2014 年 5 月 のアーカイブ

言葉遊びを親子で楽しもう!

2014 年 5 月 26 日 月曜日

 以前、家族で言葉遊びを楽しむということを話題にし、子どものころに言葉遊びを楽しんだ作家の著述をご紹介したことがあります。その記事は、数こそ少ないものの今も毎日のようにどなたかが読んでくださっているようです。

 最近、自宅の書棚を整理しているとき、言葉遊びの具体例が載っている本が出てきました。再びその本を読み返してみると、みなさんのご家庭でも試してみることのできそうなものが紹介されていました。そこで今回は、もう一度言葉遊びを話題に取り上げてみようと思います。

 言葉遊びを子どもは大変喜びます。「あなたは、授業中にそんなことをしていたのか」と、周囲の者が知ったら咎められそうですが、たとえば国語の授業でこんな遊びに興じたことがあります。

 「万里(まり)さんという女の人が結婚して姓を変えたら、まずいことになる姓があるぞ。どんなのがあるか考えてみようか」と、子どもたちに問いかけます。で、筆者の用意した回答例は「織田」という姓。「大変なことになるぞ。何か言うたびに、『オダマリ!』と言われてしまうからな」とやります。すると、教室はどっと沸き、たちまち子どもたちは面白いのを考え出して発表してくれます。

 今ではほとんど忘れてしまったのですが、こんなやりとりを思い出しました。「先生、水田というのはどうですか!?」筆者がそれを受けて、「なるほど、ミズタマリか!?」と言うと、再び教室中が沸いたものです。今、改めて答えを考えてみましたが、「吹田(ふきだ)」「肥田(ひだ)」「長田(おさだ)」「和高(わだか)」「木津(きづ)」「花津(はなづ)」など、どうでしょうか。

 一つ例が挙がると、子どもはすぐさま「別の問題をつくろう」と言い始めます。そうして、傑作駄作が次々に発表されていきます。「なっちゃん(夏さん)が安藤さんと結婚したら、アンドーナツになるよ!」と、ややこじつけの面白い発表をした男の子がいたことを思い出します(このやりとりは十数年以上前にあったのですが、最近、同じような名前の芸能人がおられることを知りました2017)。

 言葉遊びは頭のトレーニングになります。なにしろ、手持ちのボキャブラリーを駆使しなければなりません。また、言葉に対する感覚を磨き、言葉の扱いが達者になります。人が集まったとき、ちょっと面白い話をして場を盛り上げてくれる人気者がいますが、言葉遊びに興じた経験をたくさんしている子どもは、そういう人間になれる素質が大でしょう。

 さて、本題に入りましょう。言葉遊びで、親子で楽しめそうなものを2、3ご紹介します。いずれも、前述の本からとってきたものです。小学校の中~高学年以上のお子さんなら十分やれますので、家族団らんの時間などにいかがでしょうか。

1.回文

 ご存知のように、いわゆる「上から読んでも下から読んでも同じ音になる文」のことです。「新聞紙」や「竹藪やけた」など、大概の人は子どものころに経験済みのことでしょう。この本には、長い回文で有名なものとして、「軽い機敏な子ネコ、何匹いるか(カルイキビンナコネコナンビキイルカ)」「品川に、今住む住居、庭がなし(シナガワニイマスムスマイニワガナシ)」というのが紹介されていました。同じ人の作だそうです。

 二つ目の回文は、五・七・五の俳句形式になっています。こういう回文が、室町時代のころから人々に楽しまれてきたそうです。

 回文を創作するにあたっては、仮名遣いや清濁の不一致に関してある程度の許容範囲があります。たとえば、「だんごやごんた」は厳密には同じ音にはなりませんが、回文として成立するそうです。

 では、本に掲載されていた回文を完成させる問題をご紹介しておきましょう。○は漢字1文字、□はひらがなもしくはカタカナ1文字が入ると回文ができあがります。

20140526① イカ食べ□□□。
② イルカは○□。
③ かつらが○○。
④ 消えた○。
⑤ 鎖切り○□。
⑥ 今朝食べ□○。
⑦ この子、ど□□○。
⑧ 猿(さる)にも○□□。
⑨ 象くんパ□○□□。
⑩ 旅の日○□□。
⑪ 羊羹(ようかん)○□□。
⑫ 三つの○□。
⑬ 皆はお○○。
⑭ 予定書□□□。
⑮ 知らないカラス□□○□○□□。

