2015 年 2 月 のアーカイブ

受験生活で大切にすべきことは何?

2015 年 2 月 23 日 月曜日

 2015年度の5・6年部講座が、2月21日(土)に開講しました(4年部は3月7日(土)に開講予定です)。

 言うまでもありませんが、中学受験をするのはまだ親の庇護のもとにある、義務教育期間中の小学生です。これから1年間、2年間続く受験生活を実りあるものにするためには、受験生である子ども自身のがんばりもさることながら、保護者の方々の見守りやサポートも大きな作用を果たします。

 そこで今回のブログでは、「親はどのような視点に立ち、わが子の受験生活を応援すべきか」ということについて一緒に考えていただこうと思います。今からお伝えすることは、弊社の会員家庭以外にもすべて当てはまると思います。他塾から受験されるかたにも、受験を考えておられないかたにも参考にしていただけるでしょう。

 受験勉強に限りませんが、人間が取り組むことがらは大きく分けて4つのカテゴリーに分けられると言います。これは、何かの書物で紹介されていたことのうろ覚えです。以前も一度ご紹介したような記憶があります。20150223a

 この4つのなかでは何が一番大切でしょうか。大人が毎日の生活、とりわけ仕事で取り組んでいることの大半は①に属するようなことがらでしょう。すぐに取り組まないとたちまち困ったことになる。そういう仕事をさばくのに四苦八苦するほど、目の前にある仕事に追われているかたもおありでしょう。

 しかし、「いちばん大切なものは何?」という問いかけに対する答えとしては、②のほうが妥当ではないでしょうか。時間をかけ、じっくりと取り組んで完成させていくものこそ、人間にとって重要なことが多いものです。

 目先の仕事も大変重要ではありますが、今すぐする必要はなくても自分の能力を磨けることがらがあるとすれば、それを地道にやっていくほうが結果として自分を大きく伸ばし、より快適に仕事をさばけるようになります。だから、先を見据えた取り組みのほうがより人間にとって大切と言えるでしょう。

 蛇足ですが、③や④を選ぶ人は稀だと思います。しかし、世の中を見渡すと結構③や④に時間を割いている人が多いと思いませんか?ただし、これらが息抜きの効果をもたらすとすれば、一定の範囲では意味をもつこともあるでしょう。

 ここから本題に沿った内容に移ります。中学受験をめざして学んでいる子どもにとって、先ほどの4つに当てはまるのは何かを考えていくと、家庭での受験勉強で大切にすべきことが何か見えてきます。

 大人と同じように、子どもも受験生活においては①に属するようなことがらに追われがちです。代表的なものが、当面控えているテストの対策。「今週末にあるマナビーテスト(弊社の定期テスト)でよい点をとりたい! よい成績をあげたい!」――そういう気持ちに支えられた勉強も重要です。そして、よい成績を取ったらうれしいし、次への励みになるでしょう。また、「次の時間にプリントを提出しなければならない」といった状況にあれば、それへの取り組みも「危急で重要なこと」の分類に当てはまるでしょう。

 しかしながら、より先を見越した勉強、将来まで見据えた勉強という視点に立つと、もっと大切なことがあるように思います。それが②に分類されるような勉強です。どんな勉強があるでしょうか。20150223b

 たとえば、テストが返された後の見直し。テストで間違えた個所を点検し、「次は必ずできる」と言える状態にしておくことは、次のテスト成績には反映されませんが、やがてくる入試までを見据えたなら、とても重要な勉強です。

 同じように、テスト結果から「弱点」としてクローズアップされてきた単元があれば、当面その単元を学ぶ機会はありませんが、放置せずに少しずつ巻き返しを図っておけば、やがてそれが大きな効力を発揮することになります。

 こうした学習を毎日の学習計画のなかに少しずつ組み入れ、期間を設定して成果を引き出していく姿勢が養われたとしたら、それは「見通しをもって、戦略的に物事に対処していく能力」を育むことになります。こういった成果こそ、将来の人生の歩みを後押ししてくれる重要なものに他なりません。

 また、弊社は「生活習慣の自立」「学習習慣の定着」といったことの重要性をご家庭にお伝えしています。これらは今取り組んでいる学習課題の理解促進とは無関係に見えますが、お子さんにしっかりと根付いたなら先々の学習において莫大な恩恵をもたらしてくれるものです。

