2012 年 9 月 のアーカイブ

睡眠も勉強の大切な一部分?

2012 年 9 月 24 日 月曜日

 うだるような暑さが延々と続く長い夏がやっと終わり、朝夕はとてもしのぎやすくなりましたね。おかげで、夜はぐっすり眠れます。寝付かれない毎日に苦しむことがなくなると、なんだか頭までよく働いてくれるような気がしてきます。

 さて、そこで今回は睡眠に関する話題を採りあげてみました。子どもに必要な睡眠時間は年齢によって変わってきます。近年は宵っ張りの子どもが増えてきていると言われ、睡眠時間の不足が心配されますが、おたくではどうでしょうか。次の表は、アメリカの公的機関が調査した子どもの睡眠時間です。

年齢層

理想的な睡眠時間
24時間中)

平均睡眠時間

乳児 (3ヶ月~11ヶ月)

幼児 (12ヶ月~35ヶ月)

就学前児童 (3歳~6歳)

小学生 (7歳~11歳)

1415時間

1214時間

1113時間

1011時間

12.7時間

11.7時間

10.4時間

9.5時間

  これによると、小学生の睡眠時間は10時間あまりが理想ということになっています。しかし、現実はもう少し短いようです。日本の子どもの場合、もっと少ないのではないでしょうか。中学受験をめざして勉強しているお子さんならさらに短いかもしれません。

 いつだったか、5年生の授業のときに「きみたち、だいたい何時頃寝ているの?」と尋ねてみたところ、11時よりも早く寝ているお子さんはわずかでした。それから推測すると、おそらく子どもたちの睡眠時間は7時間前後が平均ではないかと思います。

 今日の家庭では、子どもの多くは個室をもち、なかにはテレビを自分の部屋にもつ子どももいます。ゲーム類を買い与える親も多く、もっている子どもよりももっていない子どものほうがはるかに多いことが想像されます。そんな部屋で毎日暮らしているのですから、必然睡眠時間は少なくなります。

 睡眠時間が少なくなると、多くの問題が生じることになります。まず、疲れが翌日まで残ります。そうすると、子どもは不機嫌で怒りっぽくなります。睡眠が不足した大人は眠気をもよおすものですが、子どもの場合は「興奮状態になる」と言われます。ですから、学校などで問題行動を起こしがちで、集中力もなくなり、授業がまともに受けられなくなる子どももでてきます。

 やはり、子どもには十分な睡眠が必要なんですね。これは中学受験をめざす子どもたちにしても同じです。弊社が毎年発行している「中学受験体験記GET(ゲット)」にも、受験を無事に終了したお子さんが、よく「早寝早起きを励行しました」ということを書いているのを思い出します。早寝早起きは、前日の疲れをとってスッキリと目覚めるために必須のことです。

 ところで、眠りにはいくつかの段階があること知っておられる人もおられるでしょう。たとえば、眠りに入ると脳波は緩やかになり、1つめのステージ、2つ目のステージへと進みます。この段階の眠りは浅く、ちょっとした物音でも目が覚めるほどです。このステージの眠りをレム睡眠と言いますが、レム睡眠の時間は短く、子どもの場合はわずか5分ほどで終了します(レム睡眠という呼称の意味に関しては、以前書いた記事で御確認ください)。

 3つ目と4つめのステージの眠りは深く、この段階では少々の物音では目は覚めません。これを余波睡眠と言いますが、このときに脳の大部分は活動を休止しているものの、一部は活動を続けています。何をしているのかというと、その日に経験したこと学んだことの情報を処理しているのです。また、余波睡眠の時間には成長ホルモンが活発に分泌されます。ですから、睡眠は子どもの体の発育にも重要な働きをしているんですね。

 余波睡眠は、およそ80分続くと言われます。4つ目のステージが終わると、逆の順序に眠りは向かい、1つ目のステージに戻ります。一晩でこの周期が4~5回繰り返されますが、眠りについてからの前半は余波睡眠が長く、後半になると逆にレム睡眠の時間が長くなります。