※⑤⑥⑩⑫⑮は、漢字が書けないようならひらがなで答える形式にしてもよい。

2.アナグラム

 言葉を形成する文字の音を並び替えて別の言葉をつくる遊びです。たとえば、「実が付く木」と「靴磨き」は、言葉を成り立たせている文字を音に分解してみると、どちらも同じ音の集まりでできていることがわかります。この遊びは、日本にはもともとなかったそうで、適当な日本語名がありません。しかし、最近では言葉遊びの代表的なものの一つになっているそうです。

 テレビのクイズ番組などでも、この類の問題を見たことがおありでしょう。この本では、「『せこい妻だ』を文字の配列を変えると、ある有名な元アイドル歌手の名前になるが、その名前は何か」という問題が紹介されていました。答えは、「松田聖子」(お子さんはご存じない?)です。

 ちなみに、「せこい」は「けちくさい」「みみっちい」といったような意味で用いられることが多い言葉で、近年つくられた若者言葉のような響きがありますが、実際には明治のころからすでに使われているかなり古い言葉だそうです。ただし、もとは「悪い」「下手である」というような意味合いで使われていたようです。中年以上の年齢の人なら誰でも知っているあの歌手の名前と、「せこい」という俗でネガティブな意味をもつ言葉のギャップが面白いですね。

 歌手の例として、他に「ゴミ拾う」と「郷ひろみ」、「今宵、慈善キス」と「水前寺清子」などが紹介されていました(今の子どもは知らない歌手でしょうね)。二つ目の事例は、面白いとは思うものの、言葉が難しい上に教育的とは言えず、お子さんへの事例紹介には使えないのが残念です。

 では、この本で紹介されているアナグラム課題をご紹介してみましょう。次の7つの言葉は、組み替えるといずれも日本人にお馴染みの人物の名前になります。後の語群から選んでください。

20140526b① 流行る見込み
② あ、駅売りだな
③ いい草原(くさはら)か
④ 感じる髭
⑤ 錘(おもり)が言う
⑥ 豪快、猛者(もさ)たり
⑦ 尊(とうと)き過去

[選択肢]

A.光源氏  B.森鴎外  C.加藤登紀子  D.上田秋成  E.西郷隆盛  F.都はるみ  G.井原西鶴

 長くなってしまいました。今回はここまでにしようと思います。アナグラム課題のほうは、今お子さんがたが知っているタレントや歌手の名前を挙げ、それから問題をつくってみるとお子さんが興味をもつのではないかと思います。

 受験勉強の合間に、家族でこういう言葉遊びを楽しむとよい息抜きになるでしょうし、頭の体操にもなるでしょう。ときどき、子どもたちが「おかあさんは、叱る言葉、注意する言葉ばかり」といった不満の声をもらすことがあります。毎日を忙しく過ごしている大人は、とかく必要に迫られた言葉ばかり子どもに伝えがちです。親子一緒の言葉遊びは、そんな状況を改善する上でも役立つのではないでしょうか。

※今回の記事は、新潮社新書20「ことば遊びへの招待」をもとに書きました。著者は小野恭靖(みつやす)氏です。
※問題の解答は不要かと思いますが、念のためにお伝えします。

〔回文課題〕①たかい ②軽い ③落下 ④駅 ⑤裂く(さく) ⑥た鮭(たさけ) ⑦この子 ⑧似るさ ⑨ン食うぞ ⑩延びた(のびた) ⑪買うよ ⑫包み ⑬花見 ⑭いてよ ⑮すら飼い慣らし(すらかいならし)

〔アナグラム課題〕①F ②D ③G ④A ⑤B ⑥E ⑦C

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夏休みを充実させるための合い言葉

2014 年 5 月 22 日 木曜日

 前回は、夏の講座について書きました。これから中学受験対策の学習を始めるご家庭にとっても、すでにお子さんが弊社の教室に通っているご家庭にとっても、年間を通じて一番長い休暇である夏休みは学習のリズムをつかみ、学びの態勢を軌道に乗せる絶好のチャンスです。

