私学2校を訪問してきました

2017 年 9 月 11 日

 夏休み期間中に広島市内の私学2校を訪問してきました。訪問の目的は、弊社の主催するイベントにご協力いただくための打ち合わせでした。

 お会いしたのは校長や教頭、広報部長など、学校の要職に就いておられる先生がたでした。せっかくのチャンスでしたので、学校が実践しておられる教育の現状や、生徒さんがたが私学6年間でどのように成長しているのか、などについてもお聞かせいただければと思い、仕事の目的以外のこともいろいろお聞きしてみました。

 訪問先は広島学院とノートルダム清心です。ご存知かもしれませんが、弊社では毎年11月に私学の先生をお招きして、「私立一貫校の教育とはどのようなものか、そのよさはどこにあるのか」など、私学教育にまつわるテーマを掲げたイベントを実施しています。今年は「カトリック系私学の教育の特色やよさ」をメインテーマに掲げました。弊社の宣伝やアピールは控え、私立学校をよりよく理解したうえで受験を保護者にご検討いただこうという趣旨を軸に置いています。

 なぜ広島学院と清心の組み合わせかについては説明無用かもしれません。両校は、カトリックの教義に基づいて設立された私学であり、開校の目的も「戦後の広島の復興を教育によって支援する」という点で同じであり、ともに戦後まもなくに誕生しています。さらには、開校直後から進学校として卓越した実績をあげ、今日に至るまで「広島の男女私立一貫校随一の進学校」としての地位を不動のものにしている点でも似ています。

 つまり、両校は広島で私立の一貫校をめざす子どもたちにとって最難関の私学であり、入りたくてもなかなか入れない“あこがれ”の存在です。それゆえ、やや「縁遠い学校」とみられる向きもありますが、学校のよさをある程度知ったなら、「もしも行けるものなら、ぜひわが子を行かせたい」と思われるだけの魅力を携えたすばらしい私学です。11月に実施するイベントでは、そうした学校のもつ魅力を十分にお伝えしたいなと考えています。

 この2校を訪問して、とても印象に残ったことがあります。お会いした先生がたが全員30年以上もの長きにわたって広島学院や清心で教育に携わっておられるということです。しかも、11月のイベントでお話しくださる先生は、いずれもかつて広島学院と清心で6年間学ばれた生え抜きのOBです。

 このことはどんな意味をもつでしょうか。筆者がこのような立場・経歴の先生がたとの会話で感じたのは、たまたまこの学校で働くよう命じられたのではなく、「この学校で教師をしたい!」という強い意志をもって教師になられたからこその学校愛や生徒愛に満ち満ちておられるということです。いろいろな話題について語ってくださるそのご様子から、私学がどういう学びの場なのかを大いに感じとった次第です。こういう先生の教えを受けられること自体が、私学に進学することの重要なメリットであろうと思います。

 さて、少し早いかもしれませんが、11月に予定しているイベントの骨子についてご紹介しておきます。催しのタイトルは、「“生き抜く力”を育むカトリック系私学」(副題:思春期を飛翔の場にする教育環境がここに!)となって います。実施日時は、11月17日(金)10:30~12:00で、会場は広島ガーデンパレス(JR広島駅北口より徒歩約7~8分)です。対象者ですが、小学生の保護者ならどなたも参加いただけます。弊社の会員家庭かどうかも問いません。無料の催しですので、中学受験を視野に入れておられるかたの情報収集の場にしていただければ幸いです。

 では、イベントの構成を簡単にお伝えしましょう。

「“生き抜く力”を育むカトリック系私学」 構成

導入 ~広島学院とノートルダム清心の成り立ち~

 広島学院とノートルダム清心は、ともに第二次大戦後、焼土と化した広島の街の復興を教育によって支援しようという趣旨で設立されたカトリック系のミッションスクールです。まずは、話者としてお越しくださる先生から、両校に共通する成り立ちについて保護者にご説明いただきます。

第1部 学院・清心は、“夢”と“生きかた”を育む場

 広島学院とノートルダム清心は、完全6か年一貫教育の私学です。高校からの募集はありません。高校受験がないゆとりを生徒さんの内面の成長に活かしつつ、高いレベルの大学進学状況をどのようにして実現しておられるのでしょうか。第1部では、学力形成と人間的成長を両立しておられる2つの私学の教育実践の魅力を探っていきます。

