2014 年 11 月 のアーカイブ

広島学院と清心が身近になる! その2

2014 年 11 月 27 日 木曜日

 今回は、前回に引き続き弊社主催のイベントの様子をご報告します。このイベントは、毎年11月に広島、呉、東広島で開催しており、ここ数年は広島の有力私学の校長をお招きして、「私学教育とはどういうものか」ということをお話しいただいています。

 私学教育についてよく知ったうえでお子さんを入学させれば、より充実した学校生活の実現につながるのではないでしょうか。そういった意図で弊社が開催しているイベントです。

 今年は広島学院とノートルダム清心の校長をお招きしました。イベントタイトルは、広島学院とノートルダム清心がともにカトリック系のミッションスクールであり、広島の男女私学の最難関校であることから、一般のかたにはやや縁遠い印象を与える点を踏まえ、「ほんとうは、とてもフレンドリーで親しみやすい学校なんですよ!」ということをお伝えしようという意図で考えたものです。

 さて、本題に入りましょう。今回はイベントの後半の内容をご紹介します。

④最難関私学の生徒さんの進路って?

 大学進学状況は、いずれの学校も公表されています。わざわざ話題に取り上げなくてもいいようなものですが、両校は私学のトップ校だけに進学実績をアピールすることを控えておられます。そこで、敢えて進路を話題に取り上げて、校長先生がたから興味深い話が聞けないだろうかという意図で試みてみた次第です。

 まずは、当日会場で掲示した資料の一部をご覧ください。

学院生・清心生の進路選択の状況 (1MB)

 学校の進路選択状況については、先に弊社から簡単にご説明しました。両校の大学への進学実績は素晴らしいものですが、その実績がともに僅か180名あまりの卒業生によるものであることに驚かされます。公立の有力校ですと300名以上の卒業生がいますから、一人ひとりの進路保障という点においては、両校はずば抜けていると言ってもよいでしょう。

 また、両校とも理系の学部への進学比率が高いのが特色です。特に広島学院の場合、医学系への進学比率が非常に高いのが目につきます。実績面においても、広島大学への進学者24名中14名が医学部であるなど、他の高校の追随を許さぬものがあります。清心についても、医・歯・薬系に68名が進学し、卒業生全体の約半数が理系の学部に進学しています。

 では、自校の進路選択状況について広島学院と清心の校長がどんなコメントをされたかを簡単にご紹介しましょう。

学院 どこを受けるかは生徒と保護者が決めています。高1の2学期の終わりに文理選択をします。将来の職業を視野に入れるためのサポートとしては、OBや保護者を招いて職業講演をしてもらったり、DVDを使って職業紹介をしたりしています。そうして、高2、高3で受験の方向性を大半の生徒が決めていきます。

 近年の傾向としては、東大よりも京大受験者のほうが多くなっていることでしょうか。関東よりも関西志向が強まっているように思います。理由は経済的理由のほか、「東京は地震が怖い」といった声もあります。また、「浪人はイヤ」という生徒が多く、安全志向も感じます。学部選択では医学部志望者が多く、さらに増加傾向にあります。4クラスのうち、理系が3クラスで文系が1クラスです。本校の生徒には地元広大の医学部が人気ですが、学力的に希望が叶いそうにない場合、全国の国公立の医学部のなかから合格できそうなところを選んで受験しているようです。

清心 高い資質をもった生徒を預かっているので、もっともっと学力のレベルをあげなければならないと常々思っています。そのためには、教師と生徒の信頼関係を大切にし、両者が力を合わせて頑張ることが大切だと自覚しています。

 最近の傾向としては、医学部もしくは理系学部を志望する生徒が増えていることでしょうか。中学入試の際に提出いただく願書に、「将来、医者になりたい。弁護士になりたい」など、高い目標を掲げている生徒が多数います。5年前は文理半々の比率でしたが、今は学年180名あまりのうち110~120名、6~7割が理系を志望しています。そのうち、50名が医学部を志望しています。

  進路を決定していくための助走としては、中3~高1で適性検査をしたり、卒業生や大学の理事などを招いて話をしてもらうなどのサポートをしています。進路はあくまで生徒自身と家庭の意思を尊重しています。近年は現役での進学がほとんどで、東大や京大へ浪人してまでめざす生徒は減っています。志望校への進学を高い次元で実現できる生徒は、自分で計画を立てて勉強できる生徒です。そういう生徒はよく集中して頑張り、時間をうまく生かして成果をあげています。

 最近気になるのは、日常の生活リズムが乱れている生徒が多く、それが学習習慣の定着の妨げになっていることです。何でも先生に頼って「教えてくれ」といった受け身の生徒は教えても効果がありません。何でも簡単に手に入る生活に大人も慣れ過ぎているのが現実です。そんな時代ですから、子どもも辞書を使って調べることをしなくなりました。すぐ電子手帳で検索しますから、電話番号も覚えようとしません。こういう時代ゆえの教育の難しさを感じます。

