2011 年 11 月 のアーカイブ

子どもの勉強ぶりに不満が募るかたへ ~その2~

2011 年 11 月 24 日 木曜日

 親は、ふだんは子どもに対して余裕をもって接することができても、子どもが逆らったり、思うようにならなかったりすると、大概は感情的になって怒ったり、子どもをパワーコントロールしようとしたりするものです。なまじっか愛情がたっぷりあるだけに、怒りがこみあげてきたときの反動も大きくなるのは避けられません。

 しかし、親と子どもは別人格の人間です。親の思い通りにならないのは当たり前なんですね。また、親の思い描く理想はあっても、それとの距離があるのに無理を強要しても子どもがよくなるはずがありません。一歩一歩、少しずつの改善をすればいいのだという認識のもと、子どもとの信頼関係を大切にしながら親の期待や願いを伝えてあげてください。子どもは、親に感謝しています。しかし、それを口にするには親との距離が近すぎるのです。

4.子どもを変えるには、「忍耐」が必要です。

 自律的勉強ができないでいた子どもが、率先して勉強に取り組むようになるには相当なエネルギーが必要です。このエネルギーを育てるには親の粘り強い応援が必要であり、性急に結果を求めては逆効果にしかなりません。まさに、「忍耐」です。

 親子間がぎくしゃくするケースがあったとき、その原因の大半は子どもの勉強ぶり(行動の全ての面)が未熟であり、親の期待にほど遠いことによるものです。そこで親が子どもに注意したり叱ったりすることになるのですが、そこにどうしても親ならではの思い入れがあるために感情的になってしまいがちです。そこで必然的に喧嘩になったり、子どもの抵抗にあったりするのですが、それで子どもがよくなることはほとんどありません。親に最も求められるのは「忍耐」なのです。

5.当面は「成績」より、取り組みの「姿勢」を軸に励ましてください。

 今までの悪循環を断ち切るには、かなり長い期間の努力が必要で、ちょっとのがんばりがすぐに成績に表れたりすることは期待できません。先程も述べたように、ここは「忍耐」です。成績を気にして口に出すことは、逆効果を引き起こすだけです。

 むろん「親が成績に興味を示さなくなった」と思わせることがねらいではありません。「成績ばかり気にして、口うるさく叱られなくなった」ということが重要です。そのかわり、親が最も期待しているのは「結果」ではなく、「努力」だというスタンスを示してあげてください。そのほうが、子どもにとっては励ましになります。子どもはよい成績をとりたいのですから、成績がよかったら真っ先に親に報告してくることでしょう。そのときには大いに誉め、一緒に喜んであげてください。

6.親子ともども、「決めたことは必ず実行する」を合い言葉に。

 決めたことは実行しなければ意味がありません。学習計画が「絵に描いた餅」にならないようにするには、とにかく実行するしかありません。繰り返しになりますが、決めたことを実行する、すなわち「努力する」ということを親は奨励し、子どものがんばりを促してください。

 そのときに、先程述べたような「親の努力目標」を掲げ、一緒に誉め合ったり励まし合ったりすると、子どものやる気を大いに活性化することができます。その日その日、そして一週間を区切りにして互いに反省し、がんばりを確かめることで、建設的で前向きな雰囲気が家庭に築かれるのではないでしょうか。こうして子どもに努力を継続する姿勢ができたなら、それこそが受験での好結果だけでなく、中学進学後の学力向上を支えてくれるに相違ありません。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 子育てについて, 家庭学習研究社の特徴

子どもの勉強ぶりに不満が募るかたへ ~その1~

2011 年 11 月 21 日 月曜日

 子どもの勉強が行き詰まったり、惰性に流れたりで、困っているかたはおられませんか? いったんそうなると、立て直すのにも骨が折れるものです。小学生の子どもが自分で問題点を洗い出し、必要な対策を講じることはまだ十分にはできません。どうしても親のサポートが必要になります。

