学力は“学習意欲”に支えられてこそ輝く その3

2017 年 12 月 11 日

 前回は、学習意欲が高まるのはどういうときかについて、小学生から高校生までの子どもを対象とした調査の結果をご紹介したところで終わりました。

 今回は、「やる気を失うのはどういうときか」について、前回と同様に国立教育政策研究所内「学習意欲研究会」による調査結果をご紹介してみようと思います。なお、お伝えするのを失念しておりましたが、この一連の調査は、東京都と岐阜県の一部の地域で合計約1400名を対象に実施されたものです。

 この調査データを見ると、小学生から高校生まで年齢に関係なく、子どものやる気がなくなる理由は基本的に共通していることがわかります。

 子どものやる気を左右するのは、教育の場では何と言っても授業なのですね。「授業がつまらない」ことがどの年齢層の子どもにとってもやる気がなくなるいちばんの原因となっていることがわかりました(小学生、中学生、高校生とも、理由の第1位)。これは、教育現場に立つ者(無論、私たち学習塾の指導担当者も含む)が肝に命じておくべきことだと痛感します。

 前回ご紹介したように、小学生、高校生の「やる気になる」理由として、「授業がよくわかるとき」(小学生・中学生校生第1位、高校生第2位)や、「授業がおもしろいとき」(高校生第1位、中学生第2位、小学生第3位)だったことと考え合わせると、子どもたちの知的興味を引き出す上手な授業の実践がいかに子どものやる気に大きな影響を及ぼすかを思わずにはいられません。

 なお、「授業がわからないとき」にやる気を失う割合は、小学生よりも中学・高校生のほうが高くなっています。これは、授業を理解できていないことが成績、ひいては進路選択に影響することを慮ってのことかも知れません。小学生の場合、まだそこまで先を見通して考える思考が育っていません。そのあたりが数値に表れているのでしょう。

 そのほか、子どものやる気がなくなる理由として見逃せない、興味深い項目があります。それは、「家族の仲が悪かったりしていやなとき」というものです。小学生で第2位、中学生で第3位、高校生で第5位にランクされています。

 子どもというものは、親子の関係が良好なときには気持ちが安定し、自分が何を期待されているのかを考えるゆとりが生まれます。まして家庭内が建設的な雰囲気に包まれていると、気持ちが高揚し「がんばろう!」という意欲が湧いてきます。この傾向は、大人(親)の影響力が強い低年齢層ほど強いもので、小学生の保護者の方々にはぜひ心に留めておいていただきたいことです。

 家庭内の雰囲気が子どものやる気に強い影響を及ぼすのは、おそらく思春期(一般には中2前後)までだと思います。思春期を通過し、子どもが精神的に親から独立すると親の干渉を嫌がる傾向が強くなります。「やる気がなくなる」理由のうち、中学生の第4位に「母親に『勉強しなさい』といわれたとき」、高校生の第3位に「母親に『勉強しなさい』といわれたとき」、第4位に「父親に『勉強しなさい』といわれたとき」が入っているのは、こうした理由によるものだと思われます。

 もう一つ、親などがほめたり励ましたりすることが、子どものやる気に与える影響についても調べられていますので、ご紹介しておきましょう。

 この資料は父親対象の調査のみとなっていますが、おそらく母親を対象に行っても傾向としてはさほど大きな違いはないのではないかと思われます。調査結果ですが、父親に勉強のことでほめられたとき、小学生で「とてもやる気になる」が50%強、「やる気になる」が40%近くありました。つまり、父親にほめられると大半の子どもがやる気になるということがわかりました。

 中学生はどうでしょう。「とてもやる気になる」が15%強、「やる気になる」が50数%でした。まだ親にほめられることの影響力は強いものの、小学生ほどの効果はないようです。高校生になると、「とてもやる気になる」は10%弱、「やる気になる」は50数%となっています。高校生になっても親からほめられるのはうれしいことで、やる気の向上につながってはいるものの、徐々に親の影響が弱くなっている様子も伺えますね。

 ここではデータでご紹介しませんが、「父親に勉強のことで叱られたとき」のやる気への影響も調査されていました。この調査では、年齢に関係なく、「やる気がなくなる」「とてもやる気がなくなる」が合わせて60~70%を占めていました。

 以上のことから、子どもが何歳であろうと子どもの努力や長所を認めてほめることは、子どもに前向きで積極的に生きる姿勢を養ううえで欠かせないことだと言えるでしょう。とかく親は子どもの足りない部分に目が向きがちで、注意や叱責の言葉が多くなりがちです。子どもは年齢に関係なく、「親に認めてもらいたい」「親にほめてもらいたい」という願望を強くもっているのだという認識に立ち、褒めて励ますことを忘れないようにしたいものですね。

 11月6日に掲載したブログでは、弊社の「授業」の意図や手法についてお伝えしましたが、こうした授業の実践による効果は、家庭でわが子を見守り応援しておられる保護者の考えとリンクしてこそ成果をあげることができます。

 受験の競争的側面に目を奪われると、どうしても目先のテスト成績や入試結果を優先したくなります。その結果、子どもの学習意欲や取り組みの自発性の重要性への配慮がおざなりになりがちです。しかしながら、「どういう学びが子どもに本物の知力を授けてくれるか」に立ち返るなら、子どもの学習意欲増進に向けた配慮に基づくサポートのほうが遥かに子どものためになるということに思いを致さないわけにはいきません。

 また、子どもの意欲増進に向けたサポートは、受験での合格についても遠回りのようで近道でもあるのです。受験への自覚と意欲が結びついたとき、子どもは驚くほどの頑張りを発揮し、みるみるうちに学力を伸ばしていくことができるのですから。

 中学、高校、大学へと進む過程で、どういう子どもが順調に学力を伸ばせるかを考えてみてください。また、子どもが何歳になっても良好な親子関係を維持できる子育てとはどういうものかを考えてみてください。そうすれば、親や周囲の大人がどう子どもに関わればよいのかについて、自ずと明確な結論が導き出せるのではないでしょうか。


カテゴリー: アドバイス, 家庭での教育

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