2015 年 7 月 のアーカイブ

夏の講座が始まりました

2015 年 7 月 27 日 月曜日

 夏休みの講座が始まりました。暑い盛りの時期の学習ですが、子どもたちは元気いっぱいの笑顔で教室にやってきてくれています。健康管理にも十分気をつけ、講座の最後まで充実した学びの生活を実現していただきたいと念じています。

① 6年生「中学受験夏期講習」 入試必須内容を総点検!

20150727a 夏休みの前半は、全19日間の日程で「中学受験夏期講習」を実施します。この講座で入試全範囲における必須内容を総点検します。「応用力養成期」は5月から始まっていますが、4月末に基礎内容の学習を終えたばかりの段階ですから、まだまだ入試問題のレベルとは学力的に大きな隔たりがあります。そこで、既習事項の全範囲を点検しながら学習レベルの底上げを図り、入試問題に取り組めるようになるための橋渡しをしてきましたが、「中学受験夏期講習」はその最終段階となります。

 この講座では、入試に出題される全範囲を一通り学べるので、基礎から応用へと順調に学力を伸ばせているかどうかを確かめることができます。重要単元ごとに、学習の進展の度合いをチェックしながら、足りないところを補っていきましょう。既習事項のチェックと底上げを図れるチャンスはこの講座が最後になります。19日間の講習を最大限に活かし、基礎の総仕上げを果たしましょう!

 来るべき入試まであと半年です。「 1日たりとも気を抜かないぞ!」という気持ちで、しっかりと取り組んでほしいですね。

 「中学受験夏期講習」の終了後は、盆明けから8日間の日程で「夏期集中特訓」を実施します。この講座から、いよいよ入試問題への取り組みが始まります。これまでの講義形式の授業と異なり、この講座は演習形式の授業になります。「入試問題」への取り組みに、「演習型授業」の新鮮さが加わり、子どもたちの入試への意識が一段と高まるのがこの講座の特色です。

 「基礎が身についていたら、入試問題も怖くない!」そんな手応えを得て、秋からの総仕上げ学習に弾みをつけましょう!

② 4・5年生「夏期講座」 生活にリズムを!

20150727b 4・5年生の夏の講座は、夏休み前半の「夏期講座(14日間)」と、盆明けから始まる「夏期集中特訓(8日間)」の二つがあります。このうち、日数的にも内容的にも中心となるのが「夏期講座」です。

 「夏期講座」では、夏休みまでに学んできた単元を引き継ぎ、年間カリキュラムに沿ってさらに先へと学習を進めていきます。

 これまで会員として通学してきたお子さんも、初めて弊社の教室に通うお子さんも一緒に学んでいただきます。後者に該当するお子さんのご家庭のなかには、「うちの子はついていけるだろうか」と心配されているかたもおありでしょう。だいじょうぶです。毎回の授業は、テキストの定められた単元に基づき、基礎内容がしっかりと理解できるよう丁寧に進められます。この授業に積極的に参加し、家に帰ったら、テキストのその日の学習範囲の復習にしっかり取り組んでください。それができれば、初めてのお子さんも心配無用です。

 4・5年生には、まだ入試に向けた心構えもできていませんし、そもそも受験生であるという意識も希薄です。そんな子どもたちが、暑い盛りに受験勉強をするのですから、大人は「ちゃんとやれるかな?」と心配しがちです。しかしながら、子どもたちは元気いっぱいに教室にやってきてくれます。教室内は冷房が効いていますし、4・5年生の授業は主に午前中に行われます。また、普段と違って毎日塾に通うのが新鮮なのか、楽しそうな笑顔を浮かべて授業を受ける子どもがたくさん目につきます。

 気をつけたいのは生活の乱れです。朝の起床時間、夜の就寝時間がまちまちになり、生活のリズムが乱れてくると、やがてそれが勉強にも波及してきます。家庭での勉強は、決めた時間の範囲でやれればOKです。毎日の決め事がリズムよく行われるよう配慮してあげてください。

③ 夏休みの勉強は「短時間集中型」で!