1.私立6か年一貫校としてのわが校

 思春期前から青年前期までの6年間を、一つの理念に基づいた教育環境の下で過ごす。このことは、子どもの人間形成に多大な影響を及ぼします。そのことを踏まえ、私立6か年一貫教育の意義と、それを活かした自校の教育実践について両校の先生にお話しいただきます。特に思春期は親にとっても教師にとっても子どもへの対処が難しい時期です。しかし、だからこそこの時期の教育は大切なものです。両校の先生のお話を通じて、「私学教育の価値」を感じ取っていただければ幸いです。

2.進学校としての教育実践

 両校の生徒さんの大学進学状況、進路の傾向について簡単に解説します。県内でトップを行く進学校ですから、国・公立の大学、難関大学を漫然と志望するのではなく、学びたい学問、就きたい職業を視野に入れ、高いレベルで進学目標を達成している生徒さんが多数おられます。そうした進路選択の様子についてもお話しいただく予定です。

3.学院生・清心生の学校生活

 学院や清心の生徒さんが学校生活をどう受け止めているのか、どんな成長を遂げているのかなど、これからわが子を受験させる保護者の興味に沿った情報を提供するためのコーナーです。任意に選んだ中学生と高校生のクラスでアンケートを実施し、その結果を保護者にご紹介します。「人生の夢、将来の目標」「今の自分をどう思うか」「どんな点に学校のよさを感じるか」「ミッションスクールを感じる時って?」「学校で楽しい時間は?」など、様々な質問項目を通じて、両校の生徒さんの学校生活の実態をイメージしていただければ幸いです。

4.カトリックの教義に基づく心の教育

 広島学院とノートルダム清心は、いずれもカトリックの教義に基づいて設立された私立学校です。そこで、カトリック系の私学ならではの教育実践についてご説明いただきます。特に今回は、「ILプログラム(広島学院)、MJプログラム(清心)に話題を絞り、可能なかぎり詳しくご説明いただきます。愛情深い手作りの教育が、生徒さんの内面にどのような変化や成長をもたらすかを、ともに考えていただきます。

第2部 私学に通う6年間を大いなる成長の場にするために

 学校について知りたいこと、教えてほしいことがあっても、学校主催の説明会では気後れして質問しにくいものです。

 例えば、勉強に行き詰った生徒はどうなるのか、何らかのバック・アップをしてもらえるのか、などは多くの保護者が「聞いておきたい」と思われるのではないでしょうか。そのいっぽう、親としては、「わが子が勉学で躓くことなく、充実した学校生活を送ってほしい」と強く願っておられます。トップ進学校での学習生活を有意義なものにし、さらに学力を飛躍させている生徒さんにはどのような特徴があるのでしょうか。また、そういう生徒になるために、今からどんなことを心がけたらよいのでしょうか。そういったことも大変重要であり、保護者にとって知りたいことだと思います。

 第2部では、このような親の関心事を取りあげ、質問への応答というかたちで先生がたにお話しいただくことにしました。

 以上が本イベントのおおよその構成・内容です。弊社は中学受験専門の進学塾です。前途ある小学生をお預かりするわけですから、受験の結果だけに目を向けるのではなく、お子さんの将来の飛躍につながる受験生活の実現を応援することが使命であると考えています。今回の催しも、そうした視点に基づいて企画しています。 

 ご協力いただく広島学院とノートルダム清心の先生も、お子さんがたが中学・高校の6年間で大いなる成長を果たすことを心から願っておられます。また、そうなるための秘訣も心得ておられます。私学で長く教鞭をとっておられる先生がたのお話は、受験生活のスタートにあたって多くの示唆を与えてくれることと思います。興味をおもちになったら、ぜひお気軽にお越しください。

 なお、イベントの詳細については、10月末から11月上旬にかけてHPやチラシなどでご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。


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子どもの奮起を促すフォローを!

