12.4「広島県中学入試模擬試験」最終回を終了

2016 年 12 月 12 日

 広島県内の中学入試のほとんどは1月に実施されます。そこで、入試のスケジュールに合わせ、毎年12月の初旬に模擬試験の最終回(第5回)を実施しています。

 今年も例年と同じように、男子が修道中学校を、女子が広島女学院中学校を会場にお借りして、12月4日(日)に実施しました。当日の受験者は、男子が約670名、女子が約570名と、ほぼ昨年と同じくらいでした。冬の訪れを感じされるこの季節、会場も実際に多くの受験生が入試で訪れる中学校での模擬試験は、より受験の雰囲気に近い条件での予行演習となったことでしょう。

 この日の天候は、午前中から小雨が降り、条件としてはよいとは言えませんでしたが、入試は1月の中旬~下旬に行われることが多く、年によっては降雪に見舞われることもあります。傘を持参するなど、天気のことを少し気にかけながらテストを受ける体験も、予行演習の一環と思えばこれはこれで意味があることでしょう。

 子どもというものは、1回でも同じような経験をしていると、2度目は意外と動じないものです。ですから、実際に受験する可能性の高い中学校で試験を受けるこの体験は、随分精神的にプラスの作用をもたらすのは間違いありません。

 20161212このことは、次のように言い換えることができるでしょう。「あくまで模擬試験、予行演習なのだから、緊張して冷静さを失ったり、思いがけないミスをしたりすることもよい薬にできるのだ」と。そう、模擬試験で仮にしくじりがあったとしても、それを本番で失敗しないための教訓にすればよいのです。

 来年1月の受験を控えておられるご家庭の保護者で、このブログをお読みくださっているかたへ一言。もしもお子さんが「緊張して、ミスをたくさんしてしまった」と落ち込んでおられたなら、「それも意味のある練習の一つだよ。本番で巻き返せば、模擬試験を受けた甲斐があったというものだよ」などと、励ましていただきたいと存じます。

 さて、模擬試験に参加されたお子さんのご家庭には、もうしばらくしたら採点済みの答案や、成績などのデータ資料が届くと思います。教科ごとの点数、全体順位、合格可能性の予測などの数値的な結果は大変気になるところでしょう。もしもよいデータが得られていたなら、大いにお子さんをほめ、「最後まで油断することなくがんばりなさい」と、激励してあげてください。

 とは言え、あくまでもデータはデータであり、本番の入試合格を確約するものではありません。ですから、安心しきったり、浮かれたりすることなく、よかったところ足りなかったところを冷静に検証し、最後の詰めをしっかりとしていくようお願いいたします。

 いっぽう、結果が思わしくなかった場合ですが、合格可能性の予測は過去の蓄積データをもとに、かなりシビアに算定されていますので、期待通りの判定が得られずガッカリされたかたが多かったのではないかと思います。合格確実圏や合格有望圏に至らなかったからと言って、ただがっかりしたのでは模試を受けた意味がなくなってしまいます。成績が期待通りでなかった場合、まずは教科ごとにミスで落とした問題を徹底的に洗い出していきましょう。

 お子さんが落ち着いて冷静に対処していたなら、正解を得ていたはずの問題はありませんでしたか? というより、必ずあるはずです。まだ完成の域には遠く及ばない年齢の受験ゆえ、「中学受験での合否はミスの数で決まる」と、言われるほどですから。

 4教科、すべて見直しをしてください。そうして、教科ごとにベストを尽くせていた場合の得点を計算し直し、その結果を資料と照らし合わせ、おおよその順位を確かめてみてください。おそらく、相当結果は違ってくるでしょう。その結果が、本来得ていたはずの成績なのだと自分に言い聞かせ、決してあきらめずに自分の力を信じて最後の詰めをしていくのです。無論、同じことはすべての受験生に言えることです。しかし、失敗をどれだけ生かせるかが本番での結果の違いをもたらすのです。保護者におかれては、このようなアドバイスと励ましをお願いいたします。絶対に希望と意気込みを失ってはいけません。「最後まであきらめない!」――この精神で本番に臨みましょう。

 模擬試験最終回のチェックを終えたら、そこからが仕上げの重要な学習の始まりとなります。各教科の出題単元とお子さんの成績を照合していきましょう。このことは、もうお子さん自身でもできるようになっておられると思います。ただし、お子さんが精神的に落ち込んでいたり、どうやってよいかわからないでいたりするような場合には、親子で検討会を開いてもよいでしょう。無論、模擬試験で出題されなかった単元もたくさんあります。これまで入試対策で使用してきたテキストの単元を点検し、お子さんが仕上げ切れていない単元、苦手な単元を絞り込み、最後の対策に活かしていきましょう。

