2010 年 11 月 のアーカイブ

家庭学習研究社の変わらぬ思い ~弊社イベントを終えて~

2010 年 11 月 29 日 月曜日

 すでにご存知の方も多いと思いますが、弊社のイベント「中学受験は“学ぶ力”を育てる場」が、11月18日、呉会場での実施をもって終了いたしました。平日の朝にもかかわらず、どの会場も多くの方に足を運んでいただきまことにありがとうございました。

 さて、今回の催しでは、全体を大きく4つのテーマに分け、子どもの将来の大成を支えるうえで重要な“学ぶ力”をキーワードに、指導現場、学習システムや教材、また、塾とご家庭との連携といった観点から、どのような受験勉強がお子さんにとって最も望ましいのかを考えていきました。

 “学ぶ力”の育成とは、学習意欲や知的好奇心に加えて、実行力や計画力、さらにはコミュニケーション力など、子どもが自ら学ぶために必要なさまざまな要素を引き出し、伸ばすことを意味します。合格力の保証のみならず子ども達の“学ぶ力”まで育てて初めて、「家庭学習研究社の受験指導」とするこの考えは、弊社の創設以来ずっと変わることがありません。

 「おたくの方針は、何年たっても全然ブレないですね」

 ある時、保護者の方が弊社の折り込みチラシを評してこう仰ったそうですが、イベントの題名や切り口が変わっても、そこでお伝えしたいことはやはり同じです。それにしても、一般の学習塾が、子ども達の合格した後のことまで見据えて指導するなんてできるのだろうか、と思われるかもしれません。それはある意味当然のことで、「こうすれば間違いない」などといった自信のようなものは私達にはありません。むしろどこまでいっても手さぐり状態、常に現在進行形なのが私達の受験指導の現実なのです。進学塾である以上、合格するための学力を保証することは絶対で、それだけでも責任重大のはずなのに、なぜここまで“学ぶ力”にこだわるのか――皆さんは不思議に思われるでしょうか。今回、その答えを教えてくれたのが弊社の卒業生でした。

 イベントでは、私学に通う中高生何人かに、受験生時代のことや学校生活の様子についてインタビューした映像をご覧いただきました。そこで、別々の学校に通う彼らが一様に予習復習の大切さを口にし、仲間と学んだ塾の思い出を楽しそうに語る様子に驚かれた方も多いのではないでしょうか。「やるべきことがわかっているから進学後の勉強が苦にならない」「塾が楽しかった」と言う彼らは、決して一部の限られた天才肌のお子さんなどではありません。彼らは他の多くの生徒さんと同じようにごく普通に塾に通い、マイペースに努力し、その結果合格を手に入れました。そして現在、勉強には手を抜かない一方で、部活や趣味にも熱中し、多くの友人に恵まれて充実した学校生活を送っています。そんな彼らの屈託ない笑顔を見たとき、私は「これが“学ぶ力”なのだ」と思ったのです。

 学んだ内容を自分のものにする術を知っている子、学ぶことの意味に気付いた子、皆と学ぶ楽しさや充実感を味わった子は、どんな環境におかれても自分の力で道を切り開くことが可能です。一度手にした“学ぶ力”は、その場限りのテスト学力とは異なり、一生物の財産としてずっと子ども達を支えてくれます。家庭学習研究社が徹底して“学ぶ力”にこだわるのはそのためなのです。また、弊社の4・5年部生が授業を受ける様子も、映像で少しだけご覧いただきました。まだまだ幼さの残る表情や仕草を見ていると、彼らがわずか数年後には制服姿の立派な中学生、高校生に成長するのが不思議に思えてなりません。けれども、この間にも子ども達の“学ぶ力”は続々と芽吹き始めています。その瞬間を見逃さず、やる気を引き出すような働きかけを辛抱強く積み重ねていくことが大切なのではないでしょうか。

 当日は、担当者の実地経験に基づく具体的なアドバイスや、どのご家庭にもありがちなちょっとした失敗談、子ども達のおもしろエピソードなど、ここではお伝えできなかった様々な話題が会を盛り上げてくれました。日時の都合でご参加いただけなかった方には、ぜひとも来年のイベントで私達の思いをお伝えできることを願っています。

(sugihara)

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: がんばる子どもたち, 家庭学習研究社の理念, 行事レポート

子どもの“学ぶ力”をいかに育てるか 弊社イベント報告1

2010 年 11 月 22 日 月曜日

 11月上旬より、冬期講座の募集、次年度からの会員募集が始まりました。そこで、弊社の学習指導の方針や塾としての特性を知っていただこうと、11月15日、17日、18日の3日間、広島、東広島、呉の3会場で催しを開催いたしました。

