やる気を失わせる親の言葉や態度

2012 年 7 月 30 日

 親から見ると、子どものやること為すことすべてが未熟に見えるものです。子どもに受験という目標をもたせると、無自覚さや姿勢の甘さが余計に目立って見えてくるもので、黙っていられなくなる親が少なくありません。

 しかしながら、子どもも小学校高学年になると、親の言うことに素直に耳を傾けたり、従ったりはしてくれません。励ますつもりが、注意を与えるだけのつもりが、気がつけば親子喧嘩に発展することになりがちです。子どもの成長を願って与えた目標なのに、ストレスや癇癪の原因になってしまっては、親もやるせないものです。おたくではどうでしょうか。

 だいぶ前になりますが、当社の教室に通っている6年生の男子に、「おかあさんのどういう点に対して腹が立つか」「おかあさんが何を言ったときにやる気がなくなるか」を尋ねたことがあります。彼らの返事は、だいたい次のようなものでした。

1.成績を見ては叱ってくるおかあさんがいやで、やる気がなくなる。
2.いくらがんばっても、「もっと」と言われる。
3.同じことをくどくど説教されると、やる気がなくなる。
4.やろうとしているときに限って「勉強しなさい」とうるさい。
5.きょうだいや親戚の子どもなどと比較されるとイヤになる。
6.バカ呼ばわりされると頭にくる(自分はおかあさんの子なのに・・・・・・)。

 だいぶ昔、筆者の家でも愚息を家庭学習研究社の教室に通わせ、中学受験をさせました。当時の家庭の様子を思い出してみると、子どもの側からは、1~6のうちの半分以上が当てはまっていたのではないかと思います。

 さて、6つあげてみましたが、どれも期待通りにがんばってくれない親のイライラが表れたものだと思います。子どもの身になってみると、かわいそうに感じる5や6のような親の態度や言葉にしても、普段からこのようなことを言う親などいませんから、親のイライラが募ってつい出てしまったものでしょう。親って辛いですね。

 とはいえ、同じことをくり返しても子どものがんばりにはつながりません。悪循環に陥るだけです。では、どうしたらよいのでしょうか。

 受験勉強はひたすら毎日の積み重ねです。この毎日の積み重ねに、折を見て元気やエネルギーを吹き込むのが親の役割だと思います。子どもは親に、どう励まされることを望んでいるかを考えてみたらどうでしょうか。あるいは、1~6のような親の関わりを嫌がるのはどうしてなのかを考えてみたらどうでしょうか。そうすれば、シンプルに親に望まれる関わりかたが見えてくるのではないかと思います。

 子どもが親に望んでいるのは、「がんばりを見て評価してほしい」ということです。「成績を見て評価されている」と感じると、勉強も受け身になりがちです。どの子もそれなりに一生懸命に勉強しているのですから、成績を軸にほめられている家庭の子どもは直に壁に突き当たってしまいます。

 以前、6年生3百数十人中の2番をとったお子さんが、「次は1番よ!」とおかあさんに檄を飛ばされてから成績の下降が始まった例を書いたことがあります。がんばっても、がんばっても、さらに上を求められ、ほめられることがなかったそのお子さんは、精神的に追い込まれてしまったのです。才能にも恵まれていたお子さんでしたから、彼の入試が残念な結果に終わったとき、子どもに勇気を与えることがどんなに重要なことかを教えられる思いがしたものです。

 当たり前のことですが、テストを受けてよい成績をとりたくない子どもなどいません。テストの成績が悪ければ、誰よりも子ども自身ががっかりしています。そんな状態の子どもに追い打ちをかけて成績のことを口にするのは逆効果でしかありません。

 最近、わが子の取り組みに元気がなくなりつつあると、心配しておられるかたはありませんか? がんばれない子どもに必要なのは、成績や結果を怖れずにチャレンジする勇気です。結果を怖れず努力すること。それがあれば必ず子どもは成長していきます。それが親のいちばんの願いなのだということを、改めてお子さんに伝えてあげてください。
 

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴

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