2013 年 3 月 のアーカイブ

テスト成績をどうとらえるか

2013 年 3 月 25 日 月曜日

 先週の土曜日には、5・6年部の「第1回マナビーテスト」が行われました。会員のご家庭はよくご存知と思いますが、「マナビーテスト」は、弊社の全会員が2週間の学習成果を競い合うテスト会のようなものです。このテストを当面の目標と励みにしながら、「次こそは」という意気込みをもってがんばっていくなかで、少しずつ受験生として求められる学力もついていきます。

  ただし、入会されたばかりのお子さんの場合、初めて進学塾で受ける本格的なテストに少し緊張されたかもしれません。また5年部生の場合、以前から通っておられたお子さんでも、これまでの2教科のテスト(算・国)と違って一度に4教科のテストがあることで、戸惑いや緊張を感じられたケースもあるでしょう。

  これから入試まで、日々の学習の成果を確かめ、学力をバランスよく伸ばしていくうえでテストの制度は欠かせないものです。しかしながら、得点や順位のもつ意味を取り違えると、テストの意義を見失ってしまうおそれもあります。新年度の講座は始まったばかりですから、この点についてご理解いただき、テストの制度を有効に活用しながら上手に学力を伸ばしていけるような態勢を少しずつ築いていただきたいと存じます。

  マナビーテストは、テキストで定められた2週間の学習範囲から出題されます。そのうちの大半は、テキストと副教材の内容です。応用的な問題も一部出題されますが、塾での学習事項がしっかりと理解されていれば概ね答えられる内容になっています。

  したがって、テスト結果の良し悪しに関わらず、返された答案を点検すれば自分の学習状態や理解の状況が具体的に見えてくるものです。たとえば、間違えた箇所の自分の答えと正解とを見比べれば、「勉強が不足していたのか」「勘違いをしていたのか」「難し過ぎてできなかったのか」がわかります。また、資料としてもらう「正答率表」を見れば、「どれぐらいの人ができていた問題か」もわかります。

  このことからもおわかりいただけると思いますが、学力を伸ばすにはテスト結果が返ってきてからの勉強(復習)も怠らないことです。テスト結果を点検しながら、自分の勉強を修正していくことの繰り返しが受験勉強なのです。保護者のかたにおかれては、「テストの結果をもらってからの勉強が重要なのだ」とご理解いただき、テスト後の復習をしっかりするようお子さんを励ましてあげていただきたいと存じます。

  しかしながら、数字には魔力のようなものがあります。特にテストの点数や順位は、子ども以上に親をナーバスにさせるものです。わが子の能力を突きつけられたような錯覚に陥ってしまうのです。

  ある年の春、最初のテストの結果を見て、一人のおかあさんが血相を変えて相談に来られました。そして、こんなことをおっしゃいました。

「大変です。うちの子のテストが返ってきたんですが、ビリから数えたほうが早いほどのひどい成績でした。うちの子は望みがないんでしょうか。望みがないんなら、受験はあきらめたほうがいいんでしょうか。それならはっきり言ってください」

  まだ1回目のテスト結果が出たばかりです。「望みがあるかないか」の判断を下すにはあまりに早すぎます。2週間どのような学習をしてきたかを親子で振り返り、次の学習に役立てることをそのおかあさんにアドバイスしました。

  このように、テストのデータはまかり間違うと「能力」にすり替えられてしまう危険性があります。落ち着いて考えればわかることですが、同じお子さんでも、やるべきことをやっていたら全く違った点数や順位をとっているのです。マナビーテストは、「どれだけ努力したか」「学習に落ち度はなかったか」をチェックするためのバロメーターとして活かすのが本筋なのだということを、改めて胸に刻んでいただきたいと存じます。

  お子さんのテスト結果がよくなければ、親だって残念なものです。しかし、そこからの冷静な対応が親に求められます。ただ成績を見て叱っても、よい方向に子どもを導くことにはなりません。「毎日の努力の積み重ね」を親としての評価の基本におき、「成績よりも、決めたことをしっかりやることが親の期待なのだ」ということを繰り返しお子さんに伝えてあげてください。

  少しでも真剣に勉強したなら、成績が悪くていちばん悔しい思いをしているのはお子さん本人です。そういうお子さんを叱っても意味はありません。やる気をくじくだけです。「成績はよくなかったが、おとうさんおかあさんはがんばっていることを喜んでくれた」「成績が伴わなかったことを、親は自分のことのように悔しがってくれた」――そういうふうにお子さんが受け止めたなら、以前に増して努力を怠らなくなるのではないでしょうか。