⑤学院生・清心生の青春

 広島学院、ノートルダム清心の生徒さんと言えば、何はさておいても学業優先で、毎日勉強と取っ組み合いをしているのだろうと思っている人もおられるかもしれません。そんな彼ら彼女らの青春模様をちょっと覗いてみたいと思いました。さて、このテーマについて両校の校長先生がたはどんなコメントをくださったでしょうか。

清心 「清心生は勉強ばかり」と思っておられるかもしれませんが、そうでもありません。端的に言うと、「おしゃべり」――これを青春にしているのではないでしょうか。休憩時間や放課後、クラスメートや部活の仲間との楽しいおしゃべりは、この年齢の生徒にとって何よりも青春そのものです。

 生徒たちが集中力を発揮し熱中する体験の場、それは学校行事ではないかと思います。たとえば、学園祭、体育祭、フィールドゲーム(ソフトバレーボール)、美術・書道展などでは、生徒たちはほんとうにすごいエネルギーを投入して頑張ります。体育祭ではがむしゃらに一生懸命走ります。「なんであんなに必死になってがんばれるのか」と、外部のかたから感想をいただくことがあるほどです。

 10月に実施するフィールドゲーム(ソフトバレーボール)では、1日半かけてクラスマッチをし、決勝は体育館でたくさんの生徒の前で行われます。そして、優勝したら教員チームと対戦します。このクラスマッチに勝ち残りたい一心で、生徒たちは朝早くから登校して練習し、放課後も6時ごろまで夢中になって練習しています。一般に思われる清心の生徒とはまったく違った側面がそこに見られるのではないかと思います。特に一生懸命なのが大学受験を控えた高3生で、「下級生には負けられない」という気持ちが作用しているようです。そこに彼女らの青春を見る思いがします。あれぐらい必死に勉強してくれたらという思いもありますが、先々こうした経験が、仕事に対するエネルギーや集中力の発揮につながるのではないでしょうか。

学院 本校の生徒の青春というとやはりクラブ活動でしょうか。中1の夏休みからクラブに入れるようになります。全員、いずれかの運動部(ブラスバンドも含む)に所属します。運動を苦手にする生徒が多いのですが、生徒たちはクラブ活動を通して体を動かすことの楽しさを体験するようです。中2からは文化部にも入れるようになります。運動部と両方やる生徒もいます。文化部では、物理、化学、生物、囲碁、将棋などが盛んです。これらのうち、囲碁や将棋は全国レベルに達しています。

 そうした生徒のなかには、理科オリンピック(化学オリンピックや生物オリンピックなど)に青春をかける生徒がいます。こうしたオリンピックには、全国で数千人が応募し、そのなかから4名が選ばれ、世界大会に出場します。広島学院からは、ここ数年で4人がこの理科オリンピックで金メダルや銀メダルを獲得しています。彼らのレベルはほんとうに凄いのですが、決して変わり者ではありません。心優しく、ユーモアを解する素晴らしい生徒たちです。周囲によい刺激を与えてくれており、学校としても重要な存在です。

 また、体育祭や文化祭などの学校行事も生徒が青春を謳歌する場です。いつの頃からか、本校の生徒は、こういった行事で、自分たちが楽しむと同時に、お客さんにも楽しんでいただくということをまじめに考えるようになりました。生徒にとっては、人に喜んでもらえることの喜びを体験する貴重な場にもなっています

 なお、学院生というと、女子との付き合いについては「奥手」が多いです。かつては学園祭に彼女を連れてくるような生徒も結構いましたが、最近は少ないみたいです。おかあさんのなかには心配されるかたもおありですが、「男だけの世界にどっぷりとつかって、男を磨くのもよいことですよ」と申し上げています。青春とは、未成熟な時期なのだから、失敗を恐れず、夢中になってやればいい。挫折や後悔を味わうこともあるでしょうが、それでも、夢中になってやった経験は将来必ず生きてきます。ですから、子どもが失敗をしないようにと、周りのおとなが先回りをして環境を整えたり、すぐに手を差し伸べて助けたりしてはいけない。そういったことも保護者、特におかあさんにお伝えしています。

⑥私学教育の意義はどこにあるのか

 いよいよ最後のテーマです。このイベントの実施目的の中心となる、「私学教育の意義」について校長先生がたに語っていただきました。このテーマを語りきるには大変な時間が必要です。それをそれぞれ5分という制約のなかでお話しいただきました。校長先生がたには申し訳ない条件でしたが、お二人とも大変内容の濃い話をしてくださいました。

学院 私学は、公立と比べると経済的負担が大きいものです。そのぶん、保護者にも生徒にも満足してもらえるよう学校として努力しています。ただし、ニーズに応えるだけでは十分でないと考えています。私学ですから自己の理念をしっかりともち、保護者や生徒に伝えることが必要です。他者のために、他者とともに生きる。このような人間への成長をめざして日々勉強やさまざまな活動をしています。

 6か年一貫校ですから、ある程度自由な教育活動ができます。たとえば、英・数は中2で中学課程を終えます。そして中3からは高校の内容を学びます。理・社は中・高の重なりがあります。これを整理し、プリント副教材を使った学習をします。それで、高3では受験に特化した授業もできるわけです。

