2015 年 10 月 のアーカイブ

2015年度「冬期講座」の会員募集について

2015 年 10 月 26 日 月曜日

 2015年度の冬期講座の会員募集が間もなく始まります。冬期講座の日程や大まかな内容は11月2日(月)に当ホームページにてご案内する予定です。新規に通学を希望されるかたは、お電話等で資料をご請求ください。折り返しご家庭へお送りいたします(発送は11月2日以降となります)。なお、現会員のご家庭には、11月の第1週中に案内や申込書をお届けします。
20151026B

 弊社の冬期講座の種類と対象学年は次の通りです。

①1・2年生「冬期集中講座」 <全校で実施>

 小学1・2年生には、合計3日間の短期講座をご用意しています。日程は1・2年生とも12月24日(木)・25日(金)・26日(土)となっています。わずか3日間ですが、冬休みは通常講座の「玉井式国語的算数教室」をいったん中断し、冬休み限定で当社のオリジナルカリキュラムに基づく学習指導(算数・国語)を行います(玉井式の講座は、冬休み終了後に再開します)。

 この講座は、パズルやゲーム形式の学習、タングラムやブロックを使った作業、身の回りのものを通して考える課題など、具体的でわかり易い学習体験を提供します。子どもたちが、勉強のもつ本来のおもしろさを体感できる講座内容となっています。

 先々、勉強に熱心に取り組む子どもに成長していくためのステップとして、勉強のおもしろさにふれる体験をしておくことは大変重要なことです。短期間ですが、発見や気づき、そして喜びや充実感のある学習をぜひ体験していただきたいと存じます。弊社の教室にまだ足を踏み入れたことのないお子さんにとって、塾がどんなところかを知るよい体験にもなるでしょう。

 なお、この講座は申込順に受け付けます。定員に達したらその時点で締め切ります。

② 3年生「冬期集中講座」 <全校で実施>

 こちらは、4年生からの中学受験対策の開始(4年部への入会)を視野に入れた子どもたちのための講座です。日程は、どの校舎も12月24日(木)・25日(金)・26日(土)28日(月)・29日(火)の5日間となっています。初日からの4日間は算数と国語の授業、最終日は学習成果を全員で競い合う「まとめのテスト」に挑戦していただきます。

 講座で学習する内容は、3年生の現時点までに学校で学んだことを前提とします。ただし、受験生活のスタートを視野に入れた子どもたちの「受験入門講座」と位置づけていますので、やや高度な内容も扱います。最終日のテストの結果で、お子さんの中学受験に向けた基礎学力の定着度を判断ください。

 長い受験生活を元気いっぱいに乗り切れる子どもにするには、勉強に対する積極的な姿勢をまずもって築くことが求められます。したがって、本講座においては勉強を難しくて大変なものだと子どもたちに思わせるのではなく、課題に興味をもたせ、「自分で解決したい」という欲求を引き出しながら、自然と勉強のおもしろさにいざなっていくような流れを意図して指導していきます。

 4日間の指導期間においては、「家に帰ったら復習をしておこう!」と呼びかけ、やり直しをしたらよくわかるようになることを実感してもらいます。ご家庭のおとうさんおかあさんにも、そういった声掛けやサポートをお願いしたいと存じます。

 なお、最終日の「まとめのテスト」は、弊社の4年部への入会試験を兼ねています。一定の成績(算・国平均6割程度が目安)をあげたお子さんには、入会資格を進呈します。例年250名~300名前後のお子さんが参加されていますが、おおよそ8割ぐらいのお子さんが入会資格を得ておられます。

 この講座は弊社の教室への通学を試していただく意味もあり、プリント代とテスト代(3,000円)のみいただき、学費はいただいておりません。また、申込順にどなたも参加いただけます(定員に達したら締め切ります)。該当学年のお子さんをおもちのご家庭は、この機会をぜひご利用ください。

③ 4・5年部「冬期講座」 <全校で実施>

 4・5年部の「冬期講座」は、冬休み前まで学んできた内容を引き継ぎ、カリキュラムを前へと消化していきます。日程は、12月24日(木)、25日(金)、26日(土)、28日(月)、29日(火)、1月5日(火)、6日(水)の、合計7日間となっています。

 これから通学を検討されるご家庭におかれては、「今からの入会でついて行けるだろうか。わが子は大丈夫だろうか」という心配もおありでしょう。

 4年生については、まだ基礎内容にゆっくり取り組んでいる段階ですから全く心配要りません。理科・社会は通常講座ではまだ指導しておらず、すでに通っているお子さんに対するハンディもありません。授業を受け、家に帰ってからしっかりとおさらいをする。そういう毎日を繰り返していると、自然と学習の要領もつかめてきますし、学習にリズムも生まれてきます。

