2014 年 6 月 のアーカイブ

中学受験、どうしようかな?

2014 年 6 月 30 日 月曜日

 現在、夏休みの講座の会員募集を行っています。受験についてお迷いのかたは、とりあえず「夏期講座」にお子さんを参加させてみませんか?

 夏休みは、学校との折り合いをひとまず考える必要がなく、受験勉強に気持ちを集中させることができます。小学生の場合、あれもこれも同時並行でやらせるとうまくいきません。慣れないことをやり始めるのですから、子どもが受験勉強を受け入れやすい状況でのスタートが望ましいでしょう。

 そのことに目を向けていただくと、夏休みが受験勉強開始にふさわしい時期だということがおわかりいただけるでしょう。長い休暇を上手に生かせば、受験勉強の要領を身につけ、手応えを得るところまで漕ぎつけることは十分に可能です。

 ただし、親に中・高一貫校についての知識がない場合、「公立へ進学するのとどう違うのか」という疑問が湧いてくるかもしれません。また、受験に興味はあっても、実際にわが子を塾に通わせるとなると踏ん切りがつかないかたも少なくないと思います。そういうご家庭には、何らかの"きっかけ"が必要なのかもしれませんね。

 わが子に中学受験をさせる。それは、現実にはかなり特殊なことです。私立・国立・公立の中・高一貫校がたくさんある広島ですが、それでも受験する家庭は決して多くありません。正式な割合は調べていませんが、全体の15%ぐらいだという話を聞いたことがあります。

 つまり、大概の子どもは公立中学校に進学しているのですから、「無理に受験してまで」と保護者がお考えになるのは当然です。おまけに、受験準備にかかる費用もバカになりません。さらに、私学に進学したら6年間で相当な学費の負担が待っています。

20140630a しかし、それでも筆者は中学受験をすることは、子どもの将来にとって大変なメリットがあると思っています。それが何かというと、「子どもが、学問に向いた頭の働きをもった人間になる」「知的な仕事をやりこなせる能力の下地ができる」ということです。

 たとえば、算数では受験準備のために教科書よりも遥かに難しい課題に数多く取り組みます。それが子どもの脳を著しく成長させるのです。

 なにしろ、中学入試対策の算数学習においては、筋道立てて考え、解決に向けた突破口を自分で見出し、理屈にかなった適切な計算式を自分で考え出すプロセスが必須となります。そこで求められる知的活動とは、自分で公式を編み出すことにほかなりません。公式、方程式に数をのっけて、自動的に答えを引き出すような勉強ではありません。それが、「知的能力の下地づくり」として非常に有効な役割を果たすのです。

 いっぽう、同じ子どもがそういう体験をすることなく中学校へ進学したならどうでしょう。「中学校で頑張れば同じことじゃないか」と思われるでしょうか。残念ながらそうではありません。頭の柔らかい年齢のうちに算数の楽しさに触れ、自らの素養を磨いている子どもは、頭の働きが違うのです。

 中学校に入ると算数は数学に変わり、公式を適用して問題を解く学習が中心になります。その前段階において、頭を駆使して考え、自分で解決方法を見出すような算数学習を体験していることは、圧倒的なアドバンテージになるのです。

 国語に関しても、受験の助走で様々な文章を読み味わい、文章に描かれている世界を想像したり、人物の気持ちを推し量ったりする経験をするか否かで、子どもの中に宿る能力に相当な開きが生じます。また、語彙が増えるということだけでも大きな収穫です。

 たくさんの文章に触れる経験は、読みの態勢を築くための修練の場になります。読みの態勢とは、言い換えれば「文章を速く、滑らかに、正確に読めるようになっておく」ということです。読みの態勢が整った子どもは、自ずと活字に触れる時間が長くなり、それが子どものもつ内的な世界を広げたり深めたりすることを促します。ですから、小学校時代にそれができているかどうかは、以後の学習で知的人間に成長できるかどうかのカギを握る重要なポイントです。

 また、理科や社会は受験勉強で習得する知識レベルと、学校の勉強だけで終わるレベルでは、勉強の質に相当な開きがあります。受験対策の理科・社会というと、最終的には暗記勝負になりがちですが、たとえそういう勉強であっても、より多くの知識を、深いレベルで吸収するのですからやるとやらないとでは全然違ってきます。まして、受験勉強を通して理科や社会の面白さに引き込まれた子どもは、こうした方面に学問的な方向性を見出すよいきっかけを得ることが少なくありません。

