2012 年 12 月 のアーカイブ

2012年の終わりにあたって

2012 年 12 月 31 日 月曜日

 2012年がもうすぐ終わろうとしています。今年も世間を賑わす様々なできごとや事件がありました。それも、気分を明るくしてくれるようなものは少なく、社会の行き詰まりや混乱の深刻化を裏づけるようなものばかりで、この先どうなるのだろうかと不安を募らせておられるかたも多いのではないかと思います。

 グローバル化が進展する21世紀においては、教育に関する問題も先進諸国では極めて似通ったものになりつつあります。「いじめ」の問題の深刻化は、今や世界中の国々の共通の難題となっています。「子どもの授業態度が悪くなった」という指摘は、殆どの国で指摘されていることで、これも世の中のシステムや生活環境などがどの国も似通ってきたことと無関係ではないでしょう。

 今、表面化している様々な社会問題の多くは、「すさまじい勢いで進化していく技術と、それに伴うライフスタイルの変化に人間の肉体がついていけなくなっていることと無関係ではない」という指摘もあります。すばらしい進歩の結果は、皮肉なことに「大切にすべき過去の文化から切り離される」という現象を引き起こしており、日本人の美徳であったものの多くが失われようとしています。

 今、子育てにあたっておられるご家庭は、こうした諸々のことを丁寧に検証し、「いかにしてわが子をまともな人間に育てるか」を考える必要に迫られているのではないでしょうか。

 たとえば、家族揃って食事をする習慣を大切にする、子どもの食生活が偏らないよう配慮する、自立した生活習慣を確立する、悪質なメディア情報から子どもを守る、ゲーム漬け・テレビ漬けの生活をさせない、スポーツや健全な遊びの時間を設ける、親子の会話の時間を大切にする、礼儀作法の手ほどきにも配慮する等々・・・・・・。

 社会の高度化と行き詰まりは、企業の雇用にも変化を生みだしていると言います。同じ大学を出ても、どのような入試形態で入学したかで扱いが違い、内定がとれる学生と全然とれない学生とが生まれています。これは、AO入試の拡大化にともなって、大学名だけでは実力が判断できなくなっているからだそうです。

 AO入試と推薦入を合わせると、全大学入学者の4割を超えると何かの本に書いてあったのを読んだことがあります。こういう形態の入試が増えているのは、定員確保による大学経営の維持といった側面もおそらく強いのでしょう。私立大学の半数近くは経営が厳しい状態だと言われています。

 きちんとした学力を備えていなくても大学に入れるのは幸運かもしれませんが、企業は役に立たない人間を雇うほど余裕はありません。ですから、内定者を決める段階で学力や教養などの面でも厳重な選別を行います。「同じ大学を出ても、就職での採用状況は千差万別」という状況が増えているのはそのためでしょう。

 小学生の子どもをもつ親は、今の段階から「どのような学びかた生き方をする人間に育てるべきか」ということも考えるべきであろうと思います。テスト学力だけではなく、社会に役立つ人間として必要な能力とは何かという視点から子どもの学力形成のありかたを考えておく必要があると思います。

 いつだったか、ある私学の先生と話をしていたら、筆者の発言に対して「あなたのおっしゃっているのは教育ですよね」と言われました。おそらく、「塾はテスト対応学力を伸ばすところではないのですか?」という意味だったのでしょう。

 筆者は思います。塾は教育をするところではないけれども、子どもの学力を伸ばすにあたって“教育的視点”や“教育的配慮”は欠かせないものだと。そうでなければ、子どもは塾の実績と評判をつくるための道具になりかねません。私たちがお預かりするのは、これから長い人生が待っている前途ある子どもたちなのです。その前途が洋々たるものになるための勉強と進学なのです。そのことをこれからも忘れずに、お預かりする子どもたちの学習指導にあたってまいりたいと存じます。

 今年もたくさんの方々がこのブログをお読みくださいました。一日千数百人も訪問してくださることが何回かありましたが、広島の小さな学習塾のブログを、こんなにもたくさんのかたが読んでくださるとは思ってもみませんでした。ありがとうございました。来年も引き続きよろしくお願いいたします。

 来年こそは、元気の出る明るいニュースの多い1年になりますように。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

受験に”失敗”しない親の心得

2012 年 12 月 24 日 月曜日

 親は、わが子に対して大きな期待をいだくものです。「今、改めてその期待がどういうものか考えてみてください」と申し上げると、どんなことが思い浮かぶでしょうか?