 5年生は、基礎学力の仕上げ段階に入りつつあります。したがって、学校の進度よりはかなりはやくなっています。4年生同様、冬休み前までに学んできたことを、カリキュラムに沿って引き続き前へと進んでいきます。

  これから入会されるお子さんは、いきなり追い着こうと無理をせず、まずは冬休み期間のテキストの学習を大切にし、「予習⇒授業⇒復習」の繰り返しを大切にしていきましょう。学習の流れができたなら、冬休み後から少しずつ遅れている内容に手をつけていけば取り戻せます。そのための教材や取り組みについては、指導を担当する先生からアドバイスを受けることができます。ご安心ください。

 4・5年生の講座の内容は学校のそれよりは高度ですが、知的興味溢れる年齢期にあり、しかも受験を視野に入れている子どもたちにとっては楽しくて刺激的な学習の体験となることでしょう。お子さんが手応えをつかまれたなら、ぜひ冬休み後の通学をご検討ください。

 なお、4・5年部の冬期講座から通学を希望されるお子さんには、「会員選抜試験」を受けていただくことになっています。試験は算数と国語で、各100点満点、合計200点満点です。学校の先取り学習は必要ありません。教科書より若干難しい問題が出されますが、教科書内容をしっかりと理解できていれば大丈夫です。算数は、短い文章題、図形課題などが得点の分かれ目になるでしょう。国語は、文章題が2つ程度ありますが、さほど長い文章ではありません。内容把握ができているかどうかを問う問題がポイントでしょうか。計算や漢字の問題は、どちらも数問程度です。合格のおおよその目安は、4年生が120点前後、5年生が130点前後です。

④ 6年部「冬期実戦講習」 <全校で実施>

 いよいよ入試に向けて最終的な仕上げ学習の段階です。したがって、現在会員として通っている6年生だけを指導対象とし、外部募集をいたしません。ご了承ください。

 日程ですが、12月23日(水・祝)、24日(木)、25日(金)、26日(土)、28日(月)、29日(火)、30日(水)、1月4日(月)、5日(火)、6日(水)の、合計10日間となっています。

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カテゴリー: お知らせ, ジュニアスクール, 中学受験

朝の「ゴールデンタイム」をどのように過ごしていますか?

2015 年 10 月 19 日 月曜日

 本格的な秋を迎え、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。寒くなってくると、辛いのが毎朝の起床ですね。「もう起きないと・・・」と思っても、どうしても布団から出られないのは大人も子どもも同じだと思います。
 さて、ご家庭の様子を振り返ってみていただくと、お子さんは毎朝すぐに起きることができているでしょうか?朝の時間帯はどうしても慌ただしいものになりがちではありますが、決めた時刻に目が覚めずに何度も声を掛けられてようやく起きだし、家を出る直前までバタバタと準備をして、その勢いのまま学校に出かけていく・・・ということはないでしょうか。

 朝は「ゴールデンタイム」といわれるように、その時間をどう過ごすかによって、「今日は良い日になりそうだ」とか「今日は何だか気分が乗らないな」とか、その日の流れが決まる大切な時間帯です。特に子どもは、大人のように「今日はイマイチやる気が出ないから、出勤途中でコーヒーでも飲んで気持ちを切り替えようか」などということはできませんから、上記のように忙しなく身支度を終え、そのまま玄関を飛び出していくという過ごし方をしていると、それがそのまま学校生活にも反映されてしまいます。
 ですから、朝の過ごし方次第で、前向きな気分になれるかどうかはもちろん、その日の勉強や運動の出来も大きく左右することになるのです。