  2週間ごとにテストは返されます。そのたびに一喜一憂しても意味はありません(親は疲れてしまいます)。それよりも、成績を励みにしながら、次へ向けた努力を引き出すような接しかたをご配慮していただくようお願いいたします。そうすれば、お子さんは必ず前向きな努力を続け、やがて一人前の受験生に成長していくものです。

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6年部「保護者説明会」を実施しました

2013 年 3 月 18 日 月曜日

   

 新年度の講座が始まり、早速6年部の「第1回 保護者説明会」が各校で開催されました。以前この催しは、「父母教室」という呼称で、全校舎の会員家庭に一堂にお集まりいただいて実施していました。会場は広島市内の大きなホールで、数百名の保護者が参加される大規模な催しでした。


 しかしながら、この20年、30年で弊社の校
舎が広島県西 部一帯に広がったことや、「保護者と指導担当者の気持ちが通う催しに」という考えを反映し、現在は校舎単位での開催となっています。


 6年部の始まりは、中学入試に向けて本格的な受験生活が始まったことを意味します。おとうさんやおかあさんは、わが子のこれまで以上の自覚とがんばりを期待されていると思います。


 筆者は、たまたま「国語の学習について話をしてほしい」という要請があり、1校舎だけ保護者説明会をお手伝いすることになりました。久しぶりにこの行事で話をするにあたり、「何をお話ししようか」と思いをめぐらすことになったのですが、現場で指導にあたっている頃の自分と随分意識が変わっていることに驚かされました。


 以前は、かたどおり国語という教科の特性を踏まえ、「授業の受けかたや家庭勉強のしかた」についてお話しするだけだったと記憶しています。しかし、同じテーマでお話しするのでも、今は「この時期になっても、子どもは大人の期待するようにはなかなか変わらないのだ」ということを踏まえ、「焦らず少しずつの進歩をいかに引き出すか。家庭で見守る親にできるサポートはないだろうか」」という視点からも、お話しする内容を考えるようになったような気がします。


 6年部が始まると、大人は「入試まで1年を切った」ということを強く意識しますが、子どものほうはまだそこまで考えることができません。「無自覚で無頓着」「やる気になってくれない」「6年生になるのに、いつまでも幼稚なところが抜けない」といった見方をし、早くもイライラを募らせているおとうさんおかあさんもおられるのではないでしょうか。


 そこで筆者は、国語の話に絡めて、次のようなことをお話ししました。大筋は、「教員の養成を仕事にしておられる大学の先生の話」をヒントにしたものです。

 勉強することと、成果があがることの関係は、風呂の湯船に水を満たすのに似ています。はやく満杯にしようと意識しているときには、ちっとも増えてくれません。しかし、他のことなどに気を取られていると、ふと水が溢れ出ていることに気づきます。
 つまり、学力を上げよう、テストの得点をあげようと一生懸命のときには勉強の成果は目に見えてきません。しかし、焦らず継続しているうちにいつの間にか力がついています。勉強しているという意識がなくなるぐらい自然にやっていると、あるときふとレベルアップしていることに気づく。それが勉強というものなんですね。国語という教科の底上げには特に時間を要しますから、その傾向が他教科以上に強いようです・・・・・・。

 このことは、勉強以外にも当てはまるでしょう。スポーツなどでも「うまくなりたい」と願い、一生懸命練習しているときには手応えが感じられないことが多いものです。でも、あきらめずに努力を継続していると、あるときふとうまくなっている自分に気づかされます。


 6年部のスタート時は、これまで2年間かけて築いていた基礎学力の最終段階にあたります。そして、4月末で「基礎力の養成指導」を全て終え、5月のGW明けから「応用力の養成指導」へと移行していきます。


 「テキストが変わった」「勉強が難しくなってきたぞ」「先生の言うことが以前と違っている」――そうした変化を肌で感じることで、子どもはようやく少しずつ受験に対する意識や取り組みを受験生らしいものへとシフトしていきます。そうした意識が個々の心のうちに芽生えることで、「なんだか、クラスの雰囲気が変わってきた」というふうに感じ始めるものです。