 ただし、勉強するのは子ども自身ですから、勉強の内容にまで手を貸したのでは意味がありません。子どもがやる気を出し、やるべきことを自分で実行に移せるような流れをつくるのが親に望まれるサポートであろうと思います。

 それをしてやれるのは今しかないのです。子どもが中学生になってしまうと、もはや親が子どものやる気を引き出したり、学習姿勢の改善にむけて助力したりすることは不可能です。親が子どもにしてやれるいちばんのことは「自立させる」ことであり、そのために親が関われるおそらく最後のチャンスが今なのではないでしょうか。

 今回と、次の記事は、そのための親の心ももちようについてお伝えしようとかいたものです。以前書いた文章の焼き直しで恐縮ですが、何かのお役に立てば幸いです。

1.親自身が心を開き、新しい発想を取り入れる勇気をもつこと。

 子どもは親の教えを聞いて何かを身につけるのではなく、親がしていることを見、それをまねて身につけると言われています。子どもの行動や勉強への取り組みに問題があるとしても、その原因の一端(というより、かなりの部分)は親にある可能性は極めて高いと思います。子どもの勉強の取り組みを改善する際には、まずは親自身が自分について振り返ってみる必要もあるのではないでしょうか。そして、改めるべきは改め、自分のやり方にこだわらない柔軟な姿勢をもつことも必要であろうと思います。それが、親の気づかないところで子どもの微妙な変化を引き出すに違いありません。

2.「しつけ」とは何かを改めて考えてみませんか?

 しつけというと、「いけないときに叱る」「いけないことを禁止する」「必要に応じて罰を与える」など、「子どもをパワーコントロールすることだ」と思う人が多いそうです。しかしながら、これらはしつけのプロセスの一部でしかありません。「しつけとは、子どもに、自分自身で考えて、どうしたらよりよい決定をすることができるかを教えること」です。

3.どうするかは子どもに決めさせましょう。

 子どもの自発的取り組みを引き出すには、子どもを信用してやる必要があります。そして、どのように勉強するかは子ども自身に決定させるのが望ましいと言えるでしょう。どのように勉強するかについては、親子で話し合いをすることも必要ですが、そのとき、最終的決定は子ども自身にさせてください。親はあくまで「応援者」であり、「相談相手」に留まるべきです。子どもが自分で考え、自分で決めてこそ自律的にやろうという姿勢も生まれてくるものです。

 また、子どもが修正のための新たな「学習計画」を立てるにあたっては、親も一緒に自分の「努力目標」として何かを掲げ、「一緒にがんばろう!」というように、共同意識をもたせるのも効果的です。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 子育てについて, 家庭学習研究社の特徴

受験が終わったら何をしたい?

2011 年 11 月 14 日 月曜日

 中学入試が行われたその日の午後、一人の6年生男子児童が挨拶がてら、筆者たち指導担当者のところへ訪ねてきてくれました。

 第一志望校の入試が終わったその日、既に第二志望校の合格も決まっており、もう次の入学試験は受けません。すべてを終えた爽やかな笑顔でした。

 その彼が、国語を担当した筆者にこう言いました。

 「先生、国語の授業のときに、いろいろな本を紹介してくれたけど、ボクは6年生になってから受験勉強を始めたので、毎日勉強だけで手一杯で、本を読むことができませんでした。今日入試が全部終わったので、帰りに本屋に行き、読んでみたかった本をたくさん買ってきました。やっと、ゆっくり読書を楽しめます。ありがとうございました」

 彼は受験勉強のスタートが遅かったことを、自らの奮起と実行力に変え、常に「遅れを少しでも早く取り戻したい」と自分に言い聞かせながらがんばっていました。「ちょっと本を読むぐらい、息抜きにもなるんだし構わない」と筆者は思ったのですが、ストイックなまでに勉強に打ち込む彼には、そうすることがまるで怠けることのように感じられたのでしょう。