2017 年 9 月 4 日

 後期の講座が始まり、いつも通りの「塾の授業+家庭学習+マナビーテスト」のサイクルによる学習生活が始まりました。

 子どもの勉強の様子を見ていると、秋は最も勉強に身が入り、成果が目に見えて出てくる季節です。今から暑苦しさが徐々に弱まり、しのぎやすくなってきます。それから何をするにも最適の気候が続き、やがて肌寒さを感じる晩秋に至るまでの期間は、およそ3~4カ月ほど。これだけ勉強にふさわしいコンディションが続くわけですから、大いに学力の飛躍を実現したいところですね。

 ただし、心身ともに未完成な小学生と、大人に近づきつつある中学・高校生とでは、受験に臨む意識や取り組みに大きな隔たりがあります。年齢ゆえ、当然のことながら体力や集中力も未発達です。ですから、子どもを見守る親の大半はもどかしい思いや苛立ちを余儀なくさせられることになります。

 このような心もとない状態から、少しずつの進歩や変化を引き出し、いかにして子どもの成長にダメージを及ぼさないで合格に漕ぎつけるか。それが、大人に求められる視点であり、そこが中学受験の成否を分けるポイントだと言えるでしょう。

 もう少し具体的に言えば、子ども自身の勉強に向かう主体性を尊重しつつ、受験勉強のメニューや時間、取り組みかたに問題が生じないよう側面から適切に配慮することが、私たち大人に課せられた大きな使命だと思います。しかしながら、みなさんご存知のように、何が適切か不適切かの判断は子どもたち個々によって少しずつ違いますし、その判断は大人にとっても難しいものです。さらには、親にとってわが子のことだからこそこみあげてくる感情をコントロールしなければならないという問題があります。

 この親の関わりかたの難しさを感じるのは、何も受験勉強だけではありません。親がわが子に何か取り組ませるとき、どうしても冷静さを欠いてしまったり、感情が先走って子どもの進歩にとって逆効果を招くような言動に及んだりしがちです。

 あるとき、テニスの雑誌(テニスは筆者の趣味のひとつです)を読んでいるとき、気になる著述がありました。それは、ジュニア育成で有名なテニススクールのコーチが書いておられたものです。私の目に留まったのは、「子どもがかわいそうになるとき」というタイトルで書かれたコラム記事でした。内容は、テニススクールにわが子を通わせている保護者の言動で、「これでは子どもがかわいそうだ」と思わざるをえないことがらについて書かれたものでした。ちょっとご紹介してみましょう(一部割愛しています)。

① 子どもをもっと褒めてほしい(怒る親が多すぎる)
② 試合内容を勝敗だけで、感情論的に評価しないでほしい。
③ 勝ったら褒めて、負けたら怒るはNG。特に低年齢には勝敗よりも楽し
  かったか、日頃のプレーができたかを聞いてほしい。

④ 家族内で意見が食い違い過ぎて、結果子どもが犠牲になっている。
⑤ 試合後のネガティブなダメ出し。
⑥ 試合に負けるとすぐに「テニスをやめさせる」とか言う。
⑦ 負けた試合の帰り、車中が地獄(後日、子ども談)
⑧ 子どもに、お金がないとしょっちゅう言っている。
⑨ 親に信念がないせいか、スクールを転々とし、子どもはその度に違うこ
  とを言われ、混乱してしまい、一番の犠牲者になっている。

⑩ 親がテニスのアドバイスをして、それを実行しないと試合後メチャク
  チャ怒られる。

 どうでしょう。シチュエーションをテニス教室から弊社のような進学塾での勉強に置き換えても、当てはまることがたくさんあるように思います。テニス教室であれ、学習塾であれ、わが子に対する愛情や期待があるからこそ、通わせているのは間違いありません。ですが、親の思惑通りに上達しないとき、どうしてこんなふうに支配的に感情的に振る舞ってしまうのでしょうね。

 ①~③について。子どもの奮起を引き出す最も有効な方法は、子どもの努力を見逃さずにほめることです。結果にかかわらず親にほめてもらえることは、子どもにとってこの上なく幸せなことであり、がんばりのエネルギーとなります。しかるに、「①どんなにがんばっても親がほめてくれない」、「②③一生懸命やっていたのに、成績が悪いと親に感情剥き出しで怒られる」といったように、結果第一主義で子どもに接し、結果が伴わないと感情に任せて叱ったしまう保護者が相当数おられるようです。

 ④について。例えば、取り組みに関する考えかたが夫婦それぞれに違い、足並みがそろっていないと、子どもはどうしてよいかわからなくなりがちです。テニスではプレーが混乱しますし、受験勉強においても、どう取り組んでよいか子どもはまごつきます。

 ⑤~⑦について。子どもをけなしたり、揺さぶったりしてがんばらせようという意図でしょうが、「わが子のふがいなさに対する怒り」が強過ぎるのが気になります。子どものやる気をスポイルしてしまうだけでなく、親への反感や不信の気持ちをもたせてしまうのではないでしょうか。そうなると、テニスをやらせたことも受験をめざすよう促したことも、無意味になってしまいます。