 そこからの勉強が、ようやくほんとうの受験対策になるのだといってよいでしょう。先ほどお伝えしたように、大人は「入試まであと10カ月を切った」と意識し始めますが、人生経験の浅い小学生の子どもにとっての時間は、もっとゆっくり流れています。


 焦らず、日々のやるべき勉強を着実にこなしていくことを、まずは大切にするようサポートをお願いします。。「応用力の養成指導」の段階になったからといっても、すぐに子どもは対応できるわけではありません。弊社ではそのことを踏まえ、夏休みまでは「基礎から応用への橋渡し」を主眼に指導していきます。
 もう少し具体的に言えば、「基礎内容の見直しをしながら、もう少し難しいレベルの内容に取り組み、入試問題とのギャップをもう一段階埋めていく」という感じでしょうか。そうした変化に応じて、子どもたちの取り組みも少しずつ受験生らしいものになっていきます。


 おとうさんおかあさんにおかれては、お子さんが受験を意識し、志望校合格に向けて一心に学び始める日の訪れを楽しみにしながら、辛抱強く応援していただきますようお願いいたします。


 子どもの成長はある日突然感じられるものです。ほんとうは毎日少しずつ進歩しているのですが、子どもの言動からはっきりとそれがわかる段階に至るまでは時間が必要なのですね。そのことを胸に留めていただき、応援をよろしくお願いいたします。

   

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わが子の受験で親も成長できる

2013 年 3 月 11 日 月曜日

  受験シーズンが終わりを告げると、入試を終えた家庭から受験の体験記が各校舎に次々と寄せられてきます。ご存知かと思いますが、この体験記は冊子としてまとめられ、「中学受験体験記GET(ゲット)」という呼称で、受験を終えられた家庭や新6年生家庭に無料で届けられています。また、一部は「入会ガイダンス」などの説明会で、受験を視野に入れておられるご家庭にもお配りしています。

  この受験体験記の発行はすでに30年以上続いているのですが、受験生活の実体験が綴られているため、あとに続く受験生の家庭で生じた問題や悩みの解消に役立っているようです。「この冊子を一通りめくっていけば、大概同じ問題や悩みに遭遇した家庭の著述が見つかり、参考にできる」という話をこれまでしばしば耳にしました。

   「この体験記には随分救われました。わが子が成績不振に陥ったとき、親子関係がぎくしゃくしてどう対処したものか悩んだとき、ゲットのおかげで助かりました。だから、次に続く人たちのために私の家庭の体験を書いてみようと思いました」――そんな言葉をいただくと、もはや「GET(ゲット)」は弊社の財産・文化と言ってもよいほどの存在になっていると感じます。

 さて、今年も体験記の編集に担当者が追われています。筆者も掲載作品の選定にあたり、家庭から寄せられた原稿に目を通しています。筆者は主に保護者の作品に関わっているのですが、一つひとつの作品を拝見するうちに、各家庭それぞれに入試終了までには様々なドラマがあったのだと、改めてしみじみとした思いに駆られました。

 子どもが受験を乗り切るまで、何の不安もなく、親が安心して見ていられるような家庭はまず一つもないと言ってよいでしょう。小学生の子どもは先のことに対して楽天的で、早くから自分を追い込んだ勉強はできないものです。

  そこで大概は親が先に焦りだし、いろいろアドバイスをするのですが、すぐに効果が現れることは希です。むしろ、伝えたことを聞いているのかいないのかわからなかったり、思いがけない反抗にあったりして、親のほうが感情的に叱ってしまうような結果に至ることが多いものです。無論親のほうでも、「それではいけない」と思い直し、再び工夫を試みながら子どものやる気や実行力が高まるよう働きかけることになります。その繰り返しが受験生活なのですね。

 今からお子さんが受験をされるご家庭は、同じような親ならではの体験をされることでしょう。一言でいえば、わが子の中学受験は親にとっては忍耐や我慢、辛抱の連続であり、「自分が受験するほうが、精神的にはよほどましだ」と思われるかたが少なくありません。

 しかしながら、そうした体験で親もわが子との絆を深めることができますし、親の期待とは何かを伝えることもできます。あとで後悔するような叱りかたをしてしまうこともありますが、親の本心はちゃんと子どもに届いているものです。わが子の受験が全て終わったとき、「受験をさせてよかった」ときっと思われることでしょう。