 暑い時期の勉強は、「量」ではなく「質」を重視しましょう。理由についてはここで申しあげるまでもないと思います。「暑さ」は、人間の気力も体力も奪います。無論、エアコンの効いた部屋での勉強は快適ですが、1日というスパンで見ると、空調の利いた場所とそうでない場所を相当行き来していますから、体は疲れやすくなっています。ですから、何につけ集中は長続きしにくいものです。

 そこで、いかにして集中力の伴った勉強を実現するかという話を少し。人間の血液は体重の6%ほどだと言われます。ですから、体中に血液を一杯循環させることは不可能で、激しい運動をしているときは筋肉に重点的に血液が流れ、食事をしているときには消化器系に重点的に流れます。

 では、脳に血液が十分行き当たる条件とはどういうものでしょう。脳に血液が十分いきわたるには、少しおなかがすいている状況がふさわしいと言われます。これに加え、しのぎやすい時間帯、落ち着いた静かな環境設定といった条件を加えると、勉強に集中できる条件が整ってくるのではないでしょうか。

 たとえば夕食前、夕食後ある程度時間が経過してから、早朝などの時間帯が勉強にふさわしいでしょう。この時間帯に、他の刺激で集中が乱れないよう周囲が配慮してあげれば、効果があがるでしょう。人間の脳は、絶えず受容した刺激に反応するような性質をもっていますから、勉強している内容に集中するには、ほかの刺激が入り込まないようにする必要があります。「ながら」勉強がいけないのは、他の刺激が混在すると集中する対象が次々に切り替わり、勉強の成果を妨げてしまうからです。

 このように、人間は機械のようにスイッチ一つで能力をフル稼働させることができません。他の気になることがあれば、集中力を失ってしまいます。集中力が稼働する条件を整えた学習を、ご家庭それぞれに考えてあげてください。

④ 睡眠の取りかたを工夫すれば、学習の能率があがる!

 学習成果をあげるための方法として、「早起き学習」がよく話題にされます。先ほども、夏休みの学習成果をあげるための方法として、「朝早く起きて学習する」という提案をしました。

 しかしながら、多くの人は「朝が早いと、寝覚めが悪くて頭が働かない」と言います。子どもにもそういう傾向があります。ですから、「朝早めに起きて、スッキリとした状態で勉強しましょう」とお伝えしても、「スッキリどころか、ボーッとしてしまいます」と逆のことを言われてしまいかねません。

 なぜこのように寝覚めの悪い人が多いのでしょうか。おそらく、夜の就寝時間が一定していない、もしくは睡眠不足が原因ではないかと思います。みなさんの寝覚めはどうでしょうか。

20150727c 朝の寝覚めには、睡眠の深さも関係しています。眠りの深さは常に一定の状態ではありません。毎日8時間くらい規則正しく寝ている人は、眠りの深い状態と浅い状態をだいたい2時間おきに繰り返していると言われます。つまり、眠りの深さは波をつくっている(8時間睡眠なら4周期)わけですが、その波はだんだんと小さく(眠りが浅く)なっていきます。そうして、自然と目覚めればスッキリとした朝を迎えられます。

 しかし、就寝時間が不規則だったり、睡眠時間が少なかったりすると、この眠りの波がよい周期で繰り返されないため、眠りが深いときに起きなければならなくなるなど、「スッキリ」とした朝を迎えられなくなりがちです。

 ご存知かと思いますが、前の日に学んだ事柄は、睡眠によって整理整頓されて記憶に残されます。早朝に学習すると、その整理された記憶をもとに学べるわけですから、より強固な記憶になるし理解も促進されます。テストのときに忘れてしまっていたり、断片的な記憶に留まっていたりしたために問題の正解を得られない、などということが随分少なくなります。

 どうでしょう。早朝学習、なかなかよいと思いませんか? 実行に移すには、決まった時間に就寝し、7~8時間の睡眠をとることです。現状の打開を考えているご家庭はぜひ試してみてください。

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「スローリーディング」をしてみませんか

2015 年 7 月 24 日 金曜日

 比較的時間を取りやすい今の時期は、本好きな子どもにとっては、読書に勤しむのによい時期だと思います(夏休みの宿題として「読書感想文」が出されるのも、そうした理由が主なのでしょうし)。
 本が好きなら「この本も読んでみたい」「次はあの本を」と、どんどん読み進めていきたいものですが、それと対照的に、1冊の本をゆっくりと読み進める「スローリーディング」という読み方をご存知でしょうか。