 こういう話題になると、「そんなことを言っても、うちの子は朝が苦手でなかなか起きないんだから仕方ない」という声が聞こえてきそうですね(かくいう私も、子どもの頃は朝起きるのが大の苦手でした)。
 しかし、脳科学者の専門家によると、朝の目覚めの良し悪しに関わらず、まずは布団から出て体を動かさないことには、いつまで経っても脳が覚醒しないのだそうです。特段の理由(極度の低血圧で医師から止められているなど)がない限り、最初は辛くてもとにかく布団から出て、顔を洗ったりトイレに行ったりするからこそ徐々に頭が冴えてくるのであって、布団で横になったままじっと待っていて、はっきり目が覚めてから動き出す・・・などというのは、脳科学の理論上あり得ないことだといいます。
 ですから、子どもがなかなか布団から出てこないというご家庭は、まず「目が覚めるまで動けない」のではなく「動き出せば目が覚める」という意識を親子ともにもつようにしてみましょう。そして、わが子が最初の一歩を自分で踏み出せるような工夫(お気に入りの目覚まし時計を準備するなど)をするところから始めてください。「遠足の日の朝は、何もしなくても自然と目が覚める」ように、前向きな気持ちで朝を迎えると自然と目が覚めやすくなるものですから、何より「眠くても動き出そう」という本人への意識付けが必要なのです。
 なかなか起きないから毎朝親が起こす、起こしてもらうのを期待して子どもは最初から自分で起きる気がない・・・というのでは、親が完全にタイムキーパー化してしまいます。そして、きっとそれは朝の起床だけにとどまらないでしょう。そんな状態を家庭で作りだしてしまっては、これから先、勉強や学校生活など様々な面での自立に悪影響を及ぼすようにもなりかねませんからね。

 では、朝の時間帯をどのように過ごすのが望ましいのでしょうか。
 ぜひ取り入れていただきたいのは、毎朝の起床を少しだけ早い時刻に設定して、ちょっとした散歩や軽い運動をすることです。
 親子で一緒に庭や玄関先でストレッチやラジオ体操などをしてもいいですし、家の周囲を散歩したり軽くジョギングしたりするのもいいですね。本格的な体力づくりを目的とするわけではありませんから、毎日負担なく継続するためには10~15分間ほどを目安に、気軽な気持ちで取り組んでみてください。

 散歩や運動をすることで朝日を体に浴びると、「セロトニン」という脳内の神経伝達物質が分泌されます。このセロトニンは体温調節や睡眠に影響を与えるといわれていますから、これがしっかり分泌されていれば体を活動的な状態にして体内時計を整えることができます。そのため、毎日規則正しく生活することができ、夜更かしせずに早く就寝することができるようになります。
 さらに、体内でセロトニンが十分分泌されていれば、ストレス耐性を高めて感情をコントロールする力を高めることもできます。ちょっとしたことですぐにイライラしたり、すぐに「キレてしまう」子どもが増えているのは、このセロトニンが不足していることも大きな原因のひとつだといわれています。このことから、セロトニンは、「幸せ物質」「幸せホルモン」ともよばれています。
 このように、朝のうちにしっかり太陽の光を浴びながら体を動かしておくことは、その後学校で勉強や運動をする際の準備として欠かせないものなのです。先ほどの、脳を覚醒させるにはまず体を動かすことが大切だという話もあわせると、朝の時間帯に(負担にならない程度で)体を動かすことは、子どもにとっても大人にとっても非常に良い1日の準備運動になるということがわかりますよね。

 極端な例ではありますが、私の知人に「出勤前の時間を大事にしたい」という理由で、毎日夜7~8時前に就寝して午前2時に起きるという人がいます。まだ外は真っ暗なうちに起床して、その日の仕事の準備や部屋の掃除などをして過ごした後、外に出て散歩したり運動したりしながら朝日が昇るのを待つのだそうです。そうすればその日一日快適に過ごせるのだとか。
 正直これはちょっとやり過ぎな気がします(「早寝早起き」過ぎて、むしろ昼夜逆転に近づいているようにも思えますし・・・)が、登校や出社するまでの時間帯を大切にして準備を怠らないようにするという意味では、ある意味徹底しているということになるのでしょうね。

 夜型の生活が広まった影響で「朝が苦手」という子どもが少なくありませんが、「毎朝自分で起きる」というのは重要な基本的生活習慣のひとつです。まずはそれを習慣化できるよう頑張って、ぜひ親子で一緒に朝の「ゴールデンタイム」を充実したものにしていただきたいと思います。

(butsuen)

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育, 小学1~3年生向け

子どもの勉強にも好不調がある

2015 年 10 月 12 日 月曜日

 今、冬期講座・2016年度講座の新規会員の募集開始準備に追われ、ブログを書く時間があまり確保できません。したがって、小ネタのようなことになってしまいますが、あしからずご容赦ください。

 仕事でも、勉強でも、スポーツでも、人間が物事に取り組むときには好不調の波というものがあります。機械なら、決まった時間に寸分たがわぬ同じ製品を100個きっちりつくることなど当たり前にできるでしょうが、人間はそういうわけにはいきません。