 おそらく、中・高一貫校への進学を視野に入れておられるご家庭ですから、少なくとも学力形成や知的能力の成長については期待が大きいことでしょう。

  家庭学習研究社は進学塾です。当然お預かりするお子さん方の進学目標達成、すなわち中学受験での合格に向けた指導をしていきます。おとうさんおかあさんの期待が実現するよう、お子さん方の学力形成を応援しています。

 ただし、40年以上も学習塾の活動を続けていると、中学校に受かった後、どういうお子さんが伸び、どういうお子さんがうまく行かないかということもわかります。

 なかには、「とりあえず、合格させてほしい。後のことはそのときに考えるから」とおっしゃる保護者もおられます。しかし、そういう要請に応えようとすると、子どもの実状や気持ちを考えず、大人が無理やりやらせる勉強、大人主導の勉強を子どもに押しつけることになりがちです。

 無論、それは一概にいけないとは言い難い面もあります。小学生に大学受験生のような目標感をもたせるのは無理ですし、子ども任せの勉強ではがんばり切れません。また、まだ大人の言うことを素直に聞いてくれる年齢ですから、大人の指示や命令でやらせたほうが効果を引き出しやすいものです。

 ですが、こういう方法こそ、子どもが中学進学後伸び悩む原因になっているのです。この11月、広島学院と修道の校長先生をお招きしたイベントを実施しましたが、そのときにも「中学校に入ってから行き詰まる理由をお尋ねしたところ、「合格したら、あとは遊んでいい」といったように、目の前にある受験を乗り切ることだけを考えた受験に警鐘を鳴らしておられたと記憶しています。

  こういうやりかたをすると、自発的な勉強など到底できない人間になってしまいかねません。実際、校長先生が中学で失速した例として、ゲーム三昧の生活に浸っているうちに勉強に戻れなくなった生徒さんの話をしておられました。

 前述のように、家庭学習研究社は中学受験塾として40年以上活動しています。そして、その活動を始めた当初からこの問題に行き当たりました。「いくら合格しても、子どもの成長につながらなければ意味がない」――そう考えた弊社の経営者は、「受験勉強を通じて、いかに子どもを自立させるか」という目標を掲げ、その実現に向けた指導を学習塾としての方針として貫いてきました。

  しかしながら、先ほどの例のように「受かったらいくら遊んでもいいから」といった働きかけを保護者のかたがされたなら、弊社の方針を徹底することなど到底できません。

 やるべきことがあるのにがんばれないわが子。それを見ていられない気持ちはわかるのですが、そこがまさに“我慢のしどころ”なのです。

 4年生から約3年続くお子さんの受験生活。それは、親にしてみれば、ほんとうに忍耐と辛抱の連続する日々といっても過言ではありません。しかし、ままならぬわが子の受験生活で親が忍耐に徹することは、それだけの価値のあることだと思います。子どもは、親の辛抱強い働きかけがあってこそ、少しずつ自立に向けて成長していけるのですから。

  最近は、親の辛抱が足りないように思います。たとえば、まだ4年生のうちから、「うちの子に見込みがないのなら早くそう言ってくれ」といったようなことをおっしゃるおとうさんがおられます。しかし、少し考えればわかるように、学習習慣、学習姿勢といった一生を支える価値のあるものは、おいそれと身につくものではありません。