 スローリーディングとは、「速読」ともいわれる「ファストリーディング」と対をなす読法です。後者がビジネス書や資料などを短時間で読む目的に向いた方法であるのに対して、前者は1冊の本や文書をじっくり時間をかけながら読み解いていきますから、小説や随筆(場合によっては新聞も)などを読むのに適した方法だといわれます。それぞれに用途がありますので、どちらの読み方が優れているかなどは一概にいえませんが、特定の本の読みをしっかり深める、その文書の理解をきっかけにして自らの考えを深めるという意味では、スローリーディングは非常に効果的な方法であるといえます。

 このスローリーディングを取り入れた実践例として有名になったのが、灘中学で国語を担当されていた橋本武先生の授業です。後に神奈川県知事になった黒岩祐治氏の著書で紹介され、その後も多くのメディアで取り上げられました。
 橋本先生は、当時まだ進学校として認知されていなかった灘校で、200ページほどの薄い単行本1冊を3年間かけて読み解きながら「遊ぶ感覚で学ぶ」という、教科書を全く使わない型破りな国語の授業を展開されました。灘中学・高校の6年間持ち上がりという独特のシステムによって、6年に1度の新入生しかこの授業を受けられなかったそうですが、その第2期の教え子達が京都大学合格者数日本一、第3期では東京大学合格者数日本一となり、その後も多くの卒業生が各分野の第一線で活躍するなど、その授業を受けた教え子達が輝かしい成果を残していることで知られています。
 先生は、「スローリーディングで身につけられる力」として、文章力・読解力が向上する、自分で考える力がつく、好奇心が刺激されて学ぶことが楽しくなるなどの点を挙げられていますが、何より大切にされていたのは、子ども達が「国語を好きになること」でした。追体験や寄り道満載の独創的な授業を展開するようになったきっかけは、子ども達に国語や本を読むことの楽しさに気づいてもらい、それを好きになってほしかったからだと述べられています。

 ぜひご家庭でも、もっと「国語を好きになること」を目標に、スローリーディングに取り組んでみてはいかがでしょうか。
 小学生のお子さんが取り組む場合には、与えられた作品を抵抗なく読み始められる中高生とは異なり、まずは本人が興味をもてる本を対象として選ばなければなりません。できるだけ本の世界に入り込みやすいように、お子さんのお気に入りの本があるならそれを対象にし、現時点で特にないなら好きな分野の本を図書館などで見つくろって、それをじっくり読み込むことにしましょう。

 読む本が決まったらいよいよスタートするわけですが、単に「じっくり読んでみなさい」というだけでは、普段の読書とさして変わりません。お母さん・お父さんも一緒にその本を読んで(または事前に読んでおいて)、お子さんを本の世界に導くナビゲーター役になってください。前出の橋本先生の授業でもポイントの一つになっていた「追体験」を取り入れ、お子さんに本の世界をじっくり味わってもらうために、そこに描かれた事柄を一つ一つ体験させてあげてほしいと思います。
 本の中に登場してくる事柄のうち、実際にお子さんと楽しく体験できそうなものや、「これを押さえておいたらお話をもっと深く理解できそうだな」というポイントを順に取りあげ、それを親子で一緒に追体験してみましょう。例えば、「主人公が食べていたあの料理を、今夜一緒に作って食べてみようか」とか「本に出てきた◯◯の木って知ってる?明日森の中に見に行ってみようよ」などと実際にやってみることで、お子さんは本に描かれた世界をストーリーに沿って体験することができ、お話の世界をより具体的に思い描くことができます。
 部屋の中で活字を追うだけの読書とは違い、実際に自分の身体を動かして体験したことと結びついた記憶は、鮮明な思い出とともに子どもの中に深く残っていくものです。こうして追体験を重ねながら読み進めていけば、本の世界をより味わい深く堪能することができるに違いありません。

 忙しく過ごしているうちは、長い時間をかけて1冊の本を読み続けることはなかなかできませんから、比較的時間の取りやすい夏休みは貴重な機会です。数多くの本をどんどん読み進めるのもいいものですが、この夏休みは読み込んでみたい本を決めて、ぜひスローリーディングに取り組まれることをおすすめします。親子で一緒にたくさん寄り道しながらお気に入りの一冊を読み進めることで、国語や読書をもっと好きになれると思いますよ。

(butsuen)