 以上のように、成長途上の子どもが、1年、2年以上の期間、心を集中させて学習に励むことによって脳は大いに鍛えられ、考えること、知識を理解して蓄えることに向いた頭脳の持ち主になれるのです。そのことによる恩恵は計り知れないほどです。中学受験をするメリットは、実はどの学校に受かるかよりもこのことにあると言っても過言ではありません。

 話はちょっと変わります。「友達に誘われて弊社の教室に通い始めた」というお子さんがかなりいます。そういうきっかけで入会したお子さんの入試結果が意外なほどよいのです。5年の夏休みから通い始めて、最高峰の私学に合格するほど伸びることも稀ではありません。

 先日お会いしたおかあさんのご家庭も、その典型的な例に当てはまるでしょう。10数年前、友達に誘われて塾通いを始めました。楽しく勉強しているうちに力がつき、修道→トップランクの国立大学→有力企業という人生の流れができたとか。そのお子さんにとって、中学受験は辛いものでは全くなかったそうです。

 筆者が担当したお子さんの事例も多数あります。たとえば、弊社の教室に通っている友達に声をかけられ、5年生から通い始めた男の子がいました。全く中学受験を考えておられなかったご家庭ですが、水を得た魚のように受験勉強になじみ、素晴らしい学力の持ち主になって広島学院に進学しました。もしも彼が中学受験と縁がないまま小学校を卒業していたら、全く違った人生を歩んだことでしょう。

 このことは何を意味するでしょうか。あまりプレッシャーのない状況の下で、自然体で塾通いを始めると、子どもも伸び伸びと学べるので勉強になじむのがはやく、学んだことが身につきやすいのではないでしょうか。反対に、親が一生懸命過ぎると、ともすれば子どもに頑張りを強要することになりがちです。その結果、子どもは出発点からプレッシャーを受け、子ども自身の知的欲求に基づく勉強が成立しなくなってしまいます。

20140630b 塾通いの開始にあたっては、「塾の授業って、面白いらしいよ」「勉強が楽しくできるようになるそうだよ」といったように、自然とお子さんが通ってみようと思うような水の向けかたをするのもよい方法だと思います(実際、そういう事例を何度も聞いたことがあります)。

 これはあくまで、弊社への入会、中学受験を検討しておられるご家庭に向けた話ですが、迷っておられるなら、まずはお子さんに「夏期講座」に通う体験をさせてみてください。そこでの印象や手応えで「夏休み後」をお考えになればよいのではないでしょうか。

 なお、受験を迷っておられるご家庭のために、弊社では「入会ガイダンス」という催しを各校舎で実施しています。今夏実施分はあらかた終了していますが、三篠校と五日市校実施分はまだ参加可能です。いずれも7月5日(土)に実施予定ですが、五日市校が14:00~15:10、三篠校が15:00~16:10となっております。よろしければ、ぜひ参加してみてください。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 入塾について, 勉強について

愛ある"声かけ"が子どもを動かす! その2

2014 年 6 月 26 日 木曜日

 引き続き、前期第2回「おかあさんの勉強会」の内容と様子についてご報告します。第2回目のテーマは、「愛ある"声かけ"が子どもを動かす!」です。

20140626a 前回は、テストによる評価、テスト成績を見ての励ましがもたらすマイナス面に着目したところで終わりました。日本の子どもには「学力はあるのに自信がない」という共通の傾向があります。その理由の一つが、テストで他者と比較されることだという指摘があります。日本では、小学校入学から社会への参入に至るまでのプロセスで数えきれないほどのテストがあり、子どもは常に成績や順位で評価されます。それが子どもから自信を奪っているのかもしれません。

 本来、テストは学んだ成果を確かめるため、子どもの勉強に励みを与えるためにあるのですが、まかり間違うと自分の能力に疑念をもたせるという生憎な結果を招く恐れがあるのは事実です。

 小学生の場合、自信喪失の原因を自分で見出して解決するのは困難ですから、そうした状況に子どもが陥らないよう大人がサポートしてやらねばなりません。特に、親はわが子に対して大きな期待を寄せていますから、親の思い通りの成績が得られなかったときの対応が重要になってくるでしょう。

 そのことを踏まえ、弊社からおかあさんがたに右上のような三つの提案をしました。

 同じ声かけでも、子どもにプレッシャーを与える逆効果の声かけもあれば、子どもに自信とやる気を吹き込む最高の声かけもあります。その違いがどこから生まれるのかを考えると、効果的な声のかけかたも見えてくるのではないでしょうか。

③愛は溢れるほどある。問題は子どもにどう伝えるかだ!