 なお、苦手意識の強い単元は、あまり深入りしたり時間をかけ過ぎたりしないことです。弊社の副教材の「アタック」などは、基礎的な内容の総チェックにも大いに役立つでしょう。不安なところ、苦手とするところにエネルギーを過剰に投入すると、よけいに不安が助長され、やってもほとんど身につかなくなる恐れがあります。時間を決め、基礎内容に絞って点検と埋め合わせをしていきましょう。

 今までにもお伝えしていますが、入試では満点を取る必要はさらさらありません。4教科平均7割取れればほとんどの中学校は合格です。受験する中学校の過去の合格ラインを確かめてみてください。驚くような高得点が求められる学校など一つもありません。仮に、苦手教科があって足を引っ張る可能性があったとしても、全体で総得点が合格のラインに届けばよいのですから、必要以上に気を取られないことです。

 誰にも得意教科、苦手教科がそれぞれあることでしょう。仕上げにあたっては、得意教科はさらに伸ばし、不得意教科は少しでも底上げを図る。そのバランスが大切です。どちらかに偏らないようにしましょう。模擬試験で提供する資料に、設問別の正答率を掲載した「ニュース」という薄い冊子があります。先ほど7割程度(それ以下の場合も多い)得点すればよいということをお伝えしましたが、そのことに立ち返ると、★印5つの難問はできていなくても気にする必要のない問題と言えます。★印3つまでの問題が必ず正解を得ておきたいレベルの問題です。そこを基準にして問題のやり直しや知識の埋め合わせをするとよいでしょう。

 模擬試験の最終回の実施と歩調を合わせ、先週から今週にかけては、弊社の各校舎で「6年部保護者説明会」を実施しています。この説明会において、これからの入試対策の総仕上げのポイントについてご説明します。また、出願、入試直前の心得、入試当日の心得など、入試本番を迎えるにあたって必要な事柄を網羅した内容となっています。

 ご都合などで参加できなかったご家庭におかれても、資料を細部まで点検していただき、入試本番への準備をお子さんがしっかりとやれるようバックアップしていただきたいと存じます。

 受験するのは12歳の小学生です。生活の習慣が混乱をきたすほど、あまり変わったことをやると心身ともに変調を来しかねません。心配なことが少々あったとしても、親は泰然自若とし、お子さんが普段のペースを壊さないよう配慮しながら、毎日与えられた時間の中でやれることをやっていくよう応援してあげてください。

 来春の入試へのチャレンジが、お子さんの“12歳の集大成”となりますように!


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低学年部門「HWコース 親子勉強会」実施報告 その1

2016 年 12 月 5 日

 弊社の低学年部門(小学1~3年生対象)には、「ホームワークコース」(HWコース)という通学のない指導の受け皿があるのをご存知でしょうか。

 弊社の低学年部門は、直接の下部組織である「ジュニアスクール」と、外部から導入した「玉井式国語的算数教室」とがありますが、ホームワークコースはジュニアスクールに設置した特設コースです。現在の会員は60数名ですが、このコースを経て受験部門に進学した児童の成績がよいこともあり、少人数ながらも畳まずに続けています。1ヶ月分の家庭学習教材をお送りし、家庭でお子さんの取り組んでいただいたテストの添削をしています。

 20160105c先日(11月26日)、このホームワークコースの会員家庭親子(一部、ホームワークコースに興味をもっておられる会員以外のご家庭も参加されました)を対象に、「親子勉強会」という催しを開催しました。

 この催しは、日頃家庭で勉強に取り組んでいるお子さんと、お子さんのホームワーク(家庭学習用に弊社が提供しているプリント教材)の○つけやフォローをしておられる保護者にお集まりいただき、「より望ましい学習生活の実現に向けた契機にしていただこう」という趣向で企画したものです。この春初めて実施した催しですが、参加者は少数ながら好評をいただき、秋にも開催してみようということになりました。

 この催しの実施にあたっては、お子さんには授業の楽しさを味わう経験を契機に勉強に向かうモチベーションを高めてもらおうと考えました。また保護者には、低学年期の学習で大切にすべきことは何かということを軸に置きながら、家庭でのフォローのポイントなどについてお知らせしたほか、お子さんの授業参加の様子を参観していただきました。