 ⑧について。弊社の会員児童に「親に言われて嫌に思うことは何か」についてアンケートを取ったとき、「塾にお金がかかっていると言われること」というのが結構あったことを思い出します。「こんな成績じゃ、お金がもったいないから塾なんてやめなさい」と言われたお子さんもいるようです。無論、親としてはつい子どもの現状に業を煮やして出た言葉なのでしょうが、お金のことをもちだされてやる気が高まる子どもはいませんし、むしろ親への尊敬の気持ちが台無しになるおそれがあります。

 ⑨⑩について。どちらも、指導担当者を信用せず、親が口を出している点が気になります。⑨については、成果が得られない根本の原因を把握することが先決でしょう。⑩については、「親の言うとおりにしなければ叱られる」という状況では、アドバイスが適切であるかどうか以前に、子どもは実力発揮どころではなくなってしまいます。

 思い通りにならないわが子を見ると、親はなぜか感情の勝った対応をしてしまいます。溢れるほどの愛情や期待があるからこそ、わが子の現実を受け入れられなくなってしまうのでしょう。筆者は、保護者にお話しする機会があると、「受験の見守りと応援は、親にとっては我慢と、忍耐と、辛抱の連続です。最後までわが子への期待をあきらめずに愛情深くサポートしてあげてください。それが子どもの心をいつか奮い立たせるときがやってきます。そのときが来るのを信じましょう。決して親が先にあきらめてはいけません」と申し上げています。

 どんな状況でも自分を信じ、最後まで応援してくれる存在。子どもにとって、それは親や家族しかありません。思い通りにならないときは、一緒に悔しがり、「どうしてうまくいかなかったのかな?」と優しく問いかけてやりましょう。そんな親の姿勢が子どもを動かさないはずがありません。きっとお子さんは、「親の期待通りの人間になりたい」と心から思い、やる気を少しずつ行動に転化させていくことでしょう。


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2017「後期講座」が開講します!

2017 年 8 月 28 日

 もうすぐ9月がやってきますが、夏の勢いはまだ衰える気配はなく暑い日が続いていますね。夏休みの余韻が色濃く残るなか、弊社では今日(8月28日)から「後期講座」が開講いたします。お子さんは、夏休みを何事もなく無事に乗り越えられたでしょうか。

 先日は、夏の講座の区切り目に、5年部会員家庭のおとうさんが娘さんと一緒にプールに出かけられるという話をお聞きしました。実はそのおとうさんと筆者はスポーツ仲間で、日曜日にお誘いしたら「今回は無理」と、断られました。その理由が前述のお子さんサービスだったというわけです。「わが子のがんばりに少しでも報いてやろう、気分転換の機会を与えてやろう」という親心が感じられ、気持ちの和む思いをしたしだいです。

 ところで、お子さんは、夏休みの宿題を無事やり終えられたでしょうか。先日、出版社系のウェブサイトで、ちょっと興味の魅かれる記事が目に留まりました。子どもの夏休みの宿題や自由課題の終わらせかたのパターンを幾通りかに分け、それをもとに「子どものころの夏休み課題の片付けかたと、大人になってからの仕事の進めかたや行動パターンとに共通点があるかどうか」について、ライターがご自身の考えを書いておられました。ちょっとご紹介してみましょう。

 まずは、夏休みの課題の片付けかたですが、次のような5つのタイプに分類されていました。

(1) 先行逃げ切り型(7月中にすべての宿題を終わらせる)
(2) コツコツ積み立て型(ペースを守ってムラなく計画的に終わらせる)
(3) まくり型(夏休みの最後になって大慌てで取り組む)
(4) 不提出型
(5) その他(他人任せ、嫌いなものは後回しなど)

 あなたはどれに当てはまると思いますか? どの小学校でも「夏休みの計画表」を作成するよう指導されますから、当然理想と言えるのは(2)のタイプだと思います。しかしながら、大概夏休みの前半は勉強が後回しになりがちで、やろうという気持ちはありながらも計画通りにはかどらないことが多く、結局は(3)のまくり型のような状況に至るお子さんが少なくありません。それも、自分でまくって宿題や研究課題を片付けるならまだしも、親の叱咤激励やサポートを得て、やっとの思いで格好をつけるケースが多いのではないでしょうか。

