「自由研究」のススメ

2015 年 7 月 1 日

 7月に入り、いよいよ夏休みが近づいてきました。
 低学年の子ども達にとっては「待ちに待った楽しい夏休み」だと思いますが、もちろん楽しいことばかりではなく、ほとんどの学校では多くの宿題や課題も待っています。
 先日、1~3年生の保護者の方々を対象にした「夏のおかあさんセミナー」を開催し、その中で、夏休みの宿題の取り組み方についても触れました。どのように計画を立てて取り組むかという点だけでなく、親からの働きかけ方や工夫などについてもお話ししましたが、夏休みの宿題の中でも特に時間と手間のかかるものとして、「自由研究」についてご説明しました。

 さて、この「自由研究」ですが、当社に通う子ども達が在籍する小学校や周囲の人達に少し確認したところ、毎年宿題として指定されている学校もある一方、学校やクラスによっては取り組み自体がないところもあるようですね。「1~6年生まで、『自由研究』を宿題として課すことが全くない」という学校があったり、自由研究の代わり(?)に、ジャンルを問わず何でも形にして提出すればOK(「研究」としてまとめなくてもよい)といったケースもあるとのこと。「自由」と名のつくものですから、取り組むかどうかも「自由」だという考え方もあるのかもしれませんが・・・。
 ただし、「子どもが知的な何かに熱中して取り組む」という本来の目的を考えれば、学校の宿題として出されるか否かは別として、自由研究は長い夏休みにおける活動のハイライトとなるべきものだと考えています。ある程度形の決められている他の課題とは違い、テーマ決め・計画段階からまとめに至るまで、自分で考えながら進めていく自由研究は、子どもにとってきっと貴重な経験になるはずです。また、こんなに時間をかけて何かを研究することができる期間は、夏休みぐらいしかありません。
 ということで、今回は、「夏休みの自由研究」をテーマにして、少し書かせていただきたいと思います。自由研究一

 低学年の子ども達が自由研究に取り組むにあたっては、自分一人でこなすことが難しい面がたくさんありますから、お母さんやお父さんの温かいフォローが欠かせません。その際、親が気をつけておきたいポイントがいくつかありますので、ご紹介します。
 1つ目のポイントは、自由研究に取り組む目的を忘れないことです。
 先ほども触れたように、本来の目的は「子どもが知的な何かに熱中して取り組むこと」にあります。低学年の自由研究では、どうしても親がフォローすべき部分はかなり大きくなりますから、色々と関わっているうちに、つい当初の目的があやふやになってしまいがちです。テーマ決めはもちろん、計画を立てる段階や実験や観察の補助、結果のまとめなど、様々な面で手助けをする必要がありますが、子どもが熱中して取り組むためには、子どもの興味関心や意見を尊重し、親は黒子としてサポート役に徹さなくてはなりません。どれだけ手を貸したとしても、子どもが「自分で研究した」という気持ちをなくさないよう、十分配慮してあげてください。

 2つ目は、他の宿題や習い事との配分を考慮し、無理のない計画を立てることです。
 自由研究は、しっかり取り組めば取り組むほど、当然時間も手間も大いにかかるものです。いくら時間のある夏休みといえども、他の宿題や通塾・習い事などもありますから、自由研究にあまり時間を取られてしまうようだと、他を圧迫して大きな負担になってしまいます。それを防ぐためには、親子で話し合いながら、最初に無理のない計画を立てておくことが必要不可欠です。思い通りに進まなかった場合には途中で修正する必要もありますから、「7月末までには◯◯と△△を、8月上旬までには□□をして、お盆明けからはまとめに取りかかろう」という程度でもいいので、少し余裕をもたせた段取りと計画を立てておきましょう。