  また、受験勉強も、すぐに先を読んでしまうのは、早計に過ぎると思います。子どもが成長していく過程は、一人ひとりみな違うのですから。ぜひ、そのことについてご理解いただき、辛抱強い見守りと応援をお願いいたします。うまくいったなら、お子さんは一生ものの財産を手に入れたのだと申し上げても過言ではありません。

  最後に、「親の我慢」について少し具体的にお伝えしてみようと思います。

1.指示や命令で子どもを動かさない。「どうしたらいいと思う?」と、子どもに相談する。そうすると、子どもは自然と親の意向に添った行動を選ぶものである。このほうが実行につながる。
2.子どもの取り組みをしっかりと見守る。ただし。何かしているときに口を挟まない。
3.子どもをタイミングよくほめる。ほめる理由は、以前よりがんばっているとき、自発的にやっているときである。結果より姿勢を評価しているということを、無言で示すことが重要である。
4.思い通りにがんばってくれなくても切れない。やらないときには理由があるものだ。どうしたのか尋ね、明るく励まそう。
5.どんなときにも子どもを信頼してやる。子どもは「親に信頼されている」と感じたら、必ずがんばるものだ。親には辛抱が必要だが、それが子どもから親への信頼につながる。

 筆者は、中学受験でいちばん重要なのは“親子の信頼”だと思っています。互いの信頼があれば、親は無用な手出しを控えることができますし、子どもも自立に向かって動き始めます。

 この信頼関係が6年生までにできあげれば(いや、いつであろうと遅くはないのかもしれません)、がっかりするような受験結果にはなりません。仮にどういう結果になろうとも、お子さんの将来は間違いなくよい方向へ進んでいくことでしょう。

  中学受験は、親子で立ち向かう受験です。受験生の子どもは親を全面的に頼りにしています。だからこそ、親のサポートで自立に向かわせるのですね。親子の強い信頼関係を背景にした受験に失敗などありません。

 

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 子どもの自立, 家庭学習研究社の歴史, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

中学受験の真の価値について考える

2012 年 12 月 17 日 月曜日

 中学受験準備の学習は、多くの場合小学校4年生か、5年生頃に始めます。この年齢は、ちょうど人間としての行動様式が定まりつつある時期です。それをうまく活かすことで、子どものすばらしい成長を引き出すことができるのが、中学受験の最もすばらしい点だと私たちは考えています。

 1年、2年と学習を継続したなら、受験勉強を始めた頃とは比較にならないほどの学力が身についているものです。また、毎日決めた時間に勉強することを習慣づけたなら(これが辛抱のいることですが)、それは中学進学後もずっと無形の財産として残っていきます。

 受験生は、大人の影響力が十分残っている年齢の子どもですから、アドバイスに耳を傾けてくれるし、筋の通った叱りかたをすれば素直に反省するし、期待に答えようとがんばります。ただし、親はどうしても先を読みながら子どもを見るので、助言したり手を差しのべたりするタイミングが早くなりがちなのが難しいところです。親には大変な忍耐・我慢が求められますが、うまくやれれば子どもは飛躍的に進歩していきます。それは、親が子どもに与えてやれる最高のプレゼントになることでしょう。

 がむしゃらな勉強をさせても子どもの成長にはつながりません。計画を立て、決めた時間枠の中でベストを尽くすよう子どもを導いてやりたいものです。そうすれば、学習の習慣が身につくだけでなく、行動の計画性や、やるべきことを集中してやる姿勢、「やればできる」という自信が備わり、先々の大いなる成長の土台を築くことになります。中学生になってから飛躍するのは、学習習慣や学習姿勢のしっかりした子どもです。

 ただし、前述のようにわが子のことになると、親は我慢がきかなくなりがちです。そこで、子どもの勉強をコントロールするケースもしばしば起こります。しかし、それでは子どもはいつまで経っても自立できません。中学受験の難しい点は、大人が無理強いしても子どもは言うことを聞き、それで中学入試を突破できるところにあります(しかし、それではせっかく得られるはずの成果も取り逃がしてしまいます)。

