笑う門には“春”きたる

2010 年 10 月 12 日

受験を前向きに乗り切れるお子さんの共通点とは?

 笑うと、脳内にβエンドルフィンやドーパミンなどの様々な物質が発生し、それらは脳の活性化や免疫力強化などに効果を発揮するそうですが、受験勉強においても「笑い」を忘れないお子さんは、スランプなどに負けることなく、前向きに入試を乗り切れるように思います。

 ある指導担当者から聞いた話によると、授業中、「ハイじゃあここ、○○さんどう思う?」などと声をかけた途端、顔がこわばって無表情になるお子さんがいるそうですが、そんな時、子どもの頭の中はすでに思考停止状態で、担当者が何か言っても耳に届かないケースが多いのだとか。反対に、表情豊かでよく笑う子は吸収力があり、その場で教えたことや、ちょっとした冗談なども後々までしっかり覚えていることが多いそうです。表情豊かということはリラックスしている証拠で、そのぶん物事を柔軟に受け入れたり、楽しんだりする余裕があります。そういうお子さんは、あてられて見当違いなことを言ったとしてもあまり気にせず、多少の失敗などは笑いとばしてしまいます。塾全体を見たときも、間違いや失敗を恐れて頑なになるお子さんより、友達や先生とのやりとりを楽しんでいる生徒さんの方が、いざ受験が終わってみたときに納得のいく結果を得ていることが多いようです。

 「笑い」は学力向上の必須アイテム?

 今年の春卒業したある男の子は、入塾当初から算数が苦手で手を焼いていたそうです。しかも6年生になってからは、その算数が他の教科の足を引っ張る存在となり、それは最後まで変わりませんでした。ところが、入試を終えて教室を出てきた彼は、満面の笑みで開口一番、「受験、おもしろっ!!」と言ったのだそうです。

 「この精神面でのプラスの勢いが予想に反して快進撃を生んだ」と彼のおかあさんはおっしゃっています。ですが、彼の凄さはそれだけではありません。そこまで苦手としながらも彼は算数を決して嫌いにはならず、むしろ大好きだったと言うのです。もちろん、そこには指導担当者の熱意や周囲の暖かな見守りがあったはずですが、もしも本人が「間違えてばかりで嫌だなあ」とか、「どうせ頑張ってもできっこない」などと自分を否定していたら、良い結果は生まれなかったに違いありません。たとえ苦手科目でも、問題が解けたときの達成感や自分なりの面白さを見出して努力を続けたことが、合格につながったのではないかと思います。

笑う門には“春”きたる

 2006年に刊行された『頭のよい子が育つ家』の著者、四十万(しじま)靖さんによると、有名中学に合格したお子さんの家庭には、「受験、受験、とギスギスした雰囲気」がなく、それどころか「家族の仲が良く、会話が多く、早い話、家庭内が明るい」家が多いのだそうです。四十万さんは、それまで中学受験生のいる家庭というと、物音が一切しない静かな勉強部屋で、子どもが一人黙々と問題を解いており、家族はそれを邪魔しないよう静かに息をひそめている……といったイメージをもたれていたそうですが、都内を中心とした200軒あまりの家庭を調査するうちに、そのイメージがいかに間違ったものだったか思い知らされたと書かれていました。

 さて、広島の中学受験指導を専門とする弊社でも、お子さんが楽しんで通塾し、そんなお子さんを大らかに見守っているご家庭の方が受験の満足度が高く、結果も良いように思われます。――クイズ番組のような珍回答が並んだお子さんの答案を見て笑い転げるおかあさん。志望校合格の喜びより毎回の送り迎えが終わってしまうのを心から残念がるおとうさん(いつも車の中で息子さんから塾での面白い話を聞き、笑っていたそうです)。はたまた受験終了後に娘さんから「おかあさんよくあきらめなかったよね。あんなに成績悪かったのに」と言われ、二人で笑ったおかあさんなど、弊社の受験体験記を読むだけでも実に様々な笑いがそこにはあります。また、なかにはこんな方も……。

 「入会説明会に参加した帰り道、受験を通して親子の絆が深まり、成長していけるかもとワクワクした」 

  受験生とはいえ、若干12歳の小学生の取り組みには未熟なところや不安な面もたくさんあります。けれども、それらもひっくるめて親子で一緒に受験生活を楽しもうとする明るい雰囲気がご家庭にあれば、お子さんは最後まで元気を失わず頑張れるのではないでしょうか。

(sugihara)

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カテゴリー: がんばる子どもたち, 中学受験, 子どもの発達

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