 3つ目は、親は最初から研究のゴールをイメージしておくことです。
 自由研究には指定された形がありませんから、どんなテーマであっても、対象を広げたり調べを深めようとすれば、どこまでも追求することが可能です。また、観察や実験をすすめるうちに、想定外の結果が出てくることもあります(そうした点が研究の魅力でもあるわけですが)。すぐに到達できる簡単なレベルで終えてしまうと「熱中して取り組む」ことができませんし、反対に、考察すべき内容が子どもの理解できるレベルを大きく超えてしまうようだと、逆に挫折感を味わうことにもなりかねません。
 前2つのポイントとも重なりますが、子どもの負担になり過ぎずかつ達成感を得られるようにするためには、他の宿題や習い事などとの兼ね合いやわが子の発達段階などを考慮しながら、「今回このテーマで研究するのは、このレベルに達すればOK」というラインを、フォローする親があらかじめ頭の中でイメージしておく必要があります。そして、子どもが夢中になって研究をすすめるうちに、一定のラインまでたどり着くことができたら、大いに褒めて、当初の予定通りまとめに入れるように上手に誘導してあげてください。
 もちろん、時間的にも気持ち的にも余裕があって、お子さんが「とことん調べてみたい」ということであれば、それを追求できるのも夏休みの良いところです。その場合には、ぜひ取り組んでみてもいいのではないでしょうか(もしうまくいかなかった場合のフォローも忘れずに)。自由研究二

 最後に、自由研究に取り組むにあたって、最初のテーマ決めとともに頭を悩ませるのが、「どうまとめるか」ではないでしょうか。観察や実験がいったん軌道に乗ってしまえば、その段階は楽しく進められると思いますが、それをどう形あるものにまとめるのかという段階に至ったところで手が止まってしまうということも少なくありません。
 そんなときは、下の例のようなまとめ方の基本に沿って一つずつ形にしていきましょう。

①「テーマ(タイトル)」
②「研究を始めたきっかけ(なぜこの研究を始めたのか)」
③「研究の目的(何を目指して研究するのか)」
④「研究の方法(どんな方法で研究するのか)」
※研究結果を予想しておくと、⑤の「研究の結果」と対比しながら⑥に書くことができる
⑤「研究の結果(観察や実験の結果)」
⑥「研究のまとめ(⑤の結果からどんなことがわかったのか)」
⑦「気づきや感想(結果やまとめに対する自分の考えなど)」

 例えば、考えた内容や調べた結果をこの順に書きこんでいくと、うまくまとめることができます。ここに、必要に応じて、表やグラフ、デジカメで撮った写真や自分で描いた図などを加えると、研究データとしてよりわかりやすいものになり、見栄えも良くなるでしょう。
 1・2年生で、あさがおやへちまの観察など学校から研究内容が指定されている場合も、このような順番で進められるといいと思いますし、先生から記入する用紙が配付されている場合にも、これに準じたものになっていると思います。

 今回は、「自由研究のススメ」と題して書かせていただきました。
 ただし、自由研究が学校から出される宿題に含まれていないご家庭にとっては、「なぜわざわざ手間をかけてまで、自由研究に取り組まないといけないのか」とお感じの方もいらっしゃるかもしれません。
 先述のとおり、「子どもが知的な何かに熱中して取り組むこと」が目的ですから、その目的が達せられるのであれば、「自由研究」という形にこだわる必要はありません。しかし、夏休みに取り組めるものがたくさんある中で、もしお子さんの気持ちが「○○をもっと知りたい!」という方向に向いたならば、宿題であるかどうかに関わらず、この成長のチャンスを活かさない手はないと思います。
 自分なりにしっかり研究して夏休み中の頑張りを形として残すことができたなら、お母さん・お父さんから大いに褒めてあげてください。さらに、担任の先生にも見せて、先生からもたくさん褒めてもらいましょう。子どもにとって、こうした経験が、他では得難い達成感と大きな自信につながることは間違いありません。
 ぜひ、夏休みだからこそできる「自由研究」に取り組んでみてくださいね。

(butsuen)

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カテゴリー: 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴, 小学1~3年生向け

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