 私学6か年一貫校では、生徒同士の付き合いが6年間に及ぶということも大いにプラスになります。じっくり信頼関係を築き、切磋琢磨するなかで、お互いを高め合おうという意識が醸成され、より大きく成長することができます。生徒と教員、保護者と教員の付き合いも6年間続きます。入学時にかわいらしかった少年が、卒業時には逞しい青年に成長していきます。その間、思春期という不安定な時期を経験しますが、担任は継続的に生徒をフォローすることができます。私学には基本的に教員の入れ替わりもありません。

 私は、本校に36年間在籍していますが、卒業してずいぶん経った後、卒業生が訪ねて来てくれて立派に教育の実った姿を見るのが楽しみの一つです。それはまさに私学ならではのことで、そういった私学のよさをご理解いただくとうれしく思います。

清心 私学が大切にすることの一つに、「世の中に左右されずに教育をすることができる」という点があります。本校の「心を清くし 愛の人であれ」を貫き通した教育ができるのも、私学だからこそです。今、教育がICTや英語に流れるのは、果たしてよいことなのか、日本語もままならないとしたら問題ではないか、という視点もあって然るべきではないでしょうか。私は、まず心を育てるべきだと思います。

 子どもが高校を出るまでに、人としての心を育て、他者を大切にすることを教えていかないと、いくら勉強ができるようになってもダメだと思います。その意味で、私学は自らの大きな教育目標をもち、教員が長く帰属意識をもって生徒に関わっています。そして、それが形になって私学の校風をつくっています。私学としての校風が築かれたなら、それが生徒にも伝わります。そして、次に入学してくる生徒にも受け継がれます。そうやって生徒が成長していける学校となっていきます。つまり、よい土壌をつくっておくことが重要なのです。土がよければ植物は育つのですから。

 本校には、「生徒のいるところに、必ず先生がいなさい」と教えがあります。こうしたことが教育の基本として大切にされるべきであり、時代の流れに対応することも重要ですが、安易に追いかけないことも必要です。シスターの教えに、「躓いたり失敗したりして穴に落ちたとき、その穴のなかから何をつかんで這い上がるかが大切だ」というのがあります。グローバル化教育も無論やっているのですが、どんな時代にあっても生き抜く強さや逞しさを育てる教育はもっと大切なものです。そういうことを意識してやっているのが私学です。私学教育のよさの根本はそこにあると思います。

 以上が、今回のイベントのおおよその内容です。お二人の校長先生は、誠実に心を込めて大変密度の濃い話をしてくださいました。そのため、話の内容を全てご報告することはできませんでした。しかし、学校説明会などでは聞くことのできない両校の一面をお伝えすることはある程度できたのではないかと思います。会場で実施したアンケートにでは、よい反応を多数いただきました。このブログ記事で、当日の様子を少しでもお伝えできたらと願っています。

 なお、第2部は、弊社の校舎長から「受験アドバイス」をさせていただきました。時間は僅かでしたが、多数の保護者が熱心にメモを取っておられました。今回も予定をはるかに超えるボリュームになってしまいましたので、詳しい内容は割愛させていただきます。来年も同様の流れに沿った催しを実施する予定です。すでにタイトルやおおよその内容も決めています。よろしければ、来年もぜひご参加ください。

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カテゴリー: 私学について, 行事レポート

広島学院と清心が身近になる! その1

2014 年 11 月 24 日 月曜日

 今回と次回は、広島を代表する私学である広島学院とノートルダム清心の校長先生をお招きして実施したイベントの様子をご紹介します。広島学院からは三好彰校長、ノートルダム清心からは今﨑成志校長にお越しいただきました。

 このイベントは、呉(11月12日)・東広島(13日)・広島(14日)の3会場で実施しましたが、呉と東広島では会場(弊社の教室)がほぼいっぱいに、また広島では百数十名収容の会場(広島ガーデンパレス)が満席となり、さらに補助席までいっぱいに埋まり、盛況のうちに終了することができました。ご来場いただいた方々には心より感謝申し上げる次第です。また、3日間にわたって熱意溢れるお話を賜った校長先生がたには、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 イベントの趣旨は、以前このブログでお伝えしたとおりです。私学のよさを保護者により深く理解いただこうと企画した催しです。

 ここ数年は同趣旨の催しを実施していますが、今年は「広島学院と清心が身近になる!」と題し、男女最難関私学の校長先生のお話に直に触れることによって、また両校の授業の様子を映像でご紹介したり、両校の生徒さんに実施したアンケートの結果をご紹介したりすることによって、私立学校というものはどういう教育を実践しているのか、そのよさはどういうところにあるのかをつぶさに感じていただこうというのが今年の企画意図です。

 また、学校の素顔にふれることによって、「高嶺の花」のように受け止められがちな広島学院とノートルダム清心に親近感や興味をもっていただければと期待して実施しました。

 では、当日の内容をかいつまんでご報告いたしましょう。

① 広島学院、ノートルダム清心はこんな学校です!

