家庭環境と子どもの学力との関係 その2

2018 年 4 月 30 日

 今回も、前回(4月23日掲載)に引き続き、「家庭の環境と子どもの学力との関係」に関わる情報をお届けしようと思います。今度は、保護者を対象にした調査の結果をご紹介します。

 学力を伸ばすには、「何をどれだけ、どんな方法で勉強したらよいか」という発想によるアプローチだけでは成果につながりません。学習者である子どもの内面と勉強の関わりに目を向けなければ、せっかくの勉強も十分な成果をあげることはできないからです。

 言うまでもありませんが、学習成果は子どもの意欲や熱心度、継続性などで随分違ってきます。勉強のメニューや取り組みの方法も重要ですが、それ以前の土台をどう築くかにも目を向けるべきです。そして、小学生の場合、そうした学力形成の側面を決定づけるのは家庭環境や親です。弊社の会員児童を見ても、すばらしい取り組みをしている子どもの背後には、必ずと言ってよいほど上手な親のサポートがあります。以前お伝えしたように、勉強の時間になったのにテレビを見ている子どもに対して、「いい加減にテレビを消して勉強しなさい!」と大声で叱るか、「あれ? いつの間にか勉強の時間が来ているね」と子どもを我に返らせ、行動の切り替えを促すかとでは、子どもの心に宿るものが随分違ってきます。

 子どもの勉強の成果は、「いかにして意欲を伴わせるか」「いかにして自発的な取り組みを引き出すか」で決まります。そしてそのことは、子どもが小学生までのうちは「生活習慣のルーティン化による自立促進」や「親の粘り強いバックアップ」によって、どの子どもも達成可能なのです。

 では、本日のテーマに関わる資料をご覧いただきましょう。まずは、子どもにどんな方面に働きかけをしたかと子どもの学力についての関連性を調べた結果をご紹介してみましょう。なお、調査者や調査の対象者、調査年などは前回と同じです。

※A層・D層:算数・国語それぞれの質問(算数18問、国語19問)に対する正答率を4つの階層に分け、正答率が最も高い層をA層、正答率が最も低い層をD層としたものです。

 ざっと目を通したところで、どなたもいくつかの気づきを得られたのではないかと思います。まず、「絵本の読み聞かせをする」「博物館・美術館へ連れていく」「ニュースや新聞記事について親子で話す」「家に本をたくさん備える」「英語や外国の文化に触れさせる」「いろいろな体験の機会を与える」などは、大まかな括りに基づく共通性が見出せるでしょう。すなわち、リテラシーへのいざないや文化的刺激にふれさせる体験等を通して、子どもに知的なものごとに対する興味関心を引き出す試みを数多くしていた家庭の子どもは、総じて学力が高いということがわかると思います。

 特に、国語に関しては「読み聞かせ」や「文化施設訪問」「家庭の蔵書」「外国語・外国の文化との接触」などが10ポイント以上の差を生じさせています。また、算数に関しては、「読み聞かせ」や「文化施設訪問」、「家庭の蔵書」「外国語や外国文化との接触」などが同様の差を生み出しています。文化的なものに触れる体験は、国語力にも算数力にも影響を及ぼすことが確認されました。

 筆者が興味深く感じたのは、「勉強しなさい」と子どもに頻繁に伝えることが、必ずしも子どもの学力向上につながらないというデータを示していることです。というよりも、国語、算数ともに逆効果を招いています。他の項目と関連づけて考えると、子ども自身が自発的に行動する気持ちになるような働きかけをするほうが子どもの学習にも好影響を及ぼすということなのでしょう。これと同様に、「土曜日にも授業を」と望んでいる家庭の子どもは、そうでない家庭の子どもよりも学力的に芳しくないという生憎なデータが示されていることです。「勉強、勉強」と、親がせきたてると、却って子どもの学習活動は活性化しなくなるということなのでしょうか。

 では、もう一つ資料をご覧いただきましょう。今度は、保護者の普段の行動と子どもの学力との関係性について調べたものです。

 注目されるのは、「本を読む」や「文化施設を訪問する」などが、子どもの学力にプラスの影響を強く及ぼしていることです。やはり子ども自身に体験させると同時に、親もそのことに熱心であるということが重要なのですね。また、「新聞の政治や経済欄を読む」「クラシック音楽のコンサートに行く」「政治や社会に関する情報をインターネットでチェックする」「パソコンでメールをする」なども、同じように文化的なもの・知的なものへの志向性を引き出すプラスの効果を引き出しています。

 逆に、「携帯でゲームをする」「TVのワイドショーやバラエティ番組を見る」「スポーツ新聞や女性誌を読む」「カラオケに行く」「ギャンブルをたしなむ」などは明らかにマイナスの影響を与えています。これらは、子どもの知的好奇心や向上心を刺激しないだけでなく、勉強よりも今の楽しみを優先する子どもにしてしまうのではないかという懸念を感じます。

 この資料でもう一つ注目したのは、「学校の行事」に保護者が頻繁に参加した家庭の子どもは、行かない家庭よりもかなり正答率が高い(学力が高い)というということです。子どもは、親が自分のことに興味・関心を持ってくれることを大変喜びます。親に期待されている、見守られているという気持ちが、前向きな姿勢を育んでくれるからでしょう。

 以上は小学5年生の保護者を対象とした調査の結果でした。昔から「子どもは親の背を見て育つ」と言われます。また、外国の教育関係者の著作を見ても、「子どもは親を模倣して育つ」(「モニタリング」という言葉を使って、以前ブログ記事を書いたことを思い出します)などということが書かれていました。子どもは目に前にある手本を見て育つのは自明のことであり、その手本とは親に他なりません。

 筆者は、このことに関しては胸を張れる点が全くないので偉そうなことは言えませんが、児童期にあるお子さんをもつ保護者(このブログをお読みくださっている方の大半が該当するでしょう)は、「今こそ親にとってしつけの仕上げをする重要な時期なのだ」という認識の下、お子さんによい手本を示してあげていただきたいと存じます。

  次回の掲載日は5月14日(月)を予定しています。ゴールデンウィークを挟む1週間は、社全体がお休みさせていただきます。ご了承をお願いいたします。


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