 おかあさんがたの声かけの背景には、わが子への溢れるほどの愛情があります。子どもがやるべき時間になってもダラダラしているとき、つい大声で叱るおかあさんも、子どもの不本意な成績を見て思わず怒鳴ってしまうおかあさんも、わが子への愛においては誰にも負けていません。

 しかし、重要なのはその溢れるほどの愛情が子どもにどのような形で伝わるかです。前述のように、4・5年生の子どもは、まだ大人のように客観的に現状を分析したり、先を読んで自分の行動を調整したりすることができません。また、何事もまだ親頼みで生きています。したがって、勉強への取り組みがどうであるかは親の関わりかた次第だと言っても過言ではありません。

 そこで、今度は今の親の声かけを子どもたちがどう受け止めているか(4・5年部生対象のアンケート調査の結果を、おかあさんがたにご紹介しました。以下は、その一部です。

 「おかあさんは、勉強についてどれぐらい声をかけてくれますか?」という質問に対して、「1日に何度も」が28%、「毎日」が40%、「ときどき(2~3日に一度)」が24%、「あまりかけてくれない(週一度くらい)」と「めったにかけてくれない」が、各4%でした。なお、答えてくれた児童は、各校で任意に選んだクラスの計326名でした。

 子どもたちがおかあさんの声かけをどう思っているかですが、主なものをご紹介してみましょう。

4年部の子どもたちの声 ~声をかけてくれるおかあさんへ~

・毎日声をかけてくれてありがとう
・ありがとう!!
・おかあさんがつかれないよう勉強がんばるから、おうえんしてね
20140626b・成績が下がったときにおこらず、やさしいことばをかけてくれてありがとう
・もっとほめてよ!
・言われすぎるとやる気をなくしそうになるよ
・がんばっているときに口出ししないで
・おかしぐらい食べさせて

5年部の子どもたちの声 ~声をかけてくれるおかあさんへ~

・忙しいのに声をかけてくれたり、ノートを見てくれてありがとう
・ありがとう
・自分が大変なときに元気づけてくれてありがとう、がんばります
・いつもありがとう!これからもよろしく
・全部いっぺんに言われてもわからない
・あの…もう少しやさしくして
・厳しすぎる(じょうだんも交えて話してほしい)
・おこりすぎないでほしい
・心配しすぎ、声かけすぎ
・うるさすぎるから静かにしてほしい

 感謝の言葉は多数ありましたが、ほぼ同じなので一部をご紹介しました。4年生と5年生では、反応が微妙に違いますね。5年生になると、おかあさんに対して批判的な目も育ってくることがわかりますね。

 いずれにせよ、おかあさんがたはがんばってわが子に声をかけておられるようです。ただし、素直に感謝しているお子さんが多い一方、いろいろ言われるのはイヤ、うるさく叱られるのは歓迎しない、などの反応も多いようです。やはり、親の愛情をどう伝えるかで、声をかけられる子どもの気持ちも違ってくるのは間違いないようです。また、声かけの数は多いに越したことはないものの、多ければそれでよいというわけではなさそうですね。

④声かけの言葉に、「あなたを信じているよ」という思いを込めて。

2014勉強会① 子どもたちが、おかあさんからの声かけをどう受け止めているかをご紹介したところで、いよいよ声かけについてのまとめに入りました。「まとめ」にあたっては、まず声かけの原則を確認しました。それは、「おかあさんの言葉がすべて○○○思考に基づくこと」というものです。さて、○○○にはどんな言葉が当てはまるでしょうか。そう、カタカナの三文字です。

 子どもが前向きになったときも、やるべきことができなかったときも、「プラス思考」に基づく声かけをすれば、子どもは喜んで耳を傾けることでしょう。おかあさんの言葉から、溢れるほどの愛情がにじみ出てくるからです。

 ただし、親子関係は理屈を超えたものであり、我知らず感情に支配された言葉を発してしまうところが難しいんですね。そこで、ややしつこいかもしれませんが「べからず集」をあげて念押ししました。

1.親の理想を押しつけ、一方的に命令や小言を発する。
2.子どもの自尊心や人格を傷つける言いかたをする。
3.がんばれない子どもの気持ちや理由を推し量ろうとしない。
4.いけない点ばかりに目を向けた声かけをする。

 では、「プラス思考」に基づいた親の考えかたや声かけとは、具体的にはどういうものでしょうか。
20140626c

 子どもは、自分がちゃんとやれているか否かにかかわらず、「自分を信じてもらいたい、自分をまるごと受け入れてもらいたい」という願望を強くもっているものです。ですから、ちゃんとできない子どもを親は叱るのではなく、「次はやれるよ、がんばってごらん。おかあさんは信じているよ!」といった具合に、どんなときもプラスの信号を送って子どもの背中を押してやることが大切だと思います。