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カテゴリー: 家庭での教育, 小学1~3年生向け

“習慣力”が子どもの勉強を楽にする! その2

2015 年 7 月 21 日 火曜日

 前回に引き続き、前期第2回目の「おかあさんの勉強会」の内容や様子をご報告します。おかあさんの勉強会は、一方向的な説明会スタイルでもなく、1対1の面談スタイルでもなく、おかあさん同士の話し合いの機会を採り入れた、双方向的なコミュニケーションの場です。おそらく、全国の学習塾ではあまり見られないユニークな催しであろうと自負しています。

 さて、勉強会の報告に移りましょう。前回は、いくつかのチェック項目の結果を通して、「わが子の学習習慣はどの程度根づいているか」をご家庭ごとに診断していただいたところで終わりました。

 学習の習慣づけの現状を振り返っていただいたのは、学習の習慣化を図るプロセスで勉強の面白味が少しずつ分かるようになり、それがやがて学習意欲へとつながっていくからです。勉強というと、すぐさま「意欲が大切」と思いがちですが、こういう発想で親がわが子にアプローチすると、たいがい注意や叱責という形になり、逆効果を招いてしまいます。学習を習慣化する場合も親の関わりが必要ですが、こちらのほうが子どもへの働きかけがずっと自然体で行えます。ぜひ試みていただきたいですね。

 実は、日本人は物事を成就させ、安定した結果を引き出すための方策として、昔から“習慣化”という手法を用いてきました。同じことを毎日のように繰り返し、無意識のうちにできるようになる。それが、何をやるにつけ効率よくやり遂げること、安定した結果を得ることにつながるからでしょう。

 そこで次の話題、③「習慣化はものごとを成功させる一番の方法」へと進めていきました。習慣化によって物事をうまくやり遂げるようになるということが、われわれ日本人にとってはおなじみの方法であり、誰でも成果をあげられるのだということに気づいていただくことを意図しました。

 20150721a学校では、朝礼、朝の授業前読書、全員での瞑目、一斉清掃、夏休みのラジオ体操など、規律正しい行動を根づかせたり、物事への取り組みの定着を図ったりするために、“習慣化”という手法を頻繁に用いています。これをお読みくださっている人のなかにも、何らかのことを習慣化させ、日課として定着させているかたがおられるのではないでしょうか。ちなみに、筆者は毎日早朝に起床し、40分の「ジョギング&ウォーキング」をしています。今では、降雨の日は残念で物足りない気分になるほどです。

 習慣について書かれた本に、「習慣化は、日本人のメンタリティに合った方法である」という著述があります。この本の著者によると、メジャーリーグで長年活躍しているイチロー選手は、朝の起床から夜の就寝までの様々な行動をルーティン化し徹底的に繰り返すことで、試合での安定したパフォーマンスを得ているとか。

 ただし、この方法はどうやら日本人だからこそ実行できることのようで、他のメジャーリーガーがイチロー選手の好成績の秘密としてその話を聞くと、例外なく「1日や2日ならともかく、毎日続けるなんてとても無理だ」とあきらめるそうです。

 少し脱線話のようになりましたが、こういう話もその日の勉強会ではおかあさんがたにご紹介し、「習慣化は日本人に合った方法です。習慣化がうまくいくと、毎日の家庭学習にリズムが生まれますから、安定した学習成果が得られるようになります。さらに、毎日決まった日課、ルーティンをこなすことは、精神面の安定と自信につながり、テストなどの緊張する場面でも普段通りの自分の力を発揮できるようになります」などのことをお伝えしました。

 習慣化の効能についてお話ししたところで、ワーク2へと移りました。このワークでは、「家庭学習でルーティン化すべきものは何か」をテーマに掲げました。

 受験生活において、毎日ルーティンとして取り組むべきものとして何があるか。このことについては、家庭ごとに掌握度が違っているかもしれません。親がどこまで関与するかはともかく、わが子がその日その日に取り組むべきことを知らなければ、いつ何をサポートすべきかの判断もままなりません。そこで、ワークではまず、おかあさんがたにマナビーテスト(2週間ごとに実施されるテスト)終了から次のマナビーテストまでの2週間に、家庭学習として何をすべきかをリストアップしていただき、表に書き入れていただきました。

 記入が終わったら、一人ひとり順にリストアップした内容をグループ内で発表していただきました。他の人がリストアップしていたことを挙げ損なったり、勘違いに気づいたりされたかたもあったと思います。このワークで、曜日ごとの家庭学習の課題が明確になれば、ルーティン化に向けた具体的な方法を検討することができるでしょう。

