2011 年 1 月 11 日 のアーカイブ

幼稚なタイプの男の子が増えている

2011 年 1 月 11 日 火曜日

「やったー、当たってた!当たってたよ先生!」

 この言葉は、6年生のテスト後の解説授業のときに、ある男の子が発した言葉です。さて、何が当たったのでしょう。実は、「答えが当たった」というのです。

「当たったという言い方はおかしいよ。当たったんじゃなくて、きみの考えた通りの答えだったんだろ? だから『合ってた』と言うべきだよ」
と筆者が言うと、
「いや、当てずっぽうで選んだんだ。そしたら当たってたんだよ、先生。5点も得をしたよ!」
と、無邪気なもの。

 こんな具合ですから、テストの点が悪かろうと、順位が下がろうと“平気の平左”といった塩梅です。その男の子の屈託のない笑顔の向こうに、おかあさんの地団駄を踏むような思いがあることはおおよそ察しがつきます。ほんとうに困ったものです。

 これも6年生の男子クラスでのことです。授業時間になったので担当クラスの教室に出向いたら、なんだか騒々しい雰囲気です。どうしたのかと思ったら、A君とB君が取っ組み合いの喧嘩をしたとのこと。まだもめ事は解決していないことは、当事者の子どもの様子で察しがつきました。
「だめじゃないか。みんな仲良くしなきゃ」
  そう言うと、ある男の子が言いました。
「先生、今日は国語の授業は取りやめにして、道徳の時間にしようよ!」

 男の子はさもよい提案だと言わんばかりに、ニッコリ頷きました。すると、周囲の子どもたちも同調し、「うん、そうしようよ」と言い始めました。
「バカヤロー。ここは学校じゃない。塾だ。きみたちは、ここへ何をしにきているんだ?」
と、叱る振りをしつつも、子どもたちの能天気なまでの明るさに、知らず知らずのうちに笑みを浮かべている自分に気づきました。

 一体に、男の子は女の子よりも幼稚です。精神年齢にして、1歳どころか、1歳半もしくは2歳ぐらい後れていると言われます。何でも深刻に受け取らず、屈託がない男の子たちの様子はほほえましいのですが、受験に対する無自覚や、勉強の不徹底にもつながり、それが親にとっても、指導にあたる私たちにとっても悩みの種になりがちです。

 さらに、近年の傾向として子どもたちがますます幼稚化していることが指摘されています。世の中が豊かになり、少子化が進んだこと(教育社会学では“都市化”などと言うそうです)で、子どもの自立が後れ、それが幼稚化に拍車をかけているというのです。

 家のなかでの一人遊び(ゲームなど)が増え、子どもたちが連れもって野外で遊ぶ経験が著しく減り、さらには家の手伝いをしたり、外の世界にふれたりする経験も減って、実体験や人と人とのやりとりが少なくなったことも、子どもの内面の発達に影響を及ぼしているようです。

 そんな環境で育つ今の子どもですから、放っておくといつまで経っても意地を出して勉強する気配がないままに年を重ねてしまいかねません。「貧しさから抜け出したい」という欲求をたぎらせるような貧乏暮らしを経験しておらず、人に揉まれることもなく、何の不足もない環境で育っているのだから無理もありません。中学受験を志向されているご家庭は、学問や学歴の重要性を知っておられます。ある程度前述のような状況もご承知で、「子どもに、ちゃんと学力をつけておかなければ」と思っておられるのではないかと思います。

 それでは、幼稚化する子どもたちにどのような指導をしていけば効果的なのでしょうか。次回、お話しさせていただきます。

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