2017 年 1 月 のアーカイブ

ようこそ、苦楽(くるたの)しい学びの世界へ!

2017 年 1 月 30 日 月曜日

 中学入試の喧騒が噓のように収まると、いつの間にか2月が目前に迫っています。昨年の2月、「全員の希望が叶う結果をめざそう!」という決意のもと、私たち家庭学習研究社の指導スタッフは6年部の指導を開始しました。しかしながら、今や大半の中学校の入試が終了しています(4日に広島新庄入試Ⅱ、5日に三育学院入試Ⅱが予定されています)。

 弊社会員受験生の入試結果ですが、人気校の一つである県立広島中の合格発表は2月2日(木)に予定されています。それ以外の国・公・私立中学校の入試合格状況は、近日中に当HPにて公表する予定です(※1/31の夕方に公表しました)。なお、県立広島中の合格発表後は、他校の補欠の繰り上がりに多少の動きが生じるかもしれません。

 ともあれ、受験生の子どもたちの入試はおおよそ終わりました。最初に受けた広島大学附属中の入試に合格した段階で、残りの受験はキャンセルして早々と受験を終えたお子さんもいたようです。第一志望校に失敗し、泣いておられる受験生も見かけましたが、まだ僅か12歳の子どもたちのことですから、実力発揮がままならなかったケースも多数あることでしょう。ほんとうに胸が痛みます。

 ただし、最後まで受験をめざしてがんばってきたのですから、その努力に応じた収穫がどの受験生にも必ずあるものです。第一希望校に合格できなかったからと言って、この先の人生までも希望通りにならなくなるわけではありません。どの中学校に進学しても、これまでの努力を信じ、そして反省すべき点は正面から受け止めて、次なる人生のステージに向かって堂々と足を踏み出していただきたいものです。受験生のみなさんの、今後のますますの成長をお祈りするばかりです。

 さて、今回のブログテーマを見て、「なんだこりゃ!?」と驚き、いぶかしく思われたでしょうか。それとも、「ふむ、ふむ」と、意味を察していただいたでしょうか。これは、2月5日に折り込む予定のチラシのタイトルで、これから受験生活をスタートさせる子どもたちへのメッセージとして筆者が書いたものです。受験生活は苦しいけれども、それ以上の楽しさや喜びがある。そのことをお伝えしようと思いました。まずは目を通してみてください。

 苦しいのに楽しい。それを「苦楽(くるたの)しい」と表現する人がいます。これはスポーツの世界で耳にした言葉ですが、中学受験の勉強にも当てはまります。

 友だちが遊んでいられる時間に、自分は難しい勉強に悪戦苦闘している。それは苦しいことです。しかしながら、スケジュールに沿って机に向かい、学習メニューに取り組む生活を続けていると、しだいに様子が変わります。「やるべき勉強をしないと気が済まない」――そんな自分に気づかされるのです。勉強の面白味がわかり始め、やり遂げる喜びを感じるようになったのですね。

 学習の習慣ができあがると、さらに大きな変化が訪れます。「ああでもない」「こうでもない」と、試行錯誤する時間が楽しくなってくるのです。考えた末に、とうとう問題解決の突破口が見つかる! この瞬間の喜びは何にも代えがたいもので、それを味わったなら、もはやかつての自分には戻れません。勉強は苦しさより、それ以上の達成感や成就感が得られる大切な存在になったのです。

 このような域に達した子どもには、すばらしいプレゼントがもたらされます。それは、志望校合格だけではありません。知を追求してやまない、真に頭のよい人間に成長するための要件が整うのです。スポーツで大成した人が求道者のように鍛錬を続ける。それと同じなんですね。

 中学受験への挑戦を通じて、子どもを果てしない知の世界の入口に導く。それが中学受験を専門とする家庭学習研究社の使命だと私たちは考えています。なぜなら、おとうさんおかあさんの願いは、まだ見ぬわが子の将来の歩みに明るい見通しをつけることにあると考えるからです。

 お子さんを私たちにお預けくださいませんか? 苦しくも楽しい、永遠の学びの世界の扉を開くためのお手伝いをさせていただきます。学びに真摯に向き合う子どもを育てましょう。

 「苦楽しい」という言葉は造語です。何年か前に雑誌を読んでいるときに目についた言葉です。実は、筆者の趣味はロードバイク・ツーリング(とテニス)です。ロードバイクのことを、ある専門家は「自動車にたとえれば、スーパーカーだ」と語っていましたが、とても速く走れる自転車です。軽いものだと、重量は7㎏を切りますから、ママチャリの三分の一ほどしかありません。