 そういうことを繰り返していると、どこかで子どもは本当にやり始めます。その日がいつ来るのか、親にはわからないのが辛いところですが、信じて待てば必ずそのときがやってくるのです。

 ここまでおかあさんがたにお伝えしたところで、おかあさんがたに最後のワークに取り組んでいただきました。ワークのテーマは、プラス思考に基づく声かけの方法を一緒に考えてみよう!」というものでした。練習課題の例をあげてみましょう。

1.勉強の時間になったのに、子どもはテレビにかじりついている。
2.頑張ったのに成績が下がり、子どもがしょげている。
3.遊んでいたのに成績が上がり、子どもが浮かれている。

 どうでしょう。「プラス思考」に基づいた声かけを意識すると、今までとは違った角度からの視点が見えてきませんか。頭ごなしに叱るのではなく、子どもを信じて発する声かけの仕方を練習してみてください。最高の答えというものは親子関係でそれぞれ違うでしょう。子どもが素直に耳を傾けたなら、それが最高の答えだと思います。

 このワークの終了後、校舎の責任者から締めくくりの言葉をお伝えし、この日の予定を終了しました。

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カテゴリー: アドバイス, 家庭での教育, 行事レポート

愛ある"声かけ"が子どもを動かす! その1

2014 年 6 月 23 日 月曜日

 おかあさんの勉強会は、弊社の4・5年部会員のおかあさん(週3日コース)を対象とするワークショップ形式の催しです。前期・後期とも、校舎別の開催で2回予定していましたが、前期実施分をすべて終了しました。

 筆者はこの催しの企画者です。企画内容が適切だったかどうか、おかあさんがたの反応はどうであったかを確かめさせていただくため、ある校舎で行われた勉強会に参加させていただきました。今日のブログでは、第2回目の様子をご報告してみようと思います。2回目は1回目よりも人数は少なかったのですが、それでも20名以上のおかあさんが参加してくださいました。

20140623c 今回の勉強会のテーマは、「愛ある"声かけ"が子どもを動かす!」(副題:子どもの奮起を促す言葉を研究しよう)でした。中学受験を目指すといっても、実際には親に水を向けられて受験勉強を始めるケースが多く、まだまだしっかりとした勉強を継続できるお子さんはごく少数です。それが小学生の受験勉強の現実です。

 したがって、多くのご家庭では、「その日に予定していた勉強がなかなかはかどらない」「決めた時間になっても机に向かうことができない」など、わが子の勉強の様子を見てイライラしておられるかもしれませんね。そういう段階をうまく乗り越え、子ども自らの自覚に基づく受験勉強へとうまく切り替えていけるかどうかが、受験の成否を握る最も大切なポイントだと言えるでしょう。

 その意味において、親のフォローや声かけは中学受験において必要不可欠のものです。親がしびれを切らし、叱って無理やりやらせるか、上手にフォローしたり声をかけたりしながら子ども自身の頑張りを引き出すか。結果は同じ合格でも、子どもの中に宿っているものは全く違ってきます。

① あなたはどんなとき、どんな"声かけ"をしていますか?

 さて、当日の進行に沿ってご報告しましょう。まずは、参加されたおかあさんの声かけの現状を振り返っていただくことにしました。

 4・5年生の子どもたちは、まだ受験を現実のこととして受け止めておらず、のんびりと構えているように見えるかもしれません。しかし、それでも子どもなりに様々な悩みを抱えているものです。なぜなら、テストの成績を見て、何も思わない子どもなんていません。親がどう思うかは子どもにも想像がつきます。友だちより成績がよくないと、やはり気落ちするものです。

 こうした小さなことの繰り返しで、子どもは徐々に自信を失っていったり、やる気をしぼませたりするものです。できるなら、入試が逼迫していない今のうちに親は上手に声をかけ、わが子の学習が軌道に乗るようバックアップしてやりたいものです。

 そこでまずは最初のワークを始めました。4~5人ずつのグループに分かれていただき、順に「家庭でどんなときに、どんな声かけをしているか」について報告していただきました。グループごとに巡回して確認したわけではありませんが、「やるべき時間になっても、なかなか勉強に取りかからないので、たまらずに声をかけている」といったご様子のお話が聞こえてきました。それが多くの4・5年生の現実であり、声かけの理由として最も多いのではないかと思います。

 一通りお話しいただいたら、今度は声かけの成功例や失敗例について、グループごとに話し合っていただきました。そこでよい事例を報告してくださるおかあさんがおられれば、ほかの方々にも参考になったのではないかと思います。

