受験勉強は今どうなっていますか?

2017 年 5 月 22 日

 2017年度の前期講座が開講して約3ヶ月(4年部は2か月半)が経ちました。進学塾への通学が初めてのお子さんも、今ではだいぶ慣れてきたことでしょう。

 ただし、“ナレ”は“ダレ”にもつながります。開講間もないころの程よい緊張感が薄れてくると、いつの間にか勉強が惰性に流れてしまうお子さんがいます。逆に、何もかもが初めての経験で戸惑ってばかりだったお子さんが、1~2カ月もすると学習の要領がつかめてきて、今では勉強への手ごたえを感じておられるケースもあるでしょう。一人でも多くのお子さんが、毎回のマナビーテストを楽しみに意欲的な学習生活を過ごされることを念じています。

 今回は、お子さんの勉強ぶりに「もうちょっとがんばれないものか」「勉強がマンネリに陥りつつあるのではないか」と、少し心配をされているご家庭の保護者に、受験生活の活性化に向けた提案をさせていただこうと思います。

 すでに何回もお伝えしましたが、小学生までの子どもの学習意欲を支えているのは、「学習から得られる達成感」や「目標を達成したいという気持ち」ではありません(無論重要な要素ですが)。それよりも、「親に認めてもらいたいという願望(低~中学年)」や「親の期待に応えたいという気持ち(中~高学年)」が、子どもの前向きな学習を実現するうえでより大きな作用を果たします。それは子どものもつ精神的な世界が未熟であり、全面的に親を頼って生きているからに他なりません。

 このことを踏まえるなら、「やる気が見られない」「惰性に陥っている」「実行力を欠く」など、わが子の勉強に対する親の不満があったとしても、それは必ずしも子どものせいとばかりは言えません。「子どもの現実は、親を鏡に映したようなものだ」と言われるように、親の生きかたや子どもへの関わりかたが原因である可能性が多々あります。ですから、「子どもの学習意欲は親次第なのだ」と思っていただくとありがたいです。わが子の受験生活に関心を寄せる親の姿勢が大切なのです。親がフレッシュな気持ちを失えば、当然子どもの勉強も惰性に陥ってしまいます。

 では、具体的に親(特におかあさん)はどういう点に気をつければよいのでしょうか。

①子どもの努力やがんばりを信じて見守る

 子どもは親に信頼されていると思うと張り切ります。長い受験生活は、親の信頼という後押しあってこそ乗り切れるものです。子どもがやるべきことをしない。注意する。叱る。無理やりやらせる。これを繰り返すと、親子の信頼関係は崩れ、子どもの意欲喪失につながってしまいます。

 「でも、ちゃんとやっていないのに信頼するなんて」と思われるかたもおありでしょう。しかし、その考えかたは生産的ではありません。子どもは親次第なのです。親が「今からだってやれるはず」という信念をもてばやる気に灯は灯ります。一度親子で受験勉強についてじっくりと話し合いましょう。成績のことより、毎日の取り組みを大切にすることが親の願いであることを、優しく丁寧に伝えてあげてください。

 そのうえで、改めて決心していただきたいのです。それは、「わが子のがんばりを信じる」こと、そしてもう一つは、「指示や命令で子どもを動かさない」こと。親がその覚悟で見守っていれば、親の気持ちは必ずお子さんに伝わります。お子さんの意欲が高まれば、成績は必ず回復してきます。

 お子さんの立場に立って考えてみましょう。おかあさんが「できないのではないか」と不安がっていると感じたり、「どうせやらないだろう」と思っていると受け止めたりしたなら、勉強のモチベーションは下がることはあっても上がることはありません。

 改めて親子で学習計画を確認、調整し、「ちゃんとやれるよね」と信頼の気持ちを伝えてあげてください。無論、自立の度合いやしっかり度は、お子さんそれぞれに違います。親の期待する勉強とはどういうものかをお子さんに伝え、お子さんが「やる!」と決めたことをやらせればよいのです。

②少しずつの進歩を期待し、忍耐強く見守る。

 受験のための塾通いをしていても、受験生らしい自覚に基づく勉強が実現するのはもっと先(6年生の後半になってから)のことです。それが多くの小学生の現実です。

 ですから、「子どもとはそういうものだ」と思ってください。焦ってはいけません。まずは、「塾へ通うのが楽しい」「○○の勉強はおもしろい」といったように、勉強を受け入れ、嫌がらずに(できるなら、楽しいと思って)取り組むようになることを当面の目標にしましょう。私たちも、そういうつもりで指導していきます(6年生には、その段階に応じた対応をしています)。