 近年は、子どもが全力で取り組める目標が少なくなっていると言われます。その代わり、携帯ゲームなど、目先の退屈を紛らわすものはたくさんあり、それらが子どもの辛抱強い取り組みをスポイルしています。

 受験という目標を与えたことがきっかけで、子どもが著しく変わっていったという話は決して少なくありません。受験勉強を自分の力でやり遂げる。それはすぐにできることではなく、最終目標です。それができるまで、親の苦労や忍耐は絶えませんが、得るものの価値は莫大と言えるほどです。

 それから、中学受験について誤解されやすい点にふれておきます。中学受験対策の勉強というと、解法パターンを覚えたり、暗記をたくさんしたりするといったイメージをもつ人が多いようです。確かに、そういう方法で合格をめざす例もありますが、中学受験の勉強の本質はそういうものではありません。

 例えば算数。数学と違って公式を適用して答えを導いたりするのではなく、自分で公式を編み出すところに胸のすくような楽しさがあります。方程式を用いず、単純な計算式の組み合わせで答えを引き出すプロセスで子どもの頭脳は鍛えられ、思考力が育まれます。簡単な図を自分で描き、仕組みを理解しながら答えにたどり着く勉強は、子どもに喜びと感動を与え、粘り強く考える頭脳を育みます。こうして培った思考力やセンスは、より高い学問領域に入ったあと、何よりも心強い武器になるものです。

 国語では、様々なジャンルの文章を限られた時間内で精読し、テーマや書き手の意図を読み解く作業を繰り返すのですから、確かな読解力を育むのは当然のこと、大変な頭の鍛錬になるものです。

 理科・社会についても、資料をもとに考えさせたり、現象の背景になる因果関係などを考えさせたりする課題が多く、こうした受験問題への対策をすることで、子どもの頭脳は大いに鍛えられるでしょう。

 中学受験には、様々な噂や憶測が飛び交いがちです。それは、幼さの残る子どもの受験であり、親自身もまだ若いということと無関係ではないでしょう。ともすれば過激な話が飛び交い、「そこまでしなければ受からないのか」というような話を耳にすることになりがちです。

 しかしながら、こうした流言の類に振り回されず、親自身が納得のいく中学受験勉強の方法を貫くことをお勧めします。それがどれほど大切かということを、私たち自身、数多くの家庭の受験を見守ることで学びました。

 入試の結果が全てであると思わなければ、親は大抵のことに抑制が利き、適切な判断ができるものです。親が信念をもち、子どもの自立に向けて粘り強く応援していけば、いつか子どもが応えてくれるときがやってきます。中学受験を、親も子どもも成長する素晴らしい体験の場にしましょう。それは全てのご家庭で実現可能なことです。
 

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 勉強について, 子どもの発達, 子どもの自立, 子育てについて, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

入試解禁日まで、あと40日あまり

2012 年 12 月 10 日 月曜日

 師走を迎えると、受験を控えた6年生の周辺はにわかに慌ただしくなっていきます。受験校を最終的に決定するとともに、志望校に合格するための追い込み態勢を築き、ここから一気に学力を仕上げていく段階が訪れたのです。

 12月2日の日曜日には、弊社主催の「中学入試模擬試験」が開催されました。6月の第1回目から数えて5回目となりましたが、これが最終回でした。

 毎年、最終回の会場は修道と広島女学院となっています(快く会場を提供してくださった両校には、深く感謝申し上げる次第です)。修道、広島女学院は、広島でいちばん多くの受験生を集める私学男子校、女子校であり、この模擬試験を受ける受験生のほぼ全員が実際の入試でも受験します。

 本番と同じ場所で模擬試験が受けられるということは、受験生にとっては貴重な経験になります。人生経験の浅い小学生のことですから、一度本番と同じ場所でテストを受けておくということは、メンタル面ではかりしれないメリットがあります。そのため、毎年参加者が一番多いのがこの回となっています。今年は、男子受験生約630名、女子受験生約580名の参加がありました。