 ②に分類されるような学習の重要性を、お子さん自身が理解し、毎日の学習に反映させることを望むのはまだ難しいと言えます。これからしばらくの間は親が上手に働きかけ、こうした方面の目配りや後押しをしていくのが望ましいでしょう。やがてそれが、子どもにとってすばらしい知的財産になっていきます。

 無論、親も子も一番気になるのは毎回のテスト結果です。「がんばれば必ず結果が伴う」ということをお子さんが肌で感じ取ることができれば、「目の前の重要なことがら」として毎日の予習や復習に取り組む姿勢も身につくでしょう。

 開講から当面は、「学習の取り組みかた」を中心に各教科とも指導していきますので、そうした観点からもお子さんの家庭勉強を見守ってあげてください。「やるべきことをやるべきときにやること」が成果につながるのだということをお子さんが実感すれば、徐々に②に分類したような学習にも目を向ける余裕が生まれてくるでしょう。

 「中学受験は親が大変」とよく言われます。しかし、その意味は決して勉強を教えることの負担を指摘するものではありません。子どもの独り立ちに向けた間合いを考え、常に子どもを見守り応援する必要があるからです。中学受験への挑戦を通じて、ぜひ親子の信頼関係を強化し、お子さんの望ましい自立を達成していただきたいと存じます。

 お子さんが②のような領域のことを自分で見据え、戦略的に取り組んでいく姿勢をもった人間に育てば、社会になくてはならない人になるに相違ありません。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

受験生活のスタートにあたって

2015 年 2 月 16 日 月曜日

 教育の世界に「人間怠け者説」という言葉があります。「人間というものは生来怠け者であり、何事も無理にでもやらさないと努力しない」――このような観点に立つ言葉です。確かに、人間にはそういう弱さがあるのも事実でしょう。多くの人間は、やるべきことの時期が迫ったり、やらざるを得ない状況に追い込まれたりしないとがんばりが利きません。一説によると、日本人の8割以上はこういうタイプだと言われています。

 では、子どもの勉強についても同じ考えに立ち、子どもの自発性をあてにせず、無理強いしてやらせるべきでしょうか。みなさんはどう思われますか? 実は、この方法こそ「怠け者」の大量生産に与(くみ)する誤ったやりかたであると筆者は思います。

 中学受験の準備学習を例に考えてみましょう。合格を得させてやりたいのが人情です。しかし、そのために大人が采配を振るって勉強させたのでは、学びの自律性も積極性もうまく育ちません。そればかりか、下手をすると「隙あらば、勉強から逃げ出したい」というネガティブな気持ちを助長してしまうのではないでしょうか。

 そもそも、小学生の子どもは考えること、解き明かすことが大好きです。「自分でやれた!」ということに無上の喜びを感じる年齢です。この経験が向上心や前向きさを育てるわけです。20150216a

 この点に鑑みるなら、子どもの将来を見据えた学習という視点に立ち、せっかく備わったすばらしい資質を伸ばしてやることを大人は考えるべきではないでしょうか。

 このようなサポートに基づく学習が実現したなら、おそらくその子どもは生涯自律的に学ぶことを忘れない人間に育つでしょう。「人間怠け者説」とは正反対の、前向きで主体性のある人生を送れる人間になれることでしょう。中学受験は、その活かしかた次第で子どもに得難い知的財産をもたらす絶好の場になるのです。

 さて、このところ「児童・生徒の学習意欲低下・学力低下」がしばしば取り沙汰されています。それは、勉強を放棄している一部の子どもだけの問題ではありません。6カ年一貫教育の進学校の生徒にも及びつつあります。子どもが消費社会に取り込まれ、目先の楽しさに埋没させるゲームや遊びの類が日本のどこに暮らしていても浸透しつつあることも原因の一つと考えられます。また、かつての貧しい社会と比べ、ほとんどの家庭は衣・食・住が満ち足りています。そういう環境で暮らすと人間はハングリー精神を喪失し、「何につけてもモチベーションが上がらない」という専門家の指摘もあります。

 子どもの本質はいつの時代も変わりません。しかし、子どもを取り巻く環境は刻々と変わっています。その変化が子どもの成長にどのような作用をもたらすのか、大人は敏感に読み解く必要があるように思います。子どもの「学習意欲」が自然に高まるのを期待するだけでなく、勉強の楽しさにふれるチャンスを大人が意図的につくってやる。そうして学びに積極的な人間に育てるということが必要な時代が訪れているのではないでしょうか。