 ワークを通じて、わが子の毎日の学習課題を改めて具体的に確認し、「うちの子は、結構大変な勉強をしているんだな」と思われたり、「もう少ししっかりと掌握しておけばよかった」と反省されたりしたおかあさんもあったかもしれません。そのことも重要なことです。わが子の学習すべきことがわかっていれば、より的を射たアドバイスができるのですから。

 さて、いよいよこの日の最後のテーマ、④「行動の習慣化を促進するための作戦」に移りました。「習慣化」は、物事への取り組みをレベルアップさせたり、何かを成功に導いたりするうえで有効な方法であり、しかも日本人のメンタリティに合っているという話をご紹介しましたが、実際にどう習慣化するかとなると、これもまた簡単ではないと思われるかたも少なくないでしょう。

 そこでこの項では、ルーティン化を図るための作戦を弊社から二つほどご紹介しました。一つは、毎回のマナビーテストへの挑戦に絡めて、「小さな目標」を掲げるということです。またもう一つは、小さな目標の達成を促進させるためのルーティンをいくつか考え出すことです。

20150721bb もう少し具体的にご説明しましょう。まず一つ目の「小さな目標」ですが、努力の継続によって達成可能であり、お子さんに励みや自信が得られるような目標を、親子の話し合いで定めましょう。これと同じような提案を、「学びの飛躍をこの夏に!」というイベント(6月19日に西区民文化センターにて実施)でしていますが、その際は夏期講座を軸とした夏休みの学習のなかから目標を見つけ出すことをご提案しました。

 このブログを読んで、もしも参考にしようと思われたら、夏休みの学習に向けて小さな目標を掲げるほうがよいかもしれませんね。たとえば、「算数:夏期講座の最終日のテストで平均点を超える!」という数値目標のようなものでもよいですし、「夏期講座の授業後の復習を、全教科必ずする!」という毎日の積み重ねの努力にスポットを当てたものでもよいでしょう。大切なのは、がんばれば実現可能なレベルの目標で、お子さんの励みとなる目標になっているかどうかです。

 二つ目の「何をルーティンにするか」ですが、小さな目標の達成を促進するために必要なことは何かを吟味し、継続的に努力を続けていくべきものをリストアップし、その中から絞り込むとよいでしょう。たとえば、「国語の読解力向上」を目標として定めた場合、小学生ですからテスト成績に直結するテクニック的なものに目を向けるより、読みの力を底上げしていくことに目を向けるべきです。そこで、テキストの文章の「音読」「段落分け」「要約」などの練習などを候補に挙げるのもよいと思います。

 これらは、いずれも「面倒だ」といってお子さんが嫌がる作業です。だからこそ読解力が育たないのですが、できるだけ取り組みの敷居を低くし、やれる範囲に留める代わりに毎日するよう促してみてはいかがでしょう。そして、少しでもがんばっていたら喜んでやったり、音読などは聞いてやるといったような協力も親には必要なのではないかと思います。

 報告が長くなってしまいました。おかあさんがたとともに、小さな目標を達成するためのルーティンについて一緒に考えたところで、ワーク3「『小さな目標』設定 → 達成するためのルーティンを考える」に取り組んでいただきました。このワークでは、わが子の現状を振り返り、仮に目標とすべきは何かを考え、その目標を達成するために必要と思われるルーティンをいくつか挙げる練習をしていただきました。

 「小さな目標の設定」→「目標達成を促進するために、いくつかのルーティンを決めて実行する」――これは、弊社の会員家庭ならずとも、この夏休みにぜひ試みていただきたいことです。そうして、習慣づけから物事の達成への流れが築けるということを実感されれば、これから先の学びの生活においても大いに役立つのではないでしょうか。

 ワークの終了後は、各校舎の校舎長のまとめの言葉でこの日の勉強会を終了としました。

 これで「おかあさんの勉強会」の報告は終了ですが、最後に4・5年生という時期に大切にしたい習慣としてあげたいのが「基本的生活習慣」です。これが自立していないお子さんは、学習の習慣化もままなりません。前述の教育社会学者は、基本的生活習慣として具体例を6つ挙げておられましたので、ご紹介しておきましょう。