 以前も書きましたが、レム睡眠は非常に浅い眠りです。覚醒状態に近く、脳が活発に活動しています。このときに、起きている時間に採り入れた情報がまとめられ、長期記憶へと加工されるのだと言われます。このことはMRIの画像でも確認されています。眠る前と、眠りから覚めたときでは、脳のなかで反応を示す場所が異なるのだそうです。つまり、記憶が最初に入力された場所から、別の場所へ移されたことを意味するでしょう。

 このように、眠りは疲れをとったり、子どもの発育に寄与したり、学習した内容の定着に関与したりと、様々な役割を果たしています。学習に関しては、他にもお伝えしたことがたくさんありますが、長くなりましたので今回はここまでで終わらせていただきます。日を改めてこの続きを書いてみようと思います。

 ※今回の記事は、スー・パーマー氏の著作を参考にして書きました。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 子どもの発達

お子さんのコミュニケーションのタイプは?

2012 年 9 月 17 日 月曜日

 先日図書館で、コーチングに関する本を手に取ってみていると、面白そうなことが書いてありました。人のコミュニケーションのしかたを4つのタイプに類型化し、円滑な人間関係を築くうえで活かそうというものでした。早速借りて読んでみました。今回はそれをご紹介してみましょう。

 人間の性格や人との関わりのしかたは十人十色であり、いささか乱暴かもしれません。この本の著者自身、そのことを十分理解したうえで書いておられます。自分や子どものコミュニケーションのタイプの特徴を大枠で捉えておくと、円滑な人間関係の形成にとても役立つというのです。中学受験生の家庭なら、お子さんがストレスを溜めることなく、前向きな気持ちを維持してがんばれる雰囲気を築くうえで参考になるかも知れません。

 以下は、その4つのタイプについての説明を、本からほぼそのままご紹介したものです。

●人間のコミュニケーションのタイプ

1.コントローラー型(自己主張は多め・感情表現は少なめ)

 ・自分で判断したがる
 ・目標達成に邁進する
 ・人間関係よりも課題をこなすことを優先する
 ・結論を急ぐ
 ・人をコントロールしたがる
 ・自ら進んで、戦いの渦中に入る
 ・自分の弱さを見ないようにするため、人を責めることがある

2.プロモーター型(自己主張は多め・感情表現も多め)

 ・アイデアが豊富で創造的
 ・細かいことは気にしない
 ・新しいことを始めるのが好きだが、飽きっぽい
 ・楽しいことが好きで、人を笑わせることに夢中になる
 ・人を仕切るのが得意
 ・ほめられるといくらでも調子が出る
 ・とにかくよく話す。人の話をあまり聞かない。

3.サポーター型(自己主張は少なめ・感情表現は多め)

 ・人を援助することが好き
 ・温かく、穏やかな印象を与える
 ・何かを決めるのには時間がかかる
 ・計画や目標を決めることにはあまり関心がない
 ・課題をこなすことより、人を優先する
 ・気配りがあり、人の気持ちに敏感
 ・争い・いざこざを避ける

4.アナライザー型(自己主張は少なめ・感情表現も少なめ)

 ・情報をたくさん集めてものごとに取り組む
 ・計画を立てるのが好き
 ・客観的で冷静な印象を与える
 ・失敗や間違いがきらい
 ・慎重に人と関わる
 ・人は好きだが、大人数は苦手
 ・傍観者になっていることが多い

 「自己主張」と「感情表現」という二つの組み合わせに基づく分類は、どういう経緯で考えられたものか知りませんが、とても面白いと思いました。ちなみに、筆者は広報の仕事を長年担当し、人集めや、人の前で話すという仕事を繰り返しているうちに、自分自身が変わっていきました。おそらく、傍目にはコテコテの「プロモーター型」の人間に見られているだろうと思います。筆者の友人には、典型的な「アナライザー型」の人間もいます。この分類には説得力があると思いました。

 ご自身がどのタイプ(に近い)か、まずは振り返って見てはいかがでしょうか。そして、次はお子さんです。お子さんは、どのタイプにあたるでしょうか。それを掌握していれば、受験にまつわる親子の言い争いやいさかいを未然に防げるでしょう。また、子どものやる気増進に向けて、効果的なアプローチもできるのではないでしょうか。