 今回は、筆者が担当した保護者向けの説明の内容をかいつまんでご報告してみようと思います。次回は、お子さんの授業参加の様子や、参観された保護者の様子、アンケートにご記入いただいた催しの感想などを、別の担当者からご紹介しようと思っています。

 では、まず筆者が保護者にお伝えした話をご紹介しましょう。まず、「家庭での子どもの勉強が活性化するかどうか、成果をあげられるかどうかは、親の熱心度で決まる!」ということをお伝えしました。これは、長年低学年児童の学習指導にあたってきた経験と、ホームワークの○つけの具合(親の関わり)と、子どもの取り組みの姿勢や成績との関係を検証してきた経験に基づく私どもの見解です。低学年児童にとって親は絶対的な存在であり、親が勉強に関心を寄せ、熱心に関わるかどうかで子どもの取り組みも変わってくるのだということを、ぜひ保護者にお伝えしたいと考えました。

 小学校入学からの2~3年間は、学力を飛躍させるための種まきをする重要な段階にあります。そこで、次は「低学年時の学習はココを押さえる!」というテーマで、男子と女子の学習上のポイントについてお話しました。まず知っておいていただきたいこととして、知能は「結晶性知能」と「流動性知能」に大別されますが、言語や思考、判断に関わるのが結晶性知能で、学習活動の大半はこの知能の働きによって支えられています。20161205bところが、この知能の発達カーブは、男子と女子とでは異なります。男子のほうが遅れをとる確率が高く、中学受験に間に合わないケースもそれが原因になりがちです。そのことを踏まえ、男子のほうから話題を進めていきました。

 一般に男子と比べて女子は言語習得の流れがスムーズに進みます。したがって、男子よりも話し言葉の操作も書き言葉の操作も達者です。ところが男子はそうはいきません。いわゆる“幼稚なタイプ”が多く、語彙力の不足、読書量の不足、読解力の不足、思考力の発達の遅れといったように、言語活動の立ち遅れが学力形成のブレーキになりがちです(この話をしたら、思い当たる節があるのか、夫婦で顔を見合わせたり、知り合い同士で苦笑しておられたりする様子が見られました)。この悪循環を断ち切り、よい流れを築くための方策として欠かせないのが“音読の励行”であるということをお伝えしました。

 20161205すでにこのブログにおいて何度もお伝えしましたが、音読がスムーズに行われるようになると、自然と黙読への移行が促されます。声に出さずに活字の流れから意味を吸収できるようになった子どもは、読書を好むようになり、それが語彙の増強、思考力・読解力の伸びという連鎖をもたらします。音読を親が奨励し、子どもが文章を声に出して読めば、親も子ども自身もちゃんと読めているかどうかわかります。ただし、お子さんには「ちゃんと読めているかどうか」の判断をするのはまだ難しいものです。そこで保護者に、当分の間音読のパートナーを務めていただくようお願いしました。

 無論、読みの熟達のみに気を奪われてしまうのも問題です。家庭でお子さんと会話をする時間を設け、親の言いたいことを伝えるだけでなく、子どもの話にも耳を傾けていただくようお願いしました。男子は話しかたが稚拙でまどろっこしいもの。しかし、学校でも塾でもそのまどろっこしい話の相手になってくれる人はいません。そこで親に求められるのは、子どもが話したいことを頭の中でまとめ、順序立てて話ができるようになるための練習台になってやることです。これは親しかできません。

 いっぽうの女子については、低学年時に放っておくと育ちにくい流動性知能の発達に目配りをしていただくようお願いしました。流動性知能とは、図形の空間認識や識別、速さなどの単元に深く関わる知能です。この知能は、理屈で考えたり学習事項を覚えたりするのではなく、瞬間的に反応することで問題を解決する神経系の知能です。こうした分野の学習は、女子よりも男子が優れていると思われがちですが、9歳前後までにこうした領域の刺激にふれる体験をすれば女のお子さんも状況は随分変わってきます。

 なぜ男女で差が生じやすいのかというと、男子は放っておいても砂場遊び、積み木遊び、タングラム、レゴ、模型自動車遊びなどを通じて、流動性知能に刺激を当てています。ところが女子はそうではありません。女子のお子さんは、静的で色彩豊かな遊びを好みます。たとえば、人形の着せ替えごっこ、買い物ごっこ、塗り絵など。ですから、意図的に流動性知能の発達を促すための働きかけをしてやる必要があります。

