“継続は力なり”を実践できる子どもに!

2018 年 3 月 19 日

 先週は、新年度講座の開始から当分の間は、慣らし運転よろしく、あまりピッチを上げるよりも「学習方法の体得」や「学習の習慣づけ」など、よい学習の枠組みを形成するための土台を築くことに力点を置くことをお勧めしました。

 受験部門では、5・6年部が2月17日に、4年部が3月3日に開講しています。前者については、すでに最初のテスト(5年部:ウォームアップテスト、6年部:スタートアップテスト)の結果も出ています。開講して1ヶ月が経過していますので、ある程度お子さんの学習状況も掌握されているのではないかと思います。

 どうでしょう。お子さんは、毎回の授業を楽しみにしながら塾に通っておられるでしょうか。毎日の家庭学習を、計画に沿ってやりこなしておられるでしょうか。お子さんの勉強の様子を見て、早くもイライラしているおとうさんやおかあさんはおられませんか? 児童期後半に至ったわが子に対しては、もはや親も行き当たりばったりの対応をするとやり返されてしまいます。子どもの勉強ぶりに問題があっても、それへの親の働きかけに筋が通っていないと、子どもの素直な反省を引き出せないばかりか、反抗的態度を助長しかねません。1年間の受験生活の序盤こそ大事にし、よい親子関係の下で受験生活を安定軌道に乗せたいものですね。

 さて、今回も引き続き「学習習慣」の重要性について取り上げてみようと思います。「習慣化(ルーティン化)」によってものごとを高いレベルで達成していくことは、日本人のメンタリティと非常に相性がよい」という指摘があります。この指摘は、メジャーリーガーになってからのイチロー選手のトレーナーを務めておられたかたの著作にあったのですが、関連する箇所をちょっとご紹介してみましょう。

 イチロー選手の秘密を探るべく、多くのメジャーリーガーが私に「イチローはなぜあんなにヒットを打てるのか」と聞いてきました。そのたびに私は、「ルーティン」の説明をしますが、実践して継続できた人はこれまで一人もいません。説明をしている途中で、「1日、2日ならともかく毎日は真似できない」と首を振りながら去っていくのです。彼らは野球界の頂点にいる実力者ですが、「毎日」「同じことを」「こつこつやり続ける」ことは難しいのです。

 多くのメジャーリーガーを思い出しても、「自分のルーティン」を持ち、継続している選手は一握りだと思います。でもその一握りの選手は、日々自分を進化させ、継続的に結果を残し続ける、一流のアスリートたちです。つまり、自分なりのルーティンを続けることは、結果を残すためのいわば「普遍の法則であり、子どものころから学校教育でこつこつと物ごとに取り組むことをしつけられてきた日本人には、特に適した法則だと私は考えます。

 どうやら西欧の人々は、毎日同じことをこつこつ続けるということが苦手のようですね。前述のイチロー選手はアメリカ球界では小柄な部類で線も細いにもかかわらず、屈強な大男たちのなかで頭角を現しました。その理由について著者は、「毎日のルーティンによってプロの選手に必要な『心』『技』『体』を突き詰めたからだと思います。(中 略) 特別な内容は何一つありません。練習メニューにもストレッチ内容にも特別な「魔法」はなく、唯一違うのが、それを毎日継続しているかどうかなのです」と述べておられます。

 イチロー選手のルーティンは特別なものではないとありましたが、どういうものだったのでしょうか。たとえば、ホームゲームの日は朝十時半に起床、12時に食事(いっとき何年かは必ずカレーだったとか)、13時に家を出、13時半に球場入りし、そのあとはマッサージ、ストレッチ、トレーニングをこなし、16時半からチーム練習、17時半にクラブハウスで軽い食事、19時から試合、夕食は帰宅後の23時半からで、就寝は25時を過ぎる…。これを移動距離が長く、時差のあるアメリカにおいて常に継続したのだと言います。

 確かに、ルーティンとしてやっていることのなかに特別な事柄はありませんね。ただし、ひたすら継続し続けているという点が大きな違いなんですね。「いつも同じことを同じリズムでやり続ける」――それがコンスタントに実力を発揮するための、何よりの要件になったわけです。

 

 ここから本題に入ります。今、お子さんがルーティンとして継続しておられる好ましいことは何でしょうか。振り返ってみましょう。勉強面だけでなく何でもよいです。リストアップしてみてください。たとえば、起床の時間、学校や塾の準備物点検、家庭勉強(学校の宿題・塾の予習や復習・テストのやり直し)、手伝い、そうじ、部屋の整理整頓、テレビ視聴やゲームの時間、家庭内の約束履行、外遊び、読書、スポーツ、習い事、着替え、家族との会話、食事の時間、就寝の時間……。ほかにもいろいろあるかもしれません。それらのなかで、よい習慣として根づいているものはなんでしょうか。親子共々挙げた事柄があれば、それは間違いなくルーティンとして定着していると思います。

 あるいは、「今、家庭において重要と思うルーティンについて、親子で項目をつくり、それぞれがその項目について「継続できているか、できていないか」を書いてみるのもお勧めです。

 いずれにせよ、子どもに必要なルーティンを思い起こしていると、ついつい定着していないこと、ちゃんとやっていないことに気を奪われるものです。それが親というものです。実は、それをどうにかするのがほんとうの目的ですが、ネガティブな視点に立って注意をすると、親の期待通りには反応してくれないのが子どもというものです。ですから、まずは継続できている好ましいルーティンを親子で確かめ、親はほめて励ますことから方向づけや促しを開始するのがよいでしょう。「〇はよく継続できているね、△△はどうかしら」といったように、冷静に子どもに対処し、今課題とすべきことに目を向けさせていけば、いきなり指摘したり叱ったりするよりは、はるかにお子さんは前向きな反応を示すと思います。

 1週間、2週間を一括りにした学習(「マナビーテスト」のサイクルに対応)の好ましいルーティンを築き、お子さんが自分なりの学習の「型」を築くことができれば、先週のブログでお伝えしたように「やるべきことをやらずにすませる自分が許せない」というレベルに到達できるでしょう。そうなったなら、成績に多少の波はあっても、まず受験で失敗することはありません。

 習慣づけに関しては長い時間が必要です。焦ってもうまくいきません。いきなり完成形をめざすのではなく、完成形に少しでも近づいていけばよいと考え、少しずつ状況を改善していきたいものです。そうやって手に入れたルーティンは、お子さんにとって“一生モノ”の財産になることでしょう。


カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 家庭での教育

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