2018 年 2 月 5 日 のアーカイブ

受験勉強の初期段階で大切にすべきことって?

2018 年 2 月 5 日 月曜日

 中学受験のシーズンが終わり、学習塾は新年度の学習指導へと切り替えの準備を始めています。現在、弊社の各校では毎週土曜日に「会員選抜試験」を実施しています。この試験で一定の成績を修められると、弊社のいずれかの校舎に会員として通学していただけます。まだお子さんの通う塾を決めておられないご家庭はありませんか? 本ブログも参考のうえ、よろしければぜひこの試験を受けていただくようご案内申し上げます。

 前回は、今年中学入試を終えたお子さんのご家庭と、来年中学受験をされる新6年生のご家庭に、「これまでの学習の振り返りをしてみましょう」ということをご提案しました。というのも、学びの節目での振り返りは、次のステップでより一層成果をあげるうえでとても大切なことだと考えるからです。

 今回は、これから中学受験対策の勉強を始めるお子さんのご家庭、初めて弊社の教室で学び始めるご家庭の保護者に、「学び始めの段階」で大切にしたいことについてお伝えしてみようと思います。よろしければ参考にしてください。

 さて、お子さんの受験準備のための塾通いの開始にあたり、保護者の方々は受験生活にどんなイメージをもっておられるでしょうか。「受験とは、合格を巡る厳しい競争である」という受験の競争的側面に注意を向けると、「とにかくたくさんの問題、難問に取り組ませ、鍛えないといけない」といった考えになるでしょう。いっぽう、「子どもなりの勉強をし、身につけた学力で受かったところに行けばよい」という考えに立つと、受験生活に対する見方も随分落ち着いたものになるでしょう。

 どちらの考えに基づいて受験対策をするかについては、個人の考えかた次第としか言いようがありません。保護者のお考えやお子さんの性格などを踏まえ、納得できる指導スタイルの学習塾を選ばれるとよいでしょう。弊社について言えば、どちらかというと後者の考えかたに近いかもしれません。というのも、小学生のうちはあまり過激な競争原理の下で子どもに勉強を強いるのではなく、勉強が一生モノとして子どもたちにとって大切なものとなるよう配慮して指導し、その結果志望する中学校に合格できれば、そのほうが子どもたちの人生において得るものが多いと考えるからです。

 ただし、一定水準以上の学力が問われる入試をクリアしないと志望する中学校への進学の夢は叶いません。その意味において、受験勉強はそう楽なものではないのも事実です。弊社は50年前の設立以来、広島の伝統的6か年一貫校への進学を視野に入れた学習指導を基軸にしています。無論、進学塾として活動するからには合格力で他塾に劣ることは許されません。そこで、広島県内の主要私学や広島大学附属中学校などの入試を徹底的に研究し、極力無駄を省いた効率的な受験対策によって、子どもたちの夢が実現するよう応援しています。

 このような方針に基づく受験対策で、重要なポイントの一つが受験対策開始当初の指導です。勉強というものは、嫌なもの、辛いものと思ったなら、「気が進まない」「後にしよう」「今日はやめておこう」「自分にはできっこない」といったように、受け身の気持ちから負の連鎖が始まります。しかしながら、受験勉強を始める小学4~5年生の本来の姿は「好奇心の塊」です。学習課題に興味をもち、「解き明かしたい」「どういうことなのか納得したい」という気持ちが頭をもたげてきたなら、「嫌なもの」「辛い」などという感情はどこかへ吹き飛んでしまいます。

 受験対策の始まりの時期は、今お伝えしたような子どもの好奇心を上手に刺激し、勉強に対して能動的な姿勢を引き出す必要があります。これがうまくいけば、受験生活はうまく軌道に乗り、子どもたちの学習活動はどんどん活発になっていくのです。