 ワークの終了後、どういうときに親が声をかけているかについて、こちらから具体的な事例を挙げ、当てはまるときに挙手をお願いしました。たとえば、「成績が下がったとき」「意欲がないと感じたとき」「やるべきことをちゃんとやったとき」「率先して机に向かって勉強したとき」などです。

 子どものよくない点を見て注意の声かけをするばかりでは、やがて声かけの効果は失われてしまいます。「どうせおかあさんは、文句ばかり言ってくる」と子どもが身構えてしまうからです。そこで、ポジティブな声かけの重要性に気づいてもらおうという意図で、挙手をお願いしたわけです。

 親からの声かけというと、いけない点を指摘し注意や修正を促すものばかりになりがちです。ポジティブな声かけも意識して行っていれば、注意したり、修正を促したりする声かけも効果を維持することができるでしょう。このことに気づいていただくための投げかけでした。

② 日本の子どもの自己評価が低いのはなぜ?

 さて、以前このブログでもご紹介しましたが、国際比較調査で「日本の子どもは、他の国の子どもよりも(勉強ができるのに)自分に自信がない」という結果が報告されています。

 その原因として大きいのは、成績による評価であるという指摘があります。その意味において、進学塾もこの問題に加担していると言えるでしょう。東アジア諸国の都市域は「受験圧力」が高く、そのためか子どもが成績や順位に過敏になり、少々成績がよくても「もっと上がいる」と思い、自信につながらないのです。

 受験圧力にしろ、相対評価のもたらす問題点にしろ、必要な側面があってそういうものが残っているという現実もあります。大切なのは、弊害をできるだけ少なくするための手立てを講ずることであろうと思います。

 たとえば、弊社に関連する事項としては、「成績や順位に負けない子どもにするために、どうすればよいか」という問題があるでしょう。成績は、どれだけ努力したかが数字として表れたもので、能力を示すものではありません。上手に子どもを導けば、「努力すれば成績は上がるんだ」ということを子どもに教えることができます。そういう考えを保護者と共有することが重要なのだと思います。

 先ほどの話に戻りますが、テスト成績が少々上がっても「まだ上がいる」と子どもが思ってしまうと、励みにならないし自信にもつながりません。それに加えて、親が「まだまだ駄目よ。もっと上を目指しなさい!」と檄を飛ばしたら、子どもは余計に自信を失いかねません。そういう可能性があることをお伝えするため、次のような資料をおかあさんがたに見ていただきました。
20140623

 この資料は文部科学省(実施当時は文部省)によるものですが、日本のおかあさんは、わが子の成長の様子に不満が高いという傾向があるようです。それも、他国を大きく引き離すほどの不満が見て取れます。わが子への高いレベルの期待と現実とのギャップから来るのかもしれませんね。

 この資料を通じて、わが子を不満の目で見て檄を飛ばしても逆効果にしかならないことをおかあさんがたにご理解いただき、ポジティブな声かけの必要性に気づいていただければと願った次第です。

 ここでワーク2を始めました。ワーク2では、「成績のプレッシャーに負けないで、前向きに学ぶ子どもにするために、今からどんな声かけをしようと思うか」について、順に今の気持ちをお話しいただきました。

 小学生までの子どもは、親の評価の仕方で随分変わります。まだ、親が絶対的な立場にあるからです。それだけに、わが子の何を評価すべきかを誤りたくないものです。子どもがおかあさんの愛情を感じ取り、勇気ややる気を湧きあがらせるような声かけを心がけたいものです。そうすれば、子どもは目の前のやるべきことに集中することができるのではないでしょうか。

 今回も、1回で終わりませんでした。続きは次回ご報告します。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

2014「私学がきみを呼んでいる!」女子編

2014 年 6 月 20 日 金曜日

 前回、6月15日(日)に実施した6年部会員親子対象イベント、「私学がきみを呼んでいる!」の「男子の部」の様子をご紹介しました。今回は、引き続き「女子の部」の様子をご紹介しようと思います。

 とは言え、プログラム自体は男女共通です。内容面はほとんど変わらないので面白くないかもしれません。ただ、ステージに立っているのが男子か女子かで雰囲気はずいぶん違うものです。また、アトラクションの出し物が女子の場合は大編成の管弦楽なので、そういった違いを踏まえてご紹介してみようと思います。

 今年の6年生女子はここ数年で一番多く、五百数十名収容の会場の席があらかた埋まって見えるほどたくさんの親子に参加いただきました。おとうさんも付き添っておられる家庭がかなりあり、とてもうれしく思いました。また、男子の場合、親とは別々に友達同士で固まって座席に座るお子さんが多くみられましたが、女子の場合は親子一緒のケースがほとんどでした。このあたりも、男の子と女の子の違いなんですね。