 そんなバイクを走らせる楽しみの一つがヒルクライムです。何キロも続く坂道を、汗だくになりながら休むことなくかなりのスピードで駆け上がる。それは苦しいことこの上ないものですが、長い坂を登り切ったときの喜びや爽快な気分は何とも言えません。そして、一息つくと「あー楽しかった!」と、また次の坂道へのチャレンジの気持ちが頭をもたげてきます。

 無論、坂を登っているときの気持ちとしては苦しいというべきなのですが、テンポよく登れる調子のよい日には、苦しさと爽快な楽しさとが同居する、不思議な感覚が味わえます。筆者はふと、「この気持ちは、受験生が日々の取り組みで味わう気持ちに似ているな」と思いました。苦しいけれど、やらずにはいられなくなるもの。そして、やり切ったときの爽快な心地よさを味わえるもの。そうした側面に、受験勉強といろいろなスポーツの共通点があるように思うのです。

 この文章を書いた後、「『楽苦しい』としたらどうなのか」、とも思いました。しかし、これでは「苦しい」が主体になってしまい、勉強をやり遂げた後、坂を登り切った後の楽しい気分が打ち消されてしまいます。そこで、元通りに「苦楽しい」に戻しました。

 別の広報担当者に書いた文章を見せたところ、ネットか何かで調べたらしく、「『苦楽しい』という造語を初めて使ったのは、作家の遠藤周作氏(故人1923-1996)だという著述があります」と言っていました。真偽のほどは定かではありませんが、「作家の執筆作業にも大いに当てはまるな」と、納得したしだいです。

 日々受験勉強に打ち込む生活は、まだ小学生にすぎない子どもたちにとっては苦しいものです。しかし、やり遂げる経験と、そこにある楽しさや喜びを味わう経験を通して、勉強という営みの価値やすばらしさを知ることになります。そうして、いずれかの段階で一人前の受験生になっていくのです。

 「受験勉強は苦しいけれど、やらずにはいられないよ」――そんなお子さんにしませんか? もしもそうなったなら、受験を終えた後の人生もまさに前途洋洋です。なぜなら、目標を達成するために苦労を厭わない姿勢こそ、人生を成功裏へと導くいちばんの方法だからです。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, 中学受験, 勉強について

2週間に1回のテストの意義って!?

2017 年 1 月 23 日 月曜日

 1月19日(木)には、広島大学附属中の入試が行われました。多くの受験生にとって、「附属」と言えば“あこがれ”の存在です。いきなり本命校から始まり、動悸を押さえられないほどの緊張と闘いながらの受験となったお子さんもおられたことでしょう。。

 なお、広島大学附属中の合格発表はすでに行われ、合格者数は外部受験生では男子が115名、女子は60名と、昨年よりもそれぞれ10名、5名少ない人数でした。昨年度の歩留まり率を考慮してのことでしょう。今年はやや狭き門となった様子です。附属小からの内部受験者による合格数は、男子19名(昨年18名)1、女子14名(昨年14名)で、昨年とほぼ同じ数でした。同校を第一志望にされた受験生が、一人でも多く合格されていますことを心より念じています。

 広島大学附属中入試の翌日(20日)は、広島県西部地区の私学入試解禁日。この日は、さっそく広島なぎさ中、崇徳中(前期)、安田女子中(入試Ⅰ)、AICJ中と、4校の入学試験が行われました。

 今年は、男子の主要な受験対象校の入試が5日間続きます。そのハイライトとも言えるのが、昨日(22日)の広島学院、今日(23日)行われる修道の入試です。女子校においても男子校と同様に、広島大学附属中の入試を皮切りに、連日受験が続く過酷な日程となりました。女子受験生にとって最もポピュラーな受験対象校である広島女学院中、ノートルダム清心中の入試は、それぞれ21日(土)、22日(日)に行われ、さらに今日(23日)は安田女子中の入試Ⅱが行われています。

 以上のように、広島の主要な私立中学校の入試は本日をもってあらかた終了します。なかには、「いざ入試が始まると、あっという間に全部終わってしまった」と感じている受験生もおありでしょう。悔いの残らぬ受験であったことを念じています。