 私たち家庭学習研究社がお預かりするのは、成長途上にある小学生の子どもたちです。この子どもたちが受験のプロセスでどのような学習を積み重ねていくかで、将来どんな人間になっていくかがかなりの確率で決まるのです。なにしろ、受験準備の期間は最低でも1年かかります。2年、3年間が普通であるこの長い期間に体験する勉強を通して、子どもの人間としての枠組みも決まっていきます。つまり、子どもの学びの姿勢を決定づけると言っても過言ではありません。

 近年、「学歴はあっても社会で役立たない人間」の増加が取りざたされていますが、中学受験を乗り越える方法を間違えなければ心配要りません。受け身の勉強ではなく、自らを律した学習によって学力をつけた人間は、そうした人間に陥る危険性が極めて少ないからです。

 2月21日(土)には、いよいよ2015年度の5・6年部講座がスタートします。この段階からしばらくは、ただカリキュラムに沿った勉強を進めていくだけでなく、自分で学ぶために必要な方法や姿勢を獲得するための指導も行ってまいります。

 保護者におかれても、当面はテストの成績に振り回されず(すぐに成績が安定軌道に乗るお子さんはそう多くありません)、「まずは、学びの手立てを身につけるのだ」「しっかりとした学習の習慣を身につけるのが先決だ」と認識していただき、そうした観点からほめること、激励すること、反省を求めることを心がけていただくようお願いいたします。私たち指導担当者も、前述のような指導でしっかりと成果をあげるだけでなく、学びに向かう真摯な姿勢をもったお子さんになるよう精いっぱい応援させていただきます。

 御承知のように、人間ほど生まれてから成熟するまでに時間のかかる動物はいません。知性の座と言われる前頭前野が完成に至るのは成人を迎える頃であり、実に20年あまりの年月が必要です。そんな動物は人間以外にありません。成熟に時間を要するということは、それだけ教育に時間をかけることができ、それによって変わる可能性が高いということを意味します。人間の脳が優れた知恵を身につけられるのは、長い成熟に達するまでの期間があるからなのですね。

 ただし、他のいかなる動物よりも未熟に生まれ、長い成育期間を必要とする人間は、それだけ与えられた環境の影響を強く受けることになります。どうか、中学受験の準備にあたる期間の子育てや親子関係についても十分な目配りをお願いいたします。

 繰り返しになって恐縮ですが、大切なのはお子さんの将来です。この将来を明るく希望に満ちたものにするための土台を築く時期に受験があることを忘れないでください。もしも、受験勉強がお子さんにとってマイナスに作用するような事態になったなら、受験をパスすることもあってよいのではないでしょうか。

 弊社におきましても、心身ともに健全な人間に成長を果たしたうえでの入試合格が実現するよう、全力で指導にあたらせていただきます。ご理解ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 勉強の仕方, 子どもの発達, 子どもの自立, 子育てについて, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

2015中学入試 弊社会員の受験動向

2015 年 2 月 12 日 木曜日

 2015年の中学入試が終わりました。弊社会員の合格状況は、ホームページ上でご紹介している通りです。補欠の繰り上がり報告を受け、学校によっては毎日少しずつ数に変化が生じていましたが、それもほとんど終わりました。

 今年は例年より女子会員受験生の数が多かったせいか、ノートルダム清心、広島女学院の合格者数が目立っているかもしれません。ただし、会員数との兼ね合いで見ると、男子のほうも広島学院や修道についてはほぼ例年と同様の結果を得ています。弊社は、以上の私学4校への進学指導を活動の中心に据えていますので、今年の結果はまずまずだったと思います。

 今回のブログでは、今年の入試結果と受験校選択の状況について簡単に振り返ってみようと思います。すでにお伝えしたことがありますが、弊社は受験生の学力向上を支援し、入試会場まで無事に送り出すことが学習塾の役割だと考えています。この方針に則り、どこを受験するか、何校受けるかなどについては、介入しないことにしています。

 したがって、今からお伝えする受験校選択の状況は、既に入試を終えた方々には意味をなさないと思いますが、来年以降受験をされるご家庭には弊社会員家庭ならずとも参考にしていただけるのではないかと思います。実際、昨年の入試終了後に「受験校の選択、進路選択がどのように行われたか」についてお伝えした記事は、1月以後今日までおびただしい数のご家庭が閲覧しておられます。