 この参加人数は、おそらく本番での両校の受験生の半分を超えるものと推定されます。ですから、本番と同じ会場で試験を受けられるだけでなく、模擬試験で得られるデータも合格に見通しをつけるうえで大いに役立つことでしょう。試験の結果を親子でよく分析し、最終的な学力の補強や調整に役立てていただきたいと思います。

 なかには、緊張して平常心を失ったり、時間配分がうまくいかなかったりするなど、失敗してショックを受けているお子さんもおられるかもしれません。しかし、模擬試験はあくまで「予行演習」です。失敗を体験しておくための試験でもあるのです。どこがいけなかったのかを点検し、本番での失敗を未然に防げればよいのです。毎年のことですが、入試直前の模試で失敗したものの、本番では見事に第一志望校に合格したお子さんも少なくありません。

 入試解禁日は1月22日ですから、本番開始まであと40日あまりあります。思わぬ弱点が見つかった場合にも、焦らず上手に残された期間を使って対策をすれば、かなりの改善が可能です。やるべきことを見定めたら腰を据えて取り組み、勉強が上滑りしないようにしたいものです。

 模擬試験最終回の終了と相まって、保護者の方々には「第4回保護者説明会」を開催します。先週から今週にかけて、全ての校舎で実施することになっています。

 「保護者説明会」は、保護者の方々にとって有用な情報や親に求められるフォローなどについてお伝えするための催しです。入試直前となった今回は最終回となり、重要なテーマが目白押しです。

 入試の全日程終了までのスケジュールの確認、大詰めを迎えてからの受験対策の留意事項、入試直前の受験生活の心構え、受験手続きを怠らぬための点検事項、入試直前になってからの親の配慮事項などが、主要な内容となります。

 受験を控えた6年生の顔はまさに受験生らしくなります。ようやく自覚が定まってくるのでしょう。今から冬期講習の終了までの学習は、量においても、密度においても、かつてなかったものになるでしょう。ここで一気に学力を伸ばしていくことも、不可能ではありません。

 やっとその気になったわが子を見て、「どうしてもっと早く本気になってくれなかったのか」と、嘆きたくなる保護者もおられるかもしれません。しかし、お子さんはお子さんなりに勉強してきているのですから、今までやってきたことも決して無駄にはなっていません。これまでの蓄積に、いかに上乗せするかで入試の結果も違ってきます。今からお子さんが最善を尽くせるよう応援してあげてください。

 なお、子どもがやる気になったとは言え、あまり無理をさせるのは禁物です。毎年のことですが、風邪を引くお子さんがいます。無理をしてこじらせたりすると、今までの努力が台無しになりかねません。夜更かしなども厳禁です。

 よく「勉強は集中力だ」と言われますが、これからの時期のお子さんは、まさにその言葉を体現するような勉強をするものです。心身のコンディションがよければ、すばらしい成果を収めることが可能です。だからこそ、体にダメージを与えるような無理なスケジュールの勉強を課さないことが大切です。今こそ、「量より質」の勉強が成果をあげるときなのです。

 この時期を迎えてからの親の役割。それは、健康管理に他なりません。無理のない生活で体調と心のコンディションの管理に気をつけてあげてください。

 お子さんが、最後まで悔いの残らぬ受験生活を送れるよう、しっかりサポートしてあげてください。
 

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

子どもは親の本心を見抜いている?