 では、どうしてそのようなことが起こるのでしょう。ある脳科学者によると、脳のはたらき具合には絶えず変化があり、同じ状態が続いているわけではないそうです。勉強にしても、仕事にしても、その能率には必ず波があり、それがないようにみえても、必ず小さな波はあるのです。したがって、「脳が最も快調に働いているときを基準にすると、たいていのときは不調ということになってしまう」と述べておられます。

 以上のことからもわかりますが、子どもの勉強もうまくはかどらないことがたびたびあるものです。弊社の教室に通って中学受験対策の勉強をしている子どもたちは、「学習計画表」というものを作製し、毎日の勉強をその計画表で定めたスケジュールに沿って進めています。この場合も、スケジュールがあるからその通りに勉強が進むというわけにはいかず、脳の調子が悪い日や時期には思い通りに進まないことが当然あるでしょう。

 ここまでお読みになったところで、おたくのお子さんの最近の勉強の状態を振り返ってみてください。毎日の家庭学習はきちんと計画通り進んでいるでしょうか。お子さんとそのことを確認すると、おそらく「思い通りにできないことが多い」とお答えになるのではないかと思います。

 学習計画などのスケジュールを組むとき、たいていの人は脳がスムーズに働いているときを前提にして考えるのが普通です。「うまくいかないときもあるから」とは誰も思いません。つまり、「これぐらいはできるはず」というやや楽観的な見通しでスケジュールを組むことが、計画通りにことを進められなくなる主要な原因なのです。

 いよいよこれから秋が本格化し、勉強に最適なシーズンに突入します。今の勉強を、スケジュールと実行の度合いを照合しながら振り返り、うまくはかどっていないようならスケジュールの見直しをすることを、親子で検討してみてはいかがでしょうか。

 先ほどの脳科学者は、スケジュール通りに勉強がはかどらないときの対策として、次のようなことを述べておられます。

 (前略)スケジュールにこだわるよりは、脳の変動の波をできるだけ感じとり、能率が悪くても悲観せずに、必ず上げ潮のときがくることを期待すればいい。そして、上げ潮のときには自分でも驚くほど能率が上がるので、そのときに一気に遅れを取り戻せばいいのである。この波は短時間経過のものもあるし、長時間経過のものもある。そういう変化全体を見ていないと、妙に自信過剰になったり、自己嫌悪に陥ったりする。(中略)

 もちろん、ただ上げ潮を待っているのではなく、上げ潮を呼び込む工夫も必要である。思い切って遊んでみたり、音楽を聴いたり、その工夫は人により、場合によって違うだろう。いま能率が上がらないからといって、それを気に病んでいると、上げ潮を押さえてしまうことにもなる。(中略)

 若いときには自分の脳の波についてわからないのがふつうだが、経験を積むことによってそれがわかるようになるはずである。自分について知り、自分をうまく使うことは大切な才能である。自分を知るためには、自信を無くしたり、それを取り戻したりし一喜一憂するのではなく、自分を冷静に見つめていることが大切である。

20151012

 勉強にしても仕事にしても、上達するには自分の現状を客観的に掌握し、どこを直したりテコ入れしたりするべきかを考えることが必要です。また、それのできる人が能力のある人とみなされます。自分の現状を客観視しようとする姿勢を「メタ認知的視点」と言いますが、このような姿勢は中学受験対策をしている小学校の高学年ならかなり身についているべきものです。

「今、わかっているのはどこまでか」「どこからが理解不足なのか」ということを毎回の授業の後に振り返る姿勢をもてば、必ず突破口は見えてきます。また、テストの後、「どこを間違えたのか。それはなぜか」という視点から、間違えた原因を調べて対策を講じる姿勢も、学力を伸ばしていくうえで欠かせないものです。

 上記のイラストのように、勉強の流れをよい方向に切り替えていく工夫を考え、お子さん自身が実行したり、保護者のかたがサポートできることを考えて実行したりすれば、学習の効果はかなり安定してくるのではないでしょうか。

 さらに、メタ認知的な視点を常に稼働させ、日頃の学習を通して自己修正の必要なところに手を入れたり、テスト結果を最大限に活かして弱点を補ったりすることを繰り返すのが成果のあがる受験対策の基本だと思います。

 今回は、学習の調子の波を安定させるための工夫、現状を絶えず振り返りながら必要な対策を講じる学習の実践についてお伝えしました。少しでも参考にしていただければ幸いです。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 勉強の仕方, 子育てについて, 家庭での教育

全国玉井式研修セミナーに参加してきました!