 さて、今年の弊社会員の受験校選択の状況を男女別に振り返ってみましょう。以下は、「何校受けたか」をパーセントで示したものです。ただし、志望校に合格した段階で残りの学校の受験を取りやめているケースがたくさんあります。それをすべてチェックするのは不可能ですので、数字は「応募した学校の数」をお伝えしています。ご了承ください。20150212b

 1校受験をした受験生の受験校ですが、これはいろいろです。男子の場合、広島学院、修道、広大附、近大附東広島(専願)などでした。女子の場合、広島女学院、安田(専願)、なぎさ(専願)広大附、東雲、県立広島などでした。

 1校受験の結果はいろいろです。広島学院、広大附のみ受験して受かっている受験生もいますが、残念な結果となっている受験生もいます。安田、なぎさの1校受験はすべて専願でした。1校しか受験しない理由はわかりませんが、「もしそこに受からなければ、中学進学後に方向を定め直そう」という考えが背景にあるのでしょう。

 2校受験のパターンは様々で、男子で学力に覚えのある受験生は、「広大附・広島学院」「広島学院・修道」の組み合わせが結構見られました。一番多いのは「修道・城北」の組み合わせで、広島市の西側では「修道・なぎさ」「城北・なぎさ」の組み合わせもまま見られました。その他では、「広大附・県立広島」といった国立・公立の組み合わせもありました。

 女子では、学力に覚えのある受験生には「広大附・清心」の組み合わせが見られますが、数は僅かです。多いのは「広島女学院・安田」の組み合わせです。そのほか、東広島限定ですが、「県立広島・近大附東広島」が数件見られました。

 男女とも一番多く見られた「3校受験」ですが、これも、それぞれの学力の状態に合わせた組み合わせで受験しておられることがわかります。

 たとえば男子では「広大附・広島学院・修道」「広島学院・修道・城北(この組み合わせが一番多い)」「修道・城北・なぎさ」などが代表的なパターンでした。弊社の己斐校や五日市校など、広島市の西側では、「広島学院・修道・なぎさ」「修道・城北・なぎさ」の組み合わせがかなり目につきました。東広島では、修道か県立広島かの選択(入試が同一日のため)が分かれ目で、「広大附・広島学院・修道」「広島学院・修道・近大附東広島」といった修道がらみと、「広大附・広島学院・県立広島」「県立広島・近大附東広島・その他1校」といった県立広島がらみに大別されました。

 女子の3校受験ですが、その代表的なものは「広大附・清心・広島女学院」「清心・広島女学院・安田」です。「広島女学院・安田・なぎさ」の組み合わせもかなり見られました。呉市の受験生ですが、これは2校受験、3校受験ともに広島市の受験生とほぼ同じ傾向でした。東広島では、県立広島を軸にあとは近大附東広島と広島市内の中学校1校という組み合わせが基本のようでした。

 4校受験は先ほどのグラフで確認したように3校受験とともに受験の主流となっています。その4校ですが、傾向としては3校受験に準じます。3校受験のパターンあと1校付け加わった形です。

 今年の受験日程で注目されたのは、私学の入試解禁日の直前に広大附の入試が行われたことでしょうか。予想通り、この学校の発表(合格)を確認して、残りはすべてパスされた家庭が男女ともありました。難関の人気校ですから、第一志望にしている受験生もかなりあったでしょう。したがって、無駄な受験をされなかったということで、当然の判断だと思います(学習塾は合格実績が命の側面もあり、辛いところですがしかたありません)。

 また、このところ県立広島への受験が東広島市の受験生限定ではなく、広島市の東部~中心部の受験生にも増えてきていると感じます。弊社からの合格者を見ると、32名の合格者のうち、13名は広島市内の校舎や呉校の会員でした。

 ホームページでもご紹介しているように、公立一貫校(県立広島、広島中等教育)の合格者は圧倒的に女子のほうが多くなっています。これは受検者に女子が多いのもさることながら、資料の分析・論述と言った検査のスタイルが女子に有利に働いていることも多分に影響していると思われます。また、男子の最有力校の修道と同一日入試ということも原因と考えられます。

 なお、つい先日まで補欠者の繰り上がり合格がありましたが、2月9日の県立広島の補欠繰上がりを1件確認したのを最後に、ほぼ終わった模様です。入試の発表直後から、このブログに補欠に関する検索ワードが多数みられましたが、補欠の繰り上がりは年によって違っており、あえて一切の情報をお伝えしませんでした。

