朝の「ゴールデンタイム」をどのように過ごしていますか?

2015 年 10 月 19 日

 本格的な秋を迎え、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。寒くなってくると、辛いのが毎朝の起床ですね。「もう起きないと・・・」と思っても、どうしても布団から出られないのは大人も子どもも同じだと思います。
 さて、ご家庭の様子を振り返ってみていただくと、お子さんは毎朝すぐに起きることができているでしょうか?朝の時間帯はどうしても慌ただしいものになりがちではありますが、決めた時刻に目が覚めずに何度も声を掛けられてようやく起きだし、家を出る直前までバタバタと準備をして、その勢いのまま学校に出かけていく・・・ということはないでしょうか。

 朝は「ゴールデンタイム」といわれるように、その時間をどう過ごすかによって、「今日は良い日になりそうだ」とか「今日は何だか気分が乗らないな」とか、その日の流れが決まる大切な時間帯です。特に子どもは、大人のように「今日はイマイチやる気が出ないから、出勤途中でコーヒーでも飲んで気持ちを切り替えようか」などということはできませんから、上記のように忙しなく身支度を終え、そのまま玄関を飛び出していくという過ごし方をしていると、それがそのまま学校生活にも反映されてしまいます。
 ですから、朝の過ごし方次第で、前向きな気分になれるかどうかはもちろん、その日の勉強や運動の出来も大きく左右することになるのです。

 こういう話題になると、「そんなことを言っても、うちの子は朝が苦手でなかなか起きないんだから仕方ない」という声が聞こえてきそうですね(かくいう私も、子どもの頃は朝起きるのが大の苦手でした)。
 しかし、脳科学者の専門家によると、朝の目覚めの良し悪しに関わらず、まずは布団から出て体を動かさないことには、いつまで経っても脳が覚醒しないのだそうです。特段の理由(極度の低血圧で医師から止められているなど)がない限り、最初は辛くてもとにかく布団から出て、顔を洗ったりトイレに行ったりするからこそ徐々に頭が冴えてくるのであって、布団で横になったままじっと待っていて、はっきり目が覚めてから動き出す・・・などというのは、脳科学の理論上あり得ないことだといいます。
 ですから、子どもがなかなか布団から出てこないというご家庭は、まず「目が覚めるまで動けない」のではなく「動き出せば目が覚める」という意識を親子ともにもつようにしてみましょう。そして、わが子が最初の一歩を自分で踏み出せるような工夫(お気に入りの目覚まし時計を準備するなど)をするところから始めてください。「遠足の日の朝は、何もしなくても自然と目が覚める」ように、前向きな気持ちで朝を迎えると自然と目が覚めやすくなるものですから、何より「眠くても動き出そう」という本人への意識付けが必要なのです。
 なかなか起きないから毎朝親が起こす、起こしてもらうのを期待して子どもは最初から自分で起きる気がない・・・というのでは、親が完全にタイムキーパー化してしまいます。そして、きっとそれは朝の起床だけにとどまらないでしょう。そんな状態を家庭で作りだしてしまっては、これから先、勉強や学校生活など様々な面での自立に悪影響を及ぼすようにもなりかねませんからね。

 では、朝の時間帯をどのように過ごすのが望ましいのでしょうか。
 ぜひ取り入れていただきたいのは、毎朝の起床を少しだけ早い時刻に設定して、ちょっとした散歩や軽い運動をすることです。
 親子で一緒に庭や玄関先でストレッチやラジオ体操などをしてもいいですし、家の周囲を散歩したり軽くジョギングしたりするのもいいですね。本格的な体力づくりを目的とするわけではありませんから、毎日負担なく継続するためには10~15分間ほどを目安に、気軽な気持ちで取り組んでみてください。

 散歩や運動をすることで朝日を体に浴びると、「セロトニン」という脳内の神経伝達物質が分泌されます。このセロトニンは体温調節や睡眠に影響を与えるといわれていますから、これがしっかり分泌されていれば体を活動的な状態にして体内時計を整えることができます。そのため、毎日規則正しく生活することができ、夜更かしせずに早く就寝することができるようになります。
 さらに、体内でセロトニンが十分分泌されていれば、ストレス耐性を高めて感情をコントロールする力を高めることもできます。ちょっとしたことですぐにイライラしたり、すぐに「キレてしまう」子どもが増えているのは、このセロトニンが不足していることも大きな原因のひとつだといわれています。このことから、セロトニンは、「幸せ物質」「幸せホルモン」ともよばれています。
 このように、朝のうちにしっかり太陽の光を浴びながら体を動かしておくことは、その後学校で勉強や運動をする際の準備として欠かせないものなのです。先ほどの、脳を覚醒させるにはまず体を動かすことが大切だという話もあわせると、朝の時間帯に(負担にならない程度で)体を動かすことは、子どもにとっても大人にとっても非常に良い1日の準備運動になるということがわかりますよね。

 極端な例ではありますが、私の知人に「出勤前の時間を大事にしたい」という理由で、毎日夜7~8時前に就寝して午前2時に起きるという人がいます。まだ外は真っ暗なうちに起床して、その日の仕事の準備や部屋の掃除などをして過ごした後、外に出て散歩したり運動したりしながら朝日が昇るのを待つのだそうです。そうすればその日一日快適に過ごせるのだとか。
 正直これはちょっとやり過ぎな気がします(「早寝早起き」過ぎて、むしろ昼夜逆転に近づいているようにも思えますし・・・)が、登校や出社するまでの時間帯を大切にして準備を怠らないようにするという意味では、ある意味徹底しているということになるのでしょうね。

 夜型の生活が広まった影響で「朝が苦手」という子どもが少なくありませんが、「毎朝自分で起きる」というのは重要な基本的生活習慣のひとつです。まずはそれを習慣化できるよう頑張って、ぜひ親子で一緒に朝の「ゴールデンタイム」を充実したものにしていただきたいと思います。

(butsuen)

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育, 小学1~3年生向け

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