2011 年 6 月 20 日 のアーカイブ

親にありがちな子育ての間違い

2011 年 6 月 20 日 月曜日

 あるとき、欧米人の書いた子育ての本を読んでいると、親が犯しがちな間違いがリストアップされていました。欧米人の子育ては、「子どもをいかにして自立させるか」が軸になっています。弊社会員の保護者の方々は、「子どもの自立勉強の促進」に向けて日々がんばっておられます。そんなご家庭の参考になるかと思いますので、ちょっとご紹介してみましょう。

 なお、日本家庭になじまないと思われる項目を一つ省いています。予めお断りしておきます。

★ 親が犯しがちな間違い ★

  1. 1) 子どもと一緒に食事をとることが少ない。
  2. 2) 子どもと一緒に旅行に行く(遠出する)ことはほとんどない。
  3. 3) 子どもと1対1で接することが少ない。
  4. 4) 子どもが何に興味をもっているのかを知らない。
  5. 5) 子どもの話を聞くより、親が話す時間のほうが長い。
  6. 6) 「よい成績をとれ」「勉強しろ」と子どもにプレッシャーをかけている。
  7. 7) 子どもの意見を「くだらない」と遮る。質問をしてきたら「後で」と拒絶する。
  8. 8) 子どもに「それはまだ早い」と、挑戦をあきらめさせることが多い。
  9. 9) 親に興味のあることは、子どもにも興味があると決めつけている。

 以上のうち、ご自身に当てはまる項目があったでしょうか。たとえあったとしても、「見解の相違だ」と思われるかもしれません。ただし、その内容をよく点検してみることも決して無駄ではありません。お子さんのよりよき成長に向けて、重要な視点を教えてくれるかもしれないからです。

 1)~4)は、親子のコミュニケーションを図ったり、親の考えや価値観をわが子に継承させたりするうえでポイントになる事柄です。たとえば、食事の時間は親子一緒に過ごす大切な時間であり、子どもが独り立ちするまで数え切れないほど繰り返される時間です。その時間に交わされる会話の数々は、子どもの性格や人格形成に多大な影響を及ぼすことでしょう。

 子どもの頃、親とどこかへ出かけた思い出はありませんか? 日常の生活圏から離れ、知らない場所へ行って親子で様々なものごとを見た体験は、そのときの情景と一緒に脳裏に深く刻まれます。長じて社会に出てからも、人生の原体験としていつまでも記憶に残っていることが多いものです。あなたのご経験はいかがでしょう。

 子どもの話しかたや対人関係の築きかたは、親との1対1の対話を通じて形成されると言います。人の話にしっかりと耳を傾けられる人、人とほんとうの心の交流を図れる人は、子どもの頃に親との対話を豊富に経験している人です。今のうちにしっかりと互いの目を見て話し、互いの気持ちを受け止めながら話し合う姿勢を築いておきたいものです。

 また、たとえ親子でも、分かり合うための努力なしに深い信頼関係は築けません。たとえば、わが子の興味の対象もろくに知らないようでは、わが子に対してタイムリーな言葉かけやフォローはできません。今、わが子は何に関心を寄せ、どんなことに夢中になっているかご存知でしょうか。

 5)~9)は、子どもの主体性や自立を促進する子育てをしているかどうかのバロメーターになるでしょう。

 5)のように、子どもの言い分をろくに聞かず、親の話したいことばかり一方的に聞かせている家庭では、子どもは言葉を尽くして他者を説得する姿勢や能力を育む機会を失ってしまいます。

 6)のように、親に絶えずプレッシャーをかけられて勉強していると、勉強のもつよさや楽しさを味わうどころではありません。イヤイヤ勉強させられた子どもは、親の影響力が失われる年齢に達すると、勉強を放棄し、親を無視してかかるようになる恐れが多分にあります。

 子どもは、自分の言い分にまったく耳を貸してくれない親のもとで育つと不幸です。自らの存在に自信をもつことができません。親に対して恨みや反感をもった人間に育つかもしれません。親はどんなときにも、子どもの言うことに耳を傾けてやるべきです。時間がないときは、「後で」でいいのですが、ほんとうに後で話を聞いてやる必要があります。

 8)や9)のような独善的な態度の親のもとで育った子どももかわいそうですね。「それはまだ早い」と言われ続けた子どもは、自分に手応えを感じたり、自信をもったりするチャンスをいつまでも得られません。ものごとに立ち向かう勇気やチャレンジ精神を、どうやって育むのでしょうか。親の興味を常に押しつけられ、自分のしたいことや見たいものについて親に語れない子どもも不幸ですね。こういう親のもとで育った人間は、自分を押し殺すことを教えられる代わりに、自分から提案し行動する積極性を奪われてしまいます。

 上記の項目は、子どもの学ぶ姿勢がどのように育つかと深くリンクしています。また、対人関係の築きかたがどうなるかとも密接に関わっています。近年、勉強はできても主体性がなく、対人関係をちゃんと築けない、コミュニケーション能力の欠落した人間が増えていると言われます。子どもの人格形成は、毎日の親子関係と密接につながっています。何か一つでも気づきが得られたら、ぜひ今すぐから活かしていただければと思います。

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カテゴリー: アドバイス, 子どもの自立, 子育てについて