 大昔の話ではありますが、かくいう筆者も親の手伝いに頼ることはなかったものの、宿題を後回しにしたつけを払わされる夏休みの終盤の慌ただしい毎日は、おなじみのことだったように記憶しています。

 さて、前述のライターのかたは「子どものころの夏休みの宿題の片付けかたと、大人になってからの仕事のさばきかたの関連性については、「 ○ 」と答えておられました。つまり、子どものころに夏休みの宿題や自由研究などをどう片付けていたかと、大人になってからの仕事の片付けかたと「関連あり」と感じておられるようです。また、宿題を片付けるタイプとしては、「(5)その他と(3)まくり型のハイブリッド」だと答えておられます。以下は、そのライターのかたがご自身の回答について説明しておられる記事の引用です。

 絶対に提出しないと怒られそうな宿題と、それほどの必死度はないものとにとりあえず分ける。前者は「それをやらなければいけない」という精神的な負担を持っていること自体が嫌なので、早めにやってしまう。だいたい7月中には終わらせてしまうのです。でもそれですっかり清々してしまって、後者の必死度が低いものは「こっちはじっくりやるのだ」と言いながらもずるずると放置し、気がつけば8月も後半になって「しまった……」と焦るという、なんだかややこしい夏休みの過ごし方でした。「先行逃げ切り型と」と「追い込みまくり型」のハイブリッドというか。

 いまの仕事の進め方も、気がつけば小学校のころと似ているかも。雑誌などメディアに寄稿する単発の仕事は、比較的早めに終わらせます。〆切をすぎて「早く書かなきゃ」とイライラするのが嫌なので、そのイライラを消すために終わらせてしまいたい。机の上を片付けてスッキリさせたい気持ちと同じようなものかもしれません。でも書籍の原稿執筆のような、じっくりと腰を据えて取り掛からなければならない長期の仕事は、どんどん後回しになってしまってなかなか進みません。「まる一日空いている時でないと、集中できない」「まだ思考が整理できていないから、もう少し文献読まないと」「あの人に会ってからじゃないと書き出せない」などとあれこれ弁解を自分自身に向かって述べているだけで、ずるずると先延ばしになってしまっているのです。これじゃダメだよねえ、と思いつつ。

 このライターさんの著述は、これから中学受験をするお子さんがたにとってなかなか参考になるものではないかと思います。また、このかた自身が、中学受験を経験して私立の中高一貫校に進学されたのかも知れないと思いました。というのも、重要度で優先すべきことを仕分けし、段取りをつけてやるべきことを片付けていくということができるかどうかが、中学受験での志望校合格、そして学習進度が早く宿題の多い私立中高一貫校でうまく学力を伸ばしていくうえでの必須条件だからです。

 とはいえ、どんなに優秀なかたでも重要度の高い、疎かにできない仕事のめどがついたら、ちょっと気が緩むものです。そうして、「このままだとまずい」と感じたところで、手早く残りを片付ける。これができるかどうかが、頭のよい人間になれるかどうかの分岐点のひとつだと思います。

 また、これまで何度も書いてきましたが、「どういう人間のタイプになるか」は、だいたい小学校時代までに決まるものです。みなさんのお子さんのように、2年、3年にわたって受験生活を送られるお子さんは、人間形成上の重要な時期に、時間やエネルギーを投入して負担の多い勉強をやりこなしていくことになります。そのやりこなしかたが、そのままお子さんのものごとに取り組む基本的なスタイルとして定着していくのは疑いないことでしょう。
 



 入試本番までに余すところ数カ月。いよいよ学力の仕上げ段階へと進んでまいります。今から本番までの期間は、1日という時間のもつ意味の重要性がまったく違ってきます。もはやノンビリやウロウロ、ウッカリは合格の妨げ以外の何物でもなくなります。時間を有効に使いながら、苦手対策や仕上げ学習を効率よく進めていく必要があります。

 前述の「優先順位をつけて、重要なものから先に済ませる」という姿勢や、「一定期間のスパンでやり遂げるべき課題を絞り込み、計画的戦略的に取り組む」という姿勢がこれまで以上に求められてきます。夏期講習での手ごたえや、テスト結果を踏まえ、親子でこの秋からの受験学習に関する「努力目標」や「やるべきこと」を確認し、それらを毎日優先順位に沿って片付けていくよう促してあげてください。
 



