子どもは親の本心を見抜いている?

2012 年 12 月 3 日

 昔のノートをめくっていたら、7~8年前に書いた覚え書きがふと目に留まりました。カウンセラーをしておられる有名なお医者さんの講演会の内容をメモしたものです。

 詳しくは覚えていないのですが、メモの内容が子育ての最中にあるおかあさんがたの参考になるかもしれないと思い、今回はそれをご紹介してみようと思います。

 おたくのご家庭のお子さんは何人でしょうか。きょうだいがいるなら、どのお子さんも平等に扱っておられるでしょうか。

 「もちろんですとも!」と、大概の人は答えるでしょう。しかし、「現実はそうではない」と講演会の先生は話されていました。というのは、「よい子ほど親に目をかけてもらえず、それが当たり前になり、平等に扱われない」ということが多いのだそうです。そういった例として、次のようなことが挙げられていました。

★いい子ほどかわいそうな仕打ちを受けている
 ・待つことのできる子は待たされる
 ・がまんできる子はがまんさせられる
 ・おとなしい子は後回しにされる
 ・しっかりしている子は放っておかれる
 ・心配をかけない子は心配されない

 どうでしょうか。何につけ、信頼できるよい子ほど親は気を許してしまい、いつのまにか「あたりまえ」と思ったり、「もっと、もっと」と要求してしまったりしがちです。そのことに対して、当の本人のお子さんはどう思っているでしょうか。「もう、やっていられない!」と、怒りが爆発寸前の状態かもしれませんね。講演された先生は、そのようにおっしゃっていました。

 もう一度尋ねます。お子さんの気持ちを本当に理解し、平等に扱っておられるでしょうか。振り返ってみてください。

 今年の秋、行事に使用する目的で4・5年生の会員児童に簡単なアンケートを実施しました。そのときに、親の扱いに対する不満がかなりたくさん見られました。

 たとえば、「お兄ちゃんなんだから、もっとしっかりしなさい!」「お姉さんなのに、これはどういうこと?」などと、年上であることを理由に自分ばかり叱られるということへの不満です。実は、親は上の子どもをいちばん信じ、信頼しているからこそ、そういう言葉が口をついて出てくるのですね。親ならそれがわかっています。しかし、子どもにとってその言葉ほど嫌なものはありません。

 これは以前ブログに書いたことですが、有名な児童文学作品に「上の子はしっかりしているから安心」という気持ちから、おかあさんが自分でも知らずに上の子にばかり注文をつけて叱る話があります。子どものほうはそれが嫌で辛く、おかあさんを否定し、憎むようにすらなります。様々な事件やできごとを経て、やがて主人公の子どもは親の愛情の深さ、自分への信頼の強さを知り、やっと親子が真の愛情で結ばれるというストーリーでした。
 この本を6年生の女子クラスで紹介したところ、あるお子さんがこんなことを言ってきました。「あの本を読んで、泣いて、泣いて・・・」 しかし、よく聞くと泣いたのはおかあさんだったのです。おかあさんにとって、身につまされる話だったのでしょう。きょうだいに対する扱いの不平等。それに対する不満や怒りは、国や時代を超えて共通のもののようです。

 講演会の話に戻ります。おたくのお子さんは、親としてのあなたの心のうちをどれぐらいわかっていると思いますか? その講演会では、「子どもが鋭く親の本心を見抜いているということを忘れてはならない。子どもにうそを言ったり、取り繕った言葉を不用意に投げかけたりしてはいけない」というようなことをおっしゃっていました。そうして、つぎのような言葉を投げかけておられました。

★親の本心を見抜く子どもたち
  子どもを愛するがゆえに叱るのか
  子どもがにくくて怒るのか
  おまえの将来のためと言いながら、
  親の世間体のために説く
  きいてくれたと思ったら、
  きこえただけだった
  ほめてくれたけど
  顔はがっかりしていた

 もっともらしい説教が、実は親のエゴに基づくものだったり、形ばかりのほめ言葉に親の本音が見て取れたりする。それを子どもは必ず見抜いてしまうのです。やはり、親はわが子の正面切って嘘偽りのない接し方をしてやるべきなのですね。

  「親子の会話のときは、互いの目を見て話しなさい」と、よく言われますが、それは心からの会話となるからでしょう。かけがえのない親子関係。それは生涯続くものです。その土台となるのが、子どもの人間形成期である小学生時代であろうと思います。

  お子さんが小学生だったら、もうごまかしは通じません。一人の人間として、真に心を通じ合わせるコミュニケーションを心がけたいものです。

 

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育

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