 例えばこんなことがありました。ある年、志望校の補欠の知らせを受けた保護者が知人に繰り上がりの可能性を相談したところ、「このケースは間違いなく繰り上がりますよ」と言われたそうです。しかし、待っていた知らせはありませんでした。お子さんと保護者の気持ちを考えると気の毒でなりません。

 今年の補欠に関しては、広大附の補欠者は、今日現在一人も繰り上がっていません。毎年男子は相当な数の繰り上がりがあるのですが、今年は男女ともゼロでした。弊社だけで30名以上の補欠者がいましたが、残念な思いをしておられるかたがさぞ多いことでしょう。修道中も、弊社会員の繰り上がりはわずか1名でした。こちらも相当数のかたが補欠の繰り上がりを期待して待っておられました。修道の場合、補欠者は三つのグループに分けられ、繰り上がりの可能性はある程度分かるのですが、期待値の高い第一グループの受験生もほとんど繰り上がらないという結果になりました。

 とは言え、学校は定員を確保しないとやっていけませんので、これは致しかたないことです。過去の入学申し込み率を土台に、その年の入試日程、受験者数、遠征受験の数(特定の学校)などを勘案し、慎重に合格者と補欠者の数を決めておられると思いますが、それでも前述のような事態が起こるのが入試です。

 他校について。広島学院はほぼ例年通りの補欠繰り上がりがありました(弊社からは6~7名)。広島女学院は、合格発表直後から補欠の連絡、繰り上がりがそこそこありました(数名程度)が、入学手続きの状況がよかったのか、すぐに補欠繰り上がりはなくなりました。

 広島城北、安田、広島なぎさの補欠は、弊社会員家庭に若干名あったようです。どの学校も補欠の発表自体がごくわずかのようでしたが、報告を受けた受験生のほとんどは繰り上がりました。

 公立一貫校の補欠について。県立広島は、昨年までよりも若干多めの補欠繰り上がりがあったのか、弊社会員については4~5名が補欠の知らせを受け、全員が繰り上がり合格になったようです。広島中等教育学校の補欠は、弊社からは1名で、繰り上がり合格になりました。

 進路選択の状況はもうすぐまとまると思いますので、後日ご報告しようと思います。

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カテゴリー: お知らせ, 中学受験

清々しき旅立ちに向けて

2015 年 2 月 9 日 月曜日

 中学入試が終わり、入学にあたってのオリエンテーションを終えた学校もあるようです。弊社の各校舎には、会員受験生の進路報告書が7~8割ぐらい届いています。あと少ししたら、合格者数だけでなく、弊社の受験生の進路選択状況をご報告できると思います。 

 さて、今回のブログですが、昨日折り込んだチラシの「清々しき旅立ちに向けて」というタイトルの記事についてコメントを付け加えてみようと思います。まずは、記事の内容をご紹介しましょう。

 長い受験生活がとうとう終わったね。志望校合格の喜びを味わっている人もいる一方、悔しい気持ちでいっぱいの人もいるかもしれないね。けれど、新たなスタートラインに立っているという点では、みんな同じだ。春になったら、きみたちは中学生。そして、その先に続く果てしない道程を歩んでゆく。それは、人生という旅だ。

1.入試への挑戦を通じて、きみたちは自分の器を大きく育
  てた。

 目先の楽しさを味わえるものがいくらでもある今の時代に、受験という大きな目標にチャレンジしたきみたち。「なんでこんなに勉強をしなければならないのか」と思った時もあっただろう。しかし、目標に向かってあきらめることなく努力し、とうとう最後までやり遂げた。それはすごいことだよ。そして、この挑戦を通じて、きみたちは自分という器を大きく育てあげたにちがいない。どうだろう。きみたち自身、入試への挑戦を通じて自分への手応えを感じているのではないかな?

2.受験勉強で身につけた“勉強法”は未来への宝物だ。

 いつだったか、受験を終えた会員生がこんな言葉を残していた。「入試が終わっても、毎日机に向かわないとなんだか落ち着かない」――この言葉は、受験がもたらしてくれた宝物が何かを教えてくれるだろう。きみたちは、受験という目標を掲げ、その実現に向けて授業と家庭学習とのサイクルをひたすら繰り返してきた。もちろん、しっかりやり遂げた日ばかりではないだろう。友だちと競い合い、励まし合いながら、時には反省しながら、少しずつやるのが当たり前になってきたんだね。そうやって身につけた学習習慣や勉強法は、ずっと先まで通用する宝物なんだよ。