 ただし、以前書いたかと思いますが、休みの期間が長ければその分逆の危険性も増して来ます。生活の乱れや遊び癖がつくなどの理由で、これまで少しずつ努力を重ねて築いてきた学習の習慣が台無しになってしまうことも多々あります。

 ある年のこと、夏休み前まで元気よく楽しそうに塾に通っていたお子さんが、9月からの通常講座開始前になって「塾に行くのは嫌だ!」と突然言い始めたことがあります。困り果てたおかあさんは、お子さんを連れて相談に来られました。どうやら、夏休み中に学校の友達と遊んでいるうちに(夏休みの講座はお休みされていました)、「何で自分だけ勉強しなければならないのか」という思いが強くなったようでした。

 「先生、塾でがんばるよう励ましてやってください」とおっしゃるおかあさんのわきで、ふてくされたように泣きべそをかいている彼の様子は、以前の彼とはまるで別人のように見えました。「夏休みの前と後では、同じ子どもがこんなにも変わってしまうか」と、驚きを禁じ得ませんでした。

 勉強はやっているうちにその面白味もわかるようになり、習慣として身についていくものです。しかし、遊びの楽しさ、特に友だち同士の遊びの吸引力ははるかに強いインパクトがあります。塾通いをしながらの受験生活中も、友だちと適度につき合い、うまく勉強面と遊びの振り分けをしてきたお子さんなら、ここまでの事態には至らなかったであろうと思います。ほんのちょっとした親の油断、お子さんの気の緩みから、思わぬ展開になってしまった事例と言えるでしょう。

 夏休みまでにはまだだいぶ時間がありますが、夏休みがやってくる前に保護者のかたに意識しておいていただきたいことがあります。それは「“けじめ”のある生活を送る」ということです。このことを、夏休みを充実させるための親子共通の“合い言葉”にしてはどうでしょうか。

 1日のスケジュールがほぼきっちり決まっている通常の時期と比べ、時間の使いかたに余裕のある夏休みは、子どもを大きく成長させるチャンスです。しかしながら、そのいっぽうでは何となくダラダラと過ごしたり、遊びにかまけたりする危険性があります。そのことを踏まえ、夏休みという長期休暇を上手に活かすには、「“けじめ”のある生活を送る」ことが求められます。

 “けじめ”ある生活を送るには、見通しをもって行動するための基準が必要です。そのことを念頭に置き、夏期講座の日程を確認し、夏休み中の行事の予定が立った段階で、早めに夏休みの行動計画を親子で相談して立てることをお勧めします。

 すでに何度か書いたことがあると思いますが、計画が実行に移せるかどうかの分かれ目の一つが「子どもが自分で立てた計画かどうか」ということです。子どもに、「自分で考えて決めたことだ」という意識があれば、当然行動面での自主性や実行力が伴ってきます。

 20140522aスケジュールを決めるにあたっては、まだ親から見て判断力が心もとないタイプのお子さんの場合、「これは、何時から何時までにすればいいと思う?」などと親が相談するスタイルでもちかけ、子どもの気持ちや意志を聞き、それから話し合って決めるようにするとよいと思います。それなら、お子さんも「自分で決めた計画だ」と思えるでしょう。かなりしっかりとしているお子さんなら、一応全部お子さんに決めさせ、それを親が見て感想や意見を出すという形式でもよいでしょう。

 勉強は、子どもにとって楽なものではありませんが、親が見守ってくれ、ちゃんとやり遂げている様子を見逃さずにほめてくれるなら、張り切ってがんばれるし、夏休みを通して計画を実行することも可能です。「けじめをつける」とは、「行動を切り替え、実行に移す」ということです。この流れをお子さんが自分でコントロールできるようになれば、生活面の全てに好影響がもたらされるのは間違いありません。お子さんは大変な成長を遂げたと言えるでしょう。