 「入試が終わった。やっと好きな本が読める」――無事に入試を終え、やりたかったことができるようになった喜びや安心の気持ちを彼は心から満喫したことでしょう。

 こういう子どもがいるのを見ると、「まだまだ今どきの子どもも捨てたものではないな」と、自分が何もしたわけでもないのに、うれしくなってしまいます。

 こんな男の子もいました。これは、筆者が担当したお子さんではないのですが、校舎の責任者から聞いた話です。第一志望校に合格し、おかあさんと一緒に挨拶に来てくれたものの、なんだか落ち着かない様子。

 ひとことこれまでのお礼の言葉を言ってくれたのですが、気もそぞろのようでした。おかあさんが、「先生にちゃんと挨拶をしたの?」とおっしゃると、「うん」と答えるや否や、脱兎の如く駈けだし、ロビー脇の椅子に座り込みました。そして、カバンからゲーム機を取り出し、すぐさま取り組み始めました。

 よほどゲームがやりたかったのでしょう。おかあさんに「入試が終わるまではゲームを我慢しなさい」と禁止され、やりたい気持ちをぐっとこれまで堪えて勉強してきたのです。

 これはこれで、ほほえましい話です。受験をしない友だちは、ゲームだろうとなんだろうと、やりたいときに好きなことをすることができます。それなのに、彼には受験があるからゲームをすることができなかったのです。よく最後まで我慢できたものです。

 ですが、この二人の我慢を比べてみて、質の違いを思わずにはいられませんでした。前者の男の子は、本を読むのを我慢することを、自らに命じて実践していました。後者の男の子はどうでしょう。おかあさんに禁止されて、入試が終わるまで渋々ゲームを我慢していたのです。

積極的?消極的? 同じ受験勉強でも、前者は自分のこととして積極的に受け止めていたのに対し、後者は進学のためのやむを得ない手段として仕方なくやっっていたのだと思います。どちらが希望に燃えて志望校に入学するでしょうか。どちらが中学入学後、ますます勉学に打ち込む生活を実現させるでしょうか。答えは、言うまでもありませんね。

 まだまだ中学受験までに時間が残されているご家庭へ。中学受験を何とかして子ども自身のものにしてやりましょう。小学生ですから、親に言われて受験勉強を始める子どもはたくさんいます。しかし、そのまま受け身の受験になってしまわないためにも、親は「なぜ受験をするのか」についてわが子に様々な情報を提供してやりたいものですね。
 子どもは、命令されたり押しつけられたりすると抵抗しますが、「こんなこともあるよ」と、情報を提供される形だと、素直に親の話を聞いてくれるものです。その情報の中に、いかに親の願いや期待、方針をまぶすかが親の工夫のしどころです。

 受験が子どものものになる。そこへうまく漕ぎつけたなら、受験での成功は半ば達成したようなものです。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: がんばる子どもたち, 中学受験, 勉強の仕方, 子どもの発達, 子どもの自立

家庭学習研究社は未来対策塾 ~弊社指導方針説明会~

2011 年 11 月 7 日 月曜日

 毎年11月の上旬になると、冬期講座の入会者募集と、来年2月開講の新年度会員募集が始まります。それに合わせ、お子さんの中学受験を視野に入れておられる保護者を対象とした催しを実施しています。今年の開催日程については、ホームページ を通じてお知らせしておりますので、興味をおもちいただいた方は、そちらで要項を御確認ください。

 毎年恒例となったこの時期の催しですが、タイトルや内容は異なるものの、根本に据えた実施意図は変わりません。参加いただいた保護者に、中学受験への挑戦を子どもの望ましい成長の場とすることの重要性をお伝えするとともに、将来の飛躍を見据えた学力形成のありかたをともに考えていくことを基本に置いています。