3.本当に大事なものは結果ではない

 入試では、全員が満足する結果を得ることはできない。しかし、たとえどんな受験結果であってもそこに向けたがんばりは必ずこれから生きてくる。本当に大切なのは“どの中学校に進学するか”ではなく、“中学校でどのように学ぶか”だ。きみたち一人ひとりにとって最も大切なことは、これからの人生を充実させることなんだからね。受験を通じてきみたちはたくさんのことを学んできたよね。どの中学校に進学しても自分の夢を育て、実現することはできる。この経験を生かしていけば、きっとすばらしい未来を切り開いていけるさ。

 自分を信じて、また、これまでの反省を謙虚に受け止めて、新たな中学校生活をスタートさせてほしい。どんなときにも、前を向いて、胸を張って進んでいこう!20150209_flower
 きみたちのこれからの活躍を、私たちも応援しているよ。がんばれ!

 この記事は、随分前に筆者が書いたチラシ記事を参考に、弊社の若手広報担当者が改めて同じタイトルに基づいて書いたものです。

 記事の内容は、弊社が中学受験の価値について一貫してお伝えしているものです。人生を長い学びの旅に例えるなら、中学校入学は学習者としての旅立ちと見立てることができるでしょう。この旅立ちにあたっては、相応の準備と心構えが必要です。中学受験に備えた長い学習の日々は、この旅立ちに向けた準備の期間だと言えるでしょう。この準備期間で子どもたちは様々な収穫を得ています。20150209

 一つ目に取り上げたのは、「目標を掲げ、達成めざして全力でぶつかる体験が、子どものすばらしい成長を引き出す」ということです。入試への挑戦に向けて、最後まであきらめずに受験勉強をやり通した。この経験は、やり通したことへの満足心と自信を子どもに植えつけます。それが、これから始まる長い学習の旅を支えてくれるに相違ありません。

 二つ目について。中学校では一人ひとりの生徒は一人前に扱われます。もはや手とり足とり教えたり、事細かにアドバイスをしたりしてくれる人はいません。まして、優秀な生徒の集まる中学校では、レベルの高い学習を自律的に進めていくことが求められます。そんな環境においては、自分で学習を管理し推し進めていく姿勢をもっていることが大前提となります。受験準備のプロセスで身につけた学習の習慣や学習方法は、学びの推進力としてこれから活かされるのです。

 三つ目ですが、「受験の終了は、新たな出発点に立ったことを意味する」ということをお伝えしました。志望校合格の喜びを味わった子どもも、残念な気持ちをかみしめる結果となった子どもも、中学校進学でまた一からがんばっていかねばなりません。問題なのは『これから』なのです。

 新たに始まる中学校生活で、これまで培ってきたものを活かしていけば、次のハードルを乗り越えることが可能です。受かっても慢心せず、希望が叶わなくても落胆せず、次なる中学校のステージで一層の努力を怠らないようにしたいものです。そうすれば、きっと明るい未来が開けてくることでしょう。

 子どもたちの将来を見据えた学習指導の実践。――これは弊社の中学受験専門塾としてのアイデンティティのようなものです。「子どもたちの合格の夢を叶えたい」と願って指導していますが、同時に「日々の努力が明日のさらなる成長に向けた力となるような指導を心がける」ということも、肝に銘じて忘れないようにしています。今回のチラシ記事は、そうした私たちの思いを背景にしています。

 前述のように、以前同趣旨のチラシ記事を書いたことがあります。そのときにこんなことがありました。ある日某私学の先生とお会いしたとき、「先日のチラシの記事は、あなたが書いたのでしょう?」と切り出され、さらに「うちの娘がおたくの塾に通って受験したので、あのチラシを娘にも読ませたんですよ」と言われました。

 その言葉に、胸がドキドキしてきたのを思い出します。その先生の娘さんは大変優秀で、いつも6年生女子でトップランクの成績をあげておられました。先生はさらに言葉を続けて、「『あのチラシの文面に書いてあることをどう思うか』と、聞いてみたんですよ」と言われました。ますますドキドキしてきました。

 「すると、娘が『ここに書いてある通りだと思う』と言いました。娘がそう思っているとすれば、親としてはとてもうれしいです」とおっしゃいました。この言葉に、筆者はほっとするやら恐縮するやらで、何とも言い難い気持ちに襲われたことを記憶しています。

 弊社の教室の指導担当者は、「合格の喜びに浸っている受験生の背後に、希望の叶わなかった子どもたちがいる」ということを忘れないようにしています。また、「合格を得たかどうかよりも、受験への挑戦のプロセスで何を身につけたかのほうが重要だ」と認識しています。

 間もなく始まる新年度の講座においても、子どもたちの明日につながる指導を肝に銘じて指導してまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申しあげます。

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カテゴリー: 中学受験, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

中学受験を子どもの成長の場に!