2012 年 12 月 3 日 月曜日

 昔のノートをめくっていたら、7~8年前に書いた覚え書きがふと目に留まりました。カウンセラーをしておられる有名なお医者さんの講演会の内容をメモしたものです。

 詳しくは覚えていないのですが、メモの内容が子育ての最中にあるおかあさんがたの参考になるかもしれないと思い、今回はそれをご紹介してみようと思います。

 おたくのご家庭のお子さんは何人でしょうか。きょうだいがいるなら、どのお子さんも平等に扱っておられるでしょうか。

 「もちろんですとも!」と、大概の人は答えるでしょう。しかし、「現実はそうではない」と講演会の先生は話されていました。というのは、「よい子ほど親に目をかけてもらえず、それが当たり前になり、平等に扱われない」ということが多いのだそうです。そういった例として、次のようなことが挙げられていました。

★いい子ほどかわいそうな仕打ちを受けている
 ・待つことのできる子は待たされる
 ・がまんできる子はがまんさせられる
 ・おとなしい子は後回しにされる
 ・しっかりしている子は放っておかれる
 ・心配をかけない子は心配されない

 どうでしょうか。何につけ、信頼できるよい子ほど親は気を許してしまい、いつのまにか「あたりまえ」と思ったり、「もっと、もっと」と要求してしまったりしがちです。そのことに対して、当の本人のお子さんはどう思っているでしょうか。「もう、やっていられない!」と、怒りが爆発寸前の状態かもしれませんね。講演された先生は、そのようにおっしゃっていました。

 もう一度尋ねます。お子さんの気持ちを本当に理解し、平等に扱っておられるでしょうか。振り返ってみてください。

 今年の秋、行事に使用する目的で4・5年生の会員児童に簡単なアンケートを実施しました。そのときに、親の扱いに対する不満がかなりたくさん見られました。

 たとえば、「お兄ちゃんなんだから、もっとしっかりしなさい!」「お姉さんなのに、これはどういうこと?」などと、年上であることを理由に自分ばかり叱られるということへの不満です。実は、親は上の子どもをいちばん信じ、信頼しているからこそ、そういう言葉が口をついて出てくるのですね。親ならそれがわかっています。しかし、子どもにとってその言葉ほど嫌なものはありません。

 これは以前ブログに書いたことですが、有名な児童文学作品に「上の子はしっかりしているから安心」という気持ちから、おかあさんが自分でも知らずに上の子にばかり注文をつけて叱る話があります。子どものほうはそれが嫌で辛く、おかあさんを否定し、憎むようにすらなります。様々な事件やできごとを経て、やがて主人公の子どもは親の愛情の深さ、自分への信頼の強さを知り、やっと親子が真の愛情で結ばれるというストーリーでした。
 この本を6年生の女子クラスで紹介したところ、あるお子さんがこんなことを言ってきました。「あの本を読んで、泣いて、泣いて・・・」 しかし、よく聞くと泣いたのはおかあさんだったのです。おかあさんにとって、身につまされる話だったのでしょう。きょうだいに対する扱いの不平等。それに対する不満や怒りは、国や時代を超えて共通のもののようです。

 講演会の話に戻ります。おたくのお子さんは、親としてのあなたの心のうちをどれぐらいわかっていると思いますか? その講演会では、「子どもが鋭く親の本心を見抜いているということを忘れてはならない。子どもにうそを言ったり、取り繕った言葉を不用意に投げかけたりしてはいけない」というようなことをおっしゃっていました。そうして、つぎのような言葉を投げかけておられました。

★親の本心を見抜く子どもたち
  子どもを愛するがゆえに叱るのか
  子どもがにくくて怒るのか
  おまえの将来のためと言いながら、
  親の世間体のために説く
  きいてくれたと思ったら、
  きこえただけだった
  ほめてくれたけど
  顔はがっかりしていた

 もっともらしい説教が、実は親のエゴに基づくものだったり、形ばかりのほめ言葉に親の本音が見て取れたりする。それを子どもは必ず見抜いてしまうのです。やはり、親はわが子の正面切って嘘偽りのない接し方をしてやるべきなのですね。

  「親子の会話のときは、互いの目を見て話しなさい」と、よく言われますが、それは心からの会話となるからでしょう。かけがえのない親子関係。それは生涯続くものです。その土台となるのが、子どもの人間形成期である小学生時代であろうと思います。

  お子さんが小学生だったら、もうごまかしは通じません。一人の人間として、真に心を通じ合わせるコミュニケーションを心がけたいものです。

 

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育