2011 年 2 月 14 日 のアーカイブ

自立勉強支援に向けて着目すべきポイント

2011 年 2 月 14 日 月曜日

 このブログで、「男の子の幼稚化が進んでいる」ということを書いたところ、連日たくさんの人が読んでくださっていることを知りました。この問題をわが子のこととして受け止めておられる人が多いのでしょうか。

 子どもの幼稚化は全般的に言えることで、男子だけに見られる傾向ではありません。地域社会や子育ての環境が変わったことが主要な原因と思われますから、それは当たり前のことです。

 ただし、どの家庭の子どももそういう傾向にあるわけではありません。なかには「これが小学生か」と思うほどしっかりとした勉強の取り組みをする子どもだっています。

 ある年に担当した6年生クラスに、今考えても「すごい」と感心するような男の子がいました。成績もすごかったのですが、もっとすごいと思うところがありました。授業中に彼が手を挙げると、どの教科の指導担当者もビクビクさせられたのです。というのは、彼が発言するとき、決まって「ボクの式はこうなったんですけど」「ボクは違った考えで解いてみたんですけど」などと言うのです。そして、必ずと言ってよいほど彼の考えのほうが適切でした。

 答えさえ合っていればそれでよしとせず、子どもが考え得る最高の答えや考え方を導いているのですからたいしたものです。また、先生に恥をかかせない言い方を心得ていることにも驚かされます。当然のことですが、彼は受験した学校のすべてに受かり、さらには全国最難関の大学に進学しました。

 またある男の子は6年生から塾に通い始め、入試では広島の最難関校を含めて受験校のすべてに合格しました。それだけなら毎年似たような事例があります。彼がすごいのは、親に「塾に通わせてほしい」と何度も頼んでも受け入れてもらえず、2年越しの交渉でやっと叶った弊社の教室への通学だったということです。親には「1年間がんばってダメだったらあきらめなさい」と言われたそうです。そんななか、「ボク人より遅れているのだからがんばらないと」と絶えず自分に言い聞かせ、必死の努力でついに目標達成を成し遂げました。親もすごいが子どももすごい。ほんとうに感心させられます。

 同じように、6年から塾通いを始めた男の子がいました。転勤で他県から越してきて、広島の教育事情を知った親の勧めで中学受験をめざすことになりました。塾が新鮮で楽しいらしく、いつも笑顔で授業を受けていました。たちまちたくさんの友達ができました。そうして、辛そうな表情を一度も浮かべることなく通い通し、私学最難関校に合格しました。

 その後1~2年のうちに親が再び転勤になり、今度は外国に行くことになりました。するとその子もあっさりと学校を辞め、親について行ったそうです。こういう子どもは、どこへ行こうとうまくやっていけるでしょう。せっかく受験して進学した学校ですが、それに固執しなくても立派な人生を歩んでいくに違いありません。

 いったいどうやったらあんな子どもが育つのでしょう。ほんとうにすばらしい子どもがいるものです。彼らの共通点は、大人に言われて勉強するのではなく、自ら勉強に打ち込んでいることです。しかも、非常に高いレベルでの自立勉強をしています。自立のさせかたに何か秘訣があるのでしょうか。

 とは言え、お子さんがすでに受験勉強を始めているご家庭の場合、今さら一から子育てをやり直すことなどできません。子育ての方法をここで述べたとしても、今さら参考にしようがありません(無論、事例の内容から見通せることもあるでしょう)。

 そこでいろいろ考えてみたのですが、一つご家庭の保護者のかたにお考えいただきたいことがあります。それは、「家庭勉強は何のためにあるのか」ということです。そこから、子どもを自立勉強へと導く手だても見出せるような気がするのです。

 受験勉強を始めておられるお子さんの場合、子どもの学びの原動力となる要素から見直すのがいちばん適切であろうと思います。そこで着目したのが家庭勉強です。家庭勉強の見直しを通して、子どもの自立学習推進の手がかりが見えてきます。

 家庭勉強は、学校や塾の勉強と連動していますが、根本的に違う役割も担っています。その大切な役割が何であるかを、ご家庭のおとうさんやおかあさんにお考えいただきたいのです。学校も、塾も、家庭勉強も、すべて学力をつけるためにあるという発想では、子どもは学習を自立させる原動力を得られません。

 家庭勉強は、学校や塾の勉強とは明確に異なる役割を担っています。そのことを改めて明確にしたうえで子どもへの接しかたを考え直し、工夫してみてはいかがでしょうか。次回は、そのことについて書いてみます。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 中学受験, 子どもの自立