 この催しのタイトルは「中学受験は子どもの“学ぶ力”を育てる場」で、家庭学習研究社の学習指導が、「どのような考えのもとで、どのように行われているか」をご説明しました。学ぶ力という言葉に括りを入れているように、弊社の学習指導が学ぶ力の育成に力を入れていることを様々な角度から検証しご説明しました。

 学ぶ力とは、学んだ結果つけた学力(テスト学力など)ではなく、学習を推進していく力のことです。豊かではあるが行き詰まった今日の社会は、子どもを学びに向かわせる力にいささか欠けています。一流とされる大学を出ても、人生の成功者になれるとは限らない今日において、「将来よい大学に入って、よい職業について~」などと子どもにハッパをかけても、もはや説得力がなくなっています。

 とは言え、学ぶことの必要性はこれからも高まりこそそれ、減退するなどということはあり得ません。より豊かで便利な社会を築くうえで、学問は必要不可欠のものです。それなのに、「子どもの学びからの逃避」「学力低下」などの問題が取り沙汰されています。そして、いまだに解決の兆しすら見えていません。

 そんな今日にあって、「わが子に高いレベルでの学問を」と願う親が重要視すべきものは何か。それが学ぶ力です。一般に学力というと、知識や技能など、テストで測れる要素に目を奪われがちです。そして、多くの人間は学力を高めていくために欠かせない“学ぶ力”の大切さを見落としていることに気づきません。しかし、この学ぶ力こそ、子どもたちが自ら学力を高めていくために必要なものです。

 なぜ“学ぶ力”は見過ごされてしまうのでしょう。それは、先ほどあげた知識・技能などのような、テストで測れる学力さえ身につければ、学歴を得ることが可能だからではないかと思います。

 ところで、「“学ぶ力”と言われても、今ひとつよくピンとこない」という人もおられると思います。そこで、学ぶ力がどういうものかについて簡単にご説明しましょう。下表は、心理学者の市川伸一先生(東京大学大学院教授)の著作から引用したものです。

 これを御覧になれば、学ぶ力がどういうものか、ある程度おわかりいただけるでしょう。子どもが自ら学ぼうとするためには、学習意欲や好奇心がなければなりません。また、自分で学んでいくためには学習の計画力が求められます。どういうふうに学べばいいのかという、学習方法も身についていなければなりません。

さらには、学習対象に没頭する集中力も必要です。また、いったん考え始めたら、思考を粘り強く持続させる力もなければなりません。

 もう一つ、コミュニケーション力。これは、学ぶ力とどのような関係があるのでしょう。市川先生は、この学ぶ力としてのコミュニケーション力の例として次のようなことをあげておられました。

  1. ・先生が授業で話していることを理解できる力
  2. ・どこがわからないかを自らハッキリ表現して先生に質問できる力
  3. ・友だちと教えあったり学びあったりするときのコミュニケーション

 とにかくテストでよい点をとるとか、入試に受かることばかりに目を向けると、「コミュニケーション力なんて、どうでもよい」などということになりかねません。しかし、今日の子どもたちに最も足りないものの一つが、このコミュニケーション力です。その結果、大学を不登校になったり、社会に出てから自分を通用させることができずに苦労する人間が増えているそうです。

 弊社では、中学受験のプロセスを通じて、前述のような学ぶ力の育成に取り組んでいます。受かるまでしか見ない受験対策では、この学ぶ力を育ちません。中学受験後のさらなる学力伸張を見通し、それを可能にする態勢を築きながら入試突破を果たす。そういう学習指導をいかにして実践しているかを、今回の催しでご説明しました。

 もし、この催しの内容について詳しくお知りになりたいかたがおられたなら、弊社事務局までお電話で資料をご請求ください。折り返し、催しで配布した冊子をお送りいたします。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 勉強の仕方, 子どもの発達, 家庭学習研究社の理念, 行事レポート

がんばらない受験勉強のススメ

2010 年 11 月 15 日 月曜日

 「塾の勉強はどう? がんばってる?」「明日のテストがんばってね!」など、親子の会話でごく自然に、そして頻繁に使われるのがこの「がんばる」という言葉です。ところが、励ましのつもりで言ったこの言葉が、かえってお子さんのやる気をくじいてしまい、逆効果になった経験をお持ちのかたはおられませんか。一体どうしてなのでしょうか。このすれ違いが生まれる理由についてわかりやすく説明してある本があったので、その一部をご紹介したいと思います。

