家庭環境と子どもの学力との関係 その1

2018 年 4 月 23 日

  もうすぐGW(ゴールデンウィーク)がやってきます。弊社では、GWと重なる5月初めの一週間を休講期間としております。新年度の講座が始まって約2カ月が経過したところですので、ちょっと息抜きをしながら、これまでの学習の振り返りと調整の機会にしていただければと思います。

 さて、今回は家庭での生活習慣や時間の使いかたなど、日々のルーティンが子どもの学力にどのような影響を及ぼすかを話題に取り上げてみました。家庭で毎日繰り返される行動は、子どもの人間性や知的能力の成長に深く関わっているのではないかと想像されます。そのことについてある程度データとして判断できそうな資料を探してみました。お子さんの家庭生活のありかたについて参考にしていただければ幸いです。

 小学生までの子どもの学習の様相は、保護者の関わりや周囲の大人の環境整備のありかたによって随分違ってきます。特に、弊社のような中学受験塾に通う子どもの場合、1日における学習の比重が一般の子どもよりもかなり高いため、学力形成により大きな影響を及ぼします。

 これからご紹介する資料は、文部科学省の委託に基づいてお茶の水女子大学の研究者がベネッセ教育開発センターと共同で行った調査による結果をまとめたものです。調査は平成7年~8年にかけて、全国の大都市圏、一般都市圏、町村部の公立小学校の5年生とその保護者、学校関係者等を対象に行われました。今回は児童対象の調査結果の一部をお伝えします。回答者は、2952名(算数2952名、国語2950名)、男女の比率はほぼ半々です(参考程度にしていただくための資料ですので、細かい調査の内訳データについては割愛します)。

 まず、「家庭での子どもの時間の過ごしかたと学力とに何らかの関係があるのか」、についての調査結果を見ていただきましょう。以下の表で示されている数値は、国語19問、算数18問に対する正答率をパーセントで示したものです。

 調査の結果は、大概の保護者が予想された通りの傾向を示しているのではないかと思います。「家で勉強する」という項目では、算数・国語ともに「勉強時間が長い子どもほど正答率が高い」という結果が示されています。テレビ視聴の時間やテレビゲームの時間については、時間が短ければ短いほど正答率が高いことがわかりました。テレビでは、「ほとんど見ない」という子どもの正答率が特に高いことが注目されます。弊社会員の家庭で、テレビをほとんど見ないお子さんがどの程度いるのかを調査してみるとおもしろいかもしれないと思いました。

 「パソコンでインターネットをする」という質問項目に関しては、1時間以内の子どもの正答率が相対的に高くなってはいますが、利用時間と正答率について他の質問項目ほどはっきりとした傾向が見られません。インターネットの利用目的は、ゲームなどのエンターテインメントとは限りません。学習に活用しているケースもあるでしょうから、そういった点がデータに反映されているのかもしれません。家庭にインターネット環境がない子どもの正答率が算数・国語ともいちばん低いことも、それを裏づけているように思います。

 次は、家庭でどのような勉強をしているかということと学力との関係について調べた結果をご紹介してみましょう。

A層・D層:算数・国語それぞれの質問に対する正答率を4つの階層に分け、正答率のいちばん高い層をA層、正答率がいちばん低い層をD層としたものです。

 上記資料は、それぞれの質問項目について、「よくしている」もしくは「ときどきしている」と回答した子どもの正答率を算数と国語それぞれについて示し、A層(もっとも正答率が高い集団)とD層(もっとも正答率が低い集団)を比較したものです。

 「学校の宿題をする」という質問項目については、「よくしている」と答えた児童のみで比較した場合、算数・国語共にA層の児童の9割近くが該当し、D層の児童よりも各20ポイント近く高い数値を示しています。つまり、学力の高い子どもの大半は「宿題をやるのは当たり前」という状態になっていることがわかりました。

 また、A層とD層との数値上の違いが大きいのは、「わからない言葉が出てきたときには辞書を使う(特に国語)」、「勉強の内容を自分なりにわかりやすくノートにまとめる」、「(宿題以外の)プリントや問題集で勉強している」、「苦手な教科もわかるまで勉強する」、「先生や親に言われなくても勉強する」などで、いずれも子どもの学習の積極性や自発性の面で差が生じているようです。勉強を自分なりに工夫したり、わからないことを放っておかないようにしたりするなど、勉強への関わりかたが熱心で継続的な子どもにすることが求められることがよくわかりますね。

 最後に、子どもの日頃の生活習慣や行動のありかたについて、正答率の高い(学力の高い)子どもとそうでない子どもとの特徴的な違いがないか調べた結果を見てみましょう。

 こちらの調査結果も納得されたかたが多いのではないでしょうか。「朝食を食べる」「決まった時間に起床する」「決まった時間に就寝する」など、基本的な生活習慣が自立し、規則正しく繰り返されているお子さんのほうが高い正答率を示しています。

 学校へもって行くものの点検も、まめにやっている子どものほうが優秀であるのも頷けます。漫画以外の本をよく読んでいる子どもは国語で高い正答率を示しています。ニュース記事を読んでいるかどうか、インターネットで情報収集をしているかどうかなども、算数・国語に関係なく正答率に影響しています。

 このことは、生活上自分のことは自分でやるという習慣を身につけることが、何につけ行動の積極性や自発性につながり、ひいては学力の向上をもたらすということを示唆しているように思います。また、興味をもったことをより詳しく知りたいという気持ちをもち、自分でいろいろ調べようという姿勢をもっている子どもは勉強もよくできるということがわかりました。いずれもきわめて当たり前のことではありますが、子どもにしっかり根付かせるのが意外と難しいということも、保護者が実感されていることであろうと思います。

 

 以上、3つの資料を見ていただきましたが、勉強ができるかできないかの因果関係について、ごく当たり前のことが確認いただけたのではないでしょうか。

 子どもを優秀な人間に育てるには、勉強面だけでなく、生活面や行動面と合わせ、子どもの全体的な成長を支援していくことが必要だと言えそうです。特に習慣化することから 諸々の行動の自立性を引き出すことが重要なポイントでしょう。やるのが当たり前になると、やらずにはいられない気持ちになるのが人間です。そこまでたどり着くには、親や保護者の熱心なサポートが欠かせません。

 これをきっかけに家庭生活や学習の現状について振り返り、問題点が明らかになったなら、今のうちに親子で話し合い、必要と感じたなら習慣づけのレベルからやり直してみてはいかがでしょうか。


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