「朝、しっかりご飯を食べる」
「夜更かしをしない」
「朝、決まった時間に起きる」
「テレビを観たり、ゲームで遊んだりする時間を一定の枠内に
 収められる」

「宿題をきちんとやれる」
「前の日のうちに、翌日の学校の準備ができる」

 どうでしょう。以上のような基本的な生活習慣が自立しているということが、実は「勉強に向いた人間になる」ということを意味します。勉強面でのがんばりを利かせるには、生活面での基盤を健康的でしっかりとしたものにするのが前提だからです。こうした面を今一度親子で振り返ってみませんか? もしも、上記の6つのうちの半分以上に問題点があったなら、先にこちらのほうに目を向けるべきだと思います。

 勉強のエネルギーは、生活習慣の自立から生まれます。この夏休みを、生活習慣の改善に充てて成果をあげたなら、秋からの学習に明るい見通しが立つことになります。今からでも決して遅くありません。物事の成就は、基盤づくりから果たせるものです。その必要性のあるお子さんについては、生活習慣から状況を変えていきましょう。

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内向型の方がリーダーに向いている?

2015 年 7 月 18 日 土曜日

 夏休みを迎えるということで、ここ最近の低学年向けの記事では、自由研究や体験活動などについて書かせていただきました。実際、「この夏休みには、わが子をいろんな所へ連れ出したり、色々行事に参加させてみよう」とお考えの方も多いと思います。
 しかし、同時に「うちの子は初めての場や集団の中で、ちゃんとやれるかな?」という点を気にされる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 どうしても、集団場面での「リーダー」として振る舞うのは、身体や声の大きな子どもの場合が多く、身振り手振りで周囲に指示を出す子どもの方が存在感を発揮するものです。「うちの子は引っ込み思案で・・・」という場合、わが子が一人で静かに考え込んでいる姿を目にすると、「新しい環境で色々経験させたいけど、大丈夫かな?」「みんなの前でもっと積極的に動けばいいのに」などと、心配や不安を募らせる方もいらっしゃることでしょう(私もその一人です)。

 これに関連して、先日ある記事で、興味深い実験結果を目にしました。
 それは、「乳幼児期に外部からの刺激に対して高い反応を示す子どもほど、その後は成長とともに内向的・内省的な傾向を示すことが多い」というものです。
 ここでは、「先天的な資質として外部情報に敏感に反応できる高い能力をもった子どもほど、受け取った情報を綿密に構造化して深く内面化しようとする傾向があるため、自然と内向的な姿勢が築かれていく」ことが理由として示されていました。確かに、雑多な情報が飛び交う中で、鋭い感性で重要なものだけを選り分けて受け取り、それについて時間を掛けてじっくり考えながら深く理解することができるという点は、人として社会人として大成するためには非常に重要な要素です。
 一般的な「リーダー」の姿としては、カリスマ性などのイメージとも結びついて、明朗闊達で何事にも物怖じせず、大きな声で皆を引っ張って・・・という人物像を思い浮かべられることと思います。しかし、それは対外的な一面のみを捉えたものに過ぎません。この記事によると、実際に世界的に著名な「リーダー」達は、大勢の前で演説する力強い姿とは別に、本当は物静かで思慮深く内向的・内省的な性格の人の方が圧倒的に多いのだとか。また、ニュートンやアインシュタインなど科学技術に革新的な発展をもたらした人達も、ほとんどが内向的な性格であると紹介されていました。
 念のための補足ですが、ここでいう「内向的」とは先に書いたような意味であって、単に内気であるとか社会性に欠けるといった意味ではありません。どんな性格であっても、周囲の意見に耳を傾けて理解した上で、自分の意思をきちんと伝えることができるという点は、リーダーシップの発揮に関してはもちろんのこと、集団生活を送る上で欠かせない能力であることは言うまでもありません。

 小学校低学年の時期は、それまで全面的に親に依存していた部分に関して、少しずつ「自分でやりたい」という考えが強くなる時期でもあります。これまではお母さんお父さんがついてくれているという安心感の中で過ごしてきた子も、いざ「自分で」と考え始めると自然と慎重になり、何事にも思慮深くなっていくのは、健全な成長の証であるともいえるのではないでしょうか。
 わが子が物静かで大人しく、親が思うようになかなか人前に出ていってくれないとお悩みの方がいらっしゃったら、もしかしたら、それはお子さんなりに頭の中で静かにしっかり考えを巡らせているところなのかもしれませんよ。
 時には背中をたたいて勇気づけることも必要ですが、いつも「しっかりしなさい!」と叱るばかりではなく、子どもがどういう気持ちを抱いて慎重になっているのか、その点に考えを巡らせて温かい声を掛けてみる・・・というのも一つの手かもしれませんね。