2015 年 2 月 2 日 月曜日

 主要中学校の入試と合格発表が一段落し、ひところの喧騒がうそのように静けさを取り戻しました(たぶん、これは中学入試関係者のみが思っていることでしょうが)。

 入試会場へ足を運び、緊張や不安と闘いながら入試に臨もうとする受験生、わが子に付き添い無事の受験を祈る保護者の方々、受験生の応援に駆けつけた多数の塾関係者…。その様子を目の当たりにしていなければ、僅か2週間ほどの間に生じた様々なドラマに思いを馳せることはおそらくないでしょう。中学受験への挑戦が、受験生のみなさん一人ひとりに悔いの残らぬものであったことを祈るばかりです。

 さて、主要中学校の合格者発表はすでに終わり、さらには補欠者の繰り上り合格などもおおよそ収束しつつあります。弊社の会員受験生の合格状況もほぼ確認を終えており、本日(2月2日)中にホームページで結果をご報告する予定です。補欠の繰上り等があれば、その都度修正して状況を掲示いたします。

 それでは、いつものブログ記事に移りましょう。今回は、前回に引き続き筆者が書いたチラシの記事(2月1日折り込み)をご紹介し、若干の説明をつけ加えてみようと思います。まずは、チラシのメイン記事をご紹介しましょう。「中学受験を子どもの成長の場に!」という見出しで書きました。

 中学受験と言うと、とかく「合格できるかどうか」に注意が向けられがちです。しかしながら、私たちは「受験のプロセスに意義があるのだ」と考えています。発達途上の子どもが、受験という目標を掲げて努力を積み重ねる。この体験が子どもの人生に大きな影響をもたらすからです。

 小学生ゆえ受験校についての知識はわずかです。受験の意味すらわからない子どももいます。ところが、1~2年もしないうちに受験を自分なりに受け入れ、真剣に勉強に向き合い始めます。ついこの間まで、「遊びに来ているんじゃないぞ!」と、私たちを嘆かせていたというのに。

 無論、これは偶然の産物ではありません。学習塾は、「初めに受験ありき」の指導をするのではなく、勉強の楽しさやよさを実感する体験を繰り返し提供していきます。保護者にも、学習塾の指導と歩調を合わせ、日々の努力を奨励し辛抱強く応援していただくようお願いしています。

 このような指導やサポートは、受験への自覚が高まることと決して無関係ではありません。勉強のよさにふれ、親の期待が何かを知る経験が、「なぜ学ぶのか」「なぜ受験をするのか」への意識を育てます。だからこそ、子どもは勉強に前向きになり、受験を自ら受け入れるようになるのです。

 受験勉強は楽なものではありません。「受かりたい」という気持ちが募れば不安も高まります。苦手科目が悩みの種になったりもします。乗り越えられない壁を感じ、「受験は無理かもしれない」という絶望感と必死に闘う子どもの様子を見て、かわいそうになることも度々です。

 20150202bところが、勉強のもつ価値を知った子ども、受験という目標を定めた子どもは諦めません。「お兄ちゃんと同じ、あの私学に通いたい!」「おかあさんの母校、○○中学に行きたい!」――それぞれの動機を胸に、くじけることなくがんばり通します。こうしたひたむきさが、予想を超えた入試結果を呼び起こすことも珍しくありません。

 受験を終えた子どもは、一様に「もう、受験のない自分は考えられない」と言います。「精一杯を尽くした!」「最後までやり通した!」という手応えを得たからでしょう。それは結果に関わらずどの受験生も同じです。一人ひとりの晴れやかな笑顔がそれを物語っています。

 私たちは、そこに中学受験の“よさ”があるのだと思います。大きな目標を掲げ、実現に向けて惜しまぬ努力をする。この体験を通して子どもは多くのことを学び、一段と成長するのです。

 中学受験には勝者も敗者もありません。自分への確かな手応えを得る。これに勝る結果はないのですから。親にとってもわが子のこのような成長は、子育て上の大きな成果ではないでしょうか。

