2014 年 4 月 7 日 のアーカイブ

効果ある勉強のすばらしい実践者

2014 年 4 月 7 日 月曜日

 この3月、「成績に反映される学習の取り組み」というタイトルで二度ブログの記事を書きました。ちょうどそのころ、今年中学入試を終えた受験生の体験記に目を通す機会がありました。ブログ用GET

 すると、「これはいいことを書いているじゃないか!」と感心するような著述がいくつもありました。入試での合格を夢見て、一生懸命に取り組んだ子どもたちの努力の様子がありありと感じられ、心から「よく頑張り通したね!」という祝福の気持ちを禁じ得ませんでした。

 その中で筆者が「いいな」と思い、またこれから受験する家庭の参考になりそうなものを一つ、ご紹介してみようと思った次第です。この受験生は女のお子さんで、広島大学附属、ノートルダム清心、広島女学院と、受験校の全てに合格しています。

 彼女は4年生から入会した後、「何度か勉強法を変えた」と書いています。そして、「うまくやると効果がだいぶ違うことに気づいた」そうです。「あくまで、私に効果のあった方法ですが」と謙遜しながら、大切と思う4つの勉強法について披露してくれました。その4つとは、以下の通りです。少しだけ文を調整しましたが、ほとんどそのまま掲載しています。

 

 一つ目は、ノートを工夫するということです。ノートは意外と重要なもので、ただひたすらノートに書いているだけでは覚えにくいものです。しかも、後で見たときわかりづらかったりします。私はそんなノートを改善するために、間違えたものを重点的に書く、「まちがいノート」の書き方を工夫しました。まずノートのページを右と左に分けて、左に問題を書き、右にその答えを書きます。すると後からの見直しもしやすく、自分がニガテなところもよくわかるようになります。

 

 二つ目は、問題を一度したからといって安心しないようにするということです。脳というのは、何度も目にするものは重要だと認識し、覚えやすくなるそうです。私のおすすめする覚え方は、夜何かを覚えたら朝確認して、忘れていたものは覚え直し、夜寝る前にもう一度確認する方法です。このように何度も見ると、脳がその情報を重要性が高いと認識してくれます。

 

 三つ目は、復習はただするだけではなく、間違えたところはしっかり直すということです。これは、一つ目と二つ目に通じるところがあります。間違えたということは、ケアレスミスを除けばほとんどが重要な点を忘れたということが原因だと受け止めています。ですから、そのままにすると忘れたままになってしまいます。何度か経験したことですが、十分な復習ができなかったときに間違えたところがテストに出て、焦ることになりがちです。入試のときはあせりは禁物なので、そういうことにならないためにも、間違い直しの復習はしっかりとした方がいいと思います。

 

 四つ目は、何事もポジティブに考えるようにするということです。私は以前、何かあったらすぐネガティブに考えてズルズルと引きずっていたことがありました。

「あのとき・・・、もっとがんばっていれば」

「あともうちょっと多く読んでいれば・・・」と、ずっと考えていました。しかし反省するのもいいのですが、反省しすぎて気持ちがネガティブになると、逆に勉強に身が入らなくなります。だから私は、

「あそこはよくなかったけど、前できなかったところはできた」と、ポジティブに考えるようにしました。とりあえずそうしておけば、気分も楽になります。

 

 どうでしょう。どのお子さんも、それぞれにノートづくりは工夫されていると思いますが、このお子さんの例も参考になると思います。シンプルなわかりやすい工夫である点もよいと思いました。「後で見直しをしやすいノートづくり」は、学習能率を大いに高めてくれることでしょう。「まちがいノート」を、おたくでもつくってみてはいかがでしょうか。

 次の「繰り返し取り組む、覚え直す」という方法ですが、彼女が書いているとおり、繰り返し学ぶと脳の奥深くにある海馬と呼ばれる記憶を司る部位が「重要である」と認識し、学んだことが長期記憶へと転送されます。とても重要で効果的な勉強法です。

 ところで、弊社では4・5年部会員家庭(「土曜コース」を除く」)を対象に、「おかあさんの勉強会」という催しを実施しています。この会では、「復習」や「記憶」といったようなテーマで、効果的な勉強について一緒に考えてもらったりしています。このお子さんは、まさに弊社がお伝えしているとおりの大変望ましい勉強を実践しておられます。もし、おかあさんがこの会に参加され、お子さんに適切なアドバイスをされた結果であるとしたら、うれしい限りだと思いました。

 以前お伝えしましたが、復習でいちばん重要なのは「間違えていた箇所をやり直す」ということです。やり直しでわかるようになるということは、脳でシナプスが発火し、新たな思考回路が生み出されたと言い換えられるでしょう。そういうことを繰り返しているうちに、その単元領域に強い思考回路が形成されていきます。前述の「まちがいノート」の記入要領に沿って、間違いをやり直していけば、効果があるのは間違いないことでしょう。

 最後の「何事もポジティブに考える」は、勉強法ではありませんが、気持ちを切り返す工夫をすることも学習成果に関わる問題であり、参考になるでしょう。

 こうやって、受験のプロセスで様々な学習の試行錯誤を繰り返すことに大きな意義があります。自律的に学び、自分の力を自ら望むレベルへと引き上げていく態勢を築く。実はそれこそが、中学受験をめざしたことの一番の収穫ではないでしょうか。

 なにしろ、学歴や学校歴は人生を支えてはくれませんが、自ら学ぶ力、自分を伸ばしていくための方策は、人生のあらゆる局面で自分を支えてくれるのですから。

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カテゴリー: がんばる子どもたち, 中学受験, 勉強について, 勉強の仕方, 家庭での教育