 弊社の高学年部門に通い、トップレベルの成績をあげる女子児童の大半は、広島大学附属中学校やノートルダム清心中学校などに進学していますが、理系にも強いお子さんが相当数います。彼女らは、先々難関大学の理数系に進学する゛リケジョ”になる確率が極めて高いと言えます。そういう流れを意識するなら、またそういった進路を親が期待するなら、低学年期の学習に流動性知能の発達を促す仕掛けが必要です(無論、計算操作の習熟や算数的な思考の育成も重要です)。

 筆者のもち時間は30分でしたが、こういった事柄を欲張ってしゃべっているうちにどんどん時間が無くなってしまいました。それでもお伝えしたいことをしゃにむにしゃべり続けたのですが、教室いっぱいにおられたおとうさんやおかあさんがたが、ニコニコ笑顔で聞いてくださったり、しきりに頷いてくださったり、熱心にメモを取ってくださったりしている様子が目に入り、大変励まされました。

 この後もたくさんのことを欲張ってお伝えしました。「流動性知能と結晶性知能の発達の特徴」「低学年期の学習で成果をあげるための条件」「学びの能動性を育てる親の働きかけとは」「日本の親に欠けているものは何か」「子どもに反省を促すときのアプローチ法」など、駆け足でお伝えしました。

 後半は急ぎ過ぎてじっくりとお話しできなかったのが残念でしたが、当日参加くださった保護者がみなさん熱心で、その日のスケジュールが全て終わった後も質問をくださるなど、本当に頭の下がる思いをした次第です。終わった後、「今日はこの催しを実施してよかったね」とスタッフみんなで言い交わしたほどでした。


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イベント「人生を決める私学の6年間」実施報告

2016 年 11 月 28 日

 20161128a今回は、11月18日(金)に広島ガーデンパレスにて実施した「人生を決める私学の6年間」というイベントについてお伝えします。この催しは、私学教育の特性やよさについて、現役の私学校長自らに語っていただこうという趣旨で開催したものです。話者として、修道の田原俊典校長と広島女学院の星野晴夫校長をお招きしました。

 当日は160名あまり収容の会場があらかた埋まり、ちょうどよい雰囲気で催しを行うことができました。せっかくお越しくださった校長先生がたをがっかりさせる心配がなくなり、とりあえずほっとしたしだいです。お忙しいなか参加いただきました保護者のみなさまには、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 催しは3部構成で実施しました。その概要は以下の通りです。

☆第1部 中高6か年一貫教育がもたらすもの
 思春期から青年前期に移行する十代半ばは、人間としての枠組みができあがる重要な時期にあたります。そこに高校受験があるかないかは、いわゆる「青春時代」の過ごしかたを大きく変えることになるでしょう。私立一貫校は、高校受験のない学校環境をどう活かした教育を実践しておられるのでしょうか。

☆第2部 私学教育とは何か
 私学には建学時から掲げられ受け継がれた教育の理想があります。創設者が大切に育んだ教育理念があります。それらが学校の独自性や味を涵養するのです。たとえば、修道にはリーダーを育む土壌があります。広島女学院では、明治の創設時から英語教育が熱心に行われていますが、近年は国からSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)に認定され、多様化する社会に適応できる人間の育成に努めておられます。こうした学校の特色について校長先生に語っていただきます。

☆第3部 私学のココが魅力です!
 学校説明会など、学校主催の催しではなかなか聞けない情報があります。また、そういう情報は保護者からは質問しにくいことが多いものです。たとえば、「入学試験に受かる学力以外に、入学前に培っておきたい要素にどのようなものがあるか」「入学後に学力不振に陥ったとき、フォローはあるのか。あるとしたらどのようなものか」などです。こうした、「聞きたいけれども聞きにくい」質問にお答えいただき、修道と広島女学院の私学としての魅力の一端を感じ取っていただくために設けたコーナーです。

 以上の全部をご説明すると大変長くなってしまいます。そこで、このブログでは第一部の「中高6か年一貫教育がもたらすもの」の内容のみ、かいつまんでお伝えしようと思います。

 では、第1部で先にお話しくださった修道の田原校長のお話からご紹介しましょう。田原校長は、まずは「人生を決める私学の6年間」という催しタイトルについて言及され、「私学の6年間で人生は決まりませんよ」と、おっしゃいました。のっけから企画者である筆者はたしなめられたわけですが、これは校長独特のユーモアと謙遜の表れであると解釈し、ありがたく拝聴しました。修道で学ぶ6年間は、「人生を変える」と言っても大袈裟でない、多くの収穫をもたらしてくれる貴重な時間であると筆者は確信しています。