 さて、まずはプロローグから。「広島学院、ノートルダム清心はこんな学校です!」というテーマで、両校の校長先生に学校の成り立ち、今日に至るまでの歴史、学校の校是・特色など、私立学校の根幹を成す要素について各5分の設定でお話しいただきました。以下は、校長先生の言葉です(内容は簡略にしています)。

学院 イエズス会(男子修道会)が、1956年に設立した男子の中・高一貫校です。世界中に存在するイエズス会の学校と同じく、「若者教育は世界の変革である」という理念のもと、自分の置かれた場で自分の能力を活かして活躍し、世界を変えていこうという信念をもって生きていく人間の育成に努めています。

 「能力の高い生徒が入学してくれるので、その能力をより大きく伸ばして社会に貢献できる人間を育てることを旨としています。ただしそれだけでなく、本校の生徒には、ものを見る目、しっかり考える力、深く感じる心、簡単にくじけない強い心、人の心の痛みに寄り添う心、人の喜びをわがこととして喜ぶ心を携えた人間に成長できるよう、心の教育にもあたっています。

 なお、広島学院はいわゆるミッションスクールですが、キリスト教の信者を増やすことを目的にした学校ではなく、その意味ではミッションスクールではありません。もちろんカトリックの人間観や世界観、カトリックの雰囲気は大切にしています。厳しさも必要ですが、優しさや思いやりの雰囲気の中で人間を育てようとしているところが、カトリック校としての特色でしょうか。

清心 今から65年前の1950年、戦後間もない時期にベルギーのナミュールにあるノートルダム修道女会のシスターが、広島の地に女子教育を目的として設立した学校です。

 「心を清くし、愛の人であれ」という校是は、修道女会の創始者であるマザージュリーの教えに基づくもので、現在世界に数多くあるノートルダム修道女会の設立した学校で共通の精神になっています。

 マザージュリーは、フランス革命の時期に生きた人で、不幸にも23歳から53歳までほとんど寝たきりの生活を送った人です。にもかかわらず、子どもたちの教育に熱心に取り組んだ人で、「神様は善いお方です」と、子どもたちにイエスキリストのよさを教えました。そして、お祈りを欠かさぬ生活のなかで奇跡的に歩けるようになり、やがてノートルダム修道女会を設立されました。

 このマザージュリーの精神は今も引き継がれています。日頃私たちは一人で生きているつもりになりがちですが、神様にかけがえのない命を与えられて生きていること、周囲の人に助けられてこそ生きられるのだということを自覚しなければなりません。それがお互いを思いやることにつながります。本校の生徒には、そうしたことを在学中に心に浸透させ、恵まれない人に手を差し伸べる人に成長してほしいと願って教育にあたっています。

② 学院生・清心生はどんな授業を受けている?

 校長先生がたに、学校の根幹を成すスピリットや歴史について語っていただいたところで、つぎは実際の教育の場、つまり教室の様子や授業をご紹介しました。はじめにやや重いテーマの話をしていただいた校長先生がたにちょっとお休みいただく意味もあります。20141124

 授業がどのような雰囲気で、どのように行われているかを知るには、普段のままの授業をお見せするのがいちばんです。そこで、広島学院、清心に弊社スタッフが出向き、たくさんの授業を映像に収めさせていただきました。また、休憩時間や昼休み、昼食の様子などもカメラに収め、各5分ぐらいにまとめた映像をご覧いただきました。

 みなさんは、学院と清心の授業というと、どんな様子を思い浮かべられるでしょうか。おそらく、具体的なイメージはともかく、ハイレベルな内容を相当なスピードで進めているのだろうということを、多くのかたが想像されるのではないかと思います。実際、その通りでもあるのですが、意外だったのはどちらの学校の生徒さんも授業中に笑顔を浮かべるシーンが多く見られたということです。厳しいなかにも楽しさが伴う充実した授業が行われている様子を感じ取っていただけたのではないかと思います。

③ 学院生・清心生に聞きました!

  つぎは、生徒さんが自校をどのように思っているか、自校のよさはどこにあると思っているのかについてアンケート調査をした結果をご紹介しました。広島学院の高1・2クラス、ノートルダム清心の高2・2クラスにお願いしました。なお、清心も高校1年生にお願いするつもりでしたが、今﨑校長が直接授業を担当されているということで、高校2年生にお願いすることになりました。

 さて、アンケートの結果をご報告しましょう。

 学院生・清心生へのアンケート結果 (PDF 3.3MB)

 いかがでしょう。両校ともカトリック系の私学であること、私学の最難関校であることのほか、学校の立地条件が非常に類似していることもあってか、生徒さんがたの学校に対する受け止めかたもかなり似ているように思います。

