2014 年 6 月 23 日 のアーカイブ

愛ある"声かけ"が子どもを動かす! その1

2014 年 6 月 23 日 月曜日

 おかあさんの勉強会は、弊社の4・5年部会員のおかあさん(週3日コース)を対象とするワークショップ形式の催しです。前期・後期とも、校舎別の開催で2回予定していましたが、前期実施分をすべて終了しました。

 筆者はこの催しの企画者です。企画内容が適切だったかどうか、おかあさんがたの反応はどうであったかを確かめさせていただくため、ある校舎で行われた勉強会に参加させていただきました。今日のブログでは、第2回目の様子をご報告してみようと思います。2回目は1回目よりも人数は少なかったのですが、それでも20名以上のおかあさんが参加してくださいました。

20140623c 今回の勉強会のテーマは、「愛ある"声かけ"が子どもを動かす!」(副題:子どもの奮起を促す言葉を研究しよう)でした。中学受験を目指すといっても、実際には親に水を向けられて受験勉強を始めるケースが多く、まだまだしっかりとした勉強を継続できるお子さんはごく少数です。それが小学生の受験勉強の現実です。

 したがって、多くのご家庭では、「その日に予定していた勉強がなかなかはかどらない」「決めた時間になっても机に向かうことができない」など、わが子の勉強の様子を見てイライラしておられるかもしれませんね。そういう段階をうまく乗り越え、子ども自らの自覚に基づく受験勉強へとうまく切り替えていけるかどうかが、受験の成否を握る最も大切なポイントだと言えるでしょう。

 その意味において、親のフォローや声かけは中学受験において必要不可欠のものです。親がしびれを切らし、叱って無理やりやらせるか、上手にフォローしたり声をかけたりしながら子ども自身の頑張りを引き出すか。結果は同じ合格でも、子どもの中に宿っているものは全く違ってきます。

① あなたはどんなとき、どんな"声かけ"をしていますか?

 さて、当日の進行に沿ってご報告しましょう。まずは、参加されたおかあさんの声かけの現状を振り返っていただくことにしました。

 4・5年生の子どもたちは、まだ受験を現実のこととして受け止めておらず、のんびりと構えているように見えるかもしれません。しかし、それでも子どもなりに様々な悩みを抱えているものです。なぜなら、テストの成績を見て、何も思わない子どもなんていません。親がどう思うかは子どもにも想像がつきます。友だちより成績がよくないと、やはり気落ちするものです。

 こうした小さなことの繰り返しで、子どもは徐々に自信を失っていったり、やる気をしぼませたりするものです。できるなら、入試が逼迫していない今のうちに親は上手に声をかけ、わが子の学習が軌道に乗るようバックアップしてやりたいものです。

 そこでまずは最初のワークを始めました。4~5人ずつのグループに分かれていただき、順に「家庭でどんなときに、どんな声かけをしているか」について報告していただきました。グループごとに巡回して確認したわけではありませんが、「やるべき時間になっても、なかなか勉強に取りかからないので、たまらずに声をかけている」といったご様子のお話が聞こえてきました。それが多くの4・5年生の現実であり、声かけの理由として最も多いのではないかと思います。

 一通りお話しいただいたら、今度は声かけの成功例や失敗例について、グループごとに話し合っていただきました。そこでよい事例を報告してくださるおかあさんがおられれば、ほかの方々にも参考になったのではないかと思います。

 ワークの終了後、どういうときに親が声をかけているかについて、こちらから具体的な事例を挙げ、当てはまるときに挙手をお願いしました。たとえば、「成績が下がったとき」「意欲がないと感じたとき」「やるべきことをちゃんとやったとき」「率先して机に向かって勉強したとき」などです。

 子どものよくない点を見て注意の声かけをするばかりでは、やがて声かけの効果は失われてしまいます。「どうせおかあさんは、文句ばかり言ってくる」と子どもが身構えてしまうからです。そこで、ポジティブな声かけの重要性に気づいてもらおうという意図で、挙手をお願いしたわけです。

 親からの声かけというと、いけない点を指摘し注意や修正を促すものばかりになりがちです。ポジティブな声かけも意識して行っていれば、注意したり、修正を促したりする声かけも効果を維持することができるでしょう。このことに気づいていただくための投げかけでした。

② 日本の子どもの自己評価が低いのはなぜ?

 さて、以前このブログでもご紹介しましたが、国際比較調査で「日本の子どもは、他の国の子どもよりも(勉強ができるのに)自分に自信がない」という結果が報告されています。

 その原因として大きいのは、成績による評価であるという指摘があります。その意味において、進学塾もこの問題に加担していると言えるでしょう。東アジア諸国の都市域は「受験圧力」が高く、そのためか子どもが成績や順位に過敏になり、少々成績がよくても「もっと上がいる」と思い、自信につながらないのです。

 受験圧力にしろ、相対評価のもたらす問題点にしろ、必要な側面があってそういうものが残っているという現実もあります。大切なのは、弊害をできるだけ少なくするための手立てを講ずることであろうと思います。

 たとえば、弊社に関連する事項としては、「成績や順位に負けない子どもにするために、どうすればよいか」という問題があるでしょう。成績は、どれだけ努力したかが数字として表れたもので、能力を示すものではありません。上手に子どもを導けば、「努力すれば成績は上がるんだ」ということを子どもに教えることができます。そういう考えを保護者と共有することが重要なのだと思います。

 先ほどの話に戻りますが、テスト成績が少々上がっても「まだ上がいる」と子どもが思ってしまうと、励みにならないし自信にもつながりません。それに加えて、親が「まだまだ駄目よ。もっと上を目指しなさい!」と檄を飛ばしたら、子どもは余計に自信を失いかねません。そういう可能性があることをお伝えするため、次のような資料をおかあさんがたに見ていただきました。
20140623

 この資料は文部科学省(実施当時は文部省)によるものですが、日本のおかあさんは、わが子の成長の様子に不満が高いという傾向があるようです。それも、他国を大きく引き離すほどの不満が見て取れます。わが子への高いレベルの期待と現実とのギャップから来るのかもしれませんね。

 この資料を通じて、わが子を不満の目で見て檄を飛ばしても逆効果にしかならないことをおかあさんがたにご理解いただき、ポジティブな声かけの必要性に気づいていただければと願った次第です。

 ここでワーク2を始めました。ワーク2では、「成績のプレッシャーに負けないで、前向きに学ぶ子どもにするために、今からどんな声かけをしようと思うか」について、順に今の気持ちをお話しいただきました。

 小学生までの子どもは、親の評価の仕方で随分変わります。まだ、親が絶対的な立場にあるからです。それだけに、わが子の何を評価すべきかを誤りたくないものです。子どもがおかあさんの愛情を感じ取り、勇気ややる気を湧きあがらせるような声かけを心がけたいものです。そうすれば、子どもは目の前のやるべきことに集中することができるのではないでしょうか。

 今回も、1回で終わりませんでした。続きは次回ご報告します。

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