 さて、第1部は「6か年一貫教育」という環境を私学はどう活かしておられるのかという点にスポットを当てたものです。田原校長は、「最近は、公立学校も6か年一貫教育を導入するようになったが、私学の教育を形だけ真似たに過ぎない」とおっしゃいました。どういうことかというと、たとえば修道ではOB教員が多数いて、学校愛に基づいた教育活動を、6年間を通して行っておられます。異動はありません。公立学校では、たとえ6か年一貫教育を標榜しても教員は数年おきに変わります。私学と公立学校とは、そこが根本的に違うのだと強調されていました。

 20161128a6年間の途中には思春期があります。思春期というのは大変な時期です。それまで親を絶対視していた子どもも、「親も普通の人間だ」と悟ってきます。自分の外見を気にするようになり、毎日鏡を見るようになります。とても微妙な時期なのです。田原校長は、心理学者の河合隼雄先生が思春期の子どもを“さなぎ”にたとえておられることを紹介され、そのたとえは、「さなぎは羽化をじっと待ってやらねばならない。辛抱強く成長を待つことが必要で、徒(いたずら)にいじってはいけないものだ」ということを意味するのだと述べておられました。

 修道で伸び伸びと生活する6年間は、高校受験がないからこそ実現できるものです。この環境をうまく活かすことで、修道生は修道生たる自覚や特徴を身につけることができるのでしょう。そこには、ずっと修道の教師で居続ける、教育に愛情と情熱を注ぐ先生がたがおられます。それが私学だからこその師弟関係を生み出し、今日高い評価を得ている「修道魂」を携えた卒業生が多数育っているのだと拝察いたしました。

 20161128%ef%bd%82さて、次は広島女学院の星野校長にお話しいただきました。星野校長は、まず「教育とは人格の交わりである」ということをお話しになりました。それは、教育というものはじっくりと人間関係を築いていくことで成り立つという考えに基づきます。星野校長は、「中高6か年を通して、教師は生徒の発達段階に応じて生徒と接するなかで、しっかりとした人間関係を築くことが重要だ」ということを述べておられました。

 このような関係があってこそ、生徒は授業を大切にするようになります。そうして、やがて一生続く師弟関係が成り立っていきます。また、卒業生が再び保護者となって学校と新たな関係を築くようになります。星野校長は、明治以来連綿と受け継がれている広島女学院の6か年一貫教育の特色をこのように述べられました。

 6年間あるからこそ、建学の精神や教育理念も生徒に浸透します。「あなたの隣人とどう付き合っていくか」という、キリスト教に基づく創設者の考えも、しだいに生徒自身のものになっていきます。このような星野校長のお話を通して、キリスト教のミッションスクールという教育環境の特色やよさを多くの保護者が感じ取られたのではないかと思います。

 第1部の内容紹介は以上です。なお、私学教育についてお伝えする催しをなぜ弊社が実施するのかについて一言申し上げておきます。先の見えない21世紀という難しい時代をこれから生き抜く世代の教育は、これまでに増して重要性を帯びています。「わが子にはどんな教育環境が望ましいか」という問いに確かな答えを見出せない保護者も多数おられることでしょう。私学6か年一貫校は、その答えを有する数少ない存在の一つだと弊社は考えています。そうした意味で、私学教育のよさを実感していただける催しを実施しているしだいです。

 20161128b最後に、ただ校長先生がたにテーマを提示し、お話しいただくだけでは弊社の催しになりません。第3部の質問コーナーにおいては、弊社から校長先生がたに質問をし、それへの返答をいただくなかで、私学の教育環境で伸び伸びと成長を遂げるために何が必要かを保護者に感じ取っていただきたいと思いました。つまり、質問の内容と校長先生の言葉を通じて、弊社が受験で大切にすべきものが何であると考えているのかを発信したつもりです。

 ちなみに質問は次のようなものでした。

1.入学試験で合格点をとれる学力を養うことのほかに、修道・広島女学院に進学するにあたってどんな準備や備えが必要でしょうか。
2.何事も「はじめが肝心」と言います。修道・広島女学院に入学した当初、生徒がまずもって大切にしておくべきことはどんなことでしょうか。
3.入学した時点では目立たなかった生徒が、あるときからぐんぐん伸びる。そういうことは実際にあるでしょうか。あったらぜひ教えてください。
4.入学当初はどの生徒も希望に燃えていることでしょう。しかし、なかには成績が低迷して苦労を強いられる生徒もいるのではないかと思います。そういう生徒に何らかのバックアップをされているのでしょうか。
5.6か年一貫校の魅力の一つは、部活に代表されるように、大人と子どもほど外見も年齢も異なる中学生と高校生が互いに交流する場があることだと思います。そのことについての意義をお聞かせください。
6.修道や広島女学院を卒業し、社会に出た後すばらしい活躍をされている生徒さんに共通する特徴はありますか? 勉学の状況との関連も含めてお答えください。