 学校の授業映像を流し、生徒さんへのアンケート結果をご紹介したところで、次は両校の校長先生にコメントをいただきました。簡単にご紹介しましょう。

清心 「本校生徒が『トイレがきれい』ということを特色としてあげていますが、実は前校長のときにトイレの改修をすることになった際、生徒たちに『工事業者さんと話し合って、自分たちの納得のできるトイレをつくってみなさい』と伝え、その結果できたのが今の学校トイレです。昔から、『トイレと玄関を見れば、その家庭がわかる』といったようなことが言われていますが、生徒たち自身が『清潔で使いやすいトイレを誇れる』と思っていることはうれしいことです。

 また、最近は個性的な生徒が本校には増えてきています。たとえば、フィギュアスケートで世界ジュニアグランプリを獲得した生徒がいます。また、宝塚に興味をもち、そこの試験に受かった生徒もいます。この生徒は、もともと医学部志望で勉学にもしっかりと取り組んでいた生徒でした。多様な方向性を見出す生徒がいるのはよいことだと思います。

 「やっぱり清心が一番」と答えた生徒が、8割を超えているのは、学校としてとてもうれしいことです。思春期を経て大人に近づき、批判的な精神も十分に育っている年齢の生徒が、『学校大好き』と思っていることはとてもありがたいことです。私自身、今も体育の授業を行っていますが、ときには厳しく生徒に臨むこともあります。そういった中での結果ですからよりうれしく感じます。私自身もそうですが、子どもとの信頼関係をいかに築くかということが、本校の教師が一番心がけていることです。

学院 アンケートの対象である高1は、思春期・反抗期の終わり頃にあたります。そんな時期の生徒のほとんど(9割あまり)が学校をよいように受け止めているのは、おそらく友人関係のよさがあってのことだと思います。また、他の調査でも同様の結果が出ていますから、おそらく学校を好きなのは事実であろうと思います。私は、昨年まで30数年間数学の教師をしてきました。しかし、今は校長をしている関係で授業をもっていません。高1の生徒は私のことをあまり知らないと思いますが、「どんな校長か」の質問によいコメントをしているのは、紳士的配慮をしてくれているのでしょう。

 授業映像では、ずいぶん集中して先生の話を傾聴し、引き締まった表情をして映っていますが、あれはカメラが入っているのでそれを意識したのでしょう。残念ながら、授業で寝てしまう生徒もいます。それで学業で後れをとる生徒もいますが、本校の厳しい入試を乗り越えられた生徒ですから、能力ではなく生活の乱れが原因だと思っています。最近は、携帯やスマホ、ゲームなどで夜中まで起きて寝不足になる生徒が結構います。そういったことがブレーキになって、うまくいかなくなるのです。こういうことにならないためにも、入学前から規則正しい生活習慣や、ちゃんとした家庭学習の習慣をつけておくことが必要ですね。

 

 随分長くなってしまいました。後半は、次回ご紹介します。後半の話題は、広島学院と清心のよさや凄さがよくご理解いただけるとともに、両校に親しみを感じていただける内容だと思います。実際、終了後のアンケートに、「学校に親しみを感じられるようになりました」というコメントが多数ありました。

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カテゴリー: 私学について, 行事レポート

おかあさんに求められるリーダーシップとは!? その2

2014 年 11 月 20 日 木曜日

 先週に引き続き、弊社4・5年部(週3日コース)の保護者を対象とする行事、「おかあさんの勉強会(2014後期第1回)」の内容をご報告します。

 今回は、親のリーダーシップのタイプとして理想的な、「子どもを自立させる教育者タイプ」の親になるにはどうしたらよいかを主テーマにした後半の内容をご紹介します。子どもを自立させる親のありかたについて、参考にしていただければ幸いです。

 前回は、「子どもを自立させる教育者タイプ」のキーワードとして、「境界線」という言葉に着目していただいたところで終わりました。この「境界線」とは、「ここまではしていいが、ここからはいけない」という基準を示します。

 このような基準が示されれば、子どもはその境界線の枠のなかで安心して伸び伸びとふるまえるでしょう。また、この境界線を逸脱すれば親に叱られることを体験し、してよいことといけないことの分別をわきまえることができます。境界線が明示されることの意義について、わかりやすい例があります。

 ある小学校で次のような実験が行われました。学校の校庭を取り囲むフェンスが全くない状態と、フェンスを校庭の周りにぐるりとめぐらした状態で、子どもたちを自由に遊ばせて様子を比べてみたのです。すると、前者の条件においては、子どもたちは校庭の真ん中に一塊になって窮屈そうに遊びました。一方、後者の条件では子どもたちは校庭のいたるところで散らばって活発に遊び回りました。

 この実験からわかったことは、「どこからどこまでが自由に遊べる範囲なのか、それを明示されるほうが子どもは安心して遊べるということです。だからフェンスを巡らすと、子どもたちは校庭のほぼ全域に散らばって遊びました。ところがフェンスが全くないと、自分たちの自由が許される範囲がわからず、不安になるのです。