 この記事は、だいぶ前筆者が一度書いた文章を点検し直し、ほぼ全部に近い個所に手を入れたものです。筆者自身、中学受験生の国語指導をしていたころの体験が書かせた文章と言ってもよいでしょう。お読みになったかたはどのような感想をおもちになったでしょうか。

 今よりも児童数がはるかに多く、中学受験熱も高かったころは、とにかく合格を巡る競争が激しかったと記憶しています。かつて、修道中学の受験生は2000名近く、広島女学院中学は1500名近くに達していたのですから、いかに合格を得るのが大変であったかおわかりいただけるでしょう。「こんなにできる子が受からないなんて…」と、落胆の思いに駆られることが数限りなくあったものでした。

 そんなときも今も、変わりなく学習指導において大切にしている考えがあります。それは、「子どもの望ましい成長に資する学習指導を実践する」ということです。

 「たとえどんなに合格を巡る競争が厳しくとも、私たち大人が子どもを無理に追い込み、限界を超えるところまで受験対策の勉強をさせるようなことをしてはならない。あくまで子ども自身が受験の主人公として、自らの意志で精一杯の努力をし、その結果として合格が得られるよう導くのが私たちの仕事である」

 この方針は、中学受験専門の塾を始めて間もないころ、経営者の反省に基づいて掲げられたと聞いています。せっかく受かったというのに中学・高校で行き詰り、「勉強の方法がわからない」「やらなければいけないとわかっているのに、それができない」などと言って、卒業生がたびたび相談にやってくるようになりました。「これではいけない」という思いに突き動かされた経営者は、「この勉強で受験を迎えたなら、どの中学校へ進学してもやっていける」と、自信をもって入試会場へ子どもたちを送れるような学習指導こそ、私たち学習塾が肝に銘じて実践すべきである。そう強く決心したそうです。

 チラシでは、子どもがまだ受験を意識しないで塾に通っている段階から、受験生としてしっかりとした自覚のもと、自ら厳しい勉強に打ち込むようになる段階に至るまで、子どもたちに学習塾はどういう働きかけをすべきか、また、保護者の方々と我々学習塾はどう連携していくべきかをお伝えしています。

 20150202c受験勉強の期間は、「受験生という意識を明確にもつに至らない時期」と、「志望校が決まり、受かりたいという気持ちを背景に受験勉強に取り組む時期」に分けられるでしょう。二つの時期の学習は、いずれも子どもの成長にとってかけがえのない体験を提供してくれるでしょう。

 前者は、勉強から得られる楽しさや面白さにふれることを通じて、学ぶことへの志向性を育ててくれます。受験のことなどまだ意識にない分、純粋に学ぶことから得られる喜びを享受できるのです。後者は、「受かりたい」という願望と「ダメだったらどうしよう」という二つの気持ちに揺れながらも、「どうしたら受かるか」を一生懸命に考え、様々な工夫を凝らして受験に挑戦していく段階です。

 前者、後者とも、先々高い水準の学問を修め、社会人として一人前の仕事をしていける人間となるために欠かせない経験になると思います。もしも大人が、「はじめに合格ありき」という発想で、子どもの勉強を取り仕切ってしまったなら、子どもは決して前述のような自らを成長させる受験生活を実現することはできないのではないでしょうか。

 受験勉強を全て学習塾が引き受けるなら、必然毎日の塾通いになります。それも夜遅くまでの勉強にならざるを得ません。しかし、中学進学後に待っているのは、学校と家庭を軸とした自律的勉強に基づく生活です。そこで飛躍できる準備をしておくことこそ、試験対策に勝るとも劣らぬ重要なものではないでしょうか。

 自立勉強への道のりは平たんではありません。勉強での行き詰まりもさることながら、他のやりたいことの誘惑、友人関係など、受験勉強に専念するのを難しくする要素もあります。そういった諸々の障害を乗り越え、子ども自身が自ら打ち込む受験勉強の域に達したなら、受験生活の段階ですでに合格を得たようなものです。自分への自信や手応えを得るからです。

 筆者の家内も息子も弊社の教室で学んだ経験があります。どちらも「受験生活は楽しかった」と言います。また、受験生活で得た勉強の習慣や方法こそ宝物であると思っているようです。

 家庭学習研究社は、これからも子どもたちの成長の場となる受験環境を提供したいと考えています。そのことと受験の結果を高い次元でバランスさせる。そういう学習塾が存在意義のある学習塾だと信ずるからです。

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