12歳の受験は二度とない

2015 年 1 月 6 日

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 弊社は昨日から2015年の活動を開始しました。4~6年部の冬期講座も、昨日より再開しています。筆者も昨日から年末年始のブランクを埋める仕事に追われ、ブログ記事の更新ができませんでした。一段落したところで、いよいよ受験シーズンが訪れるにあたって、受験生家庭の保護者に何か激励のメッセージをお届けできればと、パソコンの画面に向かった次第です。

 年が明けると、受験を控えた6年生家庭の雰囲気が一気に変わってきます。12月いっぱいまではお子さんも、「入試まで、あと1か月を切った」と自覚するものの、「いよいよ本番だ」という差し迫った気持ちには至っておられなかったのではないでしょうか。保護者の方々にしろ、同じだったかもしれません。

 しかし、いよいよ新年を迎えると気持ちは一気に入試モードに変わります。「入試本番まで、あと○○日しかない」と、親子共々身の引き締まる思いをされているのではないでしょうか。

 受験まで残された日々は不安との闘いの毎日でもあります。12歳の子どもが、「落ちるかもしれない」「受からなかったらどうしよう」という不安と闘いながら受験本番に臨むわけですから、少し酷なように思う人もあるかもしれません。

 小学校の受験を経験したお子さんも、自分自身の受験として捉え、「どうしてもこの学校に受かりたい!」という気持ちを強く抱いて入試に臨むのはおそらく今回が初めてのことでしょう。まして、受験というものを経験したことのないお子さんの気持ちはいかばかりでしょう。

 しかしながら、今から受験を終えるまでの毎日は、かつて経験したことのないほど凝縮した、たとえようもなく密度の濃い大切な時間です。この時間を通して受験生の子どもは自分の揺れ動く気持ちを克服し、受験に向けた最後の覚悟を決める経験をします。この経験は、12歳の春にしかできません。今を精いっぱいに生きる。こうした気持ちを体験することこそ重要なことではないでしょうか。

 お気づきになったかたもおありでしょう。今回のブログのタイトルである、「12歳の受験は二度とない」は、徳川頼宣(家康の十男)の14歳のときの逸話をヒントにいただいたものです。

 大坂夏の陣が起こった際、徳川頼宣も出陣して先手の大将を所望したところ、まだ14歳という若さのため家康の許可が得られなかったそうです。いよいよ戦が始まると、「居てもたってもいられない」とばかりに苛立つ頼宣に、家臣の一人が「殿はまだ14歳とお若い。これから戦はいろいろございますから」と諌めました。すると頼宣は、「頼宣、14のときが二度あるか」と泣いて叫んだそうです。それを本陣で伝え聞いた家康は、「ただいまの一言、槍一番にて候(今の一言こそ、この戦最初の手柄である)」と喜んだと言われています。

 このエピソードにある「14のときは二度とない」の言葉は、「人間にとって、そのときそのときの時間は二度と取り戻すことのできないものである。その一瞬一瞬こそ、大切にして生きなければならない」ということをわれわれに教えてくれるでしょう。こうした、今という時間の重さを初めて味わっているのが、まさに入試を目の前にしている受験生ではないでしょうか。

 もしもお子さんが不安に揺れて落ち着かない様子であれば、「今更不安に振り回されても意味ないよ。自分の精一杯をぶつけてくればいいんだからね」などと、優しく励ましてあげてはどうでしょうか。あるいは、「受かっても受からなくても、あなたはおかあさんの子なんだから、何も心配なんてする必要はないよ」と、ゆったりと構えてあげればよいのだと思います。そうすれば、お子さんは平常心を取り戻し、きっと目の前の入試に怯むことなく臨む決意を固めることでしょう。

 昨年12月のブログにも書きましたように、わが子が入試会場に入ったらもう親は何も手助けはできません。入試を目の前にしてからの親の役割は、「わが子をいかにして平常心のもとで入試に向かわせるか」に尽きるでしょう。つけ加えるとすれば、健康管理ぐらいです。

20150106 「今から受ける試験は、自分を試すまたとないチャンスだ。どれほどのことができるか、やるだけやってみよう!」――お子さんが入試の重圧を乗り越え、このような積極的な気持ちで入試に臨めるよう、最後のケアとサポートをよろしくお願いいたします。

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カテゴリー: ごあいさつ, アドバイス, 中学受験, 子育てについて

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