 蛇足で恐縮ですが、“けじめ”という言葉が頭に浮かんだとき、「この言葉には該当する漢字が思い当たらないが、もともとの意味は何だろう」と思いました。そこで、ちょっと調べてみたのですが、諸説いろいろで決定的な判断は下せないようです。辞書的意味では、「言動における節度」といったことになるようで、筆者が頭に置いていた意味でよいようです。用例として、「けじめを付ける」とありました。

 最後に、ちょっと面白い著述を見つけたのでご紹介します。

・・・・・・「けじめ(けぢめ)」は、伊勢物語や源氏物語にも見られる言葉で、はっきりした区別、季節などの変化の境目、隔てなど意味していた。したがって、「けじめを付ける」も、「はっきり目に見える形で責任を取る」という点が要であり、「私のなかではけじめを付けています」というのは、けじめを付けたうちには入らないのである。

 なお、「けじめ(けぢめ)」という)語源については、囲碁の用語「結(けち:駄目を押すの駄目と同じ意味)」からとも、漢語「掲焉(けちえん):くっきり際だつという意味からとも、分目(わかちめ)からともいわれ、けじめが付いていないようである。

 これによると、けじめという言葉のおおもとには「自らの責任において行動する」という意味合いがあるようで、「けじめのある生活を送る」ということは、まさに子どもが自分自身の判断と責任のもとでで節度をもった生活を送るということなんですね。

 この夏、お子さんが“けじめ”のある学習生活を送り、おおいなる成長を遂げられますように!

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夏休みに勉強のリズムをつかむ!

2014 年 5 月 19 日 月曜日

 5月の連休が明けた後、少しずつではありますが夏の講座の資料請求や、入会についてのお問い合せが寄せられるようになりました。そこで今回は、夏の講座について書いてみようと思います。

 夏休みの講座が普段の講座と違うのは、いつもなら夕方から夜にかけて授業を行っているのが、午前中や午後の明るい時間帯に変わるということです。

 無論、学校のない期間の講座ですから当たり前といえば当たり前のことです。しかしながら、ただ時間が変わるだけでなく、子どもたちの表情も普段の講座とはかなり違って見えるのです。夏休みの講座のほうが、明らかに子どもたちの表情がサッパリとしていて元気があるように感じられます。

 なぜでしょうか。普段なら、朝早くから起きて学校に行き、午後まで授業を受けたり様々な活動を行ったりしている子どもたちです。学校が終わって帰宅すると、のんびりとしている暇もなく、再び塾へと移動してまた勉強です(塾へ行く前に、大慌てで学校の宿題を済ませる子どももいるでしょう)。毎日のことではないにしろ、エネルギーに満ちた小学生といえども負担は少なくありません。

 その点、夏休みの講座では子どもたちも心身ともに余裕をもって授業を受けられます。4・5年生の場合、大概午前中に授業を行います(6年生は午後。4年生は午前部と午後部があります)が、十分に睡眠をとったうえで通学できるため、集中力を発揮して授業に参加しているように見えます。普段よりも、ずっと授業の効率が上がっているのは間違いありません。20140519

 そうして、塾が終わって帰宅し、昼間になにがしかの予定を済ませたら、夕方のしのぎやすい時間帯や夕食後にじっくり勉強することができます。夜更かしをしてまで勉強に追い立てられることもないでしょう。

 以上からおわかりいただけると思いますが、夏休みの講座の期間中は子どもの身体的な負担が少なく(暑い時期ではありますが)、毎日の受験勉強も余裕の伴ったものになります。また、普段の講座のときと違って毎日の通学になります(4・5年は土・日休み。6年生は日曜休み)から、一定のリズムで規則正しく受験勉強を進めることができます。ですから、同じ勉強時間でも夏の講座期間中のほうがずっと成果を得られやすいのです。

 5・6年生の場合、授業に備えた「予習」が必要ですが、前夜まで(もしくは授業日の早朝)に取り組んで疑問の残った点やわからなかったところの記憶が鮮明に残っていますから、授業を聞いて理解に漕ぎつけるのも容易です。また、授業を受けたその日のうちに「復習」をする時間がとれますから、学んだところの見直しや点検もスムーズに行えるでしょう。勉強は、わかったところ、わからないところの記憶が残っているうちにやり直すと、記憶の定着率が格段とよくなるものです。

