子どもに目標をもたせることの意義

2011 年 2 月 2 日

 このところ、広島の主要中学校の入試結果が次々と発表されています。当社会員の入試結果もすでにわかっていますが、概ね例年と変わりません。女子については、昨年やや減少していた清心の合格者が巻き返しました。中学校ごとの合格者数は、現在正確を期して集計しています。公表についてはもう少しお待ちいただくようお願いいたします。

 それにつけても、入試が迫ってからの子どもたちのがんばりには感心させられます(毎年のことではありますが)。子どもたちの目の色がいつ変わるかで、入試結果も微妙に変わってくるものです。おとうさんやおかあさんのなかには、入試がすぐそこまで迫ってきてからやっと目の色を変えて取り組みだしたわが子を見て、「この取り組みが、何でもっと早くからできなかったのか」とため息の出る思いをされたかたもおられるかもしれません。

 しかし、それが小学生の子どもなのだとも言えるでしょう。以前何度か書いたかと思いますが、小学生のがんばりの源として大きな要素は、目標達成に向けた意欲ではありません。おとうさんやおかあさんなど、周囲の大人の差し向ける期待に応えようとする気持ちや、勉強の与えてくれる達成感やおもしろさです。

 それは、子どもの発達という視点からも頷ける話です。まだ、世の中がどういうものか知らず、社会にどんな職業があるかもあまり知りません。また、自分がどういう人間で、どういう適性をもっているかもわからないのですから、将来の目標を設定しようにも、その判断を導く知識が足りないのです。

 そんなわが子を受験に向かわせるのですから、おとうさんやおかあさんのご苦労には並々ならぬものがあったと思います。受けさせたい中・高一貫校のことを教えたり、学校の行事に連れて行ったりするなど、いろいろな働きかけをされたことでしょう。なかなか受験生としての意識が芽生えず、勉強に本腰を入れないわが子にイライラを募らせつつも、必死でサポートされたおとうさんおかあさんにはほんとうに「お疲れさまでした」と申し上げます。

 ただし、中学受験の準備期の子ども(4~6年生)は、急速に大人に近づいていく段階にあります。そういう時期に目標をもたせ、実現に向けてがんばらせることができたなら、子どもは大変な成長を遂げることができます。子どもの将来に見通しをつける意味においても絶好の機会にできるでしょう。

 問題は、「いつ子どもがその気になってくれるか」です。いくら親が話して聞かせても、まだ幼いため、その働きかけは功を奏していないかのように見えます。しかし、この働きかけが大きいのです。日々成長している時期に、親から様々な情報を得ることで、子どもはそれをどんどん吸収しています。そうして、やがてどこかで子どものやる気に火がつくのです。ですから、少しでも早く子どもの受験に向けた意識が定まるよう、ご家庭のおとうさんおかあさんも、学習塾で指導にあたる私たちも、一生懸命働きかける必要があるのですね。

 先程も述べましたように、いったん受験生としての意識が定まったなら、子どもはすばらしいがんばりを発揮します。このがんばりが子どもをますます成長させることになります。受験をさせないでそのまま中学生になる場合と比較すると、大変な差が生じます。

 やったならやっただけ成長する時期なのですから、当然といえば当然ですが、「あの学校に行きたい」という思いを支えに必死になって勉強する体験が子どもを変えるのです。

 まず学力ですが、受験があったからこそ身につく高いレベルに到達することができます。また、「どうしたら受かるか」を真剣に考えることで、自分の状態を見つめる目が育ちます。受験まで残された時間を念頭に置きながら、必死になって勉強に取り組むことで、時間枠のなかで集中力を発揮して学ぶ姿勢が備わります。今までにないほど勉強に打ち込むことで、自分に対する自信も生まれます。それもこれも、受験があったからこその収穫です。

 「努力は決して裏切らない」とよく言いますが、子どもは努力した分だけ確実に成長するのですね。入試結果には運不運もつきまといますが、受験をめざして努力して得たものの価値は変わりません。入試合格をめざして学んだ経験を通じて、どの子どもも等しく「自らの成長」という贈り物を得ることができるのです。

 まもなく、来春の入試をめざして次の6年生の学習がスタートします。子どもたちが入試に照準を合わせ、必死で勉強に取り組む日が少しでも早くやってくるよう、私たちも精一杯指導してまいります。よろしくお願い申し上げます。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, ごあいさつ, 中学受験

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