 子どもに行動規範としての境界線を示すにあたっては、親自身が自分の行動に明確な境界線をもっていることが必要です。

 たとえば他者との交流において、ここまではOKだけれど、ここからはNOとはっきり言えるでしょうか。このような心の境界線のことを英語でバウンドリーと言います。みなさんのバウンドリーは明確で強いほうでしょうか。それとも、ややあやふやで弱いほうでしょうか。日頃、人の申し出を断れないで苦労したりストレスをためたりしている人は、バウンドリーが弱いと考えられます。

 そこで、この日参加されたおかあさんがたに、自分のバウンドリーの状態をチェックしていただきました。チェックの項目は10あり、YESまたはNOで答えていただきます。NOが多いほどバウンドリーが強いという診断になります。チェック項目の例をいくつかあげてみましょう。みなさんもチェックしてみてください。

1.自分に予定があるときでも、友人に誘われると断り切れないことが多い。
2.家族や周囲の人が不機嫌なとき、自分が何か悪いことをしたのではないかと気になる。
3.特に急用でないメールを送ったときでも、すぐに返事が来ないと落ち着かない。
4.自分の役割でない仕事や用事なのに、頼まれるとつい引き受けてしまう。
5.話し合いの席で言いたいことを言えず、ストレスをためることが多い。

 いかがでしたか? 5つ例を示しましたが、YESは1つか2つぐらいまでが望ましいと言えます。3つ以上ある人は、ご自身のバウンドリーをもっと明確にする必要があるでしょう。

 YESという回答が多かったかたは、普段の家庭生活において夫や子どもとのやり取りにおいて言いたいことがはっきりと言えなかったり、自分がやるべきでないことを不承不承引き受けされたりして、ストレスの多い毎日を送っておられる可能性が高いのではないでしょうか。

 勉強会ではこのチェックを終了した後、YESの多かったおかあさんに向けて、「子どもに対しては、『私がボスなのだ!』という意識、信念をもちましょう」とアドバイスしました。わが子の行動上のマナーや常識を浸透させるには、親の側に権威がなければなりません。ですから、親には「わが子の望ましい成長に向けて責任ある立場にあるのだ」という自覚と誇りが求められます。

 バウンドリーの自己チェックとアドバイスが終了したところで、最後のワークに入りました。最後のワークでは2人1組で、「自分のバウンドリーの状態と子どもの勉強の状態とに、何らかの相関関係はないか」を振り返り、互いに話し合っていただきました。話し合いを終えたら、今度はグループ全体に移りました。「理想のリーダーシップのタイプを頭に思い描いたうえで、今の自分のバウンドリーと突き合わせ、どこをどう変えたらよいと思うか」について、みなさん一人ひとり順に発表していただきました。そして、聞いている人には気づいたことをアドバイスしていただくようお願いしました。

 このワークを終えると、残された時間はあと僅かです。そこで最終的なまとめに入りました。子どもに適度な自由と選択権を与えつつ、大枠として守るべき境界線を浸透させることは、子どもを分別・節度ある自立した人間に育てるうえで重要なことだということを、この日参加されたおかあさんはどなたも実感されたことでしょう。

そこで、「明確な境界線を設定するためのガイドライン」というテーマを掲げ、弊社から提案をさせていただきました。その提案とは次の3つです。
20141013

 長くなりましたので、簡単な補足に留めます。

 Aは、家族全員で共通の境界線意識を浸透させるには、家庭内のルールを全員でこさえ、互いに声をかけながら守ればよいのではないかという提案です。ただし、規則やルールは多すぎると徹底しません。3つから5つぐらいまでが適当ですとお話ししました。

 Bでは、規則やルールを提示するにあたっては、「~してはいけません」というネガティブな言い回しではなく、「~しましょう」という肯定表現を用いたほうがよく守られることをお伝えしました。

 Cでは、もしも子どもが規則を破ったときには、どう対処すべきかについて提案させていただきました。たとえば、ルールに反して兄が弟を叩いたとき、「今夜は食事抜きだ!」という罰よりも、「弟に謝り、仲直りの手紙を書かせる」という罰のほうが素直な反省を引き出せるし、人間的な成長にもつながります。そういった類の例をいくつか示して終了としました。

 いかがでしょう。子どもを自立した人間にする子育てを実践していくうえで、参考になる点があったでしょうか。参加されたおかあさんがたに新たな気づきが得られたことを願いつつ、その日の勉強会を終えました。

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カテゴリー: 勉強について, 子どもの自立, 子育てについて, 行事レポート

模試最終回は、私学を会場に実施します

2014 年 11 月 17 日 月曜日

 もうすぐ入試シーズンがやってきます。中学受験生の子どもたちにとっては、これからがいよいよ学力の総仕上げの時期であり、受験対策の正念場です。寒い時期ですから体調管理にも十分気をつけながら、悔いの残らぬよう入試本番を迎えていただきたいと存じます。

 弊社では、毎年7月から12月にかけて、受験を控えた6年生を対象とした公開模擬試験を実施しています。弊社は、中学受験専門の学習塾として46年余りの歴史を有していますが、設立当初より公開模擬試験を行っており、その長い歴史とともに積み重ねてきた実績に対しては、各方面より厚い信頼をいただいています。

