がんばらない受験勉強のススメ

2010 年 11 月 15 日

 「塾の勉強はどう? がんばってる?」「明日のテストがんばってね!」など、親子の会話でごく自然に、そして頻繁に使われるのがこの「がんばる」という言葉です。ところが、励ましのつもりで言ったこの言葉が、かえってお子さんのやる気をくじいてしまい、逆効果になった経験をお持ちのかたはおられませんか。一体どうしてなのでしょうか。このすれ違いが生まれる理由についてわかりやすく説明してある本があったので、その一部をご紹介したいと思います。

 「がんばる」は何と便利な言葉だろうと思わざるを得ません。しかし、便利なぶんだけ曖昧だともいえます。なぜなら、よくよく考えると、実際に「がんばる」という行為はないのですから。「根性を出せ!」「努力しなさい!」などと同じで、あくまでも精神論で、具体的な行動を示すものではありません。さらに言えば、「がんばる」の語源は「我を張る」、つまり「自分の考えを押し通す」「意地を張り通す」で、もともと他人から勧められたり命じられたりすることではないのです。

 そういう言葉であるだけに、言うほうは一生懸命に勇気づけているつもりでも、言われたほうはどうがんばっていいかわからずに強いプレッシャーを感じたり、肩に力が入って実力が発揮できなかったりすることになります。なにしろ「がんばる」を測る物差しがないのですから、がんばったかそうでないかは誰にも決められません。

(「子どもを伸ばす5つの法則」 小山英樹著)

 確かに、お子さんにしてみれば「もう十分がんばった」と思っている時に、周りから「がんばれ」「がんばれ」と言われたら、(これ以上何をどうがんばればいいの?)と思いたくなるのも無理はありません。おそらくお子さんが知りたいのは、目標を達成するために“何をどうがんばれば良いか”であり、“どうすれば今以上にがんばれるのか”なのですが、残念ながら「がんばれ」という言葉だけではその方法を示すことができません。そこで必要になってくるのが、お子さんが勇気をもって一歩を踏み出すためのちょっとしたコツです。

 たとえば、算数のプリント一つ取っても、
「このプリント、もし一ヶ月間やり通せたらどんな良いことが起こると思う?」
と尋ね、今の行動を変えることで何が良くなるのか、というところにお子さんの意識が向くよう配慮してあげる。
「あなたにはこんな良いところ(できるだけ具体的に伝える)があるんだから大丈夫、きっとできるわ」
と子どものもつ力を認め、がんばりを信じてあげる。この方が、ただ「がんばってやりなさい、続けなさい」と繰り返すよりも、ずっとお子さんに自信や安心感を与えてあげられるのではないでしょうか。

 そこでふと気づいたのが、同じ「がんばる」でも、「がんばってね!」と「がんばってるね!」とでは、もうそれだけで意味が違ってくるということです。

「最近がんばってるんじゃない? あなたががんばってくれてると思うだけで、おかあさんも元気が出るわ」

 忙しい一日が終わり、ホッとできる家族だんらんのひと時、もしおかあさんからこんなふうに言ってもらえたならどうでしょう。その日はうっかり宿題をさぼってしまったお子さんでも、これなら気まずい思いをせずにすみますね。一瞬とまどいの表情を見せながらも、お子さんは決して嫌な気持ちにはならないはずです。おまけに、今までがんばってきた点については「ちゃんと知ってるよ」と伝えられるこの言い方は、おかあさんにとってまさに一石二鳥ではないでしょうか。このように使いこなすのは案外難しい「がんばる」という言葉でも、ほんの少し言い方を変えるだけで、お子さんを無用な緊張感やプレッシャーから解放することが可能なのです。

 机に向かうお子さんの小さな背中を見守るおかあさんとしては、子どものやる気をひと言で引き出す特効薬のようなフレーズを探したくなるときもあると思います。けれども、じんわりとお子さんの心に染み込み、漢方薬のように体質を改善してくれる(やる気を引き出してくれる)のは、いつも何気なく使っている、ごくあたり前の言葉なのかもしれません。ぜひとも、日頃からどんな言葉のかけ方をすればお子さんの気持ちがプラスに向かうのかを考えて、お子さんが余計なストレスをためてがんばらなくても、しっかりと自分の勉強を進めていける環境を整えてあげてください。

(sugihara)


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