 以上からわかるように、授業と家庭学習を連動させながら、継続的に学力を伸ばすための取り組みができるのが夏の講座の大きな利点です。これまで、今ひとつ勉強のリズムがよくなかったお子さん、学習の習慣を定着させ損なっていたお子さんにとって、状況を巻き直せる大きなチャンスとなるのが夏の講座だと言えるでしょう。

 このことは、夏の講座が受験勉強を始めるうえで好適なタイミングであることも意味するでしょう。塾での勉強の流れになじみ、いち早く受験勉強を軌道に乗せることができるからです。新しい年度のスタート時に受験勉強を始め損なったご家庭には、夏の講座から受験勉強を始めることをぜひお勧めしたいと思います。

 夏の講座の会員募集は、6月の上旬に開始します。新規に通学(入会)を検討いただいているかたは、資料をご請求いただければ、6月7日に発送いたします。6月8日には、広島地区(廿日市市、府中町を含む)、呉地区、東広島地区で夏の講座の案内チラシを折り込みます(6月22日にも折り込みます)。チラシは、弊社のホームページでも閲覧いただけます。

 夏の講座からの通学にあたっては、6月7日(土)を皮切りに、毎週土曜日に実施する「会員選抜試験」を受けていただきます。ただし、4年生は夏の講座のみ申込順に校舎の定員まで受け付けます。「夏の講座でどんな塾か確かめてみたい」「ついていけるかどうか、とりあえず夏だけ通ってみたい」といった趣旨での参加も可能です。

 なお、弊社の受験部門(小学4~6年生)の夏の講座は、夏休みの前半に実施する「夏期講座」(6年生は、「中学受験夏期講習」)と、夏休み後半に実施する「夏期集中特訓」の2種類があります。前者は通常講座の流れを引き継いで行う講座です。後者は、かなり広い範囲の既習内容を演習形式で学び直し、一層のレベルアップをはかる講座です。後者はこれまでの積み重ねが必要な講座ですので、これから受験勉強を始めるお子さんには、前者のみの受講をお勧めします。

20140519a

 なお、これから入会を検討されるご家庭を対象とした説明会を、各校舎とも2回予定しています(「入会ガイダンス」という呼称で実施)。校舎の責任者が詳しくお話ししますので、ご都合がよろしければぜひ参加してみてください。

20140519b

 夏の講座の会員募集に伴ってテレビCMを流します。広島テレビとホームテレビの2局で、放映期間は6月9日(月)から7月8日(火)の1カ月です。保護者のご理解をいただいて、会員の子どもたちに日曜日に校舎にやってきてもらって撮影したものです。1日数回程度ですが、朝や夕方にも放映されるので、ご覧になる機会があるかもしれません。

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2014春期「おかあさんの勉強会」のご案内

2014 年 5 月 12 日 月曜日

 「おかあさんの勉強会」は、弊社の4・5年部会員家庭(「週3日コース」)のおかあさんを対象とする催しです。始めてまだ数年経ったに過ぎませんが、春と秋の恒例の行事として徐々に定着しつつあります。

 この催しのそもそものきっかけは、広報業務を担当し行事の企画にも関わっている筆者が、「おかあさん同士気楽に話ができて、指導担当者ともやりとりの機会のある、双方向性のある催しを実施できないものか」と思ったことでした。

 弊社の会員保護者対象の催しとしては、「保護者説明会」(校舎の学年単位、クラス単位で実施。学習全般に関わる重要事項の説明をします)や「保護者面談」などがすでに行われています。ただし、前者は担当者からの一方向的な語りかけというスタイルであり、後者は1対1での悩み相談というスタイルです。受験生の親という同じ立場にあるおかあさんが、互いに気楽に本音を語り合える場があってもいいのではないかと考えました。

 また、保護者に一堂に集まっていただいて実施する形式の催しや、マンツーマン形式の催しはどの学習塾にもあります(この二つは、どうしても必要なものだからでしょう)。もう少し、学習塾としてのオリジナリティのある催しがあってもいいのではないかとも思いました。