 なお、このあとは県立広島中入試が28日(土)に、崇徳中の後期入試と広島大学附属東雲中の入試が29日(日)に予定されています。これらの中学校の受験を控えたみなさんは、あとしばらく適度に緊張感を保ちつつ、体調を整えて入試に臨みましょう。受験生のみなさんがベストパフォーマンスで受験を乗り切られることを、心よりお祈り申し上げます。

 入試シーズンの訪れは、学習塾にとっては新規通学生の募集が佳境に入ることを意味します。弊社においては、5・6年部が開講する2月18日(土)まであと1ヶ月を切りました(4年部は3月4日に開講します)。これから入会を検討していただくご家庭におかれては、当ホームページにて「入会ガイダンス」という催しの案内をチェックしていただき、ご都合が合えばぜひ参加していただきたいと存じます。この催しでは、各校舎の校舎長(責任者)が、弊社の学習指導について詳しくご説明いたします。どうぞお気軽にお越しください。

 さて、ここからが今回のブログテーマに沿った話題となります。今回は、弊社の会員募集に関連する内容を採りあげてみました。弊社の学習指導の基本的な枠組みの一つに、2週間に1回の割合で繰り返されるテストの制度があります。2週間取り組んだ単元の「まとめ」となるもので、弊社では「マナビーテスト」と呼んでいます。

 このテストは、各学年ごとに全員で2週間の学習成果を競い合う形式で行われます。ただ出来栄えを確かめるのではなく、意気込みをもってテストに挑戦する姿勢をもってほしいからです。また、そのほうが勉強に向かう姿勢もより積極的になるものです。テスト終了後は、返却される答案やテストデータを点検していただき、各自成果と反省点を胸に次の単元の学習へと進んでいきます。

 テストが1週おきにあることには大きな意味があります。単元の学習とその成果を検証するテストを一定のスパンで繰り返すことで、日々の勉強にリズムが生まれます。たとえ失敗しても、次の単元に即したテストが2週間後にありますから、失敗の原因を振り返って取り組みを修正していけば、すぐに成果が表れます。それを励みにがんばっていくのです。

 ところで、学習した内容の理解を深めたり、テストでよい結果を得たりするうえで必須の勉強として、誰もがご存知なのが「復習」だと思います。弊社では、前述のように2週間を一括りにした単元設定の下、教室での授業と家庭の復習を反復していく学習システムを採っています。週3日の通学を原則としているのはそのためです。5年部を例にあげてご説明してみましょう。月曜日に授業を受けたら、翌日は家庭で復習(若干の予習もあります)、水曜日に次の授業を受けたら、翌日は復習(と予習)、さらに土曜日に授業を受け、また復習(と予習)、さらに次の週も同じパターンを繰り返します。こうして、2週目の週末土曜日には、全員で成果を競うテストにチャレンジしていただきます。

 復習がなぜ大切なのかについては、説明など無用かもしれません。やり直すと、より理解が深まるとともに、忘却に歯止めをかけられるからです。もう少し詳しくご説明しましょう。学習や体験を通して入力された情報は、側頭葉を経て脳の奥深くにある海馬と呼ばれる部位に転送され、そこで約1カ月かけて長期記憶に加工されます。その後、長期記憶となった情報は再び側頭葉へと転送され、そこで貯蔵される仕組みになっています。

 無論、学んで得た情報が全て記憶されるわけではありません。むしろ、忘却する情報のほうがはるかに多いのが普通です。では、学習によって得た情報をより多く記憶するにはどうしたらよいでしょうか。入力された情報が忘れ去られてしまわないうちに、すなわち情報が海馬に送られた直後に復習し、それからしばらく経った頃(2~3日後)に再び復習し、さらに記憶としてまとめられる過程(例:1週間後・2週間後・1ヶ月後)で念押しの復習をする。このように、段階を追って反復して復習すると記憶の確率がぐんと高くなります。つまり、反復の復習こそ、学力を定着するうえで決め手になります。以下の資料を参照してください(この資料はインターネットで入手したものです)。

 このことを踏まえ、弊社では2週目のテスト前の授業では「まとめの学習(がんばりチェック)」を組み入れ、復習内容を授業で扱うことで理解の深化と定着を促進させています。そのうえで、週末土曜日のテストを実施すれば、より多くのお子さんが成果を実感できるのではないでしょうか。またテスト後、テスト結果返却後にも復習を奨励しています。このように復習をするのが当たり前になる。そして、それをリズムよく行えるようになる。こうした流れができれば、学習が常に活気を帯びてきます。テストも楽しみになるという好循環が生まれてきます。弊社で好成績を維持しているのは、大概この流れがうまくできあがっているお子さんです。