(butsuen)

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“習慣力”が子どもの勉強を楽にする! その1

2015 年 7 月 16 日 木曜日

 「おかあさんの勉強会」は、弊社4・5年部会員(週3日コース)のおかあさんを対象とするワークショップ形式の催しです。今年度前期も、例年通り全校舎で各2回実施しました。

 7月初旬に、最後に予定していた校舎の第2回目が終了しましたので、遅ればせながらおおよその流れと内容をご報告いたします。この回は、「“習慣力”が子どもの勉強を楽にする!」というテーマで実施しました。

 みなさんのお子さんは、勉強と遊びのけじめがつけられるようになっているでしょうか? 時間の切り替え、行動の切り替えがスムーズにできているでしょうか? こう問いかけると、返事もないのに多くのおかあさんが嘆き声を漏らしておられる様子を想像してしまいます。

 なぜなら、おかあさんがたから最も頻繁にもちかけられる相談が、「勉強の時間になっても、テレビから離れません。注意すると、いつも親子喧嘩になります」「やるはずの時間が過ぎているのに、いつまでもゲームにかじりついて勉強を始めません」など、勉強の実行力や勉強と遊びの切り替えに関するものだからです。程度の差こそあれ、 中学受験生を抱えておられるご家庭共通の問題ではないでしょうか。

 人間というものは、誰でも好きでないことには腰が重くなります。「やらなきゃ」とは思うものの、どうにも体が動いてくれません。それでも、大人はやらないとどんな事態を招くかを予想できますから、「しかたがない、そろそろ…」と腰をあげるのですが、小学生の子どもは先を見通して考える力が未熟な(だから子どもなんですね)ため、そのときの気持ちに引きずられがちです。

 今回の勉強会は、子どもの受験勉強の計画実行力を高めるための方策として、“習慣”に着目しました。決めたことを決めた時間にやれる子どもにするために、親としてどのようなサポートをしたらよいかを、“習慣づけ”を通して共に考えていただくことにしました。

 さて、筆者は前回と同じく、ある校舎の勉強会にゲストとして参加させていただきました。1回目よりは人数的には少なかったのですが、おかあさんがたはそれぞれにご自身の現状や思いを率直にお話しくださっていたように拝見しました。和気あいあいとした雰囲気のなかで、実りある話し合いの場ができあがったのではないかと思います。

 20150716aこの回の勉強会の最初のテーマは、①「意欲が先か?習慣が先か?」というものでした。まずは、おかあさんがたに「勉強にとっていちばん大切なのは、意欲でしょうか、それとも習慣でしょうか」という問いかけをしたのですが、”習慣”にスポットを当てた催しですから、答えの理由はわからないまでも、何が答えかは一目瞭然ですね。

 この問いかけに対する答えを、出席者全員に考えていただいたところでワーク1を始めました(この勉強会の「ワーク」とは、あるテーマに沿っておかあさん同士で自分の現状や考えを話し合うことを言います)。

 ワーク1は、「家庭学習の現状を考える」というテーマ設定で、まずはグループ(3~4名)内で、お子さんの家庭学習の計画性、自主性、取り組む時間、学習量、授業の予習(5年)と復習(4・5年)、テストの準備学習などの現状を順に報告しあっていただきました。

 他の家庭の現状を聞ける機会は滅多にないことですし、いろいろと参考になるようで、おかあさんがたは熱心に話したり聞いたりしながら情報を交換されているようでした。

 先ほども若干ふれましたが、小学生の子どものやることは、大人にはやや楽観的過ぎるように見えるものです。家庭勉強についても、計画をきっちり守る、やるべきことをわきまえて段取りよくこなす、テストを視野に入れた学習がしっかりできるならすばらしいのですが、小学校4・5年生にはまだ難しいようです。しかしながら、日に日に成長していく時期の子どもですから、親の働きかけ次第でよい方向に変化を引き出すこともできるのです。グループごとの情報ではありますが、「他の家ではどんな具合か」を聞いたなら、わが子が改めるべきいちばんの問題点はどこにあるかも明確になるのではないでしょうか。