 では、さっそく最初のプログラムから。男子と同じく、まずは各校舎の責任者がステージに立ち、6人のリレーで受験生に挨拶と応援のメッセージをお伝えしました。男子の場合と異なり、ステージ上の校舎責任者に声をかけたり歓声を上げたりするお子さんがいないため、静かな出だしとなりました。

 最初の出し物は「映像による学校紹介」です。女子の生徒さんも中3ともなると落ち着きが増し、どの生徒さんも堂々と上手に学校のプレゼンをしてくださいました。紹介順ですが、女子の部は「なぎさ」→「広島女学院」→「安田」→「清心」です。

 以下の写真は、5月に行われた「体育祭」での男女一緒の縄跳びのパフォーマンスの様子(なぎさ)、活発なクラブ活動の説明(安田)です。
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  「映像による学校紹介」の後は、各私学にまつわるクイズを楽しみながら、学校に対する関心を高めてもらおうという趣向のコーナー。勿論、男子とはクイズの内容が違い、制服や学食の人気メニューなどについての問題があり、女子受験生の関心を集めていました。クイズの後は、先生がたに解説をお願いしました。クイズは三択式で出題し、会場のお子さんがたには「グー」「チョキ」「パー」で答えてもらいました。

 写真は、広島女学院に関するクイズが提示された場面を映したものです。「学食で一番の人気メニューは何?」という問題ですが、選択肢は「スープスパ」「五目中華」「親子丼」です。さて、正解はどれでしょう。考えてみてください。正解は、写真の通りです。
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  以上のように、クイズのコーナーは男子の部と同じように大変盛り上がりました。意外な正解に「え~!!」という驚きの声がしばしばあがっていました。

 クイズが終わると、それぞれのクイズに出題の内容に関する解説を私学の先生方にお願いしました。御覧のように、女子の部では4校中女性の先生が3名となり、ステージはより華やかな雰囲気になりました。唯一の男性の先生となったなぎさの諸富先生は、午前の男子の部にも出演してくださり、大変だったことと思います。陸上部顧問で長身のイケメン先生です。本当にありがとうございました。
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 前半の最後の出し物はアトラクション。今年は、広島なぎさ中学・高等学校から「管弦楽クラブ」のみなさん60名が出演くださいました。曲目は、おなじみの「情熱大陸」など3曲でしたが、素晴らしい演奏を披露してくださいました。終了後のアンケートには、同クラブのみなさんの演奏に対する称賛の言葉が多数寄せられていました。

 部員のみなさんの多くは、中学校への入学後に楽器演奏を始められるとか。わずか数年うちにここまでうまくなれるのかと、驚いてしまいます。「情熱大陸」では、一部のメンバーが楽器をステージに置き、客席の間に並んで踊るなど楽しいパフォーマンスで盛り上げてくださいました。それに呼応し、自然と客席から手拍子が起こり、雰囲気はますます熱気に包まれていきました。

 楽器演奏では、ソロのパートも織り込まれていましたが、いずれも素晴らしい技量の持ち主で、みなさん聞き惚れておられるようでした。

 以下の写真をご覧になれば、会場の雰囲気もおわかりいただけるでしょう。
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 アトラクション終了後の休憩を挟み、後半は制服ファッションショーから始まりました。制服に対する関心は男子よりも圧倒的に女子のほうが高く、各校の制服や部活のユニフォームを身にまとった生徒さんが登場するたびに、子どもたちの視線は釘づけになっていました。
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写真は、上左が広島なぎさ、上右が広島女学院、下左が安田、下右が清心の制服紹介の一コマです。女子は、制服の使い勝手や特徴などに関する関心が強いことを踏まえ、男子よりも丁寧に説明されていたように思います。

 制服紹介が終わり、先生とともに各校4名ずつステージ上の席についていただいたところで、いよいよ後半の中心的なプログラムの始まりです。男子の部と同様、「受験生活でこんなことがあった?」という質問に対して、各校3名の中3生のみなさんに、○×いずれかのパネルを掲げて答えてもらう趣向です。

 写真は、見ての通り「受験生活でスランプに陥ったり、勉強嫌いになったりしたことは?」という質問が掲げられている様子です。さて、何人ぐらいが「○マル」と答えたと思いますか?