 以下にお伝えする事柄は、以前このブログに書いていることですが、学習したことを記憶に残すうえで大切なことがあります。それは、「面白い!」「知りたい!」という好奇心や探求心を背景とした学習を実践することです。つまり、興味や関心をもって勉強すれば、同じ勉強をするのでも記憶に残る確率が高くなるのです。

 その理由を書くと長くなりますが、要するに、記憶の加工に関わる海馬の細胞の働きが活性化することで記憶力が高まるのです。さらには、海馬の入り口で情報を取り込む際に働く細胞(顆粒細胞)が増殖することにより、記憶力が高まるのです。弊社の教室では、覚え込ませたりたくさんの問題演習をしたりするのではなく、学習課題にある面白さに気づかせる指導に力を入れています。その理由もこれでおわかりいただけるでしょう。

 みなさんは、かつて大ヒットした「バック・トゥー・ザ・フューチャー」というアメリカ映画をご覧になったことがあるでしょうか(おそらく、多数いらっしゃると思います)。高校生のマクフライの友人で、ドクというニックネームの科学者がいましたが、彼がタイムマシン(デロリアンDMC-12)を製造しているときのワクワク感に満ちた表情(まるで目が飛び出るかのような笑顔)を今でも思い出します。そういう体験を子どもの頃から繰り返すと、偉大な頭脳が築かれるのだろうと思いませんか?

 ちょっと話が横道にそれてしまいましたが、子どもたちが学ぶ楽しさ・ワクワク感を味わうような勉強こそ、記憶力も、頭脳の働きも大いに活性化するのだと言えるでしょう。

 最後に。テストについて、近年注目されている意義というか効能があります。テストと言うと、「学んだ成果の確認」や「実力を試す」ためのものとみなされがちですが、それ以外にも重要な役割を果たしていることが明らかにされています。それは、「記憶を強化する」という働きです。

 テストを受けたとき、何度も何度も問われているものの名前を思い出そうとしたり、必死になって解決の突破口を見つけ出そうとした経験をどなたも思い出すことでしょう。そのとき、あなたは普段の勉強とは比べ物にならないほど集中力を働かせていたはずです。このように、記憶を呼び出そうと心を集中させることで、学んだことを深く記憶に刻みつける働きがテストにはあるのです。

 授業と復習を繰り返し、さらに定期的にテストを受ける。この流れをうまく軌道に載せれば、弊社の教室に通って受験対策をするお子さんは誰でも一定の成果を得ることができるでしょう。リズムやテンポのよい勉強をしていると、必ず学んでいるそのこと自体が楽しく、また新たな発見が繰り返されることになります。こういう勉強で成果を得られるようになったなら、中学進学後も、大学への進学後もテストに強い人間であり続けることができるのではないでしょうか。

 弊社に入会されたお子さんには、このテストの制度、授業と復習の反復のしくみを説明し、少しずつ理に叶った勉強の態勢が築けるよう指導していきます。課題意識や展望をもち、計画的に学ぶ受験生活がきっと実現すると思います。「決めたことをやらずにはいられない」――そんな受験生になったなら、受験での合格など当たり前になります。さらに先の将来への展望も開けてくることでしょう。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, アドバイス, 中学受験, 家庭学習研究社の特徴

2017年度の中学入試がいよいよ始まります!

2017 年 1 月 16 日 月曜日

 2017年度の中学入試シーズンがやってきました。先週末から日本列島が強い寒気団に覆われ、日本のかなり広い領域が雪に見舞われました。広島の中心部でも、30年以上ぶりの積雪を記録したもようです。受験当日には雪が降らないことを祈るばかりです。

 昨日は、広島市や廿日市市、呉市、東広島市などで新規会員の募集チラシを折り込みました。毎年のことですが、この時期のチラシには「中学受験生への応援メッセージ」を掲載しています。以前は筆者が書いていましたが、このところ若い広報スタッフの成長もあり、こうしたスタッフが記事の執筆を担当しています。今回は、かつて中学受験を経験したことのある女性スタッフが書きました。ご家庭に折り込まれなかったかたは、本HPに掲示していますので、よろしければぜひ目を通してみてください。

