中学進学後を見通した受験生活を

2012 年 4 月 16 日

 2012年度の4年部講座が開講して、一月半近くが経過しました。一昨日は第3回目のマナビーテストが実施されましたが、お子さんの手応えはどうだったでしょうか。

 初回、二回目と、すばらしい成績をあげたお子さんもおられるようです。この調子でがんばれば、大変な学力の持ち主になれることでしょう。

 残念な成績のお子さんもおられますが、焦らないでください。毎回のテストはあくまで勉強の一環です。成績で一喜一憂するのではなく、テストの答案用紙をよく点検し、その中から現在の取り組みの問題点や課題を見つけ、次のテストに向けて修正することを心がけていただきたいと存じます。

 そうやって、勉強を自分の力で押し進めていく姿勢を培うことが先決です。それがうまく行くようになったなら、成績は自ずと努力に応じて上がってくるものです。

 また、4年生は言うに及ばず、5年生や6年生ですらテストの答案を見るとミスが多いものです。それが小学生の受験勉強の現実です。5、6年生ともなれば、自分のミスに歯がゆい思いをし、次は何とかしようとがんばります。それでもなくならないのがミスです。

 しかしながら、そういう努力がやがてミスの減少に繋がります。そして、このもどかしい体験が中学生になってから生きてきます。繰り返しますが、親は焦らないことです。テストが返却されたら、「ミスがあるんじゃないかな? チェックしてみてごらん」と励ましてあげてください。親は勉強の内容を教える必要はありません。

 今は、お子さんが2週間ごとの単元の学習と、その成果を競い合うマナビーテストの流れを理解し、弊社に通いながらの受験生活になじむことが重要です。そして、お子さん自身の受験生活を確立することが最も重要なことです。

 ご家庭におかれては、スケジュールに沿った家庭学習の実現、テストに備えたおさらい、テスト後の点検(見直しやり直し)を、お子さんが自分でできるようになるまで、継続的に見守り励ましていただくようお願いいたします。

 ある年、4年部の最初のテスト結果を知ったおかあさんが、血相を変えて相談に来られました。「うちの子は、かなりできる方だと思っていたのに、とんでもない成績でした。こんな成績じゃ、どこも受かりません。私が毎日勉強を教えますから、教えかたを教えてください」とおっしゃいました。

 筆者は、「そういうことをすべきではありません」とお伝えしたのですが、おかあさんの気持ちを変えることはできませんでした。その後、おとうさんの夕食もそっちのけで必死になってお子さんの勉強を見られた(それがもとで、夫婦喧嘩が絶えなくなったという報告を受けました)そうですが、お子さんの成績が浮上することはありませんでした。

 せめてお子さんにやる気があればよかったのですが、おかあさんの猛特訓で疲れ果てていたのか、授業を聴けるのは10分ぐらいが限界で、顔を机の上に伏せてボーッとするばかりでした。

 仮に、そのお子さんがおかあさんの猛特訓の成果で受かったとしても、決してお子さんにとってよいことにはならなかったでしょう。大人が無理やりやらせる勉強は、子どもの人間としての自立の機会を奪ってしまうからです。

 私たちが、小学生なりの「自学自習」を応援している理由もそこにあります。中学校入学後、子どもたちは基本的に自分で勉強をする姿勢をもった人間として扱われます。決して手取り足取り教えるべき対象とはみなされません。先生が出された指示に基づき、自分で勉強を管理しながら学力を伸ばしていくことが求められます。

 そのことを見通したうえで、受験勉強はなされるべきではないでしょうか。それでこそ、子どもたちは中学進学後も迷うことなく勉強に打ち込むことができるのですから。

 ところが、中学受験までの助走では逆向きのことが行われがちです。小学生の子どもは、まだ自己管理のもとで勉強を進める姿勢が十分育っていません。そこで、ともすれば大人は指示や命令で勉強をやらせることになりがちです。

 「とりあえず合格することが先決。後のことは受かってから何とかなるだろう」――こういった言い方をする保護者がおられますが、一旦染みついた姿勢を改めるのは簡単ではありません。受身の勉強を染みつかせるぐらいなら、受験させないほうがよほど子どものためだと言ってもよいほどです。

 自立した勉強の姿勢を築いた子どもは、何ごとにつけても主体性があります。このことが、今とても重要なことだと社会でも認識されています。人間として自立し損なったのでは、学力秀才になっても世間では通用しません。

 まだまだ受験までには十分な時間があります。お子さんの勉強の自立に向けて、じっくりと足固めをしていきましょう。これは、5、6年生についても基本的には同じです。大人が業を煮やして力ずくでやらせる勉強には、何ほどの意義も生まれません。親にすればもどかしい限りですが、お子さんが一歩ずつでも自立した勉強に近づけるよう、温かく辛抱強く励ましてあげてください。

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カテゴリー: 中学受験, 勉強について, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴

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