 報告と感想の交換が終わったら、次は「お子さんが計画通りに勉強できない理由はどんなことですか」という質問を提示し、グループごとに話し合っていただきました。テレビやゲーム、漫画などを断ち切れないで、ずるずる時間が経過するという話をよく耳にしますが、みなさんのおたくではどうでしょうか。

 ワークを一通り終えたところで、「勉強で大切なのは、意欲か、それとも習慣か」という冒頭の問いかけの答えが「習慣」であるということをお話しし、習慣のもたらす作用について一緒に考えていただきました。

 何らかの負荷の伴う課題をやり遂げるうえで、何が行動実践の原動力になるかといえば、やはり「意欲」を挙げざるを得ません。親がわが子の勉強について注意をするとき、「やる気」や「意欲」という言葉が必ずといってよいほど出てくるものです。それなのに、あえて「習慣」に着目していただいたのはなぜでしょう。それは、「意欲」が生じるまでのプロセスで「習慣」が大きな作用を果たすからです。

 有名な教育社会学者は、習慣が意欲をもたらす事例として、「食習慣」と「食欲」の関係を取り上げて説明しておられました。その先生は西宮のご出身で、幼いころからイナゴの佃煮を食する習慣があったそうです。食べ慣れると、その食べ物のおいしさがわかるようになります。その先生もご多分に漏れず、イナゴの佃煮が大好物になったそうです。この事例をもとに、「食の習慣が食欲を生み出す」ということから、「学習の習慣づけが行われると、やがて勉強の面白味もわかるようになり、それがその人間の学習意欲を高めてくれるのだ」という流れをご紹介した次第です。

 これは、弊社に通う子どもたちを見ていても納得できることです。はじめから意欲満々の子どもなどほとんどいません。塾に通い、学習の手ほどきを受けることの繰り返しによって徐々に家庭学習の習慣が根づいていきます。そうした過程で、段々と勉強の面白さが感じ取れるようになり、それが家庭学習の習慣の定着をさらに後押ししてくれるようになります。このような好循環ができあがると、自然と塾でのテスト成績も上昇基調で安定していきます。そうして、ついには決めた勉強をやらないと自分が許せなくなるレベルに達していくのです。「意欲が高いからあんなに勉強ができるんだ」と見える子どもも、勉強が習慣として根づくまでのプロセスがうまくいった結果なのです。

 このことを踏まえ、「みなさん、まずは“わが子の勉強をいかに習慣づけるか”ということに目を向けましょう」ということをお伝えしました。

 ここまで進んだところで、いよいよ話題は“勉強の習慣づけ”に移りました。今度のテーマは、②「家庭学習の習慣化の現状を振り返って」となっています。

 弊社の教室に通学しておられるお子さんは、「塾での授業」と「家庭学習」が交互に繰り返されるシステムを基本とする学習生活を送っておられます(弊社の会員でなくても、ある程度同じことが言えると思います)。したがって、学習の習慣化はある程度浸透していると思われます。

 そこで、おかあさんがたにお子さんの「家庭学習の習慣度」をチェックしていただきました。チェックの項目は、たとえば次のようなものです。

・お子さんは、親から声をかけられる前に勉強を始めていますか?
・お子さんは、毎日決めた時間帯に勉強に取り組めていますか?
・お子さんは、毎回の授業に備えた準備(予習・復習・宿題など)をしていますか?
・お子さんは、2週間ごとのテストに備えた「まとめ学習」をしていますか?

 チェック項目は全部で6つでした。これらの項目の結果を見ながら、習慣がどの程度定着しているかを振り返っていただき、いくつか基本となるポイントをご説明しました。たとえば、「小学生の学習計画は、できるだけシンプルなほうがよい」「習慣化を促進するには、勉強の時間帯ができるだけ一定であるほうが望ましい」「学習計画は、親子で相談して立てるほうがよい」などです。

 習慣化を図ることで、物事を効率的に行えるようになり、安定した結果を得る。それは、われわれ日本人が古来大切にしてきた戦略の一つです。しかしながら、それを意識してやっている人は意外と少ないし、習慣化を図るという戦略のもつ効力の重要性を知らない人が少しずつ増えてきているように思います。後半のレポートは、そういった日本人の得意な戦略にもう一度スポットを当て、「習慣化こそ、学業成就の一番の秘訣である」という結論で結ぶまでのプロセスを、一緒にたどっていただければ幸いです。

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