子どもの“やる気”を引き出すためのヒント  ~その2~

2011 年 7 月 11 日

 前回に引き続き、子どものやる気を引き出すヒントを専門家や学者の著述を引用しながらご紹介してみます。

4.子どもの“自尊心”を育む!  ベッツィー・ヤング氏

 「子どものストレス」の著者で、大学教授や作家もしているアメリカのベッツィー・ヤング博士は、「自尊心」という観点から子どもの物事に取り組むやる気について研究をされています。ヤング博士は、「自尊心」を次のように定義づけておられます。

 自尊心とは、「自分自身がどれだけ好きか」ということだが、実はもっと深い意味がある。自尊心とは、自分の価値――幸福、健康、能力、尊敬、友情、愛、達成感、成功感などを精神的に味わう気持ちである。

 これを読めば、自尊心をもっている人間は、社会で生き抜くための諸条件を携えている人間であり、きわめて健全な人間像を連想させられます。何ごとにも創造性を発揮し、よい結果を引き出せることを自ら確信し、最善を尽くせる人間なのです。では、自尊心をもつ子どもに育てるには、どんなことを心がけるべきなのでしょう。これは氏の著述ではありませんが、ある本に次のようなことが書かれていました。

  1. 一.子どもの考えや感じていることに耳を傾け、知る。
  2. 二.子どもが敗北感でなく、何か達成感を味わえるような状況をつくる。
  3. 三.子どもの年齢や性格に合った方法で、自分で自分の人生を管理しているという感覚を味わうチャンスを与える。
  4. 四.子どもに対し、愛され、能力もある子だと励ます。
  5. 五.親自身が積極的に生きている姿を見せる。

 「親は自分に関心をもってくれている」と実感すること、成功体験を味わうこと、「自分の人生の主役は自分だ」と思えること、「自分は親に愛されている」と実感すること、親が手本を見せてくれること。これらについて、改めて現状を問い直してみてはいかがでしょうか。

5.成績が悪ければ、勉強以外でほめよう!  勝山正躬氏

 神戸の灘中学校・高等学校の名物校長先生だった勝山正躬先生(平成元年没)は、中学受験生の親向けの本において、次のようなことを述べておられます。

 子どものもつ“自信”はいささか神秘的で、大人には不可解に思うことがときどきあります。例えば、勉強には精彩を発揮しない子どもでもひとたびグランドに出ると、ハツラツとし始める子どもがいます。「おまえは、教室では元気がないくせに、運動だと自信たっぷりだなあ」とほめるとニコニコしています。そんな子どもに勉強法をアドバイスすると、やがてぐんぐん成績をあげることがよくあるものです。

 これは、成功体験の一種と言えるでしょう。グランドで知っている成功の喜びを、教室でも味わいたいと子どもが気づいたからなのです。ほめる材料は、勉強の中にしかないわけではりません。子どもは、日常生活のすべての場で、全人格をさらけ出して生きていますから、そこから長所を見つけてほめればいいのです。他人に対する優しさ、思いやり、几帳面さでもいいでしょう。それをほめ続けることによって、子どもが自信をつかみます。そのうえで、親は上手に勉強の方にエネルギーの向きを変えればいいのです。

 勉強がうまく行かず悩んでいる子どもを、「勉強、勉強」と追い立てても、子どもは辛い思いをするだけです。しかも、それによって全人格が否定されるのでは、意欲を湧かしようがありません。「急がば回れ」です。子どもを信頼している態度を見せる→ほめる→自信をつけさせる→勉強への意欲を駆り立てる、そんなやり方もあるということに気づいてほしいと思います。

 子どもにとっては、親のほめ言葉は何よりの自信につながります。しかし、勉強がうまく行っていない子どもをほめるのは難しいものです。そんな子どもには、ほめる要素を勉強に限定する必要はないのだということを教えられる話です。

 いかがでしょうか。5名の専門家や学者の著述をご紹介してみました。やる気・学習意欲に関する話題は、これまでにも何度かとりあげてきました。

 しかしながら、この話題には「満足」という到達点が見えることはありません。また、よくなったと思ったら、また元どおり、といった繰り返しもあります。ただし、親の姿勢だけは変わらないでいたいものです。それは、子どもの出した結果を評価するのではなく、子どもの取り組みがどう変わるかを期待する温かい眼差しを失わないことであろうと思います。


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