2011 年 1 月 24 日 のアーカイブ

中学入試本番にあたって ~保護者の皆様へ~

2011 年 1 月 24 日 月曜日

 いよいよ今週から広島の主要中学校の入試が始まります。お子さんの受験準備態勢は整っているでしょうか。これから僅かの期間に次々と入試が行われ、月末には大半の学校の入試が終わります。ほとんど間が空くことなく試験を受ける状態が続きますので、ここでコンディションを崩すことがないよう、勉強面は調整程度にし、体調や心構えのほうに気配りをしてあげてください。

 ここまでがんばってきたお子さんを信じてあげてください。

 このところ、男の子の幼稚化などをブログの話題にしてきましたが、なかには「入試がもうすぐそこまで迫っているというのに、ちっとも気構えができているように見えない」「合格へのこだわりがないのか、あっけらかんとしている」など、いささかいらだつ思いをされているおとうさんおかあさんもおられるかも知れません。

 しかし、そんなふうに見えるお子さんだって、それなりに真剣に入試と向き合っておられるものです。お子さんを信じてあげてください。

 ある年の中学入試会場でのこと。担当クラスのA君の姿を見かけました。入試直前まで冗談ばかり言っていたA君ですが、その日の様子は随分違って見えました。こわばった表情をしています。早速駆け寄って、一声かけました。

 「大丈夫だよ。普段通りの力を発揮すればいいんだから」
 すると、思わぬ言葉が返ってきました。
「先生、ここは普段通りの力じゃ受からないよ!」

 不意をつかれ、次の声を失いました。「なかなかエンジンがかからない」と心配させられていたA君が、まさかそんなことを言うとは思いもよりませんでした。

 そうです。彼なりに入試の重圧と精一杯闘っていたのです。“受かりたい”と必死に思い、“どうやったら受かるか”を考えていたのです。

 彼は、第一志望校だったその私学に見事合格しました。入試の重圧に負けることなく、普段通り、いや普段(練習としてのテスト)以上に自分のもてる力を発揮できたのです。「この学校に行きたい!」という彼の思いが、これ以上ない集中力と奮起を引き出したに違いありません。

 お子さんの成長と入試に臨む決意を信じてあげてください。そして、本番で見事にもてる力を発揮できることを祈ってあげてください。おとうさんおかあさんの温かい後押しを背に、お子さんは初めて突き当たる大きな緊張に打ち勝ち、きっともてる力を発揮されることでしょう。

親子共々、最後まであきらめない!!

 入試では何が起こるかわかりません。運悪く、残念な状況に突き当たったとき、おとうさんおかあさんには、最後まで冷静さを失わず、揺るがぬ態度でお子さんを励まし応援していただくようお願いいたします。

 ある年の入試でのこと。受験生の入室が終わって帰ろうとしたとき、背後から筆者を呼び止める声がしました。振り返ると、担当クラスのB君のおかあさんでした。
「先生、うちの息子の性格をご存じでしょうか」
 予期せぬ言葉にどぎまぎしながらも、B君のしっかりとした言動と、大人びた風貌を思い起こし、
「落ち着きがあって、しっかりした息子さんだと思いますが・・・」と答えました。
「うちの子の一番の弱点は、気が弱いことなんですよ」
 そう言い、おかあさんは一礼してその場を後にされました。

 しばらく考えているうちに、状況がわかってきました。B君は、それまでに受けた第二、第三志望校の入試に失敗していました。彼の実力からは予想外の展開です。おかあさんは、「わが子の気の優しさ、気の弱さが悪いほうに出てしまった」という残念な気持ちを打ち明けられたのでしょう。
 おかあさんの言葉が頭の中を駆けめぐり、しばらくはそのことばかり考えました。その日は第一志望校の入試でした。おかあさんは、自分の心中をわが子に悟られぬよう精一杯配慮し、入試会場に送りだされたのでしょう。

 筆者への言葉は、「もはやわが子の入試は終わりました」という覚悟を述べられたものだったのかもしれません。

 ところが、彼はやったのです。見事、最後の最後に逆転満塁ホームラン!! 入試のラストチャンスで奮起し、第一志望校に合格したのです。最後の入試に臨んだときの彼の心境は、察するにあまりあるものがあります。

 入試当日のおかあさんの言葉を噛み締めつつ、彼に対しては、「よくぞあきらめずにがんばった」と心からの賛辞を送るとともに、おかあさんには「おめでとうございます。彼は、立派でしたね。すばらしい息子さんです」と、心の中で申し上げました。

 最後の大逆転。それは、中学入試ではよくあることです。まだ精神面での課題の多い小学生の受験ですから、思わぬ失敗もあります。またその一方で、日に日に成長する小学生だからこそ、気持ちが踏み留まったときのすばらしい巻き返しだって実現するのです。

 万一思わぬ展開になったとき、この話を思い出してください。そして、お子さんが不安や重圧を断ち切り、「あきらめてたまるか、自分を取り戻せ!」と、闘志を挽回できるよう励ましてあげてください。次の大逆転が実現することだって十分にあり得るのです。

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カテゴリー: ごあいさつ, 中学受験, 子どもの自立, 家庭学習研究社の理念