2016 年 2 月 22 日 のアーカイブ

受験の準備学習をいつから始めるか その1

2016 年 2 月 22 日 月曜日

 中学入試シーズンを終えて一息ついたところで、2月20日(土)には2016年度の5・6年部講座がスタートしました。弊社の各校舎にはまだ受験の余韻が多少残っていますが、一から気を引き締めて新たな5年部生、6年部生の指導を開始します。

 残る4年部ですが、こちらは3月5日(土)に開講する予定です。というわけで、今回は、新年度の講座の開始に絡めて、「いつから受験勉強を始めたらよいのか」「今の学年からの受験対策の開始にあたり、親はどういう応援や見守りをしたらよいのか」などを話題にとりあげてみようと思います。

 なかには、まだ踏ん切りがつかないまま、受験生活のスタートに至っていないご家庭もおありでしょう。どの塾に通うかも、なかなか決定的な根拠が見出せず(塾にはそれぞれ固有のよさと弱点があります)、迷っておられるケースもおありかもしれませんね。そういうご家庭にとっても、いくらか参考になる情報をお届けできたらと考えて今回の記事を書いてみます。

 ただし、「いつから受験対策を始めるべきか」というと、様々な意味に受け止めることができるので、ポイントが絞りにくくなってしまいます。広い意味での受験準備は幼いころから始まっていると見ることもできるからです。たとえば、毎日の過ごしかた、生活習慣ひとつとっても、能力の伸長に深く関わってきます。そこまで範囲を広げると、話はとめどなく広がってしまいかねませんね。

 そこで、ここでの意味は「いつから受験対策のための塾通いを始めるか」「受験に直接関わる内容の勉強は、いつから始めたらよいか」に絞らせていただこうと思います。

irasuto1 実際、「何年生から塾に通えばいいんですか?」と、保護者のかたから相談を受けることがかなりあります。この質問も、なかなか答えに窮します。というのは、お子さんの基礎学力の状態次第では6年生から始めても間に合いますし、基礎が十分でないお子さんの場合、6年生からでは間に合わない可能性が高くなってきます。なかには、「今すぐ入塾すれば間に合わせます」とおっしゃる塾があると聞いたことがありますが、そうことは簡単でないことは大概のかたはおわかりだろうと思います。

 また、「どうしても○○中学に受かりたい(受からせたい)」というこだわりが強い場合、受験対策を始める時期は早いほうがよいという考えもあながち間違いではありません。ただし、こういう考えかたに染まり過ぎた受験対策は、お子さんにとって望ましくないと私たちは考えています。受験に合格できなかったときのダメージが大きく、以後の人生にその失敗が影を落とす恐れが多分にあるからです(大切なのは、先々の人生ではないですか?)。したがって、弊社は「何が何でも合格」という指導はしません。この時点で、すでに弊社を選択肢から外される保護者もおられるかもしれません。しかし、それはしかたないことだと私たちは考えています。この見解が一致しないで、お子さんの受験生活がうまくいくはずがないからです。

 私たちは、何年生からの受験対策開始であれ、受験までのプロセスがお子さんにとっての成長につながるような配慮を大人がすべきだと考えています。それであれば、たとえ4年生から始めても、6年生から始めても、受験の結果だけでなく、様々な収穫を得ることができるるのだと確信しています。

 今、おたくのお子さんは何年生でしょうか? きっと、この記事を読んでおられるかたはいろいろであり、お子さんの年齢や学年の幅はかなり広いのではないでしょうか。そこで、学年、年齢ごとのスタートにあたり、どういうことがポイントになるかを今から簡単にお伝えしてみましょう。

 

①6年生から受験対策(塾通い)を始める場合

 もしもお子さんが、これまで塾に通ったことがない場合、一般的にはかなりハードなスケジュールでの受験生活になるでしょう。基礎の見直しや定着など、遅れている分を取り戻さねばならないからです。しかし、不利だと思われがちな条件を逆手にとって、すばらしい入試結果、学習成果をあげているご家庭やお子さんの事例も結構たくさんあります。

 以前書いたことがありますが、5年生の頃「受験のために塾に通わせてください」と親に何度懇願してもはねつけられ、やっと6年生の1年間塾通いを許可された男の子がいました。その男の子は、「自分はみんなより遅れている」ということを常に意識し、自分を励ましながら厳しい勉強を自らに課しました。そして、やがて秋になる頃には頭角を現し、最終的に受験校の全てに合格しました。他のお子さんの2年分、3年分を1年間でやり遂げたと言ってよいでしょう。その凝縮された1年間は、ただ受験に間に合わせたというだけでなく、もっと大きな心の財産をそのお子さんは得たのではないでしょうか。

 極端な例をあげると、6年生の夏休みから初めて塾に通い始め、男子の最難関私学に合格したお子さんもいます。しかし、多くの場合はそううまくはいきません。「うちの子はそんなに意志が強くないし、能力もあるとは思えない」とおっしゃるご家庭もあるでしょう。ですが、親子で話し合いの場を設け、「1年間を上手に活かし、ベストを尽くしてやってみよう」と励ましてやらせてみることも、意味があると思います。限られた時間内で自分なりに工夫して勉強に取り組む体験をするとしないとでは、お子さんの内面に大変な違いが生じるのではないでしょうか。

irasuto2 入試でどうしても得たい結果(進学先)がある場合でも、親が先回りして叱咤激励をするのではなく、残された期間をにらみながら粘り強く本人のがんばりを引き出すような関わりかたが親には求められます。そうすれば、受験の重圧に負けることなく最後までお子さんはがんばり通せるでしょう。

 このような受験なら、たとえ結果が伴わなくても、お子さん自身に悔しさや反省点が残り、それが中学以後の自発的努力につながっていきます。結果として、順調に志望校合格を得た場合よりも、お子さんにとってよい人生の歩みにつながることだって大いにあり得ることです。

 6年生では遅すぎる。この考えの是非は、受験に何を求めるかによって変わってくるのだということが、おわかりいただけたでしょうか。今現在迷っておられるご家庭は、そういった視点から受験生活を始めるかどうか考えてみてはいかがでしょうか。

 長くなってしまいました。5年生から、4年生から、さらにはそれ以前からの受験生活開始については、次回お伝えしようと思います。

 

 

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カテゴリー: がんばる子どもたち, アドバイス, 入塾について