 しかしながら、そこまでは考えたものの、具体化となると簡単ではありませんでした。そんなあるとき、「ワークショップ」について書かれた本を読む機会があり、いろいろ調べてみました。ほどなくして、教育の範疇におもしろそうな活動をしている団体があることを知り、その団体が主催するワークショップに試しに参加してみました。「これなら、活かせる方法が見出せるかもしれない」--そう思った筆者は、その団体のファシリテーター(ワークショップの講師、推進者)の資格を取得しました。ただし、学習塾の催しとしての体裁は一から考えなければなりませんでした。そこで1年あまり難渋したあげく、ようやく弊社の新たな内部行事として実施に至った次第です。

 20140512aこの催しは、毎回1つのテーマ(受験生家庭が抱えがちな問題、おかあさんが悩みがちな問題を扱ったもの)を掲げ、予め設定したグループに分かれ、小テーマごとに進行手順に沿って話し合っていただきます。どなたにも、ある程度問題解決に向けた方策が見つかるよう、弊社からの提案もしていきます。

 これまで掲げたテーマは、次の通りです。

 「受験生家庭の学習環境づくり」「9歳、10歳の壁を乗り越える」「復習を科学する」「おかあさんのリーダーシップ」「子どもの学習意欲大研究」「コミュニケーション力は会話から」「ほめかた次第で子どもは変わる!」「子どものやる気を引きだす叱りかた」「家庭勉強の自立を応援しよう!」など

 ただし、本格的なワークショップは時間を要しますし、内心を吐露し合って問題解決をはかるべきものです。また、自分の考えを参加者全員の前で発表する機会があります。それではおかあさんがたに敬遠されてしまうことが予想されましたので、形式こそワークショップ風ですが、ずっと気楽で雑談もできる雰囲気になるよう配慮しました。前例やモデルのない催しでもあり、いまだに失敗と反省を繰り返していますが、催しの進行にあたった校舎のスタッフからフィードバックをもらいながら、少しずつ改良を重ねています。「今まで、ありそうでなかった催し」として、保護者に認めていただけるようになればうれしい限りです。

 さて、今年の春も通年と同じく2回予定していますが、テーマとおおよその内容は以下の通りです。

第1回 「やった“つもり”から、本当の勉強へ!」 ~教えずに効果をあげる親のサポート~

 小学校の4・5年生の受験勉強(家庭勉強)は、子ども任せにできないものです。なぜなら、勉強法を指導してもその通りにできる子どもはそう多くありませんし、勉強の妥当性を自己評価したり、自分で勉強法を改善したりする能力(メタ認知的思考と行動)もまだ十分育っていないからです。

 それどころか、いい加減な勉強や空回りの勉強でやったつもりになったり、そもそも勉強らしいことをほとんどしていなかったりします。それがよくないことだとは思っても、先々どういう事態に至るかはあまり考えず、問題点を残しても楽天的に構えてしまいがちです。自己中心性がまだ色濃く残っており、内省心もまだ発達途上。それが4・5年生の子どもの現実なのです。

 そこで重要になってくるのが、親のチェックとアドバイス。ただし、親が勉強の内容に立ち入り、教えてしまうと、いつまでも親を頼るようになりますし、親の負担は止めどなく大きなものになってしまいます。

 この勉強会では、親は子どもの勉強のどこを見て、どうアドバイスしたらよいかについて、みなさんで話し合ってもらいます。勿論、「自学自習のできる子どもの育成」を指導目標の一つに掲げる弊社ですから、そうした流れを築くためのアドバイスも用意しています。

 第1回目は、「子どもの自立勉強を支援するための関わり」をテーマに考えていただいたところで、第2回の勉強会では、「子どものやる気増進に向けた上手な関わりかた」について考えてみようと、“声かけ”に注目してみました。

第2回 「愛ある“声かけ”が子どもを動かす!」 ~子どもの奮起を促す言葉を研究しよう~

 小学生までの子どもに一番影響力のある人物は誰でしょう。もちろん、それはおかあさんです。子どもは、おかあさんなしには一日も生きられないことを自分でよく知っています。だから、おかあさんの一挙手一投足を子どもは実によく見ています。

