はじめが肝心 ~開講直後の親のケア~

2014 年 3 月 4 日

 中学入試が終わり一息ついたのも束の間、すぐさま2014年度の講座が始まりました。2月22日(土)に、5・6年部が開講したのに続き、3月8日(土)には4年部の講座も開講します。

 何につけても、“はじめが肝心”と言われますが、中学受験対策の学習に取り組む子どもたちについても、講座のスタート期は非常に重要です。塾に通っての受験勉強の要領をいち早く身につければ、授業は楽しくなるし、家での勉強にも弾みがつきます。成績面で成果が現れれば、自信がつくし意欲も湧くという好循環も生じることになります。

 いっぽう、その逆もあります。どのような習い事や学習においても、最初はごく基本的なことから始めますから、「これぐらいなら簡単にできる」と思ってしまうお子さんがいるものです。ところが、そうやって努力を怠っていると、やがてうまく行かないこと、わからないことがどんどん増えていきます。気がついたときには、順調にがんばっているお子さんに大きく後れをとっているということが少なくありません。

 こうした現象は、人生のあらゆる局面で直面する問題ではありますが、小学生の子どもたちにとってはまだ未体験のことで実感が湧かないものです。お子さんが、こうした失敗をしないためにも、私たち大人が一人ひとりに目を行き届かせ、地に足についた学習の実現に向けて応援していく必要があるでしょう。

 新年度の開講から1~2カ月は、「受験生活を軌道に乗せる」ということを目当てに指導を行っていきます。すなわち、いずれの学年においても「授業の受けかた」「家庭勉強の進めかた」など、受験学習における基本的なことを身につけるための指導に力を注ぎます。この段階に、2週間をサイクルとする学習の流れを理解し、授業と家庭学習がうまく噛み合うような学習生活を実現することがいちばん大きな目標となります。

 保護者のかたには、開講当初の成績は参考程度に留め、お子さんの取り組みがしっかりとしたものになりつつあるかどうか、学習の習慣が定着しつつあるかどうかという視点からお子さんを見守り、サポートしていただくようお願いいたします。

 この時点での学習は、あまり高度なことはやりませんし、深い内容も扱いません。その代わり、入試までの学習を支えるための基盤を築くという、より重要な役割を担っています。保護者におかれては、お子さんがテストで何点をとってくるかよりも、「わが子は、望ましい学習の構えを築きつつあるかどうか」という視点を大切にしていただくようお願いいたします。

 なぜそういうことが重要であるかについて、若干補足をさせていただきます。このところ、弊社の6年部会員の入試合格状況、進路選択の様子についてこのブログでご紹介しました。受験での合格を得られるかどうかについては、この10年で大きく様変わりしています。日本でも有数の歴史や伝統を誇る、修道や広島女学院などの私学に合格することもさほど難しいことではなくなっています。たとえば、今年度の入試において弊社から修道へ131名、広島女学院へ128名が合格しています。この合格者数は、6年部男子会員女子会員の半数を超えるものであり、「会員のうち、半分以上のお子さんが受かっている」ということを示しています。無論、全員がこれらの学校を受けるわけではありませんから、合格率に換算すればもっと高い数値になるでしょう。

 こうした中学入試の実状、さらにはどんどん易しくなりつつある大学への関門のことを念頭に置くならば、「受かるのはあたりまえのことだ。問題は、いかにして内実面をしっかり整えるかにあるのだ」ということが、おわかりいただけるのではないでしょうか。一流とされる学校の名前を手に入れることのみに振り回されるのではなく、本物の知性と教養を修めた人間になるためのステップを踏んでいくことこそ、最も大切にすべきことだとお考えいただきたいと存じます。それがうまく行けば、当面の中学受験はもちろんのこと、将来の展望において見通しが立ったも同然です。

 最近、ある著名な文化人の著作を読んでいたら、大学で学ぶことの目標について書いてありました。そのなかで筆者が注目した内容は、次のようなものでした。

20140305b 大学で学ぶことの目標は、「学びかたを学ぶこと」と、「自立した学習者に成長していくこと」の二点にある。

 大学での学びの目標として掲げられた2つは、まさに弊社が中学受験対策の学習を通じて子どもたちが身につけるべきことと定めている内容とピタリ符合しています。無論、その到達レベルはかなり違っているかもしれません。しかし、学習という行為を通して体得すべきことの本質は同じことなのです。

 たとえば、弊社で実施する授業の根本にある目当てについてお伝えしてみましょう。弊社の授業においては、「毎回、毎回の授業を通して、勉強とはどのようにするものか」ということを子どもたちに気づかせることを念頭に置いています。基本に叶った学びかたとはどういうものかを授業を通して教え、確かな学習方法の身についた子どもの育成を意図しています。20140305

 また、そういう指導と連動し、「家庭で自学自習のできる子どもの育成」に向け、指導のシステムに工夫を凝らしています。たとえば、通学日の翌日は家庭学習の日と定め、家での一人勉強のできる子どもになるよう配慮しています。そのため、テキストにも小学生なりの自立勉強ができるようになるためのいろいろな配慮が施されています。さらには、学んだこと、努力したことの成果が見えるようにするため、2週間に1回の割合で「マナビーテスト」という呼称の単元テストを実施しています。

 人間の性格面や行動面の特性の大半は、小学生までの体験や教育で培われたものだと言われます。入試をめざした学習生活において、小学生の子どもたちが多大な時間とエネルギーを投入するわけですから、それが人間としての器の形成に反映されないはずがありません。そのことの重みを弊社では正面から受け止め、「子どもたちの望ましい成長に資する学習指導の実践」を全指導担当者が肝に銘じて日々の指導にあたっています。

 保護者の方々におかれては、お子さんの毎日の取り組みに関心を寄せ、上手に励まし、学びを通して成長していける受験生活の実現に向けて応援と見守りをしていただくよう、重ねてお願い申し上げます。

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カテゴリー: ごあいさつ, 勉強について, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

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