろう」とか、「あれが何億年も前の光だとは信じられない」などといったような、不思議を体験していないそうです。先ほどの話と照らし合わせると、何となく理由がわかるような気がします。

 こうした専門的な話はぬきにしても、自然とふれあうのは楽しいものです。自然のなかで戯れている子どもを見ていると、不思議を感じる気持ちをどんどん増幅させている様子がよくわかります。自分がまだ知らないもの、よくわからないものが無数にあるのが自然です。そういうものを目にしたり手に取ってみたりしたときに感動するのは、新奇なものに好奇心を抱く人間の本性です。その感動の気持ちがわきあがりやすい小学生のうちにこそ、自然とふれあう体験をわが子にたっぷりとさせておきたいものですね。

 筆者は、愚息が3歳の頃から山登りに度々行きました。一緒に歩きながら、山の植物の名を教えてやったものでした。愚息が山道の端を指さしながら「あれはホトケノザ」などと言うだけで、妙に嬉しかったものです。もう少し大きくなると、図鑑などから自分で名前を確かめ、逆に教えてくれるようになりました。また、山道を歩いているとそこに生息する動物に出くわすことがあります。子どもがビックリして反応したのは、シカ、サル、タヌキ、キジなどだったでしょうか。

 山登りが、何かの役に立ったかどうかはわかりません。しかし、親子で山登りをしたということ自体が、ずっとこれからも楽しい思い出として残ってくれるでしょう。

 さあ、この夏休みには親子で自然に囲まれた環境に足を運んでみませんか? わが子のセンス・オブ・ワンダー(不思議がる心)が目覚めるべく、夏休みならではの自然体験のチャンスを用意してやりましょう!

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カテゴリー: アドバイス, 子育てについて, 家庭での教育