 それなのに、おかあさんの言うことを今ひとつ聞いてくれないのはなぜでしょう。それは、おかあさんの発する言葉が常に注意の言葉であり、叱責の言葉であり、命令の言葉だから、慣れっこになってしまっているからではないでしょうか。しかも、結局どんな状態でもおかあさんは許してくれます。

 こうした現実をリセットし、親の期待通りにがんばる子どもにするにはどうしたらよいでしょうか。その方法は、いろいろあるでしょうが、今回は“声かけ”のしかたに着目してみました。

 そもそも、小学校の4・5年生の子どもにとって、“やる気”の源はおかあさんから発せられる期待です。その期待をどう言葉にするか。どんなタイミングで声をかけるか。それによって、子どもの受け止めかたも変わるし、親の期待に沿ってがんばろうという気持ちの度合いも変わるものです。

 この催しへの参加をきっかけに、声かけのしかたを変えてみましょう。「早く勉強しなさい!」「いつまでテレビを見ているの!」「あなたが熱心なのは、ゲームやマンガばかりね」――こういった、後味の悪いマイナス効果の言葉とサヨナラできる日が早くやってくるといいですね。

20140512b

 いずれの校舎でも、まだ受け付けています。興味をもたれたら、今から申し込まれてもだいじょうぶです。あなたも参加してみませんか?

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数学とは何か その2

2014 年 5 月 7 日 水曜日

 前回に引き続き、数学とはどのような学問かについて、ともに考えてみようと思います。

 前回は数学のもつ特性について、三つあげたところで終わりましたが、その中で、「数学の論理性が数学を好きになる理由となるとともに、数学を嫌う原因にもなる」ということについてご紹介したのを覚えておられるでしょうか。

 このように、数学のもつ特性をどうとらえるかが数学好き、数学嫌いの分かれ目になるようです。そう言えば、以前「算数好きの子どもは、答えが一つである点を理由に挙げ、国語好きの子どもは、答えがいろいろある点に魅力を感じている」ということをご紹介したことがありますね。子どもたちには、教科それぞれの特性とよさを上手に感じとらせる教育を通して、勉強に親しみ、熱心に取り組む姿勢を引きだしてやりたいものですね。

 さて、「数学はどのような学問か」の後編です。

④ 数は科学の言葉である。

 「数、それは科学の言葉である」――これは、数学者トビアス・ダンツィク(1884-1956)が語ったものだと言われます。

 同じようなことは多くの数学者が述べているようで、この本の著者はランスロット・ホグベン(1895-1975)の言葉を引用して「数学は科学の言葉である」という数学の特性を説明しています。

 数学は一つの言語である。普通の言語は「種類」の言語(sort language)であるが、数学は「大きさ」の言語(size language)である。「種類」を取り扱うのと、「大きさ」を取り扱うのとの質的な相違はあるが、両者の間には同じような文法的構造を見出すことができる。すなわち、数学にも普通の言葉と同じように、名詞、動詞、形容詞、副詞、接続詞に該当するものがある。

 たとえば、名詞にあたるものは数である。数の中にも固有名詞、普通名詞、代名詞にあたるものがある。そのわけは、アブラハム・リンカーンという固有名詞が唯一人の人を示すように、あるものの大きさを示す数は唯一つしか存在しないからである。ただし、その同じ大きさを5±0.5のように示すと、普通名詞となる。代名詞にあたるものは、π、eなどがある。一般のaとかbの文字数は、集合名詞、また抽象名詞とみることができる。

 さらに、「+」「-」「×」「÷」の記号は、数の動詞であり、「=」は不定動詞である。したがって、今、aは長方形の縦、bは横、Aはその面積とすると、次の等式、a×b=Aは名詞と動詞によって構成された、一つの意味をもつ文章とみることができる。すなわち、上記の等式は、「長方形の面積Aを求めるには、縦aと横bを掛けなければならない」ということを意味している。これを分解、照合すると、次のようになる。

   (文章) | (等式)
 縦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ a
掛ける ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ×
横・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  b
求めるには・・・・・・・・・・・・・ =
面積・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ A

 いささか内容がマニアックになってしまいました。途中ではありますが、「数は科学の言葉」についての説明は、ここまでにしようと思います。ともあれ、数学者の多くはこうした数の言語性に惹かれてこの世界に入っていったのでしょう。