 さて、広島県西部地区の私立一貫校の入試解禁日は1月20日(金)ですが、すでに近畿大学附属中学校(東広島校)の前期入試が1月7日(土)に行われ、10日(火)に合格者も発表されています。また、公立一貫校の広島中等教育学校の入学適性検査も14日(土)に終了しました。合格者の発表は1月20日(金)となっています。

 多くの受験生にとっては、解禁日からの数日が勝負になると思います。下の入試日程表をご覧ください。たとえば男子の日程を見ると、19日(木)が広島大学附属、20日(金)が広島なぎさ(崇徳・AICJもこの日に入試があります)、21日(土)が広島城北、22日(日)が広島学院、23日(月)が修道と、全て受けると5日連続で入試が続く日程となっています。

 女子についても、19日(木)に広島大学附属、20日(金)に安田女子Ⅰ・広島なぎさ、21日(土)に広島女学院、22日(日)にノートルダム清心、23日(月)に安田女子Ⅱと、これまた連日いずれかの中学校の入試が予定されています。なお、安田女子の入試Ⅰは第一志望を安田としている受験生を対象とし、入試Ⅱは一般の他校入試と同じ扱いの入試です。募集定員は異なりますが、入試Ⅰによる募集比率が高くなっています。

 このように、男女とも圧縮された形で入試の日程が組まれています。全部受験するお子さんの場合、相当な負担となりますので、体調の管理は絶対に疎かにしないよう気をつけてください。

 ただし、近年の傾向としては「3校受験」が主流となっており、その次に「4校受験」「2校受験」が拮抗して続いています(弊社会員の受験校調査による)。したがって、連日の入試の負担も考慮して、第一、第二志望校を優先しつつ、残る1校を選択して受験するといったパターンが多くの受験生家庭で見られます。たとえば、広島学院が第1志望の場合、もう1校は修道、さらに3つめの受験校として広島大学附属、広島城北、広島なぎさのうちのいずれかを選ぶといった具合です。3つめの受験校選択にあたっては、学力状態や男子校か共学校かなどの好みで選ぶなどの傾向があります。

 各中学校の入試の志願者数ですが、修道中学校は1056名の受験生が出願しており(11日に同校HPにて公表)、前年比73名の増加となっています。これは、長く続いた県立広島との同一日入試が行われなかったことがかなり影響してのことでしょう。男子の他校、女子校はそれぞれ若干の増減があったものの、特筆するほどの大きな変動は見られなかったもようです。広島大学附属の志願者は1053名(男子594名・女子459名)です。この志願者数には、附属小の受検生男子37名、女子39名を含みます(同校HPにて16日に公表)。なお、県立広島については、志願者数の確認ができておりません(18日が願書提出の締め切り)のでご了承ください。

 さて、冒頭でもお伝えしましたが、心配なのは入試当日の天候です。天気予報の推移を毎日チェックし、降雪の確率が高いときには前日までに学校に対応の確認をしておくと多少は安心かもしれません(インターネットでの出願者は、メールで情報を得られると思います)。もしも入試当日の朝雪に見舞われたときには、早めに学校に電話で連絡をし、状況を確認したり、指示を仰いだりするのが賢明です。学校側は必ず対処(時間の変更、別室受験など)について決めておられると思いますので、あわてないでください。

 受験生はまだ小学生です。親が平常心を失うと、子どもも気が動転して実力発揮どころではなくなってしまいます。天候で不測の事態が生じた場合、大半の受験生に影響が出ていますから、焦ったり慌てたりする必要はありません。保護者におかれては、最後の最後までお子さんの心身のコンディションへの配慮をよろしくお願いいたします。

 受験生のみなさんの健闘をお祈りいたします。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, 中学受験

日本の男子の問題点を検証すると…

2017 年 1 月 10 日 火曜日

 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 正月は、子どもにとって年中行事として欠かせない楽しみの一つです。しかしながら、中学入試をめざす6年生の子どもたちには入試本番が目の前に控えています。どの受験生も、今年に限ってはお雑煮を食べ、お年玉をもらったあとは正月気分もそこそこに、入試に向けた最後の点検や調整に気持ちを切り替えておられることでしょう。泣いても笑っても受験生活はあと残りわずかの期間です。悔いののこらぬよう、しっかりがんばっていただきたいですね。

 さて、今回は年末のテーマに引き続き、男子の問題を話題にとりあげました。前回は外国における男子の問題についてご紹介しましたが、今回は日本のそれについて書いてみようと思います。