 今年は、「家庭学習研究社は未来対策塾です!」というタイトルで、弊社の学習指導における基本的な考えをお伝えすることになっています。今回のブログは、この催しの趣旨と内容について簡単にお伝えしたいと思います。

 毎年のことですが、弊社の催しでは「合格実績」を強調しアピールすることはしていません。どういう受験勉強や受験生活が望ましいか、親はどのような見守りをすべきかなど、中学受験の基本原則をお伝えするようにしています。これは弊社の40年以上にわたる中学受験専門塾としての経験から行き着いたやり方で、「受験をしたことが、一人ひとりの子どもにとってプラスになったかどうか」がいちばん大切なことだという考えに基づくものです。

 したがって、イベントや説明会などはすべて、「家庭学習研究社の考えに合う教育観をもった保護者の方々にご縁をいただくための広報活動なのだ」という認識のもとで実施しています。合格者数や合格率は、紙面を大きく割かなくても必ず人は見るものです。しかし、指導に対する情熱や、望ましい受験や受験生活とはどういうものかについては、紙面を相応に割き、言葉を尽くして語らねば読む人に伝わりません。

 さて、今年の催しですが、「私たち家庭学習研究社は、子どもたちの未来を視野に入れた学習指導を行っています」ということを行事タイトルにしたものです。

 内容ですが、だいたい次のような流れとなっています。

1) 中学受験の特殊性と親に求められる意識

 小学生が受験の主人公の中学受験は、高校や大学への受験と大きく異なる点があります。親がある意味深く関わらざるを得ないのですが、親がどう関わるかが子どもの人間形成に大きな影響を及ぼします。まずは、中学受験の大前提となる「親の心得」からスタートしていきます。

2)日本の子どもの弱点

 このところ、TIMSSやPIZAなどの国際学力比較調査の結果が世間を騒がせています。そこでは「日本の子どもの学力低下」が話題の中心になっているようですが、専門家によると、「もっと深刻な問題が、日本の子どもたちには存在する」そうです。それは何かについてお話しします。

3)伸び伸びと学び、大きく学力を伸ばしている子どもって?

 弊社の教室に通い始めてから、ぐんぐん学力を伸ばしている子どもにはどういう特徴があるかについて考えていきます。校舎の責任者に見解や経験談を語ってもらいます。また、中・高一貫校に進学後、ますます勉強に磨きをかけ、学力を一層伸ばしている生徒さんには何か秘訣があるのでしょうか。生徒さんからの返事や、私学の先生の見解(承諾を得ています)も紹介します。

4)家庭学習研究社の指導方針

 1)~3)の内容を受け、いよいよ本題の弊社の指導方針をご説明します。中学受験の特殊性を踏まえ、また日本の子どもたちの弱点を解消し、さらには手本となる先輩受験生や中・高一貫校で伸び伸びと学ぶ生徒さんたちから学べる様々な事柄を踏まえ、弊社がどんな枠組みや考えに立って中学受験指導をしていくかについて、これからお子さんが受験生活に足を踏み入れるご家庭の参考になることを願ってお話しいたします。

5)親に求められるサポートとは?

 最後に、中学受験生の親に必要なサポートとはどういうものかについて、弊社の考えをお伝えします。学習塾が親に求める協力は、学習塾の指導の方針や形態によって随分違ってくると思います。子どもの自立勉強を支援する弊社が、保護者の方々にお願いしたいサポートのスタンスを簡単にお話しします。何かと心もとない小学生の受験ですから、親はストレスを溜め、叱ることも少なくありません。親が叱るということについて、弊社の教室に通う子どもたちがどう思っているか、アンケートの結果もお伝えします。受験生活に足を踏み入れる上で参考になるかも知れません。

 催しの内容は、受験生活の途中にある4年生や5年生の保護者の方にも参考にしていただけるのではないかと思います。4・5年生家庭の保護者で、興味をおもちになったかたはご遠慮なくご来場ください。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 中学受験, 入塾について, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念, 行事のお知らせ