 質問の後は、各学校の生徒さんに、お勧め勉強法などのアドバイスをしていただきました。先輩たちの経験談やアドバイスを聞いている受験生の多くが熱心にメモを取っていました。このあたりは、男子との大きな違いですね。やはり、女子のほうがこまめであるだけでなく、精神年齢も高いことと関係があるのでしょうか。

 このあと、先生がたに受験情報の提供や受験勉強のアドバイスをお願いしました。写真は、清心の神垣先生がお話しくださっている様子です。

  受験情報に関しては、広島女学院の入試形態が大幅に変わることがすでに発表されていますが、この催しにおいても大きな関心を集めているようでした。入試の変更とともに注目されるのが、文部科学省からSGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定を受けられたことです。今後、世界で活躍できる人材の育成という点から、同校への関心が高まるのではないかと思われます。
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 さて、いよいよフィナーレです。各学校の生徒さんと先生とで、受験生に激励のメッセージを投げかけていただきました。憧れの私学に通う先輩たちや先生からの心を込めた激励の言葉をいただき、受験生の意識は確実に高まったことでしょう。

 写真上左は「広島なぎさ」、上右は「広島女学院」、下左は「安田」、下右は「清心」のみなさんによる激励パフォーマンスの様子です。清心さんは、写真ではわかりにくいかもしれませんが、バレーボール部所属の生徒さんが、「入試に向けて、アタック!!」と、ボールを空中でスパイクしてくださったシーンです。どうもありがとうございました。
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 以上が、今年の私学紹介イベント「私学がきみを呼んでいる!」のおおよその内容です。毎日を忙しく働く大人と違って、子どものカレンダーは進行が遅いものです。しかし、受験生にとって、これから入試までの半年は、決して長くはなく、むしろあっという間に過ぎ去るように思えるかもしれません。この催しをきっかけに、今まで以上に入試に気持ちを定め、実のある学習生活を実現していただきたいと切に願う次第です。

 この催しは、たくさんの方々の協力があって実現できるものです。ステージに上がっていただけない協力者が数えきれないほどいらっしゃいました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

 

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カテゴリー: 行事レポート

2014「私学がきみを呼んでいる!」男子編

2014 年 6 月 18 日 水曜日

 今回は、6月15日(日)に実施した6年部会員親子対象イベント、「私学がきみを呼んでいる!」の様子をご紹介しましょう。
 このイベントの趣旨については先日すでにお伝えしましたので、内容面のみ、それもできるだけ写真を使って実際の様子を見ていただこうと思います。
 今年は、午前が「男子の部」、午後が「女子の部」でした。今回は、午前に実施した「男子の部」の様子をご紹介します。
 まずは、弊社の各校の責任者のリレーのあいさつから始めました。各校の責任者がステージに立つと、「あ、塾長先生だ!」「○○先生だ!」などという反応が聞こえてきました。

①

 さあ、いよいよプログラムの開幕です。前半は、「これであなたも私学博士!?」。私学に関する知識を得ていただく内容となっています。はじめは、「映像による学校紹介」で、各私学からお招きした中3生(弊社卒業生)にナレーションをお願いしました。抽選の結果、学校の順番は修道、広島なぎさ、広島学院、広島城北の順となりました。写真は、修道の生徒さんが新しく完成した人工芝について説明している場面です。
②

 学校紹介を、それぞれの生徒さんが工夫を凝らしてしてくださる様子は、受験生にとっても学校に親近感を抱くよいきっかけになったことでしょう。次の写真は、広島学院の生徒さんですが、中学生とは思えない素晴らしいプレゼン能力に、受験生は無論のこと、おとうさんやおかあさんも驚き感心しておられました。帰りに提出していただいたアンケートには、プレゼンのすばらしさを称賛し、「わが子もあんなお兄さんのように成長してくれたら」という率直な思いを書いてくださった保護者が多数おられました。
③

 ただ映像を流すのではなく、実際に弊社に通って受験生活を送り、それぞれの私学に通う生徒さんが学校について語ってくれるのは、子どもたちにとって素晴らしい刺激となったようです。

 さて、映像で学校の特色について受験生の子どもたちに知ってもらった後は、私学に関する面白いクイズ(「参加型クイズ&トーク」)で楽しんでもらいました。面白いだけでなく、それぞれの私学の教育方針などにもふれることができ、楽しみながら勉強できるコーナーです。

 ただ見て、聞くだけではやや退屈に思うお子さんもいるでしょう。そこで、クイズは三択形式にし、グー、チョキ、パーをつくって全員に挙手で答えてもらいました。
④

 クイズを子どもたちは好みます。4校で各2問ずつ出題し、その都度グー、チョキ、パーで答えてもらいましたが、答えが当たるとわっと歓声が沸き、思いがけない選択肢が答えだと、何とも言えない溜息がもれたり、驚きの声があがったり。