 外国の男子に関わる問題は、主として少年期の男子にまつわるものでした。しかしながら、日本で問題とされてきたのは、どちらかというと青年期の男子に見出される問題です。そういうと、なかにはすぐに思い当たったかたもおありでしょう。いわゆる、フリーターやニートと呼ばれる青年が増えている問題です。ご存知かと思いますが、フリーターというのは、15~34歳の年齢(学生や主婦を除く)で、就職せずに自らの意志でパートやアルバイトをして生活している人のことで、ニートは同様の年齢、同様の立場にあり、仕事をせずに求職活動もしていない人のことをいうようです。

 フリーターやニートは、本来は男子のみに適用される言葉ではありません。なぜ男子が問題視されるのでしょうか。それは、相応の年齢に達したら、「男は結婚して家庭をもち、一家の主として働いていてこそ一人前である」という観念が根強く日本社会に残っているからだと言われています。こうした男性中心の見かたに基づく社会の揺らぎ。それが表面化した問題だということなのでしょう。

 日本の青年男子に関わる問題も、その原因は欧米と同じように大きく二つに分類されています。一つは、“若い男性の堕落”という批判的な視点に立ったものです。「働く意欲の欠如」「親に寄生している」などの若者批判がこれに該当するでしょう。もう一つは、欧米の少年の逸脱の理由に対する見かたと同じく、男子を被害者的な視点でとらえたものです。たとえば、女子の優遇、男子の不利といった観点から、男子が不当に差別されているとみなす人たちがいます。

 この問題も、素人が深入りすると誤解や不勉強で読者を混乱させかねません。ここまでに留め、そろそろ今回予定していた内容に移ろうと思います。このブログをお読みくださっているかたの多くは、小学生をおもちの保護者であろうと思います。よって、日本における男子の問題を、学齢期にある子どもに焦点を当てて考えることのほうに興味がおありであろうと思います。

 この話題に着目したきっかけは、大学の先生の著作が目に留まったことでした。その先生によると、欧米の学齢期にある男子の問題は日本の子どもには無縁かというと、そんなことはなく、前回ご紹介したドイツの子どもの学力低下の問題と同様のことが日本においても見られるそうです。それについて言及されている著述部分をご紹介してみましょう。

 ( 前略 )ドイツで男子を敗者とみなす言説が台頭するようになったきっかけの一つが、2000年のPISAにおいて男子の成績がふるわなかったことであった。実はこれまでに結果が公表されている過去5回のPISAの結果を見てみると、日本でも、成績がふるわないのはどちらかといえば男子の方であることがわかる。「科学」の平均点については、第5回(2012年)では男子が女子を有意に上回ったが、残りの三回では統計的に有意な男女差は見られない。ところが、「読解力」については、他のほとんどの参加国と同様に、過去5回とも平均点が男子のそれを有意に上回る結果となっているのである(国立教育政策研究所2015)。

 ( 中略 ) 学校生活において女子よりも男子に積極性がない傾向は、深谷昌志らが首都圏の中学生1500人を対象に行った質問紙調査の結果からもうかがえる。中学生に自己評価を求めたところ、「その場を仕切るタイプ」(男子26.1%<女子31.9%)、「意志が強い」(男子46.9%<女子53.3%)という、積極性をイメージさせると同時にどちらかといえばこれまで男性的と見なされてきた項目においても、女子の方が肯定する割合が高くなっている。また、「友だちをまとめるのがうまい」(男子16.3%<女子20.7%)、「納得がいかなければ先生にも文句を言う」(男子32.2%<女子37.0%)、においても、それほど大きな差ではないものの、女子の方が肯定する割合が高くなっている。一方、自分の現状に対する満足度という点では、男子の方が高い傾向が見られ、「学力」(男子30.4%>女子18.8%)、「性格」(男子46.0%>女子33.0%)、「友達関係」(男子70.9%>女子63.3%)のいずれにおいても男子の方が満足度が高くなっている。これらの結果から、深谷らは「元気な女の子」と「ほどほど志向の男の子」という対照性を確認している(ベネッセ教育研総研2003:深谷2003)。

 引用部分の内容について確認してみましょう。PISA(ピザ)というのは、OECDが3年おきに15歳児を対象として実施している国際比較テストのことで、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野で調査しているものです。OECD加盟国だけでなく、非加盟国も多数参加している大がかりなテストです。

