4年生から始めるか、5年生から始めるか

2012 年 1 月 23 日

 中学受験をすることは決めているものの、受験対策の勉強をいつから始めるか、いつから学習塾に通わせるかについて決めかねておられるご家庭はありませんか? 

 当社の中学受験対策指導は4年生からとなっています。しかしながら、それは受験するのに3年間の準備がどうしても必要だと考えてのことではありません。受験に必要な知識を蓄えたり、問題解法の方法を身につけたりするだけなら2年間でも間に合います。 

 では、弊社はなぜ4年生から受験指導を行っているのでしょうか。受験対策の期間が2年間だと、受験勉強をやりこなしていける基礎学力がある程度備わっていなければなりません。また生活習慣が自立しており、自分で考えて行動する姿勢が養われていないと、効率的な勉強ができず、仕上がりきらないうちに受験を迎えることになりかねません。

 受験対策の期間に4年生の1年間が加えられたらどうでしょう。生活習慣を見直し、学校と塾通いとの両立を図りながら、受験態勢をじっくりと整えていくことができるでしょう。

 また、受験勉強をやりこなすための前提は国語力が確かなことです。算数にせよ、理科や社会にせよ、すべて活字を介した勉強です。おりしも、9歳(4年生)は生涯で語彙の伸びがいちばん大きい時期にあたります。そのことは、子どもが具体的思考から抽象的な思考への移行期に突入したことを意味します。この時期に、文章をよどみなく読むこと、書かれていることの意図を読み解くこと、自分の考えを理路整然と綴ることの経験を豊かにすれば、リテラシー能力のしっかりとした基礎が築かれるでしょう。このことは、効率的な学力形成が可能になることを意味します。

 弊社の4年部では、この国語について基礎を丁寧に指導していきます。また語彙の急速な増加は、自然と達成されるわけではありません。豊かな言語生活を送ることが必須の条件となります。そこで、家庭での会話を充実させること、読書を活発に行うことが求められます。これらは、特に塾に通われなくてもできることですが、こういった大切なことを見落とすご家庭が少なくありません。弊社の4年部への通学を通じて、こうした面の重要性にふれ、家庭でサポートしていただければ、お子さんの言葉の力もかなり違ってくるでしょう。

 その他、4年部から受験指導をするメリットとして、算数の基礎学力形成という要素もあげられるでしょう。算数は、得意不得意、好き嫌いがはっきり分かれ、入試での得点差が最も大きな科目です。つまり、豊かな国語力のうえに、算数学力が確かなら、入試全科目を盤石にすることができます。

 受験勉強が空回りする子どもの多くは、算数で最も重要な思考力が欠けています。算数的な思考力は、計算をいくらやり込んでも育ちません。単元の課題場面の意味を理解し、解決に向けて突破口を切り開くことの楽しさや醍醐味を数多く体験することが必要です。あれこれ考えては、手を動かし、図を描いてみたり、線を引いてみたりする経験なしには育ちません。 

 弊社の4年部では、こうした体験をたくさん子どもたちに提供し、算数が好きな子ども、思考力に長けた子どもを育成したいと考えています。それには、じっくりと算数に取り組むゆとりが必要です。4年部が算数と国語の2科目指導に絞っているのはそのためです。 

 なお、算数は教科書に沿った単元から出題されるものの、出題レベルははるかに高いのが普通です。仕上げに最も手間がかかるのはそのためです。そこで、4年部から少しずつ教科書を先取りしていき、6年部の4月末までに教科書の全範囲の学習を終え、入試までの残りの期間で応用力を磨いていきます。4年部があるのは、そうした点においても重要な意味をもっています。 

 ここまでお読みになると、「やっぱり4年生から通わないと不利になるのか」と、思われたでしょうか。一概にそうとは言えません。生活習慣が自立し、何事も自分で判断し行動する姿勢が身についている「自立型」のお子さんなら、意欲的かつ積極的に学ぶことでたちまち受験態勢を整えていくものです。また、普段の言語的な土台がしっかりとしているお子さん、基礎がしっかり身についているお子さんは吸収力が高く、5年部入会当初から好成績をあげる例が少なくありません。 

 4年部から通うか、5年部から通うかについては、お子さんが塾に興味をもたれるかどうかも関わってくるでしょう。また、通学距離や時間との兼ね合いもあるでしょう。

 もしも4年生からの塾通いにお子さんが難色を示されたなら、無理強いをされる必要はありません。以上お伝えしたことを踏まえ、生活習慣を自立させたり、言語生活に配慮をしたり、算数課題を自力解決する楽しさを味わったりすることで、4年生の夏休みから、5年生になってからの受験生活のスタートに備えていただければよいでしょう。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

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