2012 年 3 月 19 日 のアーカイブ

親子の関係をよくする会話って?

2012 年 3 月 19 日 月曜日

 5・6年部の講座が、開講して1ヶ月経過しました。最初のマナビーテストの結果がでて、早速気持ちが揺れているおとうさんおかあさんがおられるかも知れませんね。

 「わが子ががんばれるよう、優しくサポートしてやろう」と、あれほど強い決意をもっていたのに、テストデータを見て愕然となり、気がつけばわが子を叱っていたり、言い争いになったりし、気を滅入らせているかたはありませんか?

 親はいつだって、「子どもとよい関係を築こう」と思っています。そして、「子どもの望ましい成長を引き出すべく応援しよう」という、意欲をもっています。1日の始まりにあたっては、「今日はわが子を叱らずに1日を過ごそう!」と決意しています。

 しかしながら、子どもは親とは別の人間です。特に、自分の考えをもつようになる小学校の高学年ともなると、親の思惑どおりには行動してくれないことが多くなってきます。そこで、いつの間にか感情的に叱りとばしたり、思いとは逆に子どもの怒りに火をつけてしまったりすることがあります。運悪くそんなことが続くと、気持ちがへこみ、自己嫌悪の気持ちに苛まれるものです。

 まして、そこへ受験勉強というものが入り込んでいるのが弊社会員のご家庭です。親は、わが子の成績を目の当たりにした途端、平常心を忘れてしまうことが少なくありません。

 そこで今回は、「子どもとのよい関係を築くとともに、子どもに自信をもたせ、自主的に学ぶ姿勢を育む会話とはどのようなものか」をテーマに、考えてみたいと思います。

 臨床心理学者で、子どものセラピストとして活躍されたハイム・G・ギノット氏(故人)は、子どもとのコミュニケーションのあり方について、次のようなポイントを掲げておられます。

1.メッセージが親の自尊心だけでなく、子どもの自尊心も傷つけないもの
  であること
2.忠告や指示を与える前に理解を示すこと

 いったん子どもが感情を高ぶらせてしまうと、誰の言葉ももはや耳に入らなくなっています。その一方で、自分のなかで起こっていること、自分がそのときに感じていることを、おとうさんやおかあさんに理解してもらいたいと強く思っています。

 親が心得ておくべきは、「子どもは自分が経験したことを全部大人に説明しないまま理解してもらいたい」のだということです。また、ちゃんと説明しようにも、ことの経緯を順序立てて大人に説明するだけの語彙も表現力ももちあわせていません。前述のギノット氏は、この点について、次のような見解を示しておられます。

 「先生が私のことをどなったの」と子どもが言うとき、私たちはその子からもっと詳しい話を聞き出そうとしなくていい。「いったい、何をしてどなられたの? 先生がどなったってことは、あなたが何かをしたからでしょう? 何をしたのよ?」などと言わなくてもいい。「あら、かわいそうに」という必要さえない。子どもの感じている痛みやとまどいや怒りの感情を、私たちが理解していることを示さなければいけないのだ。

 「子どもとのコミュニケーションが、今ひとつうまく行かない」と感じ、そのことが気になっている人はありませんか? そんな人がまずとるべき行動。それは、自分の子どもへの対応のしかたを振り返ってみることです。子どもの行為に対して、咎め立てしたり叱ったりする前に、子どもの気持ちを汲む言葉を投げかけてやる必要があります。

 親は、相手がわが子だと遠慮のない批判をしがちです。しかし、外で他人の過ちやしくじりを前にして露骨に批判をしたりすることはありません。それどころか、「大変でしたね」「お手伝いしましょうか」など、相手の気持ちを汲み取る言葉を投げかけるものです。間違っても、「あなたはうっかり者ですね」「どうしょうもない失敗をしましたね」などとは言わないと思います。親は、それと同じようにわが子に接することが大切だと、ギノット氏は著作において述べておられました。

<子どもの気持ちを理解していることを伝える言葉>
・今回のテスト結果、残念に思ったんだね
・それじゃ、とても悔しかったろうね
・やっていなかったところがテストにでて、ショックだったんだね
・あなたにとって最悪の日だったわね

 どうでしょう。以上から、次のようなことがわかるでしょう。子どもの失敗や逸脱に対しては、すぐに咎めたり叱ったりせず、そのような結果をもたらした子ども、そのような行為に及んだ子どもの気持ちを汲んだ言葉を投げかけることが大切です。親が反省を強いるまでもなく、子ども自身が情けない思いをしているものです。

 また、批判や叱責の代わりに子どもの気持ちに理解を示すことが、何にも増して子どもの怒りや感情の高ぶりを静める効果をもたらします。

 急には親も変われないかも知れません。しかし、今回お伝えしたことを踏まえ、子どもの気持ちに沿った対応をしてみてください。子どもの表情が明るくなり、少しずつ前向きさがでてきて、やがては親が期待するような“がんばりやさん”に成長しているかも知れません。

 

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育