 日々の学習の計画は大概の家庭で立てておられると思います。問題は、それをどれぐらいやり遂げられるかです。ただし、親が圧力をかけてやらせる、親の指導の下で全部終わるまで時間に糸目をつけない、といった関わりかたは望ましくありません。むしろ、多少は落ち度があっても、先にすませておくべきは何かをお子さん自身に考えさせたり、時間枠の中で予定の学習を済ませようと努力することを奨励し見守ったりすることのほうが重要です。このプロセスで、子どもたちは勉強の自律性や段取り力を身につけていきます。

 親にとってはまどろっこしくもどかしいことですが、親が手を差し伸べすぎると、今回の話題で取り上げているような頭のよい勉強法は身に着きません。親の力で予定を全部無理にやらせても、子ども自身が取り組んだ成果でないものは力になりません。受験までに時間のある今のうちにこそ、頭のよい勉強法が身に着くよう応援してあげてください。

 

 暑苦しい夏が終わると、まもなく勉強やスポーツに最適の季節である秋がやってきます。このよい季節を上手に活かし、大いに成果のあがる勉強を実践してまいりましょう。今ある勉強をどう片付けるか。それは、受験での結果を決めるだけでなく、中学入学から大学までの長い学びのありかた、ひいては社会人になってからの仕事への取り組みや成果にも少なからず影響を及ぼします。親がわが子の勉強や生活に関われるのは、せいぜい小学生いっぱいまで。その関わりかたも大変重要です。


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テスト成績をどう判断し利用するか

2017 年 8 月 17 日

 早いもので、夏休みの前半に予定されていた講座がすべて終了しました。お子さんは、最後まで元気いっぱいに受講されたでしょうか。

 6年部をのぞくと、夏の講座の最終日には1年生から5年生までのすべての学年でまとめのテストを実施しています。参加された子どもたち全員が成果のある学習を実践し、テストでも手ごたえを感じておられればうれしいですね。

 そこで今回は、「テストの結果をどう受け止め、学力向上に向けて利用するか」について考えてみようと思います。日本で指折りの難関中・高一貫校の校長をしておられた先生の著作に、テストの成績のもつ意味を取り違えないこと、そしてどう利用すべきかについて書かれた箇所がありました。まずはその部分の内容をご紹介してみましょう。

 あなたのお子さんがテストで平均点以下をとってきたとき、その成績のもつ意味をどう受け止められますか? この先生は次のように述べておられます(若干文を調整しています)。

 ある人は、その点数を子どものランクづけだと受け止めるでしょう。またある人は、子どもの能力の一部分の評価にすぎないと受け止めるかもしれません。しかし、ここで注意してほしいのは、形に表われた成績を「結果」として受けとめてはならないということです。つまり、最終的判断ではありません。あくまで成長段階における、子どもの位置を示しているにすぎないということです。

 子どもが悪い成績をとってきた時、ガミガミと叱りつける親がいます。しかし、子どもはすでに自分の悪い成績を知っています。それに追い打ちをかけるように叱りつけては、叱咤激励のつもりでも、かえって子どもが反抗する原因にもなりかねないのです。そんなふうに叱る親に限って、成績を「結果」としか受け止めていません。

 「成績」はあくまでもその時の子どもの位置を示すもの、と考えを改めてみれば、子どもの学力の足りない部分、資質が見えてきます。力を入れるべき点も整理がつきます。つまり成績とは、親と子に与えられた反省材料であり、これからどうすればいいかを考えるための資料でしかないということです。

 逆説的な言い方をすれば、満足ないい成績をとる子どもよりも、科目によって凹凸のある子のほうが、その子の姿はよく見えるのです。いい成績の陰に、子どもの真の姿が隠れてしまっている例も、私は数多く見てきました。親が結果だけを重視するために、子どもの人間としての能力を、成績だけで判断しようとしてしまっているからです。

 親は、わが子は他人と比較して優れている、劣っている、と嘆いたり喜んだりするよりも、成績に込められた内面を読み取ることが大切なのです。

 子どもの成績が期待とは裏腹に悪かったときこそ、親は心して子どもに接してやりたいものですね。ここで感情的になって叱ったのでは子どもを伸ばすことはできません。叱りたいのを我慢して、「できている点」と「できていない点」をしっかりと見届けてあげてください。

 前出の元校長は、「答案用紙を点検すると、子どもの内面やほんとうの力が見えてくる」といったようなことも述べておられます。点数や順位は子どもの「位置」を示すだけではないのですね。