 「がんばる」は何と便利な言葉だろうと思わざるを得ません。しかし、便利なぶんだけ曖昧だともいえます。なぜなら、よくよく考えると、実際に「がんばる」という行為はないのですから。「根性を出せ!」「努力しなさい!」などと同じで、あくまでも精神論で、具体的な行動を示すものではありません。さらに言えば、「がんばる」の語源は「我を張る」、つまり「自分の考えを押し通す」「意地を張り通す」で、もともと他人から勧められたり命じられたりすることではないのです。

 そういう言葉であるだけに、言うほうは一生懸命に勇気づけているつもりでも、言われたほうはどうがんばっていいかわからずに強いプレッシャーを感じたり、肩に力が入って実力が発揮できなかったりすることになります。なにしろ「がんばる」を測る物差しがないのですから、がんばったかそうでないかは誰にも決められません。

(「子どもを伸ばす5つの法則」 小山英樹著)

 確かに、お子さんにしてみれば「もう十分がんばった」と思っている時に、周りから「がんばれ」「がんばれ」と言われたら、(これ以上何をどうがんばればいいの?)と思いたくなるのも無理はありません。おそらくお子さんが知りたいのは、目標を達成するために“何をどうがんばれば良いか”であり、“どうすれば今以上にがんばれるのか”なのですが、残念ながら「がんばれ」という言葉だけではその方法を示すことができません。そこで必要になってくるのが、お子さんが勇気をもって一歩を踏み出すためのちょっとしたコツです。

 たとえば、算数のプリント一つ取っても、
「このプリント、もし一ヶ月間やり通せたらどんな良いことが起こると思う?」
と尋ね、今の行動を変えることで何が良くなるのか、というところにお子さんの意識が向くよう配慮してあげる。
「あなたにはこんな良いところ(できるだけ具体的に伝える)があるんだから大丈夫、きっとできるわ」
と子どものもつ力を認め、がんばりを信じてあげる。この方が、ただ「がんばってやりなさい、続けなさい」と繰り返すよりも、ずっとお子さんに自信や安心感を与えてあげられるのではないでしょうか。

 そこでふと気づいたのが、同じ「がんばる」でも、「がんばってね!」と「がんばってるね!」とでは、もうそれだけで意味が違ってくるということです。

「最近がんばってるんじゃない? あなたががんばってくれてると思うだけで、おかあさんも元気が出るわ」

 忙しい一日が終わり、ホッとできる家族だんらんのひと時、もしおかあさんからこんなふうに言ってもらえたならどうでしょう。その日はうっかり宿題をさぼってしまったお子さんでも、これなら気まずい思いをせずにすみますね。一瞬とまどいの表情を見せながらも、お子さんは決して嫌な気持ちにはならないはずです。おまけに、今までがんばってきた点については「ちゃんと知ってるよ」と伝えられるこの言い方は、おかあさんにとってまさに一石二鳥ではないでしょうか。このように使いこなすのは案外難しい「がんばる」という言葉でも、ほんの少し言い方を変えるだけで、お子さんを無用な緊張感やプレッシャーから解放することが可能なのです。

 机に向かうお子さんの小さな背中を見守るおかあさんとしては、子どものやる気をひと言で引き出す特効薬のようなフレーズを探したくなるときもあると思います。けれども、じんわりとお子さんの心に染み込み、漢方薬のように体質を改善してくれる(やる気を引き出してくれる)のは、いつも何気なく使っている、ごくあたり前の言葉なのかもしれません。ぜひとも、日頃からどんな言葉のかけ方をすればお子さんの気持ちがプラスに向かうのかを考えて、お子さんが余計なストレスをためてがんばらなくても、しっかりと自分の勉強を進めていける環境を整えてあげてください。

(sugihara)

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 子育てについて

“わける力”と“つなぐ”力  ~その3~

2010 年 11 月 8 日 月曜日

 前回ご紹介した政治評論家の見解が正しいかどうかについては、明確な判断を下す根拠を筆者はもちません。ただし、日本の教育の問題点をついているのは間違いないと思います。

 どのご家庭におかれても、こうした問題が人ごとでないということを踏まえ、わが子の健全な人間形成や学力形成について考える必要があるのではないかと思います。

 ところで、この問題について考えているうちに、ふと私たち家庭学習研究社の指導が、「つなぐ力」の育成に符合したものであるということに気づきました。特に、授業の手法については、「そうである」と自信をもってはっきり言うことができます。