 先ほどの引用文にある、2015年のPISAテストの結果が直近の調査ですが、それによると読解力については、日本の男子も西欧諸国の傾向と同じく、男子のほうが女子よりも点数的に下回っています(全参加国で、同様の結果が示されていました)。また、男女の平均点の差は、調査参加国の全てのなかで4番目に少ないものでした。男子の正答率は、62%で、女子のそれは65%でした(文部科学省・国立教育政策研究所のHPによる)。

 こうしてみると、読解力においては男子が女子より劣るのは世界共通の現象のようです。日本の男子は女子との差がかなり少ないほうだということもわかりました。

 また、「その場を仕切るタイプか」「意志が強いか」といった性格面での自己認識では、女子のほうに積極性が感じられるのに対し、男子はその点において女子ほどにないという結果が示されています。かつてなら、この二つの項目は男子のほうに高いポイントが出ているはずでした。男女平等の原則が浸透しつつある近年の傾向なのでしょうか。そのいっぽうで、男子が高ポイントを得ている項目もありました。「学力」「性格」「友達関係」などでは、男子のほうが満足指数が高くなっています。

 さて、この結果だけを見ると、日本の場合は「男子の問題」を深刻に受け止めるほどのことはないようにも思えてきます。しかしながら、すでに書いてきたように、「男子は女子より思考が幼稚」「男子のほうが読解力で劣る」というとらえかたは、かなり一般的なものになっています。また、真面目にコツコツがんばる傾向のある女子のほうが、中学、高校、大学においても学力面で優位に立ちつつあることも報告されています。

 また、これは筆者の思い込みかも知れませんが、自分の「学力」や「性格」「友人関係」を肯定的にとらえるのは、男子のほうが単純で幼稚であることの裏返しのようにも思います。自分を肯定的に受け止めるのは決していけないことではありません。それどころか望ましいことです。しかしながら、現実が伴っていない男子が多いのではないでしょうか。

 たとえば、前回からの話題を取り上げるきっかけとなった書物の著者(関西大学教授の多賀太先生)によると、「学業面以外での、いくつかの反社会的行動や社会的不適応を引き起こす割合も、女子よりも男子で高い傾向が見られる。たとえば、少年鑑別所入所者に占める男子の割合は女子の8倍以上であり、少年院の入院者に占める男子の割合は女子の9倍以上である。不登校やひきこもりは圧倒的に男子のほうが多い傾向にある。さらに、2014年の19歳以下の自殺者に占める男性の割合は69.3%と三分の二以上を占めている」と述べておられます。

 こうしてみると、学童期の男子に見られる諸問題は、西欧に限らず日本でも看過できないレベルに達しています。その割に、日本では青年期の男子の問題のほうがクローズアップされているのです。なぜなのか。それについては、前出の先生もご自身の考えを述べておられましたが、今回はとりあえず問題が現実にあるということをお伝えしたところで終わろうと思います。

 ただし、学童期の男子の問題のうち、読解力の不足を中心とする男子の問題について、最後にひと言お伝えしたいことがあります。

 まず、就学前の段階での親子の会話生活を大切にしてください。また、読み聞かせを男子の子どもには特に励行してください。人の話を聞くこと、自分の考えを発信すること、物語の世界を楽しむこと。これらが、プレリテラシーの段階でとても重要な働きをします。言葉や思考に堪能な子どもにするだけでなく、親子の信頼関係、心の安定した子どもにするうえでとても大きな作用を果たすからです。

 また、小学校に入ってからは、音読を上手に仕向け、声に出して本を読むことを励行させてください。音読が軌道に乗るまでは、親子交替で読む、親が範読するなどの工夫をお願いします。そうして、声に出して滑らかに読めるようになれば、黙読へとよりスムースに移行できます。黙読がしっかりとできる子どもは、自然と本読みになります。語彙の充実、より深い読みへの移行、思考力の向上、学力アップとよい循環が約束されていきます。

 こうしたことについて触れると、限りなく文字がかさんでいきますので、ここまでで終わらせていただきます。ともあれ、男子の問題は幼少期からの親の関わりで未然に防げるものです。「うちは関係ない」と思わず、わが子にできることを精いっぱいしてあげてください。

 男子の問題については、筆者自身もう少し勉強して、再び話題にとりあげてみたいと思っています。

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カテゴリー: アドバイス, 子育てについて, 家庭での教育