 保護者の体験記に、「受験を通して、親も成長できました」という言葉がよく見られます。これは、偽りのない実感であろうと思います。わが子をいろいろ心配し、気のもめる思いをしながら、様々に助言をしたり、言い聞かせたり、叱ったり・・・。大変なストレスとの闘いを余儀なくされますが、わが子のがんばりを促すプロセスで親だって随分変わるのですね。

 そんなことを思いながら、ふと筆者も愚息の中学受験のころを思い出しました。愚息はとにかく頑固で、能率の悪い勉強を変えようとせず、親が堪りかねてアドバイスしようとするのですが、全く耳を貸してくれません。

  そんな愚息に一計を案じ、「一緒にサイクリングをしよう」ともちかけました。サイクリングコースを走るのは気持ちよく気分転換にもなります。並んで自転車を漕ぎながら話をすれば、素直に親のアドバイスに耳を傾けるだろうと思ったのです。5年生のころのことです。

 ところが、愚息を先に走らせ、後ろから追いついて話しかけようとしたのですが、必死になって逃げてしまうので並んで走ることができません。しかたなく、「私が先に走るから、あとからついてきなさい」と言って先を走ると、今度はずっと後ろを走ったまま追いついてくれません。これには閉口しました。親のたくらみを察知したのでしょうか。

 何度かそういうことを試みたのですが、どれも失敗に終わり、結局筆者は親として何ら手助けをすることもできないまま愚息の中学受験は終わってしまいました。

 ですから、親子で受験を上手に乗り切っておられるご家庭を見ると、「すばらしいな」と感心してしまいます。ただし、自転車に乗ってアドバイスの計略は、思わぬ展開を引き出します。自転車の楽しさを教えたことがきっかけで、中3のころからロードバイクを趣味にするようになり、さらには大学では何と体育会の自転車競技部に入部しました。

 理系で授業も多いので、親としては心配もしましたが、私学での6年間スポーツに打ち込んだ経験がなかった愚息には、「人間を鍛え直すよい場になるかもしれない」と思い、やらせることにしました。親の関わりは何らかの形で子どもに影響するのだと、今さらながら思います。

 わが子の受験勉強を見守り応援する生活は、親にとっては自分が受験勉強をするよりも辛いことかもしれません。しかし、親子共通の目標をもつことでかけがえのない収穫が得られます。今から様々な試練が待ち受けているかもしれませんが、それを乗り越えるために親子で話し合ったり、知恵を絞ったりする体験は貴重なものです。

  わが子の中学受験を通して、親も成長していこう。そのことを胸に留めて、最後までお子さんを温かく見守り応援してあげてください。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 子育てについて, 家庭での教育

受験のプロセスで“段取り力”を磨く

2013 年 3 月 4 日 月曜日

 中学受験が終わり、いよいよ進学先を決める段階に至ったとき、「この学校に進学して、ついていけるでしょうか」という質問をよくいただきます。

 さて、どう答えたものでしょうか。「高いレベルの勉強についていけるか」「優秀な他のお子さんがたについていけるか」といった心配があるのでしょう。

 ズバリ言えば、受かったのですから何も心配する必要はありません。「上位の得点で受からなければ、あとで苦労する」と言う人がときどきおられますが、そういうことはありません。

  入試は4教科で行われます。学校の先生がたが練りに練って出題された問題に対して、一定レベルの解答が導き出せたのですから、能力に疑いをもつ必要などありません。

   だいいち、弊社の会員は2週間に1回の割合でミニ模試をしているようなものです。回ごとにめまぐるしく順位が変わるのをご存知のことと思います。大概のお子さんはよい順位をとる回もあれば、思わぬ失敗をする回もあります。トータルで考えれば、個々の能力にそう大きな隔たりなどありません。

   これらのことからも、中学校に入ってから学力形成でつまずくのは、能力面によるものではないと断言できます。私学の先生などに伺っても、「入学試験での得点順位と、入学後の成績とは相関関係はない」とおしゃっています。

 では、何が生徒個々の中学進学後の伸びようを決定しているのでしょうか。なかには中学進学後、伸び悩むお子さんもいるようです。何が原因なのでしょうか。以前このブログで「宿題をためてしまうお子さんは苦労している」というようなことを書いたことがあります。また、受験が終わって「これでゲームがいくらでもできる」と、ゲーム三昧の生活を送ったために、ついていけなくなるお子さんの例を、私学の先生から伺ったことがあり、それをご紹介したこともあります。

