中学進学後の飛躍のために ~その1~

2016 年 6 月 6 日

  夏の講座の申し込み受け付けを本日(6月6日)より開始します。現会員のご家庭には、先週末から今週の木曜日にかけてお子さんの通学日に「案内」や「申込書」をお渡しする予定です。どうぞよろしくお願いいたします。新規入会を検討いただいているご家庭は、本部または通学希望校に資料をご請求ください。折り返しご家庭へお送りいたします。

 今受験生活を送っている児童のおかあさんは、「何とかしてわが子にはがんばってもらいたい」「どうか無事に受験まで漕ぎつけ、できれば第一志望校に受かりますように」と願っておられることでしょう。

 それは親なら当然の願いです。お子さんが受験生活を上手に乗り越え、念願の合格を手にされるまで、辛抱強く温かい応援をよろしくお願いいたします。私ども学習塾も、お子さんの学力伸長に向けて精いっぱい応援させていただきます。

 今回のブログ記事は、お子さんが中学校へ進学した後の学校生活を見通し、親として今からどんなことに留意しておくべきかについて書いてみようと思います。親は、「とにかく志望校に進学できれば、あとは学校にお任せできるだろう」と思いこみがちですが、そういう考えかたで大丈夫なのかということについても一緒に考えていただけたらと思います。

 まずは本題に入る前に、筆者が見聞きしたエピソードを三つほどご紹介します。いずれも、中高一貫の進学校(ここではある私学を例にあげています)の学校環境に関わる話です。

20160606 いつだったか、私学にお子さんを通わせているおかあさんが、学校や先生への不満の声を漏らしておられました。どういうことかというと、保護者面談に行ったところ、先生の話の内容が一般論や原則論ばかりで、わが子について具体的な報告や説明がなく、「何のための面談か」とがっかりされたというのです。

 親にしてみれば、わざわざ時間を割いて学校に行き、担任の先生の話を直接聞くのですから、「わが子の学校での様子について、よい話を聞けるかもしれない」という期待があります。また、先生との密なコミュニケーションがあることがわかれば親としても安心です。それなのに、そうした親の期待が裏切られ、がっかりされたのでしょう。

 さて、次も同じ私学についての話です。筆者は仕事柄たびたび私学を訪問しています。ある日その私学を訪ね、校長先生と私学を紹介する行事についての打ち合わせをする機会がありました。そのとき、たまたま生徒とのコミュニケーションについて、校長先生はこんなことをおっしゃいました。「うちの教員は教育に情熱があり、すばらしいです。先ほども校内を移動していると、いたるところで教員が生徒に声をかけています。生徒一人ひとりにほんとうによく目を行き届かせています」

 次も、同じ私学についての話です。この私学に子どもを二人通わせたことのある保護者が、学校での生徒と先生の関係について、こんな話を聞かせてくださいました。「あの学校は、生徒をほったらかしにしているようで、実はそうでもないんですよ。いろんな教科の先生がいるでしょ。そのなかのどなたかがしっかりわが子のことを見ていてくれて、いざというときフォローしてくださるんですよ」

 三つのエピソードは、いずれも同じ私学の、それも生徒への“面倒見”や“目配り”についての話です。どう思われたでしょうか。保護者のなかには、最初の例のような話を耳にすると不安を抱かれるかたがおられるかもしれません。筆者は、どの話も間違いのない事実だと思います。すべて学校の一側面であり、嘘でもなんでもありません。

 たとえば、一つ目の話についてはこう思います。生徒にも様々なタイプがあり、なかには否が応でも目立ち、すぐに先生に覚えられ、クラスの人気者になるタイプの生徒がいます。こういう生徒なら、先生からもいくらでも具体的な報告が聞けるでしょう。しかし、クラスの定員が40~50名に及ぶなかで、おそらく先生の目からこぼれる生徒もかなりの数にのぼるでしょう。先ほどのエピソードについては、「先生が、もう少しそのお子さんについて上手に報告されてもよかったのに」とは思いますが、なかにはよい報告ができず、一般論で話が終わってしまうようなケースもあることでしょう。 

 筆者も、かつて息子をある私学に通わせました。保護者面談では、「先生はわが子のことを親身に見守ってくださっている」と、一応は感じました。しかし、家庭で息子が担任の先生の話題を出したり、先生とのやりとりを報告したりしたことは、ほとんどありませんでした(唯一例外の先生がおられました。ユーモアたっぷりの愛情深い語り口で、勉強の楽しさを教えてくださった年配の先生で、息子は今でも尊敬しています)。当時は、「男の子はそんなものだろう」とぐらいに思っていました。そうして、この感想は変わることなく息子の6年間の学校生活は終わりました。

 私学には大勢の生徒がいます。ですから前述のエピソードのように、先生との密なコミュニケーションや“面倒見”のよさを期待していると、親が失望する可能性はかなりあると思います。同様のことは学習塾にもあります。筆者が指導現場にいたころのことですが、保護者面談を終えた後になってから、「この話をお伝えしておけばよかった。もっと保護者に励みを提供すべきだった」と後悔することがたびたびありました。指導する側も、「親は何を求めているのか」をよくわきまえないといけませんね。

 二つ目の話に移ります。筆者自身、仕事で私学を訪問した際、校長先生が話されたような光景を何度も目の当たりにしました。あるとき、先生に学校を案内していただくために渡り廊下を歩いていると、不意に先生が視界から消えました。きょろきょろあたりを見回すと、その先生が一人の生徒さんを校内の一角に誘導し、他の生徒に気づかれないよう注意を与えておられました。おそらく服装か何かに関する注意だったのでしょう。このように、必要と判断されたときには、先生がたは生徒個々にアプローチをされているのだと思います。

 勉強面でも先生がたは一生懸命フォローされています。ある私学では、宿題が溜まってどうにもならなくなった生徒は全員個別面談をし、提出し終えるまでのスケジュールを組ませ、それを実行できるかどうかを熱心に見守っておられるようでした。また、家庭学習の管理をどうしたらうまくできるかということも指導しておられました。その効果ですが、ちゃんと学びの態勢を築き直して這い上がってくる生徒も何割かいるいっぽう、残念ながら溜まった宿題を放棄してしまう生徒も何割かいると聞きました。

 三つめの話について。クラスの全員を一人の先生がみているわけではありません。学校で生徒は様々な教科・科目を学びますが、それぞれに専任の先生が指導に当たっておられます。ですから、生徒が好きな教科の先生に目をかけられる、相性のよい先生がいる、たまたまや偶然で先生と親しくなる、などによって生徒と先生の関係が密になるケースは多々あると思います。ですから、相談できる先生に出会い、何かで悩んだときに親身にアドバイスをしてくださるということも、かなりの確率であると思います。

 ここまでの話では、まだ筆者が何をお伝えしようしているのか要領を得ないかたもおありでしょう。学校に細かな“面倒見”や“目配り”を期待すると、期待外れになることもあるということをお伝えしました。しかし、中高一貫の進学校には面倒見などよりもはるかに期待できることがあります。次回は、中高一貫の進学校(特に私学)の教育の本質的な価値を確認しながら、中学進学後のさらなる成長を見通した情報をお届けしたいと考えています。

 まだ本題に入らない段階で、すでにいつもより長い文章になってしまいました。次回にお伝えしたいことを書きますので、よろしければ引き続きお読みください。

 

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カテゴリー: 中学受験, 家庭学習研究社の特徴, 私学について

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