 無論、子どもにもメンタル・コンディションがあります。やるべきことをやらなかったときには、どうしたらよいでしょうか。そういうときこそ忍耐が必要です。問いつめたり、叱ったりしないことです。きっとがんばれない理由があります。子どもの言い分に耳を傾けてやりましょう。「どんなときにも親は信頼できる」お子さんがそう思ったなら、決して勉強を投げ出すようなことはありません。

 受験生の親は、受験が終わるまでストレスとの闘いは避けられません。しかし親が辛抱し、子ども自らの取り組みを引き出すべく粘り強く働きかけた受験に失敗はないと断言できます。わが子の中学受験とは、どの親にとっても忍耐と辛抱の連続体なのです。

 子どもの現実を目の当たりにすると、ほとんどの親は「こんなことでは」と、ペシミストになりがちです。しかし、取り組みのよい子どもの親のほとんどはオプティミストです。「今はまだまだできていないけれど、きっとやれるようになる」という希望を失わないでください。そういう親の姿勢は必ず子どもに伝わり、「親の期待に応えよう」という気持ちが次第に高まってきます。

③努力を指標に見守り、ほめることを忘れない。

 はじめは気持ちよく応援していたおかあさんが、突如として様変わりすることがあります。それは、お子さんがテストの成績をもらって帰ってきたときです。

 成績がよければ、おかあさんは上機嫌になり、余裕をもってお子さんに接することができるでしょう。問題は悪い成績をもらったときです。そんなとき、ポーカーフェイスでわが子に接するのは難しいものです。子どもの成績を見たおかあさんが突如として猛烈教師になる。そんな話を聞くことがあります。

 しかし、それをしてしまうとお子さんの自立勉強は崩れるし、勉強への前向きな気持ちが引っ込んでしまいます。さらには親への不信感をもたせることになります。また、親が教え始めると、当面の成績は上がるケースもありますが、それをすると受験の意義は大きく損なわれてしまいます。

 大切なのは、親が焦らないことです。そして、出発点のとき以上に、子どもが楽しく学ぶこと、意欲をもって学ぶこと、日々の勉強をちゃんと計画通りやり遂げることが大切なのだということを自らに言い聞かせ、愛情深く応援してあげてください。

 そして、子どものやる気を高めるために、大いにほめることを心がけてください。「成績が悪いのにどうやってほめるのか」とおっしゃるかたもおられるかもしれません。そういうおかあさんには発想の転換をお願いします。成績が上がったらほめるのではなく、がんばりを引き出すべくほめるのです。具体的には、日々予定していた勉強をちゃんとやっているとき、いつもよりも熱心に学んでいるとき、勉強以外のことでもがんばっているとき・・・・・・ほめるタイミングはいろいろあります。

 テスト結果でほめようとすると、親がわが子をほめるチャンスは少なくなります。しかし、努力を評価軸に置いたなら、ほめる回数は格段と増えるのではないでしょうか。親のそういう見守りがお子さんに通じないはずがありません。

 中学受験は、子育ての最中にある子どもの受験です。まだ親がかりの年齢にある子どもの受験生活は、“しつけ”と切り離して考えることはできません。そこで、最後に、“しつけ”とはどういうものかをともに考えて終わりたいと思います。

 外国の有名なカウンセラーは、次のように語っています。

 多くの親はしつけの目的について誤解している。彼らはしつけの目的は子どもをコントロールし、何が何でも子どもに言うことを聞かせることだと信じている。この目標は間違っているし、とうてい達せられるものではない。しつけの目的はコントロールすることではなく、協力を得ることである。協力とは、子どもが親の意向に従うことを自らの意思で選択する、という意味だ。

 望ましいしつけとは、子どもとのパートナーシップを築くことです。押しつけるのではなく、子どもの側から自発的に「親の期待に沿った行動をしよう」と思うような関係を築くことです。

 そのことをこれから心の隅に置いて、お子さんの受験生活を応援してあげてください。感情的に叱ったり、無理やり言うことを聞かせたりするような、親にとっても辛い受験生活になるとお子さんのためにもよくありません。お子さんの受験を子育ての仕上げにするつもりで、自立に向けた見守りと応援をすることが、お子さんにとってもいちばんよいことではないでしょうか。きっとお子さんは、学力を身につけるだけでなく、人間力にも秀でた立派な人間に成長されることでしょう。


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