  これらの例から「学習習慣」の重要性が見えてくるでしょう。学習習慣のよいところは、勉強に向かうときの億劫な気持ちと闘う必要がなくなり、勉強すると決めた時間になったら、おのずと体が勝手に動くかのように机に向かうようになる点にあります。誰でもそうですが、勉強というと腰が重くなるのですね。それを解消してくれるのが「習慣」なのです。

   「学習習慣」に付随して、もう一つ学力形成において非常に重要な要素があります。それは、「段取り力」です。段取り力とは、たとえば「今日やるべきことは何か」を整理整頓し、「やるべきことのなかでいちばん重要なもの、次の重要なもの、その次に・・・」というように優先順位をつけることのできる能力です。さらには時間的制約などがあるときには、「どこまでやっておくべきか」の判断をする能力などもこれに含まれるでしょう。

 この段取り力をつけるうえで、弊社の学習システムは非常に便利です。ほぼ1日おきに塾で授業があり、授業の翌日は家庭で勉強するような仕組みになっています。5・6年部は2月23日に開講しましたが、子どもたちにとって当面の課題は、2週間に1回の割合で実施されるマナビーテストに照準を合わせながら、計画的に学ぶ習慣、段取りをつけて学ぶ姿勢を少しずつ磨いていくことです。

   たとえば、授業前の予習(4年生には課していません)、授業後の復習、2週間に1回の割合で実施されるマナビーテストに備えたまとめ学習、補助教材(週ごとにやるところが指定されており、そこからマナビーテストにも一定数出題される)の学習などを、計画に基づきながら、いつ、どれだけやっておくかをそのときそのときの事情に合わせて判断して学んでいくことになります。そのプロセスにおいて、ただテストでよい成績をとれるようになるだけではなく、しっかりとした学習の習慣や、段取りをつけながら学ぶ姿勢を身につければ、これが中学後も続く長い学習生活において、大いに効力を発揮するようになります。

   中学・高校の6年間で、学ぶことがらや内容は大変高度なものになっていきます。この大きな変化のプロセスを順調に乗り越えていくためには、ただ能力に恵まれているだけではダメで、努力の積み重ねが利く学びの態勢を築いておく必要があります。それが、学習習慣や段取り力です。

  段取り力に関連して思い出したことがあります。ある書物に、人間がやることを、「重要で差し迫った事柄」「重要だが差し迫っていない事柄」「重要でないが、差し迫った事柄」「重要でなく、差し迫ってもいない事柄」という4つに分類し、どれに比重がおかれているかで、その人物の生きかたがわかるといった内容のことが書かれていました。

  この点を自分に照らしてみると、なかなか耳の痛い話になります。多くの人間は、「重要で、差し迫った事柄」に気を取られているのではないでしょうか。もっといけないのは、「重要でなく、差し迫った事柄」に振り回されたり、「重要でなく、差し迫ってもいない事柄」に時間を費やしたりすることです。しかしながら、とかくそういったことに時間をとられてしまうのが多くの人間の現実です。

  実は、「重要だが、差し迫っていない事柄」こそ、人間がいちばん心を砕き、心血を注いで取り組むべきことなのですね。それに気づき、先を見据えた努力をすることこそ、大いなる成長を遂げるための秘訣なのです。

  子どもたちの受験勉強で言うと、「目の前のマナビーテスト」に備えた勉強が、「重要で、差し迫った事柄」にあたるかもしれません。では、「重要だが、差し迫っていない事柄」は何でしょうか。それが、学習の習慣づけであったり、段取り力を身につけたりすることなのではないでしょうか。また、あるいは苦手教科、苦手単元の克服のための学習もこれに含まれるかもしれません。

 テストでよい成績をあげたいのは誰しも同じで、大概の子どもはそこにエネルギーを投じています。しかし、よい成績をあげるための深謀遠慮をめぐらせた学びの必要性をわれわれ大人が認識し、子どもたちの学習にうまく組み入れてやることも大切だと思います。

  保護者の方々にはこの点をご理解いただき、先々の伸びしろのある子どもになるよう見守りと応援をお願いいたします。指導にあたる私たちも、将来の飛躍を見通した学習指導をしっかりと押し進めてまいりたいと存じます。

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