楽しく勉強すると頭がよくなる?

2012 年 3 月 5 日

 2012年度の4年部講座が、先週の土曜日(3月3日)に開講しました(5・6年部は2月18日に開講)。弊社は受験のための学習塾ですが、4年部の子どもたちは学校ではまだ3年生ですから、受験生という自覚はほとんどありません。

 塾というものになれていない、初々しさ漂う子どもたちですから、いきなり受験勉強らしいことに取り組ませるようなことはしません。まずは塾という環境になれること、勉強の要領を身につけることから始めていきます。

 家庭学習研究社の教室では、いずれの学年も“明るく、楽しく、元気よく”をモットーに子どもたちの学習指導にあたっています。無論、授業成果をあげる方法には様々あり、違ったやりかたをよしとする人もおありでしょう。「もっと厳しく指導してほしい」「静かに集中させてほしい」とおっしゃるご家庭もあるかもしれません。

 しかし、私たちは一定のルールに従って学んでいる限りにおいて、子どもたちにとって楽しく、充実感を与えてくれる授業のほうが、学力形成面で得るものが多いと考えています。特に、基礎内容を学ぶ4・5年部については、それが欠かせないことだと考えています。

 では、私たちはなぜ「学ぶ楽しさ」を重要視しているのでしょう。その理由の一つは、私たちが勉強の自立を重んじているからです。子どもたちが勉強を自立させるためには、「自分で勉強をするんだ!」という強い意志と意欲をもつことが必要です。そういう意志・意欲は、学ぶ楽しさや喜びを味わう体験抜きには育たないのではないでしょうか。

 実際、このブログでもそのことを何度も書きました。あれこれ考えて、ついにわかったときのうれしさや喜び。それを味わうためにこそ人間は学ぶのだと言われています。当然、このような経験の積み重ねが豊富な子どもは、学ぶほどに持ち前の知的探求心を増幅させていきます。先々まで勉強に積極的に取り組み、どんどん学力を伸ばしていくことでしょう。

 勉強を“快”と受け止めることの重要性は、人間の脳レベルで明らかにされています。“知りたい”という欲求が満たされた、その喜びの瞬間こそ、人間の脳が最も成長を遂げるときなのです。

 人間の脳に、海馬と呼ばれる部位があるのをご存じでしょうか。海馬は、幅1センチ、長さ5センチほどの脳内器官で、側頭葉の奥深くに左右一対ありますが、人間の記憶に関わる重要な役割を担っていることで知られています。

 この海馬の入り口にあたる歯状回(しじょうかい)の脳細胞は、人間の脳細胞の中では例外的に増殖する作用をもっています。ものを知るという体験を充実させると、この部位が活性化し、そこで働く脳細胞が細胞分裂を起こして増殖するのです。記憶を司る海馬の脳細胞が増殖するということは、その人間の記憶の容量が増え、記憶力が強化されることに他なりません。

 ただし、人間の五感を通じて入力された情報のほとんどすべてが、この海馬に転送されます。そしてこの海馬で記憶すべきかどうかを判断します。大変な量の情報を処理していますから、そこで働く神経細胞の寿命は極めて短いと言われています。わずか数か月のうちに、全て新しい細胞と入れ替わってしまうそうです。

 つまり、頭が活性化している状態においては神経細胞は増殖を続けるが、その一方で、古くなった神経細胞は順次死滅していきます。そうなると、神経細胞の増える量と減る量の比率が気になってきます。事実、減る量が増える量を超えると記憶力は悪くなるそうです。このこと一つとっても、楽しく学ぶ体験や意欲に基づいた学習の大切さを痛感させられますね。まさに「子どもは、楽しく興味をもって学ぶべし」なのです。

 この話は、私たち大人にも元気を与えてくれます。海馬の神経細胞は年齢に関係なく増殖します。ですから、「人間は何歳になっても記憶力を増強できる」のです。実際、高齢の人でも絶えず学ぶことを忘れず勉強熱心な人の神経細胞の数は、若い人に劣らないということが脳科学者によって明らかにされています。

 大人の毎日は、日々仕事に追われ惰性のうちに終わりがちですが、何かに興味をもって勉強する姿勢を、いつまでも失わないようにしたいものですね。

 話を4年部の子どもに戻します。受験生活の始まりにおいて、勉強の楽しさやよさにふれる体験を繰り返す。それは、脳の偉大なる成長の始まりです。

 「勉強は楽しいから、もっとがんばろう!」と、子どもたちが思えば、それだけ勉強にも熱が入ってきます。一生懸命に粘り強く考える姿勢も培われるでしょう。そうすると、少々難しい課題にもへこたれずに取り組めるようになります。苦戦した課題から答えを導き出せたときには、脳がふるえるほどの感動があります。

 このような瞬間をたくさん子どもたちには味わってほしいと思います。それが、着実に脳の働きをよくしていくに相違ありません。1年、2年後には、大変な変化を引き起こしているのではないでしょうか。

 こうして、子どもたちは努力すること、考えることの価値を深く理解した、前向きな人間に成長していくことで、人生の可能性はどんどん広がっていくことでしょう。


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