 家庭学習研究社の授業は、問題をやり込んだりものごとを覚え込んだりする場ではありません。そういうやり方では、テスト対応力はついても、真の学力や思考力を育てることにはならないからです。家庭学習研究社では、どの教室においても、指導担当者が問題提起をし、それについてみんなで一緒に考え、自分の考えを披露したり意見を交わしたりして、互いに刺激しあいながら、それぞれ学習対象の理解に自力で到達していけるよう指導を行っています。

 他者に競争で勝つための勉強という意識を、小学生にもたせるのには賛成しかねます。互いに繋がりながら刺激し合い、ともに成長していくような勉強こそ、小学生にはふさわしいのではないでしょうか。そうやって、他者と繋がりながら学んで成長していくことが、子どもの健全な成長に繋がるのだと思います。

 算数のように、答えは一つに帰結する教科でも、答えにたどり着くための思考の切り口やプロセスは一つではありません。人と繋がり、いろいろな考えを聞いていると、自分にない要素がたくさん身につきます。このような授業が繰り返されれば、1年間で大変な違いが生じることでしょう。

 手前味噌ではありますが、弊社の教室に通っているお子さんは、大概仲良しで、コミュニケーション能力にも問題のない子が多いと思っています。集団指導が続く日本の学校教育で成果をあげて行くには、「つなぐ力」の土台を築きながら学問の高度化へと前進していく必要があります。ただ受かることだけを優先した勉強ではなく、真の学力の育成、人間的成長も視野に入れた受験勉強で受験を通過してこそ、先々のさらなる飛躍が期待できるのではないでしょうか。

 ところで、筆者がどうしても心に引っかかるものを感じることがあります。それは、子どもの情意・行動面での「わける力」(自分は、他者とは別の人間だ。独立した一人の人間だという意識をもつこと)は、どのようにして育まれるかという疑問です。答えをおもちのかたがおられたら、ぜひお教え願いたいところです。

 ここから、筆者は自分なりに答え(答えに近いもの)を考えてみました。やや説得力を欠くかもしれませんが、書いてみたいと思います。


 自意識、独立心、自尊感情は、ものごとをやり遂げていくうえで推進力になる大変重要なものです。言わば、その人の人的エネルギーになるものだと思います。それはどうやって産み出されるのでしょうか。答えの一つとして筆者が考えたのは、親子の対話と、それによって生まれる信頼関係です。たとえば、おかあさんが子どものどんな言葉もしっかりと受け止め、返事をしてやる家庭では、子どもは自分を一人前の人間として扱われていると感じ、自分に対するOK信号を送ることができます。それが望ましい自己認識を育むのではないでしょうか。また、おかあさんが自分の言うことを聞いてくれることで、「自分もおかあさんの言う言葉に耳を傾けよう」という意識も芽生えます。無論、それは他者へも波及し、人を尊重し、人の言葉にも耳を傾ける姿勢へと発展していくのではないかと思います。

 また、これは教育学者が述べておられたことですが、子どもは自分の力ではどうにもならないような大きな存在に接したとき、自分というちっぽけな存在を強烈に意識するようになります。つまり、自然に接し、自然の大きさを感じ取るような経験です。

 星を見ながら果てしない宇宙に思いを馳せたり、顕微鏡で目には見えないほどの小さな生き物がいるのだということを発見したり……こういった不思議さを味わったり、そのことに感動したりすることが、自分を見つめるもう一つの眼差しを得るきっかけになるのだそうです。

 これは、先ほどの独立心や自尊感情とは違ったものに感じられるでしょうが、子どもの自我を育てるという意味で根はつながっているのではないかと思います。受験がまだ先であれば、子どもと一緒に川辺を歩いたり、野山を探索したり、海辺の生物を探して回ったり、晴れた日に田舎で夜空を眺めたり、魚釣りに出かけたり。そんな体験を今のうちにさせてみてはどうでしょうか。先ほどの教育学者によると、自然に接して驚いたり、感動したり、不思議に思ったりする体験は、間違いなくその子どもの将来の助けになるそうです。自然と接して育んだ探求心は、「わける力」から発展していく学力形成にも多大な影響を及ぼすことでしょう。


 「わける力」と「つなぐ力」。やや難しいテーマを3回続けてしまいました。お子さんの子育てと学力形成において、多少なりともヒントが得られたなら幸いです。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 子どもの発達, 子育てについて, 家庭学習研究社の特徴