 このような始まりの時期の重要性は、どのような分野の勉強や取り組みにも言えるようで、「ものごとに取り組むときには、初めの段階で楽しいという気持ちを引き出すことだ」というアメリカの心理学者の著述を目にして、わが意を強くした次第です。ちょっとご紹介してみましょう。(一部分を調整)

 

 心理学者のベンジャミン・ブルームは、スポーツや芸術、科学の分野において、世界で活躍する120名の人々に加えて、その両親やコーチや教師たちにもインタビューを行った。その研究結果のなかでもとりわけ重要なのは、「スキルは3つの段階を経て進歩し、各段階につき数年を要する」ということだ。

 興味のあることを見つけて掘り下げていく段階を、ブルームは「初期」と呼んでいる。この「初期」に励ましを受けるのはきわめて重要だ。というのも、初心者はまだ本腰を入れて取り組むべきか、やめるべきか、決めかねているからだ。ブルームらの研究でも明らかになった通り、この段階で最も望ましいのは、やさしくて面倒見のよい指導者(メンター)を得ることだ。

 「そのような指導者たちの最大の特長は、最初の学びを楽しく、満足感の得られるものにしたことである。入門のごく基礎的なことは、ほとんど遊びを通して学ぶ。最初のうちは学ぶというより、ゲームのようなものだ」

 また初期には、ある程度の自主性が尊重されるのも大切なことだ。勉強や習い事の学習者を対象に行った長期的研究によって、威圧的な両親や教師は、子どものやる気を損なってしまうことがわかっている。いっぽう、自分の好きなことを選ばせてもらえた子どもは、ますます興味を持って取り組み、後に一生の仕事として打ち込む確率が高くなる。

 

 著者は、上記引用部分の前で、エイミー・チュア氏(イェール大学法科大学院教授)の「保護者や、これから親になる人に伝えたいことがある。それは、『必死に努力する以前に、まずは楽しむことが大事』ということだ。 打ち込みたいものが見つからず、毎日何時間も努力する覚悟ができていないうちは、興味をもったことをひたすら楽しんで、どんどん興味が湧くようにしたほうがよい」という言葉も紹介しておられます。

 

 先ほどの引用文では、ものごとのスキルアップの過程は3段階あり、各段階に数年かかるといった記述がありますが、受験までの助走もそれより短いものの、基本的には同じことが言えると思います。受験生活は2年ないし3年。しかし、子どもにとっては長い期間です。この長いプロセスを乗り切るには、最初から無理やり勉強を押しつけて全力の取り組みを要求してもうまくいきません。まずは子どもに「勉強は楽しいもの」「自分にとって必要なもの」と思わせることが肝要です。

 また、指導担当者は上記引用文にある“メンター”の役割を果たすべき存在です。子どもたち一人ひとりの学ぶ様子をよく観察し、適切なサポートをする必要があります。強引に勉強を押しつけるのではなく、子どもたちの勉強に向き合う姿を見ながら、その子に合ったアドバイスを送るなど、あくまで学習者としての子どもの自律性を尊重しながらバックアップする姿勢が求められます。

 もしも初期の体験がうまくいけば、子どもは受験勉強をやらされるもの、嫌なものなどと思うことは決してありません。そもそも中学受験の勉強には、「受験のための手段」として片付けるにはもったいないほどの知的興味をそそられる学習課題がいっぱいあるのですから。それへの取り組みは、すばらしい頭脳鍛錬になるものです。塾通いを始めたばかりの段階で、「勉強っておもしろい!」「わかったときのうれしさは格別だ」という気持ちをたくさん味わったなら、子どもにはいささか長い受験生活が「大いなる成長を引き出す貴重な体験の場」となることでしょう。

 こんな中学受験をあなたのお子さんにも体験させてみませんか? 私たち家庭学習研究社は、お子さんの目が好奇心で輝くような授業の実践に向けてばんばってまいります。そして、お子さんの学びの人生に確かな足がかりができるよう、また、お預かりしたお子さんの志望校合格の夢が実現するよう、全力で応援させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。


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