2015 年 10 月 5 日 月曜日

 先日、「第3回全国玉井式『国語的算数教室』『図形の極』研修セミナー in OSAKA」に参加してきました。これは、全国各地にある玉井式の講座を導入している塾や小学校などが一堂に会して、事例研究の発表や意見交換などを行うものです。
 そこで今回は、その会の大まかな流れと概要などをごく一部ではありますが、簡単にご報告させていただきます。

 当日は、第1部の冒頭で、玉井式の創始者である玉井満代先生から、ご挨拶と玉井式の今後の展望についてお話しされました。
 その後、当社の低学年部門責任者も含む全国各地の塾の代表取締役の方々からお祝いの言葉があり、「国語的算数教室」や「図形の極」を導入している塾や小学校からの事例発表、インドで開講している玉井式の学習塾の取り組み紹介などが行われました。
 第2部では、参加者が6つのグループに分かれ、それぞれが分科会として、実際の現場での課題や反省点などについて積極的な話し合いが行われました。

 会の冒頭で玉井先生がお話しされた内容のうち、いくつかご紹介できる範囲でお伝えさせていただきたいと思います。
 まず、これから「玉井式の目指すところ」を挙げられました。それは、子どもの自己肯定感を高めること、読解力を向上させること、低学年における「数の概念」の理解を目指すことの3点です。
 最初に、日本の子ども達の自己肯定感の低さについて触れられ、高校3年生の約83%が「自分はダメな人間だ」と思っているというデータを紹介されました。幼いころから競争を排した学習スタイルや、偏差値のみによって学校を選ぶ進路指導など、従来の日本型の教育では子ども達の自己肯定感は高まっていかない。玉井式をはじめとする新たな形の教育やカリキュラム内容での学習を広めることを通じて、日本の子ども達に自信をもたせられるようにしたいというお話をされました。

 次に、読解力の向上に関しては、「国語を学ぶ」そもそもの目的について話されました。なぜ国語を学んで国語力を高めるのかといえば、本来の目的は、自分の考えや感じている内容を他者に正しく伝えるためであって、これまで行われてきたような「テストで高得点を獲得するために熟語や単語を数多く暗記する」といったものではありません。
 そうした「伝え合う」力を育むための工夫の一つとして、アニメーションやタブレットの映像において子どもに語りかける言葉は、単調な機械音声ではなく、きちんと声優が声を吹き込んで「人が人に語りかける」形式を大切にしている点を挙げられていました。タブレット活用を主とするICT教育は、本来子どもの五感に訴えかけるものであるはずなのに、無機質な機械が発する音声が流れるだけでは心に響くことがない。だから、玉井式では例え手間や時間がかかったとしても、声で感情を表現できる一流の声優を登用して、子どもの心に働きかけることにこだわっているという説明をされました。

 三つめの低学年における「数の概念」の理解を目指すという点に関しては、「暗記ではなく、イメージさせる」ことの重要性を説かれていました。実際、国語的算数教室のカリキュラムにおいては、計算の手法を学ぶ以前に、数の概念の理解や数を操作するイメージを固めるための学習に時間をかけます。
 例えば、玉井式における分数の学習においては、「通分」や「約分」などの手法を習う以前に、まず分数の基本概念を繰り返し学びます。そして、実際に分数計算をする際にも、単に機械的に答えを求める計算方法を学ぶわけではありません。「10分の5」+「2分の1」であれば、通常ならすぐに通分をした上で計算することになりますが、「どちらも『半分』である」という理屈がわかっていれば、通分のやり方を知らなくても答えを求めることができます。他の単元も、単に計算方法を暗記させて答えを求めさせるのではなく、まずはその数の大きさや操作をしっかりイメージして、それをもとに答えを求める考え方が身につくよう、カリキュラム設計にも工夫がなされているのです。

 他にも、奈良の小学校やインドの玉井式直営塾からの事例発表や、参加塾が意見を交換しあう分科会など、盛りだくさんな内容でした。今回が3回目になる「全国玉井式研修セミナー」ですが、回を追うごとに参加団体(塾や小学校など)が増え、研修内容も充実したものとなって、参加する私達にとっても非常に良い刺激を受けることができました。

 今回、全国各地の多くの塾の方々と交流することができ、当社の参加スタッフ一同、大いに刺激を受けて帰ってきました。玉井先生を中心とする玉井式の教材作成に関わる皆さんの思いや、それを導入している全国の塾の皆さんの熱い思いを感じ、当社も負けずに子ども達が楽しく学べるような素晴らしい学習環境を作っていきたいと、改めて強く感じた次第です。

(butsuen)

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴, 小学1~3年生向け, 行事レポート