 ざっとこのような質問を用意しましたが、時間の関係で1~4までの質問にお答えいただきました。田原校長と星野校長は、掛け合いで互いの考えを交換しながら、ほかでは滅多に聞けない率直かつユーモアと誠意溢れる話をしてくださいました。おかげでとても楽しい時間になりました。この時間こそ、弊社が保護者に提供したかったもので、「もう少し質問時間が欲しかった」と思ったくらいです。終了後は、楽しいお話の余韻をたっぷり味わうことができました。

 校長先生がたの答えがどのようなものだったか、聞きたいと思われたでしょうか。文字数の関係もあり、残念ですが今回は割愛させていただきます(申し訳ありません)。当日お越しになった保護者の方々にとって、お二人の校長先生のお話はすばらしいプレゼントになったものと確信しています。


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子どもの「叱り方」について考えてみませんか?

2016 年 11 月 21 日

 先日のブログ記事で、ご褒美を与えて子どもを頑張らせることについて書きました。今回は、これと関連して、わが子を「叱る」ことについて少し考えてみたいと思います。

 多くの育児本や雑誌などでは、「ほめる」ことが大きく取り上げられます。「できることなら、ほめて育てたい」というのは多くのお母さん方の望みでしょう。ただし、「ほめるだけでは・・・」というのも、多くのお母さん方が実感されていることではないでしょうか。そこで必要になってくるのが「叱る」ことです。
 「叱る」ことは、大きなエネルギーを必要としますし、場合によっては親子がぶつかり合うことにもなりますから抵抗をもたれる方も少なくありません。それでも、危険な行為をしたり他の子を傷つけたりしたときなど、「わが子を叱らねばならないとき」は、どの家庭にでもあるものです。こうしたとき、「ここで叱っておかないと」と頭ではわかっていても、つい叱らずに済ませてしまうということはないでしょうか。逆に、最初は軽く諭すつもりだったのに、一度叱り始めると興奮を抑えられずについ言い過ぎてしまうようなことはないでしょうか。

 子どもが良くないことをした際、何も注意することなくそのままやり過ごしてしまうのは、決して望ましい対応ではありません。そうした状態が続くと、子どもは「何が正しくて、何が正しくないのか」という判断基準を身につけることができないからです。
 逆に、叱る側が感情を抑えられず怒りをそのままぶつけてしまうのも、子どもの情緒面の発育に重大な影響を与えます。親から激しい怒りの感情をぶつけられることが重なると、子どもの情緒は不安定になりがちで、周囲への配慮や思いやりの心、健全なコミュニケーション能力に問題を抱えるようになるといわれます。
 つまり、わが子を叱るべき場面において、何も言わないことと感情的になってしまうことは、どちらもきちんと「叱った」ことにはならないのです。叱るのは、わが子に対する親としての深い思いがあるからこそ。その思いをしっかり伝える方法のひとつとして、ぜひ「適切な叱り方」を身につけていただきたいと思います。

 では、どんな「叱り方」が望ましいのでしょうか。いくつかのポイントを挙げながら考えてみましょう。

① 子どもの言い分を聞き、頭ごなしに子どもを否定しない
② くどくど叱らずに短時間で叱る
③ 問題の原因となったことだけを叱り、余計なことは叱らない
④ 他者と比較して叱らない
⑤ 感情的にならず、冷静に叱る

 いずれも大切なポイントですから、似た内容を育児書などで目にしたことがあるかもしれません。ただし、知識として知っていることと、実際の場面で実行できるかどうかは別のことです。親も一人の人間ですから、いつも冷静にこれらを頭に置いておけるわけではありません。今一度、普段の叱り方を振り返って点検してみてください。

