「習い事」と受験対策

2016 年 3 月 14 日

 春になり、また新しい学年へと進級する季節がやってきました。
 新年度を迎えるということで、わが子に新たな習い事を始めさせよう、またはもう始められたというご家庭も多いのではないでしょうか。これからどんどん成長していく子ども達ですから、新たな習い事をするうちに、わが子の意外な能力に気がついたり、隠れた才能を発見するきっかけになったりすることも大いにあるでしょうね。

 特に低学年の時期には、「わが子がどの分野で才能を発揮できるかわからないから、まずはいろんなことをやらせてみよう」とお考えになるご家庭が多いと思います。小学校に入学する時点で、既に1週間全ての曜日が何かしらの習い事で埋まっているという子も少なからずいます。
 ただ、子どもの体力・気力には限りがありますから、いくら可能性を広げるためとはいえ、あまり大きな負担を掛けることは子どもの成長にとってプラスにならないこともあります。親御さんにとっては悩ましいところですね。

 こうして多くの習い事に通う低学年の子ども達も、いずれはその数を絞ったり、習い事に通うのをやめて学業に集中したりすることを考える時期がやってきます。当社に通っている子ども達は、ほとんどがこの先の中学受験を見据えて勉強していますから、習い事をいつまで続けるかという点に関しては、学年が上がるにつれて多くの家庭で大きな問題になるようです。家族会議が平行線に終わり、親子ゲンカに発展してしまったり、親が強引に習い事をやめさせたりするケースを耳にすることも少なくありません。
 親としては受験に集中させたいという気持ちになるものですが、子どもの意志を強引に曲げさせてまで受験一色にしてしまうと、親子間に大きなしこりを残すことになりかねません。親子関係が気まずいものになれば、肝心の受験に対する意欲まで削いでしまうことになります。親の意向で無理に習い事をやめさせたとしても、その分のエネルギーを受験勉強に向かわせるようになるかといえば、なかなかそううまくはいかないものです。

 もし、経済的な面や時間的な問題をクリアできて、本人に「どちらもやり遂げる」という強い意志があるならという前提での話ですが、子どもが好きな習い事はできるところまで続けてみるというのも一つの方法かもしれません。
 もちろん、複数のものを同時に追い求めるとなると、様々な工夫と根気強さが要求されますから、万が一それが不十分な場合は、どれも手に入れることができないという事態になってしまう可能性もあります。しかし、確たる主体性をもって、計画立てて自分でしっかり考えられるならば、同時にいくつもの目標を達成することもできるはずです。

 160314参考までに、資料を一つご覧ください。このデータは某大手教育出版社が実施したアンケート結果をまとめたものです。中学受験を予定している家庭の学校外教育活動(①スポーツ活動 ②芸術活動 ③塾などの教室活動 ④家庭学習)に関しての回答を集計し、それぞれ活動別に児童数の割合を示しています。
 これを見ると、学年が上がり入試が近づくにつれて、①②の割合は減少し、逆に③④の割合が上昇しています(当然といえば当然ですが)。勉強とは直接関係のない習い事を減らし、塾通いや家庭学習の時間を増やすなど、学業成績に直結する活動を優先させているということなのでしょうね。
 ただ、6年生になっても半数以上がスポーツ活動を、3割強の子ども達が芸術活動の習い事を継続しているという数字についてはどのようにお感じでしょうか?個人的には「意外と6年生になっても習い事を頑張って続けている子が多いんだなあ」という印象をもちましたが・・・いかがでしょうか?

 これから先、中学入試の時期が近づくにつれて、受験勉強と習い事の両立に親子で頭を悩ませる日がやってくるかもしれません。その際、最初から「習い事は全てやめさせる」と決めつけるのではなくて、まずは両立を目指してみるという選択肢もあるのではないかと思います。そして、その方法を子ども自身に考えて工夫させ、親がそれを後方から支えてあげることで、子どもを大きく成長させるための一つのプロセスとすることもできます。
 もちろん、最終的には各家庭での判断ということになると思いますが、子どもが続けたいという強い希望をもっているのなら、親子で話し合った上で「可能な限り続けてみる」という選択肢があってもよいのでは・・・と思っています。

(butsuen)

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カテゴリー: 中学受験, 子どもの自立, 家庭学習研究社の特徴, 小学1~3年生向け

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