2013 年 4 月 8 日 のアーカイブ

自立勉強の姿勢を磨いて入試の突破を

2013 年 4 月 8 日 月曜日

 大学受験を終えた弊社の卒業生に会ったときのことです。私学で学力を伸ばす秘訣について尋ねたところ、次のように話してくれました。

 「うちの学校では、先生がたが勉強についてあれこれ注意や指示をされることはありません。夏休みにも、先生が毎日学校にきて補習をしてくれたりするわけでもありません。でも授業はよいし、勉強についてうるさく言われないから、必要な勉強を自分で考えてやっていける生徒にとってはとてもよい学校です。勉強が大変な学校と思われているようだけど、高3まではそんなふうに感じませんでした」

 この言葉に、私学とはどういうところかの核心があるように思います。また、冒頭の質問に対する明確な答えが示唆されているように思います。

 優秀な先生による質の高い授業を受けながら、向上心をもった生徒同士が互いに切磋琢磨していく環境。それが私学です。このような私学の環境で学力を伸ばすには、それ相応の準備をしておく必要があるように思います。

 たとえば、「家庭での勉強と授業を連動させながら学力を伸ばしていく態勢」や「自己管理に基づいて、自律的に学習を進めていく姿勢」を備えておけば、私学の環境に戸惑うことはありません。

 弊社の卒業生で、私学進学後に学力の花を咲かせている生徒のほとんどは、中学受験生の頃にきちんとした学習姿勢・学習習慣を身につけていた生徒であり、運や才能で頭角を現したわけではありません。 

 つい先日も国立大学のなかでもトップと言われる大学に進学した卒業生が、「家庭学で身につけた学習法はそのまま大学受験まで役立ちました」と語っていたという話を、校舎長から聞きました。

 ただし、近年は私学の様子も少しずつ変わりつつあるように思います。昔と比べて宿題が増えるなど、やるべきことを具体的に指示される傾向が強まりつつあると共に、学力不振の生徒に対するフォローもかなりきめ細く行われるようになっています。

 それは、私学がより個の教育に熱心になったと単純に受け止め、歓迎すべきことなのでしょうか。こうした私学の傾向は、生徒の自発的な学習が期待できなくなりつつあることの裏返しとも受け取れます。勉強しない生徒が増えたから、宿題という形でやらせるのであり、それでもがんばれない生徒がいるから「補習」もやらざるを得ないのです。

 私学とは、本来学びの志をもった生徒の集まりです。レベルの高い生徒が集まって刺激し合ったり、高度な内容の魅力的な授業を受けたりする環境があれば、学校から手取り足取りのフォローなど必要ないのです。むしろそれは“主体性”や“自立性”の欠落した生徒の増加という、私学にあるまじき悪循環を引き起こしかねません。

 考えてみればわかることですが、自分の勉強を自分で取り仕切れない生徒は、どんなフォローを受けようとうまくやっていけるはずがありません。やり残した学習のフォローをしてもらっても、またその先に息つく暇もなくおびただしい量の学習が待っているのですから。

 以上からおわかりいただいたことと思いますが、私学進学後、学力を大きく伸ばしていくためには、入試で合格点を取れる学力(得点力)を備えるだけでは不十分であり、私学の教育環境で学力を飛躍させていくための備えもしておかねばなりません。その備えとは、自分で学習を管理し、自分で学習を進めていける力に他なりません。そして、このような力は、私学の環境に足を踏み入れてから身につけようにも、そうした時間も暇も得られないのが現実です。

 弊社の学習指導は、週3日通学制を原則としています。これは、通学日と通学日の間に必ず家庭学習の日を設け、子どもたちが家庭で自習をする習慣を備えるよう配慮したものです。したがって、授業のない日の学習をいかにして上手に組み立て、成果をあげるかが、弊社の会員にとっては入試での成否を決定づける重要なことであり、また、中学進学後の学力伸張に見通しを立てられるかどうかを左右する問題であると言えるでしょう。このことからもおわかりのように、弊社の受験指導は「受験合格」だけでなく「合格後」に待っている学習環境を視野に入れたものです。

 弊社の授業は、子どもたちの家庭学習とかみ合ってこそ活かされる内容になっています。したがって、家庭学習をおざなりにした子どもと、きちんとやりこなしている子どもとでは、成果に雲泥の差が生じてきます。現状を振り返ってみてください。

 お子さんは毎日の「学習計画」を立てておられるでしょうか。そこから振り返りながら、学習計画に基づいた学習を実行するよう励ましてあげてください。「まだまだ自立勉強にほど遠い」と思われたかたもおありかもしれません。しかし、焦っても子どもは急に変われません。

 大学受験レベルの自学自習ができるには、まだお子さんは幼すぎる年齢です。高度な要求をするのではなく、今の学年で求められる家庭学習のレベルをこなせるようになれば十分です。授業においては、少しずつ家庭勉強がこなせるようになるための助言もしていきます。現段階では、「毎回の授業を楽しみにして通学してくださること」「授業と家庭勉強がつながりをもったサイクルになること」が当面の課題です。

 テストでの結果にすぐはつながらなくても、まずは上記のような受験生活の実現に照準を合わせていただきたいと存じます。小学校の中~高学年は、子どもの人間としての枠組みができあがる時期です。筋のよい学習姿勢を身につければ、それは一生の財産として生き続けます。

 保護者の方々におかれては、辛抱強い見守りと応援をよろしくお願いいたします。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 子どもの自立, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念, 私学について