 20141117今年は既に第4回まで終了し、残るのは12月7日(日)の最終回のみとなっています。この最終回の模擬試験がそれまでの4回と違うのは、何と言っても会場が修道(男子受験生)と広島女学院(女子受験生)という、広島を代表する私学であるということに尽きるでしょう。  

 小学生の子どもにとって疑似体験は絶対に必要です。人生経験の少ない年齢の子どもたちですから、入試がどのような雰囲気でどのように行われるものかを知っているだけでも、ずいぶん心理的に違うものです。ましてや、今回の模擬試験の会場は、ほとんどの子どもたちが実際に本番でも受験する私学です。オープンスクールなどですでに学校の様子は知っておられるでしょうが、教室内で試験を受ける体験をしていることは、より大きなアドバンテージになることでしょう。

 実際、毎年弊社の模擬試験でいちばん多くの参加者を集めるのは第5回で、男女とも広島の中学受験生の半数以上が参加しています。弊社の会員だけでなく、一般の受験生もたくさん参加されています(一般の受験生のほうがはるかに多いのが最終回の特徴です)。本番で無用の緊張に惑わされないためにも、ぜひこの模擬試験を経験しておくことをお勧めいたします。

 模擬試験を受けることの意義は、本番に近い雰囲気を味わえることだけではありません。もっと重要な意義があります。それは、本番に向けた最後のテコ入れや調整を、効果的かつ無駄なく行うためのデータを入手できるということです。

 この第5回模擬試験が行われるのは12月の上旬です。成績等の結果を手にした段階で、入試の解禁日(1月20日)までの期間は約1月半ぐらいでしょうか。この日数は、まさに最後の調整のために残されている日数と言えるでしょう。

 算数、国語、理科、社会、それぞれの点数や順位、総合の点数や順位もさることながら、各教科のどの単元のどういった設問を間違えたのか。間違えた理由は何か。時間にゆとりのあった教科はどれか、時間が足りなかった教科はどれかなど、様々な観点から試験の結果を検証していくと、最終的な詰めの段階において有効な対策をすることができるのではないでしょうか。

 特に間違えた設問の点検において、ちょっと注意すればできたかもしれないもの、過去の学習事項を点検し理解しなおせば十分に対処できるものについては、少し時間を使えばテコ入れが可能です。また、ある単元が全然仕上がっていないことが判明した場合、そこを重点的に取り組むことも必要でしょう。模試で提供するデータのなかには、各設問別の正答率があります。ほとんどの受験生ができていた問題を落としていたら、そこはぜひとも補強しておきたいところです。逆に、大半の受験生が落としている問題ができていたら、そこは大いにアドバンテージがある部分ですから、元気が湧いてくることでしょう。

 ただし、あれもこれもと欲張って取り組んだり、難しい内容の学習にむやみに手をつけたりしても、却って不安や焦りが生じて逆効果になりかねません。弊社の会員受験生であれば、「アタック」などの基礎内容を1問1答式にチェックできる副教材を使ったほうがよいでしょう。基礎が不十分な単元を、今の時期になってから猛烈に追い込もうとすると、お子さんはパニックに陥ってしまいかねません。不十分な個所は、基礎的内容を問われたら答えられるようにしておく、といった程度の調整でよいのではないでしょうか。

 もう一つ。時間が足りなくなった教科があれば、その理由をしっかりとチェックしておいたほうがよいでしょう。時間が足りなくなった理由として、お子さんにとって難しいと感じた問題に時間を取られたとしたら、それはそれこそ“時間の無駄”です。ほとんどの中学校は、60~70%の問題が解けていれば合格だということを思い出してください。「これは難しいぞ」と思ったなら、その問題はパスして構わないし、むしろパスすべきです。粘って考えるか、即座にパスすべきか、その判断のしかたについて学べるのも模擬試験です。

 これは時間が不足したかどうかに限らない話ですが、入試は全問正解を問われる試験ではありません。捨てるべき問題をかぎ分け、できそうな問題を確実に拾っていくのが入試での鉄則です。そういった意味での反省点を親子で洗い出し、最後の調整をしていただけたらと思います。

20141117b 親子共々がっかりする結果が返ってきても、くよくよしないことです。「合格可能性」で表示された%は、あくまで過去の統計から割り出したデータにすぎません。試験の受けかた一つで同じ受験生でもずいぶん違ったデータになるものなのです。本番で、いかに落ち着きを失わず、自分のできる問題を見つけ、しっかりと正解を引き出せるかどうかが重要なことです。

 模擬試験の最終回では、以上のような点も踏まえ、お子さんには本番のつもりで臨むようアドバイスしてあげてください。そのうえで結果を親子で検証し、残された期間を最大限に活かした仕上げ学習を実践していただきたいと存じます。

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おかあさんに求められるリーダーシップとは!? その1

2014 年 11 月 13 日 木曜日

 今回は、弊社の各校で実施した「後期 おかあさんの勉強会」の第1回目の内容をご報告します。この回は、「おかあさんに求められるリーダーシップとは!?」(副題:子どもの自立を促進する子育て研究)というテーマで実施しました。