 特に⑤には注意したいところです。先ほども書いたように、親の怒りの感情を一方的にぶつけるような叱り方は、子どもに良くない影響を与えてしまいます。叱る側にしてみれば、大きな声で怒鳴りつける方が「しっかり叱った」という気分になるもの。ところが、子どもにとっては、感情的な叱り文句はほとんど耳に入らず、「お母さん(お父さん)が何かに怒ってた」という記憶しか残りません。叱るときには、子どもに一つひとつの言葉を理解させるつもりで、冷静かつ毅然とした態度と口調で伝えましょう。
 もし自分がちょっと興奮しているなと感じたら、叱っている途中でも「ちょっと待ってて」と伝えて別の部屋やベランダなどで深呼吸をしてはいかがでしょうか。そして少し気持ちが落ち着いてから、また子どもの前に戻れば大丈夫です。自分の精神状態を自分自身で感じ取れるように、叱っているときこそ冷静さを失くさないことが大切です。

 もしできれば、普段の何気ない団欒の時間にでも、お子さんに「お母さん(お父さん)の叱り方って、どう思う?」などと問い掛けてみてもいいのではないでしょうか。これから本格的な思春期を迎えるとそんな言葉掛けにも素直に答えてくれなくなる時期がやってきますが、今のうちなら「あの時の叱り方は気分が悪かったよ」「叱られたときは悲しかったけど、後から振り返って反省した」などと率直な感想が聞けるかもしれません。そして、その言葉を親の側も素直に受け止めて、次の機会にはそれも活かした叱り方ができるといいですね。

 ほめることと叱ることはどちらも重要であり、それぞれが互いの教育的効果を高めあう関係にあります。普段ほめているからこそ、いざという時の叱る言葉に重みが生まれますし、叱るべき時に毅然と叱れているからこそ、普段のほめ言葉に大きな効果をもたらします。上手にほめることが大切なのはもちろんですが、それと同じく上手に叱ることができるのも、親にとっては非常に重要なスキルなのです。「ほめ上手・叱り上手」なお母さん・お父さんを目指して頑張ってください!

(butsuen)


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ブログが満8歳を迎えました

2016 年 11 月 14 日

 2008年11月14日に始めたこのブログですが、気がつけば丸8年が経過していました。記事数は本日で602回に達し、閲覧数は127万ビューを超えました。開始当初は、「いつまで続けるか」など全く念頭にありませんでした。拙文を読んでくださった方々には感謝の言葉しかありません。

 本ブログの特徴の一つは「文章が長い」ということです。これは、受験生の保護者のみなさまに「ある程度専門的な知見を背景に、学力形成や家庭教育のありかたに関する情報をご提供したい」という意図があるからです。いささか身の丈に合わぬ考えではありますが、「このようなプランを実行できるのは弊社しかない」という自負もありました。ただし、日常の仕事の合間に書くには負担が大きく、「そろそろ閉じようか」と何度も迷いながら今日のこの日に至りました。

 学習塾が、本業の指導をさておいて、子どもの発達や家庭教育に関する情報を発信するのはおこがましいことです。しかし、「子どもの望ましい成長という観点を見失わないこと、しつけの大切な仕上げ期であることを忘れないことが、中学受験の成否を決める、最も大切なことなのだ」と筆者は今でも確信しています。そこから逸脱した受験は、子どものためにも親のためにもなりません。このような考えに基づいてブログの記事を書いてきましたが、「始まりがあれば終わりもある」のが世の常です。数年経った頃から「そろそろ終わりにしようか」という思いが次第に頭をよぎるようになりました。

 そのいっぽう、2~3年前から筆者よりもずっと若いスタッフが執筆に加わってくれています。それなのに、ここでブログを閉じるのは筆者の我儘かもしれません。あれこれ思案した結果、当分は若い力も借りながらこのブログを継続することにいたしました。文章を書くという作業は、頭を鍛えることにもなります。慣れるまでは負担が伴いますが、それで得るものも多々あると思います。若いスタッフの成長にも大いにつながるでしょう。読者のみなさま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 家庭学習研究社は、昭和42年に設立された中学受験専門塾です。ただし、もともと経営者が通信添削の会社を興すつもりだったという経緯があり、学習塾としては風変わりな呼称のまま今日に至っています(もっと時代を遡ると、東広島市で起こした学習塾が出発点となります)。通信添削の実績はほとんどなく、創業まもなくして中学受験生のための模擬試験を主催するようになりました。それが中学受験専門塾になるきっかけでした。