 たとえば、返却された答案用紙をよく点検してみましょう。そこから子どもの思考の過程が残されているものです。算数の答えを導き出すまでの式の立てかたや計算のプロセス、国語の記述問題に対する答えなどをよくふり返ると、消した内容のほうがよかったということが少なからずあります。また、語句や記号問題で迷いに迷った挙句に、消した答えのほうが正解だったりすることもあります。おとうさんやおかあさんも、同じような経験をして歯ぎしりのする思いをされたことがおありでしょう。それと同じことを、お子さんも随分しているはずです。また、誰でも特有の思考パターンがあり、間違える時にはいつも同じような傾向の間違いをすることがあります。

 こういった修正を要する部分については、親子で一緒に返却された答案用紙を点検することで、お子さん自身が自分の間違えるパターンを自覚すれば、次からはそれを活かすことができるでしょう。いったん書いて消した答えが実は正解で、後で書き直した答えのほうが間違いだったような場合、お子さんにそのときどんな考えに基づいて書き直したのかを説明させてみると、お子さんの思考パターンや考え方の特徴がわかることもあるでしょう。

 なお、テスト返却後のやり直しは必須です。少なくとも、間違えたところは絶対にやり直しをしましょう。弊社のマナビーテストでは、答案返却時にいずれの教科も設問ごとの正答率表を添付しています。この正答率表を大いに活かしていただきたいですね。テストの得点が平均未満だったお子さんは、★印3つまでの問題(全体の半数以上のお子さんが正解を得ていた問題)は、必ずできるようになっておきたいですね。平均点よりも高い得点をあげていたお子さんについては、★印4つまでの問題ができるようになっておけば心強いです。

 こうして、「今度同じような問題が出てきたら、必ず解ける!」と言える状態にしておけば、気持ちの上でも意気込みが生まれてきますし、自信もついてきます。それが勉強の取り組みに活気を与えてくれることにもなります。

 つまり、テストは成績が返ってきてからの対処が重要なんですね。とかく悪い成績をとったときにはやり直しをするのが億劫になるものですが、たくさん間違えたテストにこそ学ぶべきことがたくさん潜んでいるのだということを肝に銘じていただきたいと思います。


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家族関係・親子関係の3国比較調査 その2

2017 年 8 月 7 日

 少子化がすっかり定着した今日、大学も生き残りに向けて様々な対策を講じているようです。もはや日本人学生だけでは経営を維持するのが難しく、外国人留学生を積極的に受け入れている大学も多数あると聞いています。

 そんななか、先月は青山学院女子短期大学が、2019年以降の学生募集を行わない見通しであるということが新聞誌面で明らかにされていました。同大学は、日本の私立女子短期大学で屈指の難関校であり、かつては6つの学科を擁し、志願者は9千名近くに及びました。しかしながら、少子化の影響、女子学生の4年制大学志向の高まりなどで短期大学の多くは縮小、閉鎖、4年制への移行などを余儀なくされ、同大学も今春の志願者は2千名を割れていた模様です。

 このように、女子の短期大学にとって存続の危ぶまれる状況が訪れていますが、これは4年制の私立大学にも言えることで、もはや全体の半数近くが定員割れの状況に至っていると言われています。そのいっぽうでは、特定の有名大学に受験生が集中する傾向があり、両極化の現象が見られます。少子化は教育界の問題にとどまらず、日本の産業や社会全体に大きな影響を及ぼしつつあります。もはや国をあげての対策が急務であると言えるでしょう。

 さて、今回は前回に引き続き、日本とアメリカ、韓国の0~15歳児の親を対象とした国際比較調査の結果をご紹介しようと思います。調査の実施者、実施年度、標本数などについては前回と同じです。

 最初にご紹介するのは、「現在の教育の問題点」がどのようなものかについての意識に関する調査結果です。

資料1 現在の教育の問題点

 日本や韓国は同じ東アジア文化圏に属し、民族性にも似たところがあります。高学歴を得るための受験競争が激しいということも共通しています。したがって、教育の問題点に対する意識も似ているようです。韓国は、トップランクの大学への受験合格を巡る競争が激しい点では日本以上だとも言われており、そのような状況を問題視する人の割合も日本よりも15.1ポイント高くなっています。