 クイズの後は、先生方にクイズに関連した事項について解説をしていただきました。日頃小学生と接する機会のない先生がたですが、一生懸命に子どもたちにわかるようお話しくださいました。
⑤

 クイズ終了後は「アトラクション」です。広島城北高校のバドミントン部の生徒さんと顧問の先生に出演いただきました。これが前半最後のプログラムです。

 まずは、顧問の先生から二人の高校生の紹介と部活の様子についてお話しいただきました。二人はペアで県の3位に位置する実力者で、城北中学に入学後にバドミントンを始めて今のような腕前に成長したそうです。先生のトークが絶妙に面白く上手で、会場に楽しげな笑いが響きわたりました。

 バドミントンのシャトルの速さはものすごいもので、そのスピード感に子どもたちはすっかり魅了されたようです。写真では、二人の高校生の技術の高さも、シャトルのスピード感も伝わらないのが残念です。なお、何度も驚き舌を巻いたのは、顧問の先生の腕前。マイクで技術解説をしながらすごいテクニックを次々に披露してくださり、会場の皆が見入っていました。

 何年か前、同じように城北のバドミントン部に出演いただいたのですが、その翌年の入学者の入部が多かったとか。来年も、これで入部者が増えるかもしれませんね。
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 休憩を挟んで、いよいよ後半のプログラム、「私学で夢をかなえよう、がんばれ中学受験生!!」の始まりです。

 後半のプログラムでは、前半にナレーションをしてくださった先輩のほか、先生がた、そして各校2名ずつの中3生に加わっていただきます。

 まずはステージに登場していただくにあたり、制服ファッションショー。それぞれの私学の冬服、合服、夏服のほか、部活のユニフォーム姿で各私学3名ずつの生徒さんに登場いただきました。

 これまで、このコーナーは男子生徒さんには照れ臭いようで、ポーズを決めるなどということはあまりありませんでしたが、今年の生徒さんはノリノリで、それぞれに面白いポーズを決めて来場の子どもたちを惹きつけてくださいました。制服やユニフォーム等については、その特徴を先生方が解説してくださいました。各校の制服紹介パフォーマンスの様子をご紹介しましょう。上左が修道、上右がなぎさ、下左が広島学院、下右が城北の生徒さんと先生です。
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  制服紹介が終わったら、後半の中心的な出し物「先輩からの受験アドバイス」の始まりです。ただし、いきなりアドバイスをしてもらうのではなく、「先輩たちもかつて受験生で、同じような紆余曲折があったのだ」ということを受験生に実感してもらうため、「受験勉強あるある!」と題して、「受験生活で、こういうことがあった!?」という形式の、いくつかの質問を先輩たちにしました。それに対して、○・×の大きなパネルを使って全員に答えてもらうという趣向です。たとえば、「受験生活中は、親子げんかが増えた!?」という質問を投げかけ、それに○×で答えてもらうという具合です。

 ほとんどの受験生は、何らかの問題や悩みを抱えています。そういったことを、私学に通っている先輩たちも経験して乗り越えたのだということを知れば、受験生の子どもたちもどんなにか励まされるでしょう。案の定、子どもたちの歓声や溜息が会場に響き渡るコーナーとなりました。
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 さて、大詰めが迫ってきました。来年の受験本番まで、あと半年あまりとなり、受験生の子どもたちの勉強もこれからいよいよ本格化していきます。「苦手教科はどう対処したらいいの?」「家ではどんな勉強をどのぐらいしたらよいの?」など、知りたいことがたくさんあることでしょう。

 そこで、先輩たちからお勧め勉強法を教えてもらうコーナーを設けました。実際に中学入試を経験し、私学に進学している先輩たちのアドバイスですから、ほとんどの子どもたちが熱心に耳を傾けていました。

 そのあとは、各私学の先生がたから入試に関する情報を伝えていただいたり、勉強についてのアドバイスをいただきました。

 そして、いよいよフィナーレです。学校ごとに、順番に先生と生徒さんで受験生への応援メッセージをいただきました。中には、面白いパフォーマンスで受験生へのエールを送ってくださる学校もありました。
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 実はこの日、同じ時間帯にサッカーのワールドカップで日本チームの試合があり、「ひょっとしたら、参加者が少ないのではないか」と、心配していました。その影響があったかどうかはわかりませんが、たくさんの親子に参加していただき、ほっとした次第です。

 終了時に書いていただいたアンケートには、とてもありがたい感想がたくさんあり、関係者一同胸をなでおろしつつ、午後に実施する「女子の部」の準備に取りかかりました。

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カテゴリー: 行事レポート