見えない宝物

2010 年 11 月 4 日 木曜日

 次年度講座の会員募集の開始にあたって、弊社では毎年11月に保護者の方(主に外部の方)を対象とした催しを行っています。この催しでは、弊社の理念や指導内容をお伝えするとともに、お子さんにとって望ましい受験生活のあり方や、親としての心構えなどについて様々なご提案をして参りました。ただし、それぞれの進学先で充実した学校生活を送るためのヒントやふだんの様子、学校の雰囲気については、実際に通っている生徒さんから直接話を伺うのが一番です。そこで、このたびは催しに先立って弊社の卒業生さん数名に協力してもらい、ちょっとしたインタビューを試みました。

 インタビュー当日。その日は、ある女子校の中学2年生3人が集まってくれました。クラブの先輩や友達のことについて楽しそうに話す彼女達の様子からは、学校生活の充実ぶりがよく伝わってきます。一通り今の学校生活について聞いた後、今度は受験生時代のことを尋ねてみました。受験勉強を進めるうえで大変だったことやがんばったこと。また、身についた習慣や良かったと思うことなどを、率直に語ってもらおうと考えていたのです。ところが、返ってきたのは意外な答えでした。

「えっと……よく覚えてないんです」

 なんとその場にいた3人全員が、特にがんばったことも辛かったこともなく、どんな受験生活を送っていたかあまり思い出せないと言うのです。とはいえ、市内でも難関とされる有名進学校に通う彼女たちが何の努力もせず合格を手にしたはずはありません。最初は照れかくしか冗談かなと思いましたが、彼女達はあくまで本気。インタビューの待ち時間にも教科書を広げて学校の課題に目を通し、定期テストに向けて「もっと勉強時間がほしい!」と言う3人の姿を見ていた私には、勉強に対してこんなにも真面目な生徒さんが、受験生時代のことを覚えていないのが不思議でなりませんでした。

 (覚えていないということは、もしかして、彼女達にとって受験勉強はさして特別なことではなかったのかもしれない……。)

 そのとき思い出したのが、弊社の中学受験体験記に寄せられたこんなお話です。それは、受験を終えたばかりの娘さんに関するあるおとうさんからの投稿でした。入試の緊張感からようやく解放され、「普通の生活」に戻ったはずの娘さん。ところが、思う存分遊ぶ時間ができたはずなのに、入試を終えた後も今までどおり机に向かう娘さんを見ておとうさんは驚きます。娘さんにとって中学入試は一つの通過点にすぎませんでした。彼女の気持ちがすでに次の目標に向かって動き出しているのを感じたおとうさんは、そこで初めて娘さんにとっての「普通」が何であるかに気づき、その成長に胸が熱くなったと書いておられました。

 この娘さんと同じように、彼女達もまた受験を通じて身に付けた学習習慣が、知らず知らずのうちに毎日の勉強を「特別なこと」から「あたり前のこと」に変えていったのではないかと思います。言うまでもなく、このような姿勢は周りから強制されて身に付くものではありません。わかったときの喜びや、自らの力で問題を解き明かした際の充実感、達成感を繰り返し味わいながら、少しずつ自分自身で体得していくべきものです。そう考えると、目の前の彼女達は、何も語らずともこの中学受験を通じて得た本当の成果が何であるかを、十分教えてくれているような気がしました。

 実は、このたび行う催し「中学受験は“学ぶ力”を育てる場」(11/15広島県民文化センター、11/17当社東広島校、11/18当社呉校で実施)の目的も、どうすればお子さんが小学生のうちに学習面での自立を果たせるのか、その方法を考えるところにあります。当日は、塾での学習指導やテキスト・システムの面から、またご家庭とのつながりの面から、様々なお話しをさせていただきます。また、今回のインタビューの様子や弊社の授業風景を映像でご覧いただくこともできますので、興味をもたれた方はぜひお気軽にご参加ください。

(sugihara)

「中学受験は“学ぶ力”を育てる場」 要項

  • 対   象/小学生のお子さんをおもちの保護者
  • 参加方法/予約や申込の必要はありません。お気軽にご参加ください。
  • 内   容/中学受験のプロセスを活かし、どのようにして子どもを育てるか、当面の中学受験での合格を得るかについての当社の方針や考えをお話しします(いずれの会場も内容は同じです)。

≪広島地区≫
      11月15日(月) 10:45~11:45
      県民文化センター 5F サファイアの間

≪東広島地区≫
       11月17日(水) 10:45~11:45
      当社東広島校  TEL 082-422-1771
     ※恐れ入りますが、上履きをご用意ください。

≪呉地区≫
       11月18日(木) 10:45~11:45
      当社呉校  TEL 0823-25-6209

この催しについての詳細は、当ホームページでご案内しています。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 中学受験, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念, 行事のお知らせ