 たとえば、1のタイプの子どもには、命令をしたり、くどくど指示を出したりするのは禁物でしょう。反発を招くだけです。本人のプライドをうまく活かし、「自分で考えてやっている」という意識をサポートすれば、「コントローラー型」のよさが活かされるのではないでしょうか。

 また2のタイプには、ほめてその気にさせる、子どもの考えをしっかりと聞いてやるなどの対応が効果をもつでしょう。3のタイプなら、じっくりと話し合い、具体的な目標をもたせ、実行のプロセスを常に見守りながら、適宜ほめてやるのがよいかも知れません。

 このように、親は自分自身のタイプ、子どものタイプがそれぞれどれに近いかを知っていれば、子どもに対処する場合に、自分のどこを自制したりコントロールしたりすべきかもわかってきます。基本的に、子どもは親が自分を見守ってくれ、自分にOKサインを送ってくれることを望んでいます。それを基調としながらも、いけないときに子どものタイプにあった対応をしてやることを考えればよいのだと思います。

 今回の記事が、そういった意味で少しでもお役に立てばうれしく思います。
 

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育

中学受験生こそ“読書の秋”を!

2012 年 9 月 10 日 月曜日

 前回、受験が近い6年生になってからも読書三昧の生活を送り、志望校に合格した(してしまった)子どもの話を書きました。

 しかしながら、さすがにそこまで読書に傾倒する子どもはごく少数です。読書にはかなり時間が伴いますから、受験が近づくとさすがに大抵の子どもは読書を封印するものです。

 中学受験生の読書について、筆者の考えを述べさせていただくと、受験を控えた6年生であっても、週に2~3日、1回20~30分程度なら読書はしてもよい、と言いますか、むしろすべきであると思っています。

 何といっても、よい気分転換になります。また、知らず知らずのうちに新しい語彙が相当数増えますし、いろいろな知識や考えかたが身につきます。さらには、文章の内容を集中して読み取る能力が磨かれます。読書がマイナスになることはありません。「決めた時間枠のなかで」という但し書きを守る限りにおいて、子どもにとって読書はいいこと尽くめなのです。

 実際、筆者は6年生の男子クラスを担当していた頃、夏休みまで授業のたびに子どもたちに本を紹介していました。男子の場合、大人のような思考に届かないまま6年生になってしまった子どもも相当数おり、人物の内面を表現した作品などは子どもの精神面の成長にとっても有効であろうと思っています。まして、4、5年生の子どもは、具体的な思考から抽象的な思考へと子どもの内面が急速に成長していくべきときです。そうした成長は読書と深い関係があります。

 次の資料を見てください。小学校の4~6年生が、いかに子どもの内面の発達の著しい時期であるかを知ることができます。

語彙量の変化                  (坂本一郎) 

年齢

語彙量

年間増加量

増加率

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

5,661

6,700

7,971

10,276

13,878

19,326

25,668

31,240

36,229

40,462

43,919

1,039

1,271

2,330

3,602

5,448

6,342

5,572

4,989

4,233

3,457

2,521

18.4

19.0 

28.9 

35.1 

39.3 

32.8 

21.7 

16.0 

11.7 

8.5 

5.7 

  語彙の増加が最も著しい時期が、これでおわかりいただけたでしょうか。9歳~11歳頃が、人生で語彙の増加が最も著しい時期なのです。10歳の年間語彙増加率は、39.3%にも達します。語彙増加量は、11歳の6342が生涯最高値です。

 このように、小学校高学年のときにみられる圧倒的といえるほどの語彙の増加は、「語彙の爆発」と言われています。

 「低学年や幼児のときに語彙が増えるのかと思っていた」とおっしゃるかたもあるでしょう。なぜ4年生頃から語彙が爆発的に増えるのかというと、読書が活発化するからです。読書は活字とふれあい、仮の体験をする行為です。読書は、活字を読む能力が一定レベルに達し、読んで知識を得ることが楽しくないとできないことです。したがって、子どもの読みの態勢が整う3~4年生から読書が軌道に乗り、こうした語彙の素晴らしい増加という現象が生じるのです。

