2016 年 11 月 14 日 のアーカイブ

ブログが満8歳を迎えました

2016 年 11 月 14 日 月曜日

 2008年11月14日に始めたこのブログですが、気がつけば丸8年が経過していました。記事数は本日で602回に達し、閲覧数は127万ビューを超えました。開始当初は、「いつまで続けるか」など全く念頭にありませんでした。拙文を読んでくださった方々には感謝の言葉しかありません。

 本ブログの特徴の一つは「文章が長い」ということです。これは、受験生の保護者のみなさまに「ある程度専門的な知見を背景に、学力形成や家庭教育のありかたに関する情報をご提供したい」という意図があるからです。いささか身の丈に合わぬ考えではありますが、「このようなプランを実行できるのは弊社しかない」という自負もありました。ただし、日常の仕事の合間に書くには負担が大きく、「そろそろ閉じようか」と何度も迷いながら今日のこの日に至りました。

 学習塾が、本業の指導をさておいて、子どもの発達や家庭教育に関する情報を発信するのはおこがましいことです。しかし、「子どもの望ましい成長という観点を見失わないこと、しつけの大切な仕上げ期であることを忘れないことが、中学受験の成否を決める、最も大切なことなのだ」と筆者は今でも確信しています。そこから逸脱した受験は、子どものためにも親のためにもなりません。このような考えに基づいてブログの記事を書いてきましたが、「始まりがあれば終わりもある」のが世の常です。数年経った頃から「そろそろ終わりにしようか」という思いが次第に頭をよぎるようになりました。

 そのいっぽう、2~3年前から筆者よりもずっと若いスタッフが執筆に加わってくれています。それなのに、ここでブログを閉じるのは筆者の我儘かもしれません。あれこれ思案した結果、当分は若い力も借りながらこのブログを継続することにいたしました。文章を書くという作業は、頭を鍛えることにもなります。慣れるまでは負担が伴いますが、それで得るものも多々あると思います。若いスタッフの成長にも大いにつながるでしょう。読者のみなさま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 家庭学習研究社は、昭和42年に設立された中学受験専門塾です。ただし、もともと経営者が通信添削の会社を興すつもりだったという経緯があり、学習塾としては風変わりな呼称のまま今日に至っています(もっと時代を遡ると、東広島市で起こした学習塾が出発点となります)。通信添削の実績はほとんどなく、創業まもなくして中学受験生のための模擬試験を主催するようになりました。それが中学受験専門塾になるきっかけでした。

 現在のような学習塾の形態になったのは、模擬試験に参加された保護者から「指導もしてほしい」と要請され、夏休みの講習を実施したのがきっかけだったと経営者から聞いています。創業時のことを筆者は知りませんが、当初は6年生の1年間で受験対策を完成させる形であったのが、受験ブームの高まりや、合格を巡る競争の激化に歩調を合わせ、5年部設立(昭和40年代半ば)、4年部設立(昭和60年)といったステップを踏むことになり、さらには低学年部門を設立(平成11年)して今のような陣容になりました。現会員児童の保護者のなかには、こうした変遷の途中で弊社の教室に通学されたかたもたくさんおられることでしょう。

 20161114筆者が入社した頃、校舎は三篠校のみであり、「週3日コース」だけでも平均30名以上で編成されたクラスが、6年生だけで男女それぞれ9~10クラス、日曜コース(現土曜コース)も男女数クラスずつありました。入れるだけ受験生を詰め込んだ狭い教室は、子どもたちの熱気と相まってアグレッシブな雰囲気が漂っていたことを記憶しています。

 日曜コースには、「家庭学習研究社」の呼称を正統に受け継ぐが如く、「自ら学び、自ら力をつける」という気概に燃えた受験生が多数いました。今と比べると、随分大人っぽい子ども達だったように思います。当時、6年部の日曜コースに所属していた児童が、「週3日コースに通ったらバカになる」と言っていたという話を耳にしたことがありますが、それが生意気や強がりとは思えないほどしっかりとした学びの姿勢をもった子どもたちがたくさんいました。

 近年は、児童数の大幅な減少、中学受験熱の後退、公立一貫校の設立など、広島の中学受験界の様相は随分変わってきています(首都圏など大都市圏では、相変わらず中学受験に活気がありますが)。かつて、修道中学校の受験者は千八百数十名、広島女学院中学校の受験者は千五百に迫る時期がありましたが、現在は修道が九百~千名、広島女学院が七~八百名前後と、随分入学への門は広くなっています。

 中学受験を志向する児童が減ったこと、児童数が全体的に減少したということは、無理をしなくても志望校合格の夢が実現し易くなったということを意味するでしょう。しかしながら、志望校へ入学できたらあとは自動的に望む学力が身につくわけではなく、人間としての器が大きくなるわけでもありません。

 むしろ、学習の習慣づけや、自分で段取りをつけて学ぶ姿勢、自分に合った学習法などがしっかりと定まらないまま中学に入学すると、飛躍を遂げるはずの中学高校の6年間が苦しみの連続となるおそれも生じてきます。中高一貫校での6年間を生かすも殺すも、自ら学ぶ姿勢を大切にする学習生活を送るかどうかにかかっています。そのことを保護者のみなさまにご理解いただき、「合格のための受験」だけでなく、「将来の飛躍に向けた礎を築く受験」となるようお子さんを見守りバックアップしていただきたいと切に念じる次第です。

 ご存知のように少子化は大学受験にも多大な影響を及ぼしています。私立大学の半数近くは常に定員割れの危機にあり、「優秀な学生を採る」ことよりも「いかにして定数を確保するか」に汲々としています。難関とされていた大学も、一部の特別なステイタスを築いている大学以外はレベルダウンを余儀なくされています。したがって、本来築いておくべき学びの姿勢や到達しておきたい学力に至らなくても受かるようになりつつあります。

 以上のように、学歴を得るための困難さは軽減されつつありますが、問題は社会に出てからです。今日のグローバル社会は、一国の経済が国内で完結することを不可能にし、大企業のほとんどは世界中の国々の経済動向をにらみながら、生き残りをかけて鎬を削るぬ難しい時代が到来しています。大企業といえども、5年10年先が見通せない厳しい状況にあり、そうした社会に参入する若者にとって学歴はさほど頼りになるものではなくなっています。それよりも、本物の学力や創造性、判断力、行動力、決断力、協調性、リーダーシップなど、高いレベルの総合的な知性が求められています。

 これらの能力を育むうえで貴重な自己習練の場を与えてくれるのが、中学受験のプロセスにおける学習生活だと筆者は思います。大人の指導やアドバイスを受けながらも、自分で学ぶ姿勢を少しずつ培い、段々と自分の現状を振り返りながらより望ましい取り組みのできる人間へと成長していく。そういう流れで受験を迎えれば、どのお子さんも中学、高校、大学でより一層学びの姿勢を磨き、高いレベルの知性を身につけた人間へと成長していくことができるでしょう。

 私たち家庭学習研究社は、微力ながら中学受験を志す子どもたちの将来の大成を願って指導に当たらせていただきます。子どもの将来に確かな布石を打つ中学受験の実現に向けて、保護者のみなさまと共に子どもたちを応援してまいります。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: ごあいさつ, 家庭学習研究社の歴史