 なお、この話題に関連して「言語能力と数学の成績」についての研究結果が紹介されていました。こちらのほうに興味をもたれるかたあるでしょう。ちょっとご紹介しましょう。

 京都大学の研究調査によると、小4、小6、中1までは言語能力の優れた者が成績もよいということがわかったいっぽう、中3、高2になると、数学学力は言語能力以外のファクターとの相関が高くなっていくそうです。

 つまり、言語能力が数学の成績に直結するのは中学前半頃までで、それ以降は言語以外のファクターと関係が深くなるようです。また、直径、垂直、距離など、算数の用語の理解度と算数学力にも密接な関係があり、小学校までの算数学力と言語能力には深い関係があるのは間違いないようです。

 以前ご紹介した作家へのアンケート調査に、「初めは算数・数学が好きだったが、いつしか嫌いになっていった」と答えた例がかなりありましたが、これも算数・数学学力と言語の関係が薄れていく過程で生じているのかもしれません。

⑤ 数学は美しい。

 数学者へのアンケートの回答の中に、数学の好きな理由としてかなり多かったのが「数学の美しさ」に言及するものだったそうです。一部、ご紹介してみましょう。

・数学の美しさ。
・論理的構成の美しさに魅せられた。
20140501・論理が厳密で美しいと思った。
・数学の論理的構成の美しさを知った。
・数学の整合性の美しさがわかったこと(小学校時代はやればできたが無味乾燥)
・構造の美
・数学は特に興味あり、学年を越えて先にすすむ
・学問の王様という感じがした。

 数学教育における指導のコツとして、この数学の美しさを踏まえたものも少なくありません。

・数学を美しいものとして、相手にもとらえさせること。
・数学の理論の美しさを知らせたい。
・推論の面白さ、対象の美しさを教えること。
・考える楽しさを味わわせる。数学がきれいだという共感を味わわせる。
・本質を見きわめる喜びを与えること。

 数学は美しい。これは、数学という学問に魅入られた多くの人々の共通の見解のようです。筆者のような数学嫌いにはついに見出すことのできなかった視点ですが、この記事のネタを提供していただいた本の著者は、「まことに、数学は人類が生み出した美しい論理の殿堂である」と述べておられます。

ボルテール神の声とともに混沌は消え、玲瓏たる天界が目前に現れたようなものである。この種の美観は壮麗な音楽から生ずるものと似通ったところがある。(フランスの文豪)

中谷宇吉郎アインシュタインの相対性原理の式の中には、自然の森羅万象が、時空のただ四つの座標系として納められている。数学はもっとも簡潔な形で、広い内容を表現できる言語である。この言語で書かれた「文学的傑作」のもつ美しさを解し得るのは、この言語を解し得る人だけに許される特権である。(雪の研究で世界的に知られる科学者)

ファーブル一分のすきもないきちんとした数の世界の美しさ――これを規則の形で言い表した詩ともいうべき代数学は、すばらしい熱で空をかけていく。わたしは代数の公式をすばらしい詩の一節のように感じる。(『昆虫と暮らして』より)

 以上は、数の織りなす世界の美しさを表現した有名人の言葉です。数学の美しさについては、幾何の中に見出している人々も少なくありません。またまた長くなってしまいましたので、数学の美しさについてはそろそろこれで終わろうと思います。

 最後に、彫刻家の高村光太郎の著作、『美について』の一節が抜粋されていたのでご紹介しましょう。

 美が元来健康であるといふのは、美の本質がもともと比例均衡に基づいているからである。比例均衡といふのは人間精神に於ける審美性のもっとも原始的な要素であり、又同時にもっとも根底的なものであり、此を欠いては美は成立せず、しかも此のみで美が立派に成立する力をもってゐる。言はば美の成立に関する限り、必要にして十分なる要素である。

 以上、数学という学問の特性を形づくる5つの項目をみてきました。子どもをもつ親の多くは、「算数・数学のできる人間に育ってほしい」と願うものです。どうすればそれが実現できるか、そのヒントがこの5つのなかに見出せるような気がします。近々、この点に的をしぼって情報を提供したいと思っています。

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