 受験をめぐる競争が激しいのは、努力して勉強に打ち込めば豊かな暮らしが手に入る社会であるということの裏返しでしょう。こうした社会の仕組みに沿った形で教育は行われますから、2番目にランクされている「教育が画一的である」ということや、3番目にランクされている「学歴によって収入や仕事に格差がある」などの問題も生じているのだと思われます。このように、国民をあげて学力獲得に熱心である両国では、「基礎学力が不十分である」という認識はあまりないようで、日本では7番目、韓国では6番目のランクになっています。

 それにしても、日本と韓国では保護者の教育に対する問題認識が大変似通っているようです。問題点としてとりあげられた項目のランクアップの順位がほとんど変わりません。わずかに、6番目と7番目が入れ替わっているだけです。

 いっぽう、アメリカは大きく様相を異にしています。資料をご覧いただくと一目瞭然ですが、「無気力や不登校のまん延」という項目をのぞくと、日本・韓国の上位にランクされている項目と、アメリカの上位ランクの項目とはまるで逆になっています。

 アメリカの親が教育上の問題として第一にあげているのは、「盗み、暴力、薬物乱用などの非行」です。これは移民国家で、生活水準の格差が非常に激しいアメリカの抱える大きな問題のひとつです。特に黒人やヒスパニック系アメリカ人の家庭の多くは貧困にあえいでおり、子どものころから犯罪を犯したり、薬物に手を染めてしまったりするケースが少なくありません。当然、初等教育の段階から勉強面での脱落が生じやすく、「基礎学力が不十分である」という問題も生じてきます。

 ただし、アメリカであれ、日本であれ、韓国であれ、家庭のライフスタイルやものの考えかたは、かつてないほど多様化しています。それがいずれの国においても学校での一斉指導を難しいものにしているのではないでしょうか。「画一的である」「教師と生徒との接触が乏しい」などの問題がいずれの国においても同じように指摘されているのはそのためではないかと思われます。

 では、次の調査項目に移りましょう。教育に関する問題は、主として学校教育の現状に対するものでした。そこで、今度は家庭教育に関わる内容のものを取りあげてみました。

資料2 子供の勉強をみる  (画像をクリックすると拡大表示されます。)

 この資料は、家庭で子どもの勉強の面倒をみるのは誰か、ということに対する意識を調べたものです。どうでしょう。今度は日本とアメリカが比較的似た傾向を示しているのに対し、韓国は少し違っているようです。

 子どもの勉強をみるのは夫婦共通の仕事であるという認識をもつ家庭の割合は、3国ともほぼ同じくらいでした。しかし、韓国では「主として母親の役割である」という認識をもつ家庭が45.1%に及び、他の国よりも断然多いという結果が示されています。

 なお、「その他+わからない」に分類されているのは、祖父母、年上のきょうだい、家庭教師などではないかと思われます。アメリカの富裕層は、家庭教師に勉強を見させているケースが多いのかも知れません。

 最後に、家庭で子どもの遊び相手になっているのは父親か、それとも母親か、に関する調査の結果をご紹介しましょう。

資料3 子供と一緒に遊ぶ  (画像をクリックすると拡大表示されます。)
※資料1~3 内閣府「子供と家族に関する国際比較調査」より

 この資料においても真っ先に目につくのは、「子供と一緒に遊ぶ」役割が、韓国では主として母親の役割であるという認識がかなり強いということでしょう。3国とも、「夫婦同程度の役割」であるという認識に立った考えがいちばん多いのですが、この部分だけ大きく違っています。

 これは、「家庭で子どもの面倒をみるのは母親の義務である」という男尊女卑の考えかたが韓国に根づいているからだというよりも、勉強にしろ遊びにしろ、子どものことに関しては母親の権限が非常に強いということではないかと思われます。

 なお、「子どもの勉強をみる」との比較でわかったことですが、勉強のほうは「父親母親同程度の役割」という認識がいちばん多いものの、「主として父親」や「主として母親」としている家庭が日本やアメリカにおいてもかなり見られました。いっぽう、「子供と一緒に遊ぶ」のほうでは、日本もアメリカも圧倒的に「父親母親同程度の役割」とする家庭が多いようです。理由はよくわかりませんが、「遊ぶときには家族全員が揃って楽しい時間にすべきである」という考えによるものかもしれませんね。

 以上、学校教育や家庭教育という側面から、日本、アメリカ、韓国の親の考えの共通点や違いを見てきました。あなたの考え、あなたの家庭の現実を比較対照し、参考にしていただける点があったなら幸いです。


カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育

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