 現在のような学習塾の形態になったのは、模擬試験に参加された保護者から「指導もしてほしい」と要請され、夏休みの講習を実施したのがきっかけだったと経営者から聞いています。創業時のことを筆者は知りませんが、当初は6年生の1年間で受験対策を完成させる形であったのが、受験ブームの高まりや、合格を巡る競争の激化に歩調を合わせ、5年部設立(昭和40年代半ば)、4年部設立(昭和60年)といったステップを踏むことになり、さらには低学年部門を設立(平成11年)して今のような陣容になりました。現会員児童の保護者のなかには、こうした変遷の途中で弊社の教室に通学されたかたもたくさんおられることでしょう。

 20161114筆者が入社した頃、校舎は三篠校のみであり、「週3日コース」だけでも平均30名以上で編成されたクラスが、6年生だけで男女それぞれ9~10クラス、日曜コース(現土曜コース)も男女数クラスずつありました。入れるだけ受験生を詰め込んだ狭い教室は、子どもたちの熱気と相まってアグレッシブな雰囲気が漂っていたことを記憶しています。

 日曜コースには、「家庭学習研究社」の呼称を正統に受け継ぐが如く、「自ら学び、自ら力をつける」という気概に燃えた受験生が多数いました。今と比べると、随分大人っぽい子ども達だったように思います。当時、6年部の日曜コースに所属していた児童が、「週3日コースに通ったらバカになる」と言っていたという話を耳にしたことがありますが、それが生意気や強がりとは思えないほどしっかりとした学びの姿勢をもった子どもたちがたくさんいました。

 近年は、児童数の大幅な減少、中学受験熱の後退、公立一貫校の設立など、広島の中学受験界の様相は随分変わってきています(首都圏など大都市圏では、相変わらず中学受験に活気がありますが)。かつて、修道中学校の受験者は千八百数十名、広島女学院中学校の受験者は千五百に迫る時期がありましたが、現在は修道が九百~千名、広島女学院が七~八百名前後と、随分入学への門は広くなっています。

 中学受験を志向する児童が減ったこと、児童数が全体的に減少したということは、無理をしなくても志望校合格の夢が実現し易くなったということを意味するでしょう。しかしながら、志望校へ入学できたらあとは自動的に望む学力が身につくわけではなく、人間としての器が大きくなるわけでもありません。

 むしろ、学習の習慣づけや、自分で段取りをつけて学ぶ姿勢、自分に合った学習法などがしっかりと定まらないまま中学に入学すると、飛躍を遂げるはずの中学高校の6年間が苦しみの連続となるおそれも生じてきます。中高一貫校での6年間を生かすも殺すも、自ら学ぶ姿勢を大切にする学習生活を送るかどうかにかかっています。そのことを保護者のみなさまにご理解いただき、「合格のための受験」だけでなく、「将来の飛躍に向けた礎を築く受験」となるようお子さんを見守りバックアップしていただきたいと切に念じる次第です。

 ご存知のように少子化は大学受験にも多大な影響を及ぼしています。私立大学の半数近くは常に定員割れの危機にあり、「優秀な学生を採る」ことよりも「いかにして定数を確保するか」に汲々としています。難関とされていた大学も、一部の特別なステイタスを築いている大学以外はレベルダウンを余儀なくされています。したがって、本来築いておくべき学びの姿勢や到達しておきたい学力に至らなくても受かるようになりつつあります。

 以上のように、学歴を得るための困難さは軽減されつつありますが、問題は社会に出てからです。今日のグローバル社会は、一国の経済が国内で完結することを不可能にし、大企業のほとんどは世界中の国々の経済動向をにらみながら、生き残りをかけて鎬を削るぬ難しい時代が到来しています。大企業といえども、5年10年先が見通せない厳しい状況にあり、そうした社会に参入する若者にとって学歴はさほど頼りになるものではなくなっています。それよりも、本物の学力や創造性、判断力、行動力、決断力、協調性、リーダーシップなど、高いレベルの総合的な知性が求められています。

 これらの能力を育むうえで貴重な自己習練の場を与えてくれるのが、中学受験のプロセスにおける学習生活だと筆者は思います。大人の指導やアドバイスを受けながらも、自分で学ぶ姿勢を少しずつ培い、段々と自分の現状を振り返りながらより望ましい取り組みのできる人間へと成長していく。そういう流れで受験を迎えれば、どのお子さんも中学、高校、大学でより一層学びの姿勢を磨き、高いレベルの知性を身につけた人間へと成長していくことができるでしょう。

 私たち家庭学習研究社は、微力ながら中学受験を志す子どもたちの将来の大成を願って指導に当たらせていただきます。子どもの将来に確かな布石を打つ中学受験の実現に向けて、保護者のみなさまと共に子どもたちを応援してまいります。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。


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