 筆者はこの催しの企画・立案者です。そこで、実際に行われている様子を確かめるため、ある校舎の勉強会に参加させていただきました。会場の教室に足を踏み入れると、すでにおかあさんがたが笑顔で談笑されていました。おそらく前期(春)の勉強会で知り合い、仲よくなられたのでしょう。「こうしたことも、双方向性のある催しのよい点なのだな」と改めて実感することができました。

 さて、このテーマで勉強会を進めるにあたっては、「そもそもおかあさんのリーダーシップって、どういうものなの?」という質問が出てきそうですね。そこでまず、親のわが子に対するリーダーシップとは何かについて簡単にご説明しておきましょう。

 親はわが子に対して、「こういう子どもであってほしい」という期待の気持ちをもっています。中学受験生の親であれば、「毎日、予定した勉強にしっかりと取り組んでほしい」「テストでよい成績が得られるよう、がんばってほしい」と願うでしょう。

  こうした期待や願いを現実のものにするにあたっては、子どもが「おかあさんの言うような行動をとろう」「おかあさんの望むような人間でありたい!」という気持ちをもっていなければなりません。子どもにこのような気持ちを起こさせる無言の力。それが「親のリーダーシップ」なのだということを、参加されたおかあさんがたにお伝えしました。

 つまり、親のリーダーシップとは相手を強制する力ではありません。子どもの心のなかに、自然と「親の期待に添おう」という気持ちを宿らせる力なんですね。

 ただし、親子は血縁という極めて強い絆で結ばれた関係であり、毎日生活をともにしています。距離が近すぎるため、つい親は「子どもは親の言うことを聞いて当然」と無意識に思い込みがちです。

 むしろ、適当に距離のある関係のほうが互いを気遣う気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。その証拠に、親はわが子だとつい「言うことを聞きなさい!」といった命令口調になりますし、わが子が口答えをしようものなら思わず怒鳴ってしまうことすらあります。これでは親のリーダーシップはうまく機能してくれません。おたくではどうでしょう。

 こういった点をおかあさんがたにお伝えしたうえで、まずは最初のワークに入りました。ワークというのは、あるテーマに基づいておかあさんがたに話し合ってもらうことを言います。

 最初のワークのテーマは、「親の期待や気持ちはわが子に十分伝わっているだろうか」「今のところ、受験勉強は親の期待に沿った方向で進んでいるだろうか」「がんばれないときは、どういう理由でがんばれないのだろうか」といった内容で、各グループをさらに細かく分け、2人1組で話し合っていただきました。一通り話を交換し終えたところで、今度はグループ全体の話し合いに移りました。内容は、2人1組で話し合った内容を受け、現状をどう思うかについて気軽に感想を述べ合うというものでした。

 子どもの行動、勉強への取り組みは、親がどのようなリーダーシップを発揮しているかで違ってきます。子どもが自分のすべきことを理解し、率先して取り組むようになるには、親はどのようなリーダーシップを発揮すればよいのでしょうか。

 そこで次は、「リーダーシップにはどのようなタイプがあるか」を、全員で確認していただきました。筆者がファシリテーターの資格を取得した、ある民間教育団体(世界の80か国以上にネットワークがあります)の資料によると、親のリーダーシップのスタイルは、次の5つに分けられています。

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 さて、どのタイプが理想的な親のリーダーシップでしょうか。もはや説明するまでもないでしょうが、(5)のタイプです。

 勉強会では、5つのタイプの特徴を上表を使っておかあさんがたにご説明しました。そして、「リーダーシップのタイプは個人内に1つだけあるというよりも、いくつものタイプの要素を併せもっている人のほうが多いということ、その中で最も強く出ているものがその人のリーダーシップのタイプであると受け止めてくださいということをお伝えしました。

 説明を一通り終えた後、2つ目のワークに入りました。今回も、まずは2人1組で話し合ってもらいました。ワークの内容は、「理想のリーダーシップである(5)のタイプの親になるために、今課題となることは何か」「子どもが期待通りにしてくれないとき、どう対応しているか」というものでした。理想と現実のどこにギャップがあるのかを気づいていただくのが、このワークのねらいです。

 一通り話し終えたところで、今度はグループ全体で「(5)のリーダーシップに徹することができるか。難しいと感じるとしたら、その理由はどんなことか」というテーマに基づいて話し合っていただきました。

 みなさんお気づきになっておられるかと思いますが、子どもを自立型人間に育てるには、(1)のように子どもを我儘放題にしてもいけないし、(3)のように親が全てをコントロールしてもいけません。(4)のように、まだ行動規範の身についていない子どもに判断を委ねるのも間違っています。

 ではどうしたらよいのかですが、(5)のタイプの説明に重要なキーワードがあります。それは、「境界線」という言葉です。次回、この境界線という言葉の意味と活かしかたを中心に、おかあさんの勉強会の後半をご報告させていただきます。よろしければお読みください。

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