 幼児期から小学校入学のころまで、子どもにとっての語彙獲得の場は主としておかあさんとの日常会話でした。会話を通して、生活レベルで必要な基本語を獲得するわけですが、これだと語彙の増加は読書によるそれよりは数段ゆっくりとしたペースにならざるを得ません。

 語彙の爆発は、微妙なニュアンスの違う言葉を識別したり、抽象的な意味合いの言葉や概念を表す言葉の理解・使用を可能にしたりしてくれます。ここをうまくクリアすることで、中学受験で求められる思考のレベルに到達することができるのです。

 もしも、子どもから読書を奪ったならどうなるでしょう。あの圧倒的と言えるほどの語彙の増加現象は生じません。近年は、子どもの活字離れがしきりに取り沙汰されています。しかし、そういう子どもは、到底中学受験で求められる思考能力を手にすることはできません。「読書は勉強の邪魔」という考え方も適切ではありません。読書こそ、中学受験生に必要不可欠なものなのです。

 とはいえ、読書は目的意識をもってするような行為とは異なります。本に描かれている世界に没頭し、心底楽しむべきものです。ときに時間を忘れるほど物語の中に入り込む。そういうなかから、様々な知識も考え方も子どものものになっていくものです。本に書いてあることを覚えよう、理解しようという意識は不要のものです。

 お子さんが4~5年生なら、今こそ大いに読書を楽しむべきときです。大いに本を読ませてあげてください。これから勉強やスポーツに最適なシーズンを迎えますが、「読書の秋」という言葉もあるように、静かに本を読むのに最も適した時期でもあります。

 本嫌いなお子さんには、活字が大きく、絵のたくさんある本でも構いません。年齢相応よりも易しい本だって構いません。無理に難しい本を読んでも得るものがなければ苦痛なだけ。お子さんが、心底楽しめることが大切です。それでこそ感情移入があり、感動があります。心が動く読書体験から、子どもの素晴らしい成長が始まるのだと思ってください。

 さあ、読書の秋が始まります!

 

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

天才肌の凄い子どもたち

2012 年 9 月 3 日 月曜日

 中学受験は12歳の子どもの受験です。発達途上にある小学生が受験生ですから、受験生活に関わる周囲の大人の配慮が欠かせないことを、このブログでも再三書いています。

 しかしながら、なかにはとてつもなく完成度が高く、小学生とは思えないような子どもがいます。「小学生でも、こんな凄い子がいるんだ」と、驚き感心させられることが、これまで幾度となくありました。今回は、そんな子どもたちのことを思い出し、書いてみようと思います。

 A君を知ったのは、彼が5年生のときでした。いつも休憩時間になると、文字のぎっしり詰まった文庫本のようなものを読んでいました。近寄ってみると、分厚い大人向けのミステリーでした。「こんな本に興味をもつとは、随分早熟な子どもだな」と思ったものです。

 筆者は国語の指導を担当していましたが、彼の成績は常にトップランク。他教科も同様で、他の子がうらやむような優秀な子どもでした。ただ気になったのは、国語の授業中に下のほうに顔を向け、何か読んでいるような気配を感じたことでした。「さては、例の本を読んでいるな」と思い、ときどき抜き打ちで発表をさせたり、発問を投げかけたりしてみました。ところが、彼は何でもないような顔をして、きちんと受け答えをするのです。メガネ越しに見える彼の涼しげな大きな瞳が、ククッと笑っているようで、「またやられた」と思ったものでした。

 結局、一度も彼のしっぽをつかむことができませんでした。いや、もしかしたら私の勘違いだったのでしょうか。今となってはわかりません。彼は、算数もよくできましたが、中学受験では余裕綽々で第一志望校に受かり、やがて東大の理Ⅰに進学しました。

 B君も天才肌を感じさせる印象的な子どもでした。6年生の国語テストでのことです。大概の子どもは、文章をろくに読み通さないままに、確実に点を稼げそうな漢字や語句などの問題を物色するものですが、彼は違いました。当分の間腕組みをしたまま、じっと素材文に目を集中させていました。半分近くの問題をやり終えた子どもがいるなか、1問も手をつけていない彼が心配になったほどです。

 机間巡視をしながら、10分ぐらい後に再び彼の席のところに戻ってみると、いつの間にか全問やり終えているではありませんか。文章をしっかりと読み通すことに集中し、読み終えるや否や瞬く間に全ての問題をやり終えてしまったのです。この子も理数系に強く、中学受験では受験校の全てに受かり、やがて東大理Ⅰに進学しました。

 次も男の子の話です。筆者は6年生の男子クラスを担当したことが多く、どうしても事例が男の子に偏ってしまいます。ご了承ください。

 6年生ともなると、国語のテキストに載っている素材文はかなり難しくなります。大人向けの小説などから引用される文章も少なくありません。あるとき、テキストの素材文に使用された小説に興味をもち、「先生、この話を全部を読みたいから本の名前を教えてください」と言ってきた男の子がいました。C君です。「これはやめておけ。3部作といって、三冊でストーリーが完成している本で、読むのは大変だ」そう言いながら、本の名前だけ教えてやりました。何週間か後、「先生、この間紹介してもらった本、面白かったです」と彼が報告してきました。ちょうど読書感想文の課題が出たので、その本の感想文を書いたとか。

 彼は読書家で、受験勉強もそぞろに本ばかり読み耽り、おかあさんは常に心配をしておられました。そんなおかあさんを後目に、相変わらずの読書三昧。そして、たいした勉強もせずに、何食わぬ顔で志望校に合格しました。彼の膨大とも言える読書量は、素晴らしい知識、思考力を彼に授け、僅かな受験対策の勉強でも入試に通用する学力を養ってくれたのでしょうか。

 今度は女のお子さんの話です。あるとき、6年生のDさんから電話を受けました。「質問ですか。何ページの何番かな?」そう尋ねると、「いいえ、問題の質問じゃありません。それなら、解答を読めばわかります。私が知りたいのは、文章中の接続詞のことです。なぜこの接続詞がこの場所にあるのか納得できません。教えてください」そう言われ、急いでテキストの該当個所に目を通したのですが、大人向けの随筆で、しかもかなり込み入った文章でした。すぐには答えられそうになく、「しばらく時間をくれないかな。後で電話します」そう言って、一旦電話を切りました。

 何度も文章を読み直したあげく、やっと理屈がわかりました。その接続詞の前の10行余りは挿入段落になっており、回想の部分として差し込まれていました。だから、接続詞は直前の段落の内容ではなく、10行以上も前の内容を接続していたのでした。そのことを説明すると、「ありがとうございました。スッキリしました」と言ってお礼を言ってくれました。こういう質問をする子はちょっといません。「凄いお子さんだな」と、感心することしきりでした。後で知ったのですが、彼女は6年生の女子でトップ3に入る大変優秀なお子さんでした。

 E君は、国語の記述問題で、模範解答よりよいと思うような、優れた答えを書いてくる男の子でした。大人の作成した答えは子どもの発想にはないことが多く、スッキリしないものの、代わりのよい答えがまとまらず、ついついそのまま使ってしまいがちです。ところが、E君の書いた答えは、子どもの考え得る最高の答えであることが多く、「これこそが、子どもの模範解答だ」と唸らされたものでした。

 実は、E君は他の教科の指導担当者からも怖れられる(?)存在でした。授業中、彼が「今の問題ですが、僕は違った答えかたをしているんですけど」と質問をすると、必ずと言ってよいほど、彼の考えた答えかたのほうがよいのです。彼の謙虚な言いかたに、どの担当者も好感をもちました。そして、そういうことがあるたびに、指導担当者の間で話題になったものでした。そんな彼ですから、中学入試では第一志望校に受かったのは言うまでもありません。中学進学後も、その学校で